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八月の母
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八月の母の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全19件 1~19 1/1ページ
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これは食い合わせが悪いタイミングが悪い多分私が悪い、直前に読んだのが川上未映子の「黄色い家」だもん、あらゆる面で比べちゃうよ。 親子三世代に亘る貧困母子家庭の負の連鎖を描いた話。 ジャンルに分類するならイヤミスかもしれないが、二点のどんでん返しを除いてほぼその要素もない。分類するなら犯罪小説の方が正確。 団地で起きた凄惨な事件と聞いて思い浮かべたのは、幼児が育児放棄された別の事件だったがそれとは違った。 ともあれこの手の事件は私が知っているだけでも国内で5・6件起きている。報道されない程身近で小規模なケースなら数え切れず、世界各地で起きている。「陽向が幸せになるのが許せない」って意見もちらほら見かけたが、個人的にそこは気にならず。 大前提として彼女が幸せになるかはわからない、まだ。息子の子育てが上手くいってても娘と良好な関係築けるかはわからないし、破綻しそうだと思った。 ひたすら(都合)いい人に描かれてた旦那が不快感催す本作のクズ男たちと同じく浮気・蒸発しないとも限らないし、そもそも本人が憧れてる海外に馴染めるか不明なので、「母親と決別する=幸せな未来確定」の方程式は疑問視。 あのラストをバッドエンドととる人がいるのは面白い。自分はハッピーエンドと解釈したので妙に清々しかった。 前者は小さい子2人抱えた陽向が、あの毒親を大金出して入院させるか、自宅介護で看取れば満足なのだろうか?それこそグロテスクな、ハッピーエンドに見せかけたバッドエンドの押し付けだと思うのだが。最近は少なくなったものの、親子の確執をテーマにした小説は、親がどんなにクズでも子の赦しや和解をもってして締めくくる事が多い。そんな安直な結末にしなかった所は評価したい。 しかし手放しで面白かった、と言うにはモヤモヤが多い。本作で一番哀れなのは陽向でもエリカでもなく、同じお腹を痛めた子供なのに、母親に愛情を注がれずその他大勢にひっくるめられた愛華と麗央。 結果的に周囲に流され加害者になってしまった2人だが、エリカ・陽向ともに気にしてる素振りすらないし、自分が彼等と同じ「貰えない側」だったら歪んじゃうよと同情した。娘の誕生日覚えてない時点でダウト。エリカの思考もちょっとわかり辛く、あんな形で自分を騙し逃げた男の娘なら虐待しそうなものなのに、3人きょうだいの中で贔屓してたのが謎。 陽向の父親は本作一番の外道。元カノは嘘吐いてこっそり産んでたの?「イノセントデイズ」と同じ構成で、主人公の一人称語りに三人称の関係者の回想パートが差し挟まれるのが、いずれも終わり方がブツ切りで中途半端に投げ出されるのが気になる。 結局泰ちゃんはどうなったんだってばよ!?愛華の父親は博司で麗央は武智の子? 作者がわざと似せたのか定かじゃないが、「イノセントデイズ」を意図的にまねたにせよ、その欠点がまるで改善されてないのがマイナス。美智子に至っては後半フェードアウト、気付いたら死んでいた。 文体だけで引っ張る力が漲っていた「黄色い家」と違い、「八月の母」が特段優れているように感じられなかった。紘子に対しては自業自得と同情が半々。恵まれた環境を足蹴にし、さんざん心配してくれる親を雑に扱い、クラスで浮くのが嫌だとかなんとかぬかして高校をサボり続けたのは本人の責任。 かといってあんな目に遭っていいはずないし、エリカの家で起きた出来事は正当化できない。陽向に対しても同情と嫌悪が半々。彼女が正直に話してれば紘子は逃げていた、というのは一理あるものの、当時の博子に自力で逃亡する余力が残っていたか断定できかねるし、どのみち常に人がいたら無理っぽい。反面本当に狡くて愚かな人間なら、旦那にその事を黙り続けたろうし、最後の最後に告白したぶん良心は残っている。 エリカが陽向に連絡をとったのは、「彼女なら世話してくれる」と当て込んだにせよ、「連絡もとってない」と切り捨てられた2人の行く末をただただやるせない。 どーせ陽向に切り捨てられたら2人に縋るんでしょ?それも駄目なら上原頼るのかな。 個人的に乗り切れなかったのは上原の変化。 幼少期のエリカの章では名声欲に駆り立てられた意識高い系記者だったのに、再登場時は完全にいい人で味方。 その間の空白に一切触れられられてないので、突飛な印象は否めない。ていうか小学生エリカと教師の間の出来事も具体的に描かれないので、「あの後多分こうだったんだろうな」と想像で補完するしかないのが疲れる。 してみると上原の善行は友人の贖罪?自分は美智子が脅迫のネタにするため、計算ずくでエリカを行かせたと推理したが、書かれてない以上答えはでないわな。 登場人物の中で一番その後が気になったのはサイコパス香織。大方父親の性的虐待から母親が庇ってくれなくて歪んでしまった、とかなのだろうが、彼女の現在は全スルー。 いやいやそんな大事件起こして無事じゃすまないよねどうなった? 余白で想像を捗らせる技術を上手く用いた小説もあるが、本作はただただブツ切りで放り出されるせいで、作者の技術不足や怠慢では?と疑いたくなる。 | ||||
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これを読んで役所にクレーム入れるのはやめましょう。実際に起きたことを基にしてますが、すべてが事実ではありません。フィクションですよ。 | ||||
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途中読むのがしんどくて何度もやめようかと思った。 田舎で過ごした人ならなんとなく分かると思うのですが田舎特有の閉塞感、一生この街から出られないようななんとも言えない絶望、それらが絶妙に描写されています。 貧困は連鎖するとはよく言われますが、人生までも連鎖し、そしてその鎖を断つことは非常に困難です。また、貧困というのは女性や子どもといった社会的弱者にすべて背負わされてしまいます。 読むのにとてつもないエネルギーを使うけれど、これは実際に日本で起きていることです。そして読んでよかったと心から思います。 あなたがこの小説を読み、絶望の淵に辿り着いた時、かすかな光に気づくはずです。その光とは一体何なのだろうか、読後よく分からなかったけれど、今なら分かります。 私はその光になりたい。 | ||||
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偏見と思われてしまうことを承知で あえて使わせていただきますが、“男性”が書かれた話ということに驚きました。まるで身近で見てきたかの様な 本人の経験であるかの様な 世代を超えても繰り返される母娘の関係、因縁がよく描かれていると思いました。父と息子ではないんです、母と娘の間に生まれ得る歪んだ関係性に共感しながら読んでしまいました。 生まれ持った母性と 母を慕いながらも足かせと変わってしまった関係性との間で悩み苦しむ娘の心情を痛感しました。 とても重く 辛い話だと思います。残念ながら、読むことが出来ない方もおられるのではと感じました。 また 私はいち読者ですが、男性が読むと どんな感想を持たれるのか 知りたいと思いました。 | ||||
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ストーリーにまとまりがなく登場人物のキャラクターもブレブレなため、後半からグダグダ。打ち切りマンガのラストシーンのように、出だし半分の布石を回収できずに終わった印象でした。ラストに至っては、作者の男と女に対する幼稚な思い込みが冗長に繰り返されるだけ。壁投げ本の類いでした。 | ||||
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実際に伊予市で起こった事件を元に作られた作品とのことですが、そんなことよりも母性とは何か、ということを突き詰めた内容でした。これまで読んだ最近の早見和真さんの作品とは全く異質の味わいがしたことです。 凄惨な出来事も多く、読み進めるのに躊躇したこともありましたが、逆に脳内を揺さぶられるような激しい感情が登場人物から吐露されて、それに受け止められない読み手になっていました。 負の連鎖と言う言葉が最初に過りました。人間の居場所と寂しさも実感できました。どうしようもない気持ちのやるせなさも通奏低音のように流れていました。伊予市の海の景観もずっと描かれてきました。閉塞感がある町なのかは分かりませんが、その鎖につながれたかのような土地の匂いがずっと追いかけてくるわけで、読者も作品から離れようとして離れなくなっていくのです。 「八月の母」という全く違うイメージを持っても不思議ではないタイトルでしたが、強烈な読後感をもたらす作品との出会いを果たしました。それが良かったのか悪かったのかは分かりませんが、ずっと記憶に残る作品になったことは事実です。 | ||||
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暗い、、。読むのに必死。 人物の造形が定型的。 途中でわかった。 ズルして生保もらうレベルの3代に渡るヤンキーの物語なんだ。 作者の底が見えた感じ。 | ||||
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八月は、母の匂いがする。 八月は、血の匂いがする。 それがどのような匂いか… 読了した時、全てが解き明かされました。 決して許されない伊予市で起きた凄まじい事件。 それでも一つの命は、最後の最後まで許した。 この許しが、どれだけ深い意味があるか… 涙が止まりませんでした。 いつの時代も、 女がいて、男がいて、ドラマが生まれる。 そして女が命を授かった瞬間、 女から母になる。 母という役割が与えられただけで、 女であり、一人の人間。 母になっても過去は子であり、 また母がいる。 母性とは不思議なもので、 母と子の因果関係とは、 わかっているようで、 未だにわからないのかもしれません。 少なくとも人生において、 この世に生まれてから親からの影響、 育つ環境は大きく影響するでしょう。 環境とは、ある意味一つの世界であり、 その中で団地という世界も存在する。 俯瞰して見れば小さな世界に見えても、 実際には違う。 その世界の実態を見て見ぬふりをする人々。 気がついたときには遅い。 それでも、闇の世界は引き継がれている。 一つの命から、どれだけの人々の想いが残されたのでしょうか… 読み終えて、 絶望の世界から一番に私が思ったことは、 一言で"HOPE"でした。 人間誰だって、 性質はアンバランスな生き物で、 利己的に造られている。 そんな人間が集まった世界。 だから今がどんなに苦しくても、 その苦しみから逃げていれば、 必ずいつか、 ここだという居場所にたどり着く。 今が絶望でも諦めずに、 望むことを忘れないでほしい。 八月の母の匂いも、 八月の血の匂いも、 変えることはできるのだから。 私はそう信じています。 | ||||
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情景や人間の感情の描写が上手で、とても想像できやすく情景が目に浮かびました。その分、世界に入り込みすぎて、重い内容を受け止めるのにパワーが要ります。私はあまり気分が上がり調子でない時に現実逃避のために読める本を探していて、なんとなく面白そうなタイトルのこの本に辿り着きました。主人公と同じ年代の娘を2人持つ母として内容が重すぎて、逆にダメージを受けてしまいました。(私の選択ミスです) | ||||
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母親と娘の繋がりや母性をテーマの一つとし、実際の事件を材にとった大変つらい気持ちになる物語。 二部構成の前半は二代にわたる母親と娘の断ち切れない関係が、後半はある女子高生が異様な事件に巻き込まれ悲劇的な結末を迎える様子が語られる。 事実は存じませんが、その事件の一面を描き切ったような熱量を感じつつも、ラストは仕方がないとはいえ、苦さと遣り切れなさが残りました。 | ||||
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三世代にわたって、虐待や性被害、世間からの嘲笑、家庭不和といった負の連鎖に何とか抗おうとする物語 どの人物も、身勝手極まりない、動物的思考を押し通した先の運命であり、一宗教者としてまさに救済の必要な状況だと思った。 度重なる愚かな判断や、俯瞰でモノを捉えられない、共依存にあることも認識できていない人たちがズルズルと堕ちていく描写は、読んでいて不快不愉快、胃に鉛が溜まり、下にざらつく鉄分(血)を感じるような作品でした。 結末も結局、離日という選択肢で以て連鎖から逃れたようになっていますが、どこまでもそれは人間思案の甘さで、渡航先で同じような事が必ず起こってきます。人のものさしだけでは決して幸せになれない証左のような人生観の数々に、心よりも胃を痛めてしまいました。 くだらない本で以てのお口直しが必要です。 作中、伊予市がさんざんに貶められていますが、海があり昔ながらの街道もあり、夜景も美しく大好きな街です。ぜひ観光にいらしてください。 | ||||
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各章ごとに心抉られます。辛くて辛くて、でもグイグイ読んでしまいます。最後の3頁ぐらいで救われますが、しばらくは抉られた傷が痛みます。 | ||||
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小説は全くと言っていいほど読まないが某事件の主犯の女と同時期に同じ中学に通っていたこと、自分も愛媛や実家の伊予市が昔から大嫌いなのにもう出ていけないと諦めて松山に住んでいるので早見さんの愛媛に対して感じた「違和感」に興味があり読んだ。 自分が伊予市に対して感じている嫌な雰囲気が驚くほど詳細に表現されていた。 創作童話の方ばかり取り上げて「子どもたちに愛媛の魅力を今一度知ってほしい」というメディアの言葉は嫌というほど聞いてきたが6年間も住んでここまで指摘してくれた陰の面とも向き合わないとどんなに魅力をアピールしても人口減少は解決しないと思う。 喫茶店で二度読みしていると隣から「自分たちの老後のためには孫に愛媛の国立大学に行かせて地元に就職させればよい」という話が聞こえてきた。こういう思考停止の人はこれを読んだら「愛媛はいいとこなのに酷い」などと言うかもしれない。 そういうことも覚悟の上で書いてもらえたことにとても感謝している。 作品はフィクションではあるが某事件では何度も近所の人から報告を受けていたのに踏み込まなかった行政と警察の人たちにも読んで欲しい。 「自分の人生は親のものではない」と知ってもらうために小中高校生にも、そして結婚当初母親に『うん』じゃなくて『はい』と言うように要求した自分の父親にも読んでいただきたい。 | ||||
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すごく強い小説でした 何を書いても陳腐になってしまう気がします 一部、二部とたしかに苦しさは続きますが、先が気になって一気に突き進みます そして迎えたエピローグの、主人公の強い決断に、見えていた景色が鮮やかに変わりました 母親も1人の人間なのだからという許しではなく、許さないという選択をした主人公に、自分自身の母との関係を思い、私は涙が込み上げました 力強い小説です。気力を要するのは間違いありませんが、作者を信頼して読み進めることを勧めます | ||||
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良い | ||||
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これ、実際の事件にヒントを得ているんですよね。 何故、あのような凄惨な事件が起きたかに考えを巡らせて、そこが小説の起点になっているのだと思いますが、犯人や犯行に同情や弁解が感じられる論旨は的を射ているとは思えません。 実際の事件はただただ残忍で凄惨です。少年たちを抑止しなかっただけではなく、自らも暴行に加わっていますよね。 何らかの連鎖があったかどうかは知りませんが、連鎖を断ち切ろうとしたことのある人の所業とは思えません。 「小説」なのかもしれませんが、地名や家族構成等が現実をなぞっていて虫唾が走りました。先に実際の事件を参考にしていたのを知っていたら読まなかったと思います。 | ||||
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新聞の書評で目に留まり、kindle版で読みました。実際にあった事件を基に、ミステリとしての展開もきちんと押さえていて読者を引き込みます。きっととても丁寧な取材をしたのだろうと思いました。テーマになっている母娘の心理描写もしっかりしていて、登場人物に感情移入できます。最近良く見られる、刺激的な内容を売りにした安っぽいファンタジー類とは一線を引いた秀作だと思います。この作家の作品をもっと読んでみたくなりました。 | ||||
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社会の息苦しさの中でどうにか生きてきた人生は4世代に亘る。 その居場所からは出ていけない。 逃げられない負のスパイラル。 落ちていくだけで、這い上がろうともがいても、さらに落ちていく、まさしく蟻地獄。 そこには絶望だけが存在する。 そんな閉塞された環境の中で、母と子の関係、そして母性とは何かと問いかける。 どうにかして負の連鎖を断ち切り、明日に向けて自分の人生を拓くべきと力説。 | ||||
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特に前章は、人物描写もほんと興味惹かれる登場人物(彼らの行動や秘めたる想いも)ばかりで読み応えありました。 後章は若干ペースダウンで、何故優等生だった少女がそこまであの母娘に惹かれたのか伝わってこなかったり、現在軸での主人公の息子(5歳)が年齢の割にやたら物分かり良かったり違和感がありました。旦那との出会いや家庭に入る馴れ初めも時間軸を辿って読みたかったかな。 それを抜きにしても非常に没頭出来ましたし、今後もこの著者の作品は是非読みたいと思いました! ※タレントさんなどの書評が載ってますがEDのネタばらしをされてる方がいますね。目に入れてしまって正直な所楽しみ減りましたよ。気をつけてほしいです。 | ||||
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