とわの文様
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呉服屋・常葉屋の娘十和を描いた作品。 娘といっても実子ではない拾い子である。突然姿を消した母を捜しながらも呉服屋の娘として兄、父親を助けている。 3話構成で十和がかかわる出来事を解決していくのだがあまり見世の内情を詳しくは説明されていない。 カバーイラストの十和がきりっとしていて作品にふさわしい出来だ。 一般文学通算2851作品目の感想。通算3864冊目の作品。2024/09/18 16:05 | ||||
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読み出してから、話の中盤に入っても、なかなか気持ちがスッキリしない。物足りなさだけ残る。起承転結がうまくない。この話は続くのだろう、と思うが。 | ||||
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一気に読了して江戸の空気を感じれました。ミステリー要素の主人公と母親の伏線がとても気になります! 文様シリーズ続編待ってます | ||||
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2022年には直木賞候補にも挙げられるなど今をときめく時代小説作家・永井紗耶子がKADOKAWAに初登場。「商う狼」や「大奥づとめ」、「木挽町のあだ討ち」といった作品の個性的で活き活きとした人物描写に惹かれて拝読……え、文庫書下ろしなの、これ? 物語は日本橋川沿いの西河岸町に立つ呉服屋、常葉屋の女将・律が橋の袂に置かれた背負子から一人の生まれたばかりの赤ん坊を拾い上げる所から始まる。その場に居合わせた息子の利一も興味津々なその娘は店の主で津の亭主である吉右衛門により「とわ」と名付けられ常葉屋の娘として育てられる事に。 時は流れて十六の娘盛りとなった十和(とわ)は美しく成長し、店に出入りする客人から「そろそろ嫁入りだな」と冷やかされるまでに。だが、十和の答えは「母さまが戻って来るまで嫁入りはしません」という素気の無い物。 その二月前に母の律は人目を避ける様な外出の途上、乗り込んだ船がひっくり返って行方不明に。その直前に船頭と揉めている様子を見た者もあり何事かあったのかと騒がれるが遺体の上がったのは船頭だけで律の行方は杳として知れない。 泳げた筈の律が水死などと母親の死を信じない十和だったが、そんなある日店の商売の傍ら戯作者として創作に打ち込む兄の利一が身重の女をこっそりと家に連れ込んでくる。何事かと思った十和が尋ねると女はやくざ者に追われている身であったのをたまたま助けたと言うが…… むむむ……直木賞候補にもなった作家ではあるが版元のカラーに沿う器用さを見せつけた様な一冊!KADOKAWAデビュー作はなんというか「ライトノベル」の色が強い作品に。いや、嫌いじゃないよ、ライトノベル自体は?最近は何故か喉を通らなくなっちゃったけど。 構成は連作短編形式で短編3話を収録している。基本的なパターンは大店とまでは言わないが呉服屋として安定した商売を営む常葉屋の娘・十和とその兄で商人としての才覚はあるのに戯作の方に打ち込む利一の兄妹が町奉行の勇三郎や全国を股に掛ける商人でその正体は隠密である佐助とともに巻き込まれた騒動の解決に当たるというのが基本的なパターン。 騒動と一口に言ってもピンキリではあるし、実際に作中で描かれる騒動も跡取りが産まれない旗本家の苦悩に巻き込まれた農家の娘の逃避行であったり、主家の若君に許嫁を狙われた事で不遇の身に押し込まれた若き武士の絶望であったり、八王子の田舎から江戸へと飛び出したいと願った娘が姉と姉を想う男を巻き込んだ不幸であったりとバラエティ豊かではある。 ……が、この様々な騒動に共通する要素は作中で十和と佐助が交わす会話が象徴している 「人の性なんて、さほど変わりはありますまい。御武家だろうが、町人だろうが目鼻がついて食べて寝て」 「おっしゃる通り。人の性は変わらない。でも、身分とか立場に振り回されるのも性のうちでしょうなあ」 そう、これは人間であれば誰でも犯し得る過ちの物語であり、同時に時代や国は様々でも社会を構成する人間という動物として生きる以上は身分や立場に振り回されざるを得ないという哀しみの物語でもある。十和や利一が巻き込まれる騒動を起こす人々に悪人はいない。だから余計に救われない。 御家の為には跡継ぎを産まねばならない武家の嫁だから、主君に忠誠を尽くす事が全ての武家に生まれた男女だから、地元で結婚し子供を育てるのが当たり前とされる農家の娘だから……という理不尽の前に自分が願った生き方を許されず、追い込まれて人を傷付け、悲しませ、また自身も同様に傷付き、絶望する人々の姿が描かれる。 こう書くと酷く暗い話の様に思われるかも知れないが、そんな迷える人々を自分たちも巻き込まれた身でありながら、何とか少しでもまともな結末へと導こうとする十和と利一のどうしようもないお人好しぶりが読者にとっての救いとなるのである。 ……と、斯くの如く基本的には従来の永井紗耶子作品のカラーからそう踏み外してはいないのである。が、ライトノベルっぽいと上で申し上げたのにはいくつか理由がある。その一つは文庫書下ろしという部分もあるのだけど……本作どこか「妹萌え」を狙って無いか? 冒頭で十和が利一と血の繋がらない義理の妹である事が明かされるのだけど、やたら「お兄ちゃん大好き」っぽい場面が多い様に思われるのは気のせいだろうか?母親の律が行方不明の状態にあるとはいえ、兄が外出から帰って来ないと不安になってしまったりするのは序の口。二話目で利一が襲われ軽い切り傷を負った場面なんかなかなか凄い。 「お兄ちゃんが死んじゃう」というパニックに襲われて泣き喚くわ、医者が軽傷だと言っても傍を離れようとしなかったり、翌朝利一が目を覚ますともう一回大泣きしたりとそれはもう……ベタな妹キャラやん、これ。ライトノベルやオタク向けアニメでは珍しく無いでしょ、こういうの? しかもこんなブラコン娘なのにやたら腕っぷしだけは強く、やくざ者を一方的に叩きのめしたり兄を斬った犯人を探し出して叩きのめそうとしたり……うむ、設定だけ見るとどうにもこうにもライトノベルというかKADOKAWAのオタク文化カラーをしっかり反映している様な気が。 そして冒頭で起きた母親の律が行方不明になったまま終わっている所からこの作品ナンバリングしていないけど、どうやら続き物前提で描かれているっぽい。もちろん短編の各話はしっかりとオチが着いているので不満は無いがこれ一作で完結した作品では決してなさそう。 直木賞作家と言えど版元のカラーに合わせる器用さが問われる時代だし、時代小説家といえどライトノベルっぽさを求められたら応じる事が要求される時代って事なのかなあ?作者らしさは十分に感じられたけど、同時に随分とまた思い切ったなあと思わさせる様な新機軸に打って出た一冊であった。 | ||||
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