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八月の母
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八月の母の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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途中読むのがしんどくて何度もやめようかと思った。 田舎で過ごした人ならなんとなく分かると思うのですが田舎特有の閉塞感、一生この街から出られないようななんとも言えない絶望、それらが絶妙に描写されています。 貧困は連鎖するとはよく言われますが、人生までも連鎖し、そしてその鎖を断つことは非常に困難です。また、貧困というのは女性や子どもといった社会的弱者にすべて背負わされてしまいます。 読むのにとてつもないエネルギーを使うけれど、これは実際に日本で起きていることです。そして読んでよかったと心から思います。 あなたがこの小説を読み、絶望の淵に辿り着いた時、かすかな光に気づくはずです。その光とは一体何なのだろうか、読後よく分からなかったけれど、今なら分かります。 私はその光になりたい。 | ||||
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偏見と思われてしまうことを承知で あえて使わせていただきますが、“男性”が書かれた話ということに驚きました。まるで身近で見てきたかの様な 本人の経験であるかの様な 世代を超えても繰り返される母娘の関係、因縁がよく描かれていると思いました。父と息子ではないんです、母と娘の間に生まれ得る歪んだ関係性に共感しながら読んでしまいました。 生まれ持った母性と 母を慕いながらも足かせと変わってしまった関係性との間で悩み苦しむ娘の心情を痛感しました。 とても重く 辛い話だと思います。残念ながら、読むことが出来ない方もおられるのではと感じました。 また 私はいち読者ですが、男性が読むと どんな感想を持たれるのか 知りたいと思いました。 | ||||
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実際に伊予市で起こった事件を元に作られた作品とのことですが、そんなことよりも母性とは何か、ということを突き詰めた内容でした。これまで読んだ最近の早見和真さんの作品とは全く異質の味わいがしたことです。 凄惨な出来事も多く、読み進めるのに躊躇したこともありましたが、逆に脳内を揺さぶられるような激しい感情が登場人物から吐露されて、それに受け止められない読み手になっていました。 負の連鎖と言う言葉が最初に過りました。人間の居場所と寂しさも実感できました。どうしようもない気持ちのやるせなさも通奏低音のように流れていました。伊予市の海の景観もずっと描かれてきました。閉塞感がある町なのかは分かりませんが、その鎖につながれたかのような土地の匂いがずっと追いかけてくるわけで、読者も作品から離れようとして離れなくなっていくのです。 「八月の母」という全く違うイメージを持っても不思議ではないタイトルでしたが、強烈な読後感をもたらす作品との出会いを果たしました。それが良かったのか悪かったのかは分かりませんが、ずっと記憶に残る作品になったことは事実です。 | ||||
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八月は、母の匂いがする。 八月は、血の匂いがする。 それがどのような匂いか… 読了した時、全てが解き明かされました。 決して許されない伊予市で起きた凄まじい事件。 それでも一つの命は、最後の最後まで許した。 この許しが、どれだけ深い意味があるか… 涙が止まりませんでした。 いつの時代も、 女がいて、男がいて、ドラマが生まれる。 そして女が命を授かった瞬間、 女から母になる。 母という役割が与えられただけで、 女であり、一人の人間。 母になっても過去は子であり、 また母がいる。 母性とは不思議なもので、 母と子の因果関係とは、 わかっているようで、 未だにわからないのかもしれません。 少なくとも人生において、 この世に生まれてから親からの影響、 育つ環境は大きく影響するでしょう。 環境とは、ある意味一つの世界であり、 その中で団地という世界も存在する。 俯瞰して見れば小さな世界に見えても、 実際には違う。 その世界の実態を見て見ぬふりをする人々。 気がついたときには遅い。 それでも、闇の世界は引き継がれている。 一つの命から、どれだけの人々の想いが残されたのでしょうか… 読み終えて、 絶望の世界から一番に私が思ったことは、 一言で"HOPE"でした。 人間誰だって、 性質はアンバランスな生き物で、 利己的に造られている。 そんな人間が集まった世界。 だから今がどんなに苦しくても、 その苦しみから逃げていれば、 必ずいつか、 ここだという居場所にたどり着く。 今が絶望でも諦めずに、 望むことを忘れないでほしい。 八月の母の匂いも、 八月の血の匂いも、 変えることはできるのだから。 私はそう信じています。 | ||||
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母親と娘の繋がりや母性をテーマの一つとし、実際の事件を材にとった大変つらい気持ちになる物語。 二部構成の前半は二代にわたる母親と娘の断ち切れない関係が、後半はある女子高生が異様な事件に巻き込まれ悲劇的な結末を迎える様子が語られる。 事実は存じませんが、その事件の一面を描き切ったような熱量を感じつつも、ラストは仕方がないとはいえ、苦さと遣り切れなさが残りました。 | ||||
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三世代にわたって、虐待や性被害、世間からの嘲笑、家庭不和といった負の連鎖に何とか抗おうとする物語 どの人物も、身勝手極まりない、動物的思考を押し通した先の運命であり、一宗教者としてまさに救済の必要な状況だと思った。 度重なる愚かな判断や、俯瞰でモノを捉えられない、共依存にあることも認識できていない人たちがズルズルと堕ちていく描写は、読んでいて不快不愉快、胃に鉛が溜まり、下にざらつく鉄分(血)を感じるような作品でした。 結末も結局、離日という選択肢で以て連鎖から逃れたようになっていますが、どこまでもそれは人間思案の甘さで、渡航先で同じような事が必ず起こってきます。人のものさしだけでは決して幸せになれない証左のような人生観の数々に、心よりも胃を痛めてしまいました。 くだらない本で以てのお口直しが必要です。 作中、伊予市がさんざんに貶められていますが、海があり昔ながらの街道もあり、夜景も美しく大好きな街です。ぜひ観光にいらしてください。 | ||||
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各章ごとに心抉られます。辛くて辛くて、でもグイグイ読んでしまいます。最後の3頁ぐらいで救われますが、しばらくは抉られた傷が痛みます。 | ||||
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小説は全くと言っていいほど読まないが某事件の主犯の女と同時期に同じ中学に通っていたこと、自分も愛媛や実家の伊予市が昔から大嫌いなのにもう出ていけないと諦めて松山に住んでいるので早見さんの愛媛に対して感じた「違和感」に興味があり読んだ。 自分が伊予市に対して感じている嫌な雰囲気が驚くほど詳細に表現されていた。 創作童話の方ばかり取り上げて「子どもたちに愛媛の魅力を今一度知ってほしい」というメディアの言葉は嫌というほど聞いてきたが6年間も住んでここまで指摘してくれた陰の面とも向き合わないとどんなに魅力をアピールしても人口減少は解決しないと思う。 喫茶店で二度読みしていると隣から「自分たちの老後のためには孫に愛媛の国立大学に行かせて地元に就職させればよい」という話が聞こえてきた。こういう思考停止の人はこれを読んだら「愛媛はいいとこなのに酷い」などと言うかもしれない。 そういうことも覚悟の上で書いてもらえたことにとても感謝している。 作品はフィクションではあるが某事件では何度も近所の人から報告を受けていたのに踏み込まなかった行政と警察の人たちにも読んで欲しい。 「自分の人生は親のものではない」と知ってもらうために小中高校生にも、そして結婚当初母親に『うん』じゃなくて『はい』と言うように要求した自分の父親にも読んでいただきたい。 | ||||
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すごく強い小説でした 何を書いても陳腐になってしまう気がします 一部、二部とたしかに苦しさは続きますが、先が気になって一気に突き進みます そして迎えたエピローグの、主人公の強い決断に、見えていた景色が鮮やかに変わりました 母親も1人の人間なのだからという許しではなく、許さないという選択をした主人公に、自分自身の母との関係を思い、私は涙が込み上げました 力強い小説です。気力を要するのは間違いありませんが、作者を信頼して読み進めることを勧めます | ||||
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良い | ||||
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新聞の書評で目に留まり、kindle版で読みました。実際にあった事件を基に、ミステリとしての展開もきちんと押さえていて読者を引き込みます。きっととても丁寧な取材をしたのだろうと思いました。テーマになっている母娘の心理描写もしっかりしていて、登場人物に感情移入できます。最近良く見られる、刺激的な内容を売りにした安っぽいファンタジー類とは一線を引いた秀作だと思います。この作家の作品をもっと読んでみたくなりました。 | ||||
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社会の息苦しさの中でどうにか生きてきた人生は4世代に亘る。 その居場所からは出ていけない。 逃げられない負のスパイラル。 落ちていくだけで、這い上がろうともがいても、さらに落ちていく、まさしく蟻地獄。 そこには絶望だけが存在する。 そんな閉塞された環境の中で、母と子の関係、そして母性とは何かと問いかける。 どうにかして負の連鎖を断ち切り、明日に向けて自分の人生を拓くべきと力説。 | ||||
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特に前章は、人物描写もほんと興味惹かれる登場人物(彼らの行動や秘めたる想いも)ばかりで読み応えありました。 後章は若干ペースダウンで、何故優等生だった少女がそこまであの母娘に惹かれたのか伝わってこなかったり、現在軸での主人公の息子(5歳)が年齢の割にやたら物分かり良かったり違和感がありました。旦那との出会いや家庭に入る馴れ初めも時間軸を辿って読みたかったかな。 それを抜きにしても非常に没頭出来ましたし、今後もこの著者の作品は是非読みたいと思いました! ※タレントさんなどの書評が載ってますがEDのネタばらしをされてる方がいますね。目に入れてしまって正直な所楽しみ減りましたよ。気をつけてほしいです。 | ||||
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