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亡国のハントレス
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亡国のハントレスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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2019/3月に読んだ「戦場のアリス」以来、ケイト・クインの新しい翻訳「亡国のハントレス "The Huntress"」(ケイト・クイン ハーパーBOOKS)を読み終えました。どちらも少し"長過ぎる"小説だと思います。 今回、読み進めるにあたっては、2017/1月に鑑賞した映画「アイヒマンを追え」(監督:ラース・クラウメ)を想起しつつ、沢木耕太郎による"キャパ"に関するいくつかの著作なども頭を掠めたりしました。ヒロイン・ジョーダンが憧れるゲルダ・タローを引き合いに出せば、ロバート・キャパは自ずと付いてきますね。また、訳者が参考図書で挙げられている中に「ハンナ・アーレント」があって、そのこともまたこの作品を読むにあたっては、何らか脳内で引用せざるを得ない存在と言っていいのだと思います。 主題は、ナチ狩り。1946年、ボストン。ライカを操る18歳のジョーダンの前に現れる父親の恋人・アンネリーゼ。彼女は、ルースという娘を連れています。方や、1950年、ケルン。ニュルンベルク裁判後、従軍記者からナチ・ハンターに転身したイアンとその相棒・トニーによるナチ親衛隊将校の愛人で殺人者でもあるイェーガリン("The Huntress")の追跡が開始されます。そして、イアンの一時的な妻でもあるソ連の女性飛行士・ニーナ。その3人の物語が、順繰りに語られ、最後のクライマックスへと収斂していきます。 特に、ニーナの物語が光っています。作られた兵士ではなく、生まれつきのハンター・ニーナ。その人生の苦難と危険を追いかけずにはいられないキャラクターは、鮮烈なソ連・女性飛行連隊の日々の描写と相まって、本書の最も読ませる部分と言っていいでしょう。 しかしながら、それは「戦場のアリス」を読んだ時にも感じられたことですが、本書の面白さの大半は、第二次世界大戦+その後のヨーロッパの現代史の持つ或る種の面白さに支えられていて、そこから「史実」を抜き取ってしまったら、それほど巧みだとは思えない、アベレージ・ライティングが垣間見えるのではないでしょうか?それは、私にはAmazon Primeのミニ・シリーズ向きの物語のような長く、でもちょっとだけ面白いストーリー・テリングに映ってしまいます。 ブーケを投げる前にアンネリーゼが引き抜いた”鉄十字勲章”の行方は、いかに? 戦争の持つ哀しみが、同じ”鉄十字勲章”を参照したとして、映画「戦争のはらわた "Cross of Iron"」(監督:サム・ペキンパー)ほどにも伝わらない物語だったと思います。 | ||||
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