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亡国のハントレス



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【この小説が収録されている参考書籍】
亡国のハントレス (ハーパーBOOKS)

亡国のハントレスの評価: 4.25/5点 レビュー 8件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.25pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(5pt)

圧巻の物語

戦場のアリスに感動し、続いて本作を読んでみた。スリリングな感じは抑えめではあるものの、ストーリー展開の上手さと、丁寧な心理描写。一気読みでした。読後感も素晴らしい。この作家は凄いです。
亡国のハントレス (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:亡国のハントレス (ハーパーBOOKS)より
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No.7:
(5pt)

読み応えありました。

長編なので前半はなんとなくゆっくりと過去の伏線を張って、ギリギリ退屈するかしないか、という印象でしたが、後半になって前半の話が繋がって行きながらドンドン決着の方向に話が進んでる感覚になり、最後スッキリと読み終えました。読むのにだいぶ時間がかかりましたが、その甲斐あったと思います。
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No.6:
(1pt)

ロシア・ソ連を美化しすぎ

英・露・米国人がナチの戦犯を追い詰めるお話です。
冒頭で、主人公が事後法で戦犯を裁くことを肯定しているので、
作者の社会的思考は残泊だと思いました。
また、しばしば米国人が真珠湾攻撃を契機に軍隊に志願した旨の発言をしているのは不快でした。
フランスはソ連・ロシアでなくドイツに占領されて良かったという評価が一般的なのに、
この物語ではソ連・ロシアを過大に評価していると感じられました。
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No.5:
(5pt)

先が気になる巧みな構成

最初は分厚さにびっくりしたものの、読み進めるうちに先が気になってあっという間に読んでしまいました。
前半をぐいぐい牽引してくれたニーナの魅力はもちろんのこと、後半に愛着が湧いていったキャラクターの痛快な最後に胸熱。
読後、まだまだ余韻に浸っていたくて、作品に関連する実在の人物が気になり調べたところ非常に興味深いエピソードに遭遇し、色んな意味でこの作品に出会えてよかったと言える一冊でした。
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No.4:
(5pt)

洋書・文庫のおすすめミステリ

750頁以上の大著ながら読み終わるまで止まらなかった。
時代は第二次大戦前から1951年、飛んで1959年まで。舞台はシベリアからドイツ、オーストリア、米国ボストンまで広がる

主人公は三人。各々キャラが立っていて魅力的。
一人目、ジョーダン。1946年の初登場時は高校卒業間近の18歳。ボストン在住で、母亡き後アンティークショップを経営する父と二人三脚頑張ってきたが、ある日父親から交際相手を紹介される。
二人目はイアン。プロローグに付随する形で彼の1946年の著名記事があるが、初登場は1950年で38歳。イギリス人で、対戦中は従軍記者として活躍したが、戦後ナチハンターに転身。26歳の元アメリカ軍元兵士トニーを相棒にウイーンに小さな事務所を構えている。
彼の本望は11歳違いのイギリス軍兵士の弟を殺した“ディー・イェーガリン(ザ・ハントレス、女狩人)”を捉えること。彼女はナチ高官の愛人で、他にもポーランド人の子供6人を保護すると見せかけて殺していた。
三人目はニーナ。“ディー・イェーガリン”による殺戮から逃れ彼女の顔を知る生き証人でイアンと関わりあり。初登場時は推定32歳だが、彼女の話は戦争前から始まる。

違う年代から始まった三人の主人公のストーリーが、最終的に話の中の現在である1951年に集結する。
そこに至るまでが見事だ。
三者の中ではニーナの存在感が抜きん出ているが、個人的にはジョーダンが気になった。
唯一、注文をつけさせて頂くと後半における彼女の心の動きをもう少し丁寧に描いて欲しかった。
同様に“ディー・イェーガリン”の心情がはっきり書かれているのはポロローグのモノローグのみなので、逃亡中の心境の変化や、自分の“罪”をどう思っているか、想像する他ない。
イアンに関しては、トニーと共にもはや伝説と化したナチハンターの描写がリアルに感じた。

尚、第二次対戦中のソ連女性兵士の活躍を描いた「同志少女よ、敵を撃て」とリンクするような実在の女性飛行連隊も登場。
映像化が期待される。
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No.3:
(5pt)

ニーナに逢うためだけでも十分に読むべき価値のある一作

今年の後半は、第一次・第二次世界大戦の時代に展開した作品を、いつになく多く読んだ気がしている。しかも現在を描くものより、むしろ戦争を描く作品に良作が多いようにも思う。P・ルメートル、S・ハンターと続き、このケイト・クインがダメ押しであった。

 ケイト・クインは、前作も『戦場のアリス』で印象的な世界大戦の裏話を繰り広げてくれたが、本書はそれを上回るスケールで描かれている。簡単に言うといわゆるナチ・ハンターものである。実在のナチ・ハンターに材を取り、そこから派生した作者造形による三人の主人公の三種の異なる時代の物語が、章毎に綴られる。一瞬、躊躇われるほど分厚い、重量級の国際ミステリー。大丈夫。作品は読者の努力にしっかり応えてくれるから。

 惜しむらくは、ベストミステリーの締切にぎりぎり過ぎて、宣伝広告的には不遇をかこってしまったのではないだろうか。ぼく自身、この作品に一票を投じることができなかった悔しさに後から歯噛みする想いなのだ。

 ハンターは狩人。しかし女性名詞のハントレスとなると、日本では少し馴染みが薄い。ましてや本書でのハントレスは、戦後現在にまで及ぶというナチ・ハンターの側ではなく、戦時中ポーランドで子どもたちを殺すという残忍な行為を行ったナチ側の女殺人者を指している。

 本書の主人公の一人である英国人ナチハンター・イアン・グレアムは、相棒のアントン・ロドモフスキーとともに、一般社会に紛れ込んでのうのうと生きているハントレスに弟を殺されたことから、彼女への復讐に執念を燃やしている。

 最初は、関係がわかりにくい三つの物語で、三人の主人公がそれぞれの異なる時代を生きてゆく。女流写真家としての独立を夢見るジョーダン・マクブライドは、父と再婚したアンネリーゼとの間にある種の緊張が生まれる中、ナチハンターと知らずイアンやアントンと出会い、そして義母との愛憎や緊張を高めてゆく。物語の主人くというより、最も謎めいた揺らぎを与える役割と言うべきだろうか。

 一方で、父の暴力から逃れ、夜間攻撃のパイロットとして成長したニーナ・ボリソヴナ・マルコワという少女の存在が、本書では何よりも際立つ。このキャラクターの個性的、かつワイルドで強靭な性質が、本書に強い緊張をもたらし、何よりもバイタリティを与えてくれる。

 三人の主人公たちの物語は、時代を異としつつ展開するのだが、最後には一つの時間に収束してゆく。異なる磁極が出くわすときにはじける火花の如きクライマックスは、激しい緊張と暴力を誘発する。本書自体は並々ならぬ大作でありながら、常に張りつめた緊張感によってページを繰る手が止まらない優れもののエンターテインメント小説であると言えよう。

 人物の配置、構成、マルチな関係が、徐々に一点に収束して、最後に溜め込んだエネルギーの爆発を喚起するラストに至る。そのストーリーテリングは、『戦場のアリス』のスケールをさらに上回る出色の作品と言えよう。

 キャラクターたちの個性はいずれも素晴らしいし、読後胸に残るのは、何といってもニーナの成長の物語だ。夜間女子飛行隊の面々、個性、英雄的女性パイロットの存在感などなど、やはりニーナの章に窺われるのが過酷な戦場世界の地獄絵図であるからこそ、そこを生き抜く彼女の生命力は本書最強の魅力である。この作品によって、作家は稀に見るヒロイン像を作り出したと思う。ニーナに逢うためだけでも十分に読むべき価値のある一作と言うべきであろう。
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No.2:
(3pt)

鮮烈なソ連・女性飛行連隊の日々

2019/3月に読んだ「戦場のアリス」以来、ケイト・クインの新しい翻訳「亡国のハントレス "The Huntress"」(ケイト・クイン ハーパーBOOKS)を読み終えました。どちらも少し"長過ぎる"小説だと思います。
 今回、読み進めるにあたっては、2017/1月に鑑賞した映画「アイヒマンを追え」(監督:ラース・クラウメ)を想起しつつ、沢木耕太郎による"キャパ"に関するいくつかの著作なども頭を掠めたりしました。ヒロイン・ジョーダンが憧れるゲルダ・タローを引き合いに出せば、ロバート・キャパは自ずと付いてきますね。また、訳者が参考図書で挙げられている中に「ハンナ・アーレント」があって、そのこともまたこの作品を読むにあたっては、何らか脳内で引用せざるを得ない存在と言っていいのだと思います。
 主題は、ナチ狩り。1946年、ボストン。ライカを操る18歳のジョーダンの前に現れる父親の恋人・アンネリーゼ。彼女は、ルースという娘を連れています。方や、1950年、ケルン。ニュルンベルク裁判後、従軍記者からナチ・ハンターに転身したイアンとその相棒・トニーによるナチ親衛隊将校の愛人で殺人者でもあるイェーガリン("The Huntress")の追跡が開始されます。そして、イアンの一時的な妻でもあるソ連の女性飛行士・ニーナ。その3人の物語が、順繰りに語られ、最後のクライマックスへと収斂していきます。
 特に、ニーナの物語が光っています。作られた兵士ではなく、生まれつきのハンター・ニーナ。その人生の苦難と危険を追いかけずにはいられないキャラクターは、鮮烈なソ連・女性飛行連隊の日々の描写と相まって、本書の最も読ませる部分と言っていいでしょう。
 しかしながら、それは「戦場のアリス」を読んだ時にも感じられたことですが、本書の面白さの大半は、第二次世界大戦+その後のヨーロッパの現代史の持つ或る種の面白さに支えられていて、そこから「史実」を抜き取ってしまったら、それほど巧みだとは思えない、アベレージ・ライティングが垣間見えるのではないでしょうか?それは、私にはAmazon Primeのミニ・シリーズ向きの物語のような長く、でもちょっとだけ面白いストーリー・テリングに映ってしまいます。
 ブーケを投げる前にアンネリーゼが引き抜いた”鉄十字勲章”の行方は、いかに?
 戦争の持つ哀しみが、同じ”鉄十字勲章”を参照したとして、映画「戦争のはらわた "Cross of Iron"」(監督:サム・ペキンパー)ほどにも伝わらない物語だったと思います。
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No.1:
(5pt)

国際色豊かな四人が、女殺人者を追う

第二次世界大戦下、6人もの子供や脱獄したイギリス人捕虜などを無慈悲に殺戮したナチス親衛隊将校の愛人の女。だが、その後忽然と姿を消す。
その女に弟を殺され、ジャーナリストからナチハンター(逃亡した戦争犯罪人を追跡し捕らえる)に転身したイギリス人イアン。 その女に殺されかけた生き証人の元ソ連軍女性飛行士ニーナ。 父の再婚相手に不審を抱く、アメリカ在住でカメラマン志望の女性ジョーダン。
女殺人者を巡って、上記3人の章が交互に語られていく。イアンとジョーダンの章は直接その女に結びつく内容だが、ニーナに関してはシベリア奥地から出て軍の女性飛行士として活躍するまでの、主題とは関係のないことも多く語られる。のちのち結びつくのだが。
イアンの助手トニーも加わり元々の国籍が異なる4人が、如何にその女を追い詰めていくのか…?

著者あとがきによると、物語自体はフィクションだが、犯人を含めてかなり史実に基づいた内容のよう。
ソ連には実際に女性飛行隊があったとのことで、竹やり訓練レベルの日本との違いに驚く。
ナチスの狂ったイデオロギーと蛮行、ソ連スターリン政権下の強硬な統制には、言わずと知れたことだが改めて絶句した。
ニーナの章ではソ連空軍での活躍や生活ぶり、同性愛、ポーランドの荒野で狩りをしながら生き抜くさまがリアルに描かれ、この内容が凄い。主題の女殺人者を追跡する章ともども惹きつけられ、ページをめくる手が止まらなかった。
とにかくニーナが一番人物描写が鮮烈で独特だ。見事にたくましく有能だ。女々しさはかけらもない。最初はだらしなくどうしようもない女だと思ったが、次第にかっこよささえ感じた。
終盤クライマックスシーンでは個人的にジョーダンの考えや行動に一部共感しきれないところがあったが、全般的にはこの激動の時代を切実に描いており、読み応えのあるいい内容だった。
同著者による既刊『戦場のアリス』にも興味をもてたので読んでみようと思う。
亡国のハントレス (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:亡国のハントレス (ハーパーBOOKS)より
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