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椿宿の辺りに
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椿宿の辺りにの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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はっきりいって面白くない作品です。日本書紀や古事記の世界との関わり自然というものの捉え方に対する作者ならではの世界観わかるのですが面白くない。家守奇譚や冬虫夏草のようなフラが無い、作者としてはこの作品のほうに重きを置いているのだろうけど蘊蓄をやたらひけらかすような形になってしまっている。読者からみれば家守奇譚が作者の代表作だと思っているが作者はそうは思っていないような気がする。ここにギャップがあるのがこの作家の辛いところ作品が作者を離れて独り歩きをしているまるで綿貫征四郎から離れたゴローが鈴鹿山地で彷徨うように。 | ||||
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腕に痛みに耐える主人公が、古民家の天窓を開けるだけはなしです。 主人公がやったことはこれだけなんですが、神話や歴史、はては地質まで巻き込むスケールの大きな物語がつぎつぎと展開されて、目が離せません。序盤は個性的なキャラクターに振り回されてお話が進みます。都会のオフィスに勤めていたはずが、ひょんなことからあっという間にひなびた田舎の古民家へ導かれます。そこで主人公が初めて受け身ではなく能動的に行動する(天窓を開けるだけですが)ことで意識が切り替わり、物語は終盤へとなだれ込みます。 キャラクターも魅力的だし、物語がどうなるのかとても気になるので、楽しく読むことができました。前日譚である「f植物園の巣穴」をまた読みたくなりました。 | ||||
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再読になるのですが、最初に読んだ時と同じく、読みごたえがありました。 個人では計り知れない大きな何かの力が働くなかで、個の人生が動いてゆく不思議。この世界と異世界とをつなぐ橋が架かり、夢うつつに往来しているかのような風情。 なんとも趣(おもむき)の深い味わいに、魅了されました。 また、本作品によれば、この〈椿宿(つばきしゅく)〉の世界と〈 f 植物園の巣穴〉の世界とは、どこかで繋がっているみたいなんですね。著者の『 f 植物園の巣穴』を、そのうちに読んでみようと思っています。 | ||||
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装丁が気になり購入したが、想定外に内容が不思議に絡まり読み進んでしまう。 f植物園にそのまま進んでしまった。 | ||||
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淡々とした話口調ながらとても面白く一気読みするくらい話にのめり込んでしまいました。全体を通してほっこりする作品です。 | ||||
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「からくりからくさ」同様、先祖とのつながりをたどる謎解きの部分もあり、家系図(人物相関図)を書きながら読みました。神話の世界とも行き来しつつ、時代を超えてさままなつながりが次第に明らかにされていく過程に引き込まれました。 ただ、主人公の祖父が、自身の子供たちには普通の名前をつけたのに、なぜ孫の代になって海幸・山幸の名付けを思いついたのか?そのあたりの経緯や祖父の思いがあまり描かれていなかったように思い、パズルのピースが埋まり切らないような感じも残りました。 | ||||
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梨木香歩の小説を読むのは三冊目になる。物語の始まりは普通の帰宅風景のようだが、突然に激痛が訪れ、そこからは物語に引きこまれて最後まで読み切った。f植物園の巣穴は事前に読んでいないが十分楽しめた。 主人公である山幸彦の語りで進行する。三十肩の話から怪しげな鍼灸師との出会い、そしてあれよあれよという間に祖先の地への旅に出かけることになる。椿宿という土地を巡る物語はリアルでありながらSFのようでもあって不思議だ。鍼灸師の霊感が良すぎる点には無理があるのだが、何故か自然に受け入れてしまった。ところどころに配されたユーモアはひねりが利いて、こちらの肩の力を抜いてくれた。 他のレビューを読み、この小説の魅力の一つは読者それぞれが自分なりの受け取り方をできることかもしれないと思った。評者にとっては、椿宿辺りの風土の時間的流れが一つの生命体の物語のように、そして過去や現在に生きる人々の人生が「風土に生かされている物語」のように感じられた。 | ||||
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読破してしまいました。先が気になり、読み進める方に意識がいってしまいましたが、少し難しいところもあったので、もう一度、ゆっくり読み直そうと思います。f植物園も。 | ||||
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登場人物が暴言をはいても動作が乱暴でも文調に独特の品がある。「村田フェンディ..」よりは世界観が小さいよう。次は映画で話題になった「西の魔女が..」を読んでみよう。 | ||||
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つながりが面白くてよかったです。 | ||||
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梨木香歩らしい 因果の解決があり 歴史 風土 古事記?深い繋がりを読みとくのか面白い なんとなくやさしい 見えないものへの思いを感じます | ||||
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旧作の「家守綺譚」「冬虫夏草」では、精霊やら神様やらが当然のように日常に存在している世界が心地よく、もう、うっとりだったのですが、本作はバリバリの現代が舞台で、主人公はあちらの世界などとは縁のない普通の人。描かれる世界も、痛みや不快に満ちています。 とは言え、これは逆向きにあちらの世界につながっていき、再生していく物語。 時節柄、ただのストーリーと言うより、日本・世界全体へのメッセージのようにも読めました。文中、人の心のおきどころ次第で、天変地異すらも癒すことが出来そうな希望があって。国土が病み、世界が病むとき、今一度、思いをはせる、心でつながることの力を、著者は信じていらっしゃるように感じる。 | ||||
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引き込まれながら読みました。最後にびっくり。ヤッパリ何処かで繋がっていたと楽しかった。 | ||||
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梨木果歩さんの本はずっと読んでいますが2009年に出版のf植物園の巣穴がさっぱり読めなくて途中で断熱していました。 これはその本の続編。二代後のお話。梨木さんらしい神話や伝承など、すぐそばにあるかもしれない異世界との絡ませ方も うまく、楽しんで読めました。f植物園の巣穴のもやもやも解消されて二倍楽しめました。 | ||||
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梨木香歩さんの5年ぶりの長編小説の主題は「痛み」である。前作「海うそ」は東北大震災に触発されて書かれたもので「喪失」が主題であった。そこで梨木さんは、「喪失とは、私の中に、降り積もる時間が増えていくことだ」との名言を残した。本小説を梨木さんは肩の痛みに耐えながら執筆したと語っている。「風景の痛みと心の痛みは決して無関係でもない」とも言う。果たして作家は「痛み」にどのような物語 を見出したのであろうか。 化粧品会社で皮膚科学を研究する佐田山幸彦は三重肩で痛みに苦しみ、従姉妹の海子は階段から落ちて痛みに難渋している。海子の本名は海幸比子であり、二人の名前は古事記の海彦山彦の物語から祖父が付けた。祖父の伝言から佐田山幸彦は祖先4代が住んだ椿宿にある屋敷を訪ねることになる。そこで彼は佐田家の歴史や屋敷にまつわる藩主の兄弟の争いから生じた惨事を知る。そして、椿宿の土地が天変地異を経てどのような変化を遂げてきたのかを教えられる。古くからの川は治水のために今は暗渠とされてしまっている。山幸彦と海幸彦の神話世界とつながる佐田家の家系と自然界の変遷を理解した時に、二人は痛みが跡形もなく消えていて、明るい光に包まれていることに気づくのであった。 平易で明晰な言葉で綴られるが、どこか現実ではないような気配が漂っているのは、これまでの梨木さんの作品と同じである。古代から近世、過去から現代、そして未来と時制は目まぐるしく変化して、生々しいリアリティよりも軽いユーモアとファンタジーが支配する梨木さんの世界である。大きな惨禍を受けると、人も自然も深く傷つき、痛みとなって現れるが、人が遠い記憶を掘り起こすことで痛みは癒されていく。つまり、痛みは人間に与えられる前世からの警告なのである。梨木香歩ワールドを存分に堪能できる一冊であろう。 | ||||
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梨木果歩の新作「椿宿の辺りに」(朝日新聞出版 2019 .5)は、抱腹絶倒というわけではないのですが、ずっと含み笑いが止まらない。やや深刻なテ-マを扱いながらも最後は明るい未来を予感させる梨木果歩の手際のよさである。梨木ファンの人たちの読後感をよそ見しながら、この作品のモチ-フに従いながらも、ありえたかもしれないもう一つの結末を想像してみたくなる。 それは、先祖の家に潜む過去の悪い霊と霊感をもつ鍼灸師との壮絶な戦い。悪霊によって引き起こされた主人公たちの痛みは終わることはない。過去の事件を上書きすることができるだろうか。古事記によって運命づけられた物語を語りなおすことができるのだろうか。そして、人間の根源的な痛みとは何か。 | ||||
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主人公は化粧品会社の研究職、いかにも表面だけの仕事をしていたのが、若いのに四十肩(本人は三十肩と意地になって言い張る)に見舞われる。その痛みをなんとかしたいと思い続ける中で、奇妙な人々に導かれ、やがて自らのタマシイの故郷とでも言うべき椿宿なる地にたどり着く。そこには、此岸と彼岸、前世、現世、ひょっとしたら来世までが混沌と混じりあった世界があり、その場所での主人公の、ひたむきに明るさをめざす行ないが、現世での救済をもたらす。 視聴覚情報だけで全てが語られる今の時代に、どうやらスマートフォンを使っていない主人公の不思議な物語は、かつては私たちの傍らにあって、しかし忘れさられようとしている大事なこと。その存在に気づかせてくれる力がある。 本作の中で秘匿されていた文書とされている「f植物園の巣穴」は、ありがたいことに すでに刊行されているのだが、この小説も彼岸、此岸、地霊、木霊などがなんのためらいもなく行き来する世界での植物学者の物語だった。 目に見えて耳で聞こえる事だけに翻弄される今の私たちに、いやいや、命の営みはもっと深い世界につながっているのです、と、この物語は語る。 ウィトゲンシュタインは「痛みは共有できない感覚である」と記した。この「痛み」の物語、人間の孤独と、一方で「見えない聞こえない」世界でのつながりを示した傑作だと思う。 | ||||
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