■スポンサードリンク
夏物語
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
夏物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.46pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 41~45 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
出産を生まれる子の視点から考えるというのは、新しい。愛と性と妊娠と結婚は、決してつながっていないと、読者にパラダイムシフトを促す小説。既成概念の根本を揺るがし、自分の頭で考える大切さを自覚させられた。 500ページ越えで様々な人物像と、価値観と、人生を描き、味わいがある。主人公は多くの残酷な言葉を浴び、また温かで親身な言葉をかけられる。どちらからも逃げ出し、身構え、普通に恋愛して産むという多くの人がしてることを、いちいち拘り考え、拗らせている彼女を、面倒な主人公と感じる読者もいるかもしれない(彼女の設定が、考え言葉を紡ぐことが生業の小説家であることで何とか納得できるところも)。そのため、前半を読み進みにくいと思う人もいるだろうが、読後はVIVA人生!という読後感に満たされるのではないか。 生と死を超え、超然と存在する思い、かたちにならない思いというのを考えさせられた。わが身を振り返って考えることの多い作品だった。 ボイジャーの挿話は、美しく、印象的で良かった。今後も時々、宇宙空間を一人行くそのイメージを想起しそう(ボイジャー生きてないけどねって、突っ込み入れたくなったけど)。 「真に親切だと気づかれない。親切さに限らず、だいたいのことってほどほどの濃度じゃないと人にうまく伝わらない。共感ってそういうもの」という言葉も心に残った。 結論として、500ページ越えのずっしりした本書だが、そのページ数をかけてこその多様な人生と価値観を描き出し、文学としての味わいもある。また固定観念から自由に自分の頭で考える重要さを実感できる。よって、今、読んでおくべき価値ある小説だと思う。だから多くの国で翻訳されるのだろう。他に類のない読書体験ができる力作。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ロンドン出張の移動中に読みました。夏子というひとりの女性の中に潜り込んだように没頭しました。追憶の描写が美しくまるで自分なら体験したように、胸がぎゅうっとなりました。是非読んでほしい。夏子を体験したあと、いろんなことがふっきれて、誰と一緒にいようと自立して生きていけるとひとまわり強くなった気がします。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
川上未映子さんの著作はすべて読んできました。その中でも、乳と卵がいちばん好きで、緑子たちはどうなったのかなあと、遠くの友達のことのように思っていました。なので今回の新刊はとてもとても嬉しいものでした。 以下、ネタバレあり。 独りよがりな感想ばかりです。 緑子と観覧車に乗って、ぶどう刈りの話をするシーン。ぶどう刈りに行きたくて行きたくて行きたかったのに行けなかった夏子(主人公)のために、巻子(主人公の姉)が家でしてくれたぶどう刈り。泣けました。 私は若くして亡くした兄と2人兄妹でしたが、私も兄も子どもだった頃よく遊び、時には兄ぶってみる姿を思い出してさらに涙が出ました。 全編、ヘブンと乳と卵を併せた感じの文章。言葉えらび、言葉ならびが大好きです。情景の描き方が緻密で、いま目の前で見ているように浮かび上がってきます。 緑子の成長が姪っ子の成長を見ているようで胸が詰まります。 子どもを持つということについて、ぐるぐると考えを巡らせ、様々な他人の価値観に触れる夏子。私も子どもができるまで長い間、色々なことを考えて考えて、人工授精で授かることができました。なので、夏子が子どもに会いたいと思う気持ち、脳内にぱんぱんに詰まる切迫感めいたもの、考え続けてしまう止められない感じ、は痛いほどわかります。 私は自己肯定感が低く、子どもを産んでもなお(子どもはとても愛していますが)自分自身が産まれてくるんじゃなかった、このまま生きてていいのだろうかと思いつめることが未だにあります。なので百合子の気持ちもまた共感するところがありました。 生きるのはしんどいことの連続だし、何が正解かわからないし、いつ死のうかいつ死のうか彷徨うこともあるけれど、この一冊を読めて、生きていてよかった……!と思っています。今後も楽しみにしています! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昼夜を忘れて夢中で読みました。 途中、悲しくもなり、気持ち悪くもなり、それでも人間の温かさや家族愛がしっかりと伝わってくる。 女性が今の時代に生きる過酷さと女であることの喜びに深く共感しました。 エンターテイメントな小説とは違う、文学の奥深さを感じる一冊です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
精子提供による出産を題材にした物語。 飛び交う大阪弁の臨場感、登場する女性たちの生々しさ、抽象的だけど腑に落ちる比喩表現、どれもが川上未映子さんならでの魅力を孕んでおり、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。 この小説の中で度々議論される家族観や倫理観は、これまで培ってきた知識や経験から自分の中で確立しているものだと思っていました。けれども、登場人物たちのさまざまな思想に触れながら読み進めていくと、自分の既成概念は簡単に揺らいでしまいます。 物語には終わりがあるため、主人公は最後にひとつの答えを導き出しましたが、私はこれからもゆっくりとこのテーマついて考えていきたいです。 人の心に残り続ける名作だと思います。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!