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死神永生: 三体Ⅲ
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死神永生: 三体Ⅲの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全180件 161~180 9/9ページ
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いいから読め。 | ||||
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宇宙は冷徹でなければ、生き残れない。 そんなことを考えさせられる前編です。 | ||||
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帯にもなっている解説:藤井太洋氏の"ようやく日本の読者も、劉慈欣の描いた『三体』の最終ページを閉じることができる。"に全面的に同感である! 人間の想像力はかくも深淵…。 | ||||
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久々に充実した読後感を味わった。概していえば、かなりハードSFよりのスペースオペラだ。そのバランスは絶妙である。加えて達人芸のストーリーテリングのコンビネーション。 スケールの大きさは文明が数ページで滅び去り、何億もの人類の危機が数行で記述されることでも、明らかだ。ほぼ神の視点である。 主人公たちの運命も波瀾万丈だ。英雄が失墜し名誉挽回かと思うと一私人になる。 たとえば、人生の失敗者のような境遇の雲文明はおとぎ話に託して、人類の救済の筋道を与える。そのおとぎ話も見事な出来で、それ自体で楽しめる。 主人公たちは、エンジニアだったり、自然科学者だったりする。本来、目立たぬプロフェッションの人たちが大活躍というのも本書の「ウリ」の一つだろう。 壮大絶無のエンディングで、現実に立ち還る。我らの状況も三体のそれに似ているではないか。シュローサーの『核は暴走する』などでも読んで地球文明の危機感を再燃させよう。 | ||||
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壮大なスケールを感じさせるストーリーの三体2。これを上回るスケールがあるのか!? と思いきや、軽々と超えてくれました。 大変面白いのだけれど、下巻から読者の頭が理解できなくなってくる。 | ||||
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1巻も2巻も、内容が濃くなってきたのは後半からだった。3巻は上巻で既に2巻下巻レベルの内容の濃さ。 これから下巻を読みます! | ||||
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SF最高傑作と言っても過言ではないでしょう。SF設定の質と量は三部作の中で最も高いと思います。作品に触れると世界設定の考察をしたくなってしまうタイプの方には垂涎の作でしょう。ただし、純粋な物語としての構成は第二作の方が良いとする意見にも頷けるところはあります。ある意味で問題は解決しません。第二作のようにすっきり終わることもありません。そのかわり、より深く広い世界に没入することは可能です。SF作家の想像力を借りて人間のちっぽけさを再確認したい人におすすめです。 | ||||
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本書はかのグレッグ・イーガンの傑作『ディアスポラ』にも匹敵する傑作である。 ベクトル的にはディアスポラと異なるが、テーマ的にはかなりの部分がディアスポラとオーバーラップしている。 SF小説としてではなく、小説としてなら黒暗森林の方が上という読み方も可能であるが、言うまでもなく『三体』(地球往時)シリーズはSF小説であるのでその読み方は不当だろう。 本書はほぼ完璧と言って良い。それくらい洗練されている。 主人公の決断を批判する向きもあるようだが、三体世界と違い合理的、悪く言えば非情になりきれない人間性の描写と読めばそんなに不快感はないはずである。 ここまですごい本を読んだのは久しぶりである。 所謂SFマニアなら1巻で挫折してしまった人もいるかと思うが、ぜひこの『死神永生』までたどり着いて欲しい。 いやあ面白かった~ | ||||
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完結編を読み終えて感無量であるとともに”これで終わってしまうのか…”という喪失感を味わっています。 三体シリーズは第二章”黒暗森林”が最も評価が高いと言われているようですが、確かに物語としてのまとまり・完成度としては、第三章”死神永生”は第二章に及ばないように思われました。 ただ、どちらかというと刻々と場面を変えて話が展開していくロードムービーのような趣で、繰り返し読み返しながら情景を思い浮かべるような読み方の方が良いのかもしれません。もとより一度に詳細を理解できる情報量ではないため、何度か読み返してみようと思っています。 | ||||
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死神を「しにがみ」だと思っていたので、三体文明よりも強大で邪悪な敵=死神が出てくるのかと思って読んでいたので、かたすかしを食らった気分になった。中国語がわかっていれば、ちゃんとタイトルに沿った楽しみ方ができたのになあと後悔。 3部ではわかりやすい二極構造はなく、かなりSFに振り切って書かれていた。一本の映画であれば満足だが、やはりいくつか1部・2部の各人の動機や印象の解説を期待してしまったので物足りなさはあった。シン・エヴァもそうだけど、最近はこういうのが主流なのかしら。 | ||||
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テレビのスタトレでSFの世界に入り、クラーク、アシモフ、ハインライン、ブラッドベリで育ち、イーガンの直交三部作で「SFまだまだ行けんじゃん!」と思ったわけですが、三体はそんな欧米SFを軽く超えていった。三体三部作の設定やギミックを読み識り、その斬新さに驚く度に、自分がいかに欧米SFに毒されていたかが自覚できた。たたんじゃう(ネタバレ?)ところでは、なぜかぼのぼのの「しまっちゃうおじさん」を思い出しました。今日からたたんじゃうおじさんの夢でうなされそうです。 | ||||
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ありとあらゆるSF的な要素が織り込まれ、かつかなりハードなテーマであるにもかかわらず驚くほど読みやすいのは、舞台設定の緻密さも勿論ではありますが、そこで描かれる名前のあるなしにかかわらず、登場人物のどうしようもなさや高潔さ、勇敢さが生き生きと描かれているからなのだろうと思います。 ハードSFではありますが、わからないところを読み飛ばしていっても十分に楽しめる内容と感じました。そういう意味ではハードなのは外見だけのツンデレ小説といえるかも。 | ||||
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Ⅱのアレで終戦?もう終わり?なんか小綺麗な未来描写ばっかで退屈~ と思ってたが・・・しっかり面白いのでオススメ ちなみに作中ではこれまで以上に綺麗サッパリ日本が無視されている 国際政治の舞台ではともかく、宇宙開発の話でもスルーは寂しいなぁと思った が、そんなことはなかった 三体人がなんかもう日本人だった 過酷な環境で蠱毒のごとく攻撃性を高めてきたのは戦国時代の日本みたいだし (中国に比べて)高い技術と軍事力でオラオラしたのも20世紀半ばまでの日本みたいだし その後の抑止力下での融和的なお付き合いに関してもそう 三体人≒日本人は気前よく技術を提供してくれた(日本はODAも) 昔は偉大な中華の文明文化を輸入する野蛮人だったのに 今では魅力的なソフトで逆にこちらを魅了している 昔は油断ならない敵だったけど、もう未来志向の時代だよ このまま共存共栄すればいつの日か抑止も不要に・・・ いやいやいや!油断するな! 日本鬼子は虎視眈々と逆襲の機会を狙ってるぞ!? ほら!一瞬の隙を突いて奇襲してきた!ヤベー奴らだぜ! 今の若い奴らは日本のコンテンツ好きで精日もいるけど大丈夫か!? それはそれ!これはこれ!狂気じみた戦意がないと国は守れない! 頭ハッピーセットの平和主義じゃまた侵略されるぞ!? と・・・さすがに忍者な格好で日本刀を使いこなす智子ちゃんが出てくると日本鬼子としては自意識過剰に思わざるを得ない。実際の日本人は「公式が智子ちゃん擬人化した!やったネ!」くらいにしか思わない頭ハッピーセット民族なのに・・・やっぱり向こうのアレな抗日ドラマの影響なんだろうか。それとも「お!ちゃんと民主主義や自由で堕落したらヤバいと書いてるアルな!結構結構!」と中国共産党の利益と合致しないとアレだからだろうか とにかく中国人が日本人というエイリアンを警戒しているのは伝わってきたし、向こうは敵を甘く見る愚かさを忘れていない 「太陽が沈まない国スペインの無敵艦隊は無敵だよ。イギリスの田舎海賊なんぞ一捻りサ!」 「イギリスだか何だか知らないけど、南蛮人ごときに中華が遅れを取るわけないアルw」 「ロシア遠征だ!60万の大兵力!一度の会戦でカタをつけるぞ!大陸軍は!?」「世界最強ォォ~!」 「フランスから情報提供?恩着せがましい。日本ごとき小国が大ロシア相手に本気で戦争などせんよ。放っておけ。……え?旅順港に奇襲?」 「日本?大英帝国がお膳立てして金も貸してやっとイワンに辛勝したNoob国家だろ?プリンス・オブ・ウェールズでサクっとボコって東京湾に乗り込む。それでこの戦争は終わりだよ」 「ロシア人にまともな戦車なんて作れるわけがない!ドイツの科学力は世界一ィイ!」 「個人主義のアメリカ兵なんぞ皇軍兵士が突撃すれば命惜しさに逃げ散るに決まっとるわい!」 「できらぁ!北爆だけで屈服させてやるつってんだよ!……ええ!?空爆で北ベトナムを石器時代に戻す!?」 などなど、敵を侮ってバカを見た国々の教訓を忘れてはならない 少なくともこういうSFが書かれて、それがベストセラーになるレベルの社会が中国にはある 某国のように嘘に逃避して妄言を繰り返すだけではなく、着実に発展し続けてハードとソフトの両面で武器を研いでいる。満州国の遺産と日本のODAでスクスクとよく育ったもんだと感慨深くなるが、欧米に比べて中国の日本製コンテンツの模倣と吸収そして進歩の速度は比較にならず本当に油断ならない。昔なつかしい誰もが人民服を着て自転車こいでた頃の中国と同じように見るのは危険 ブログなんかで「三体を是が非でも否定したい!」「中国人に良いものなんて作れるはずがない!」「こんな本を買って売上を中国に送る奴は非国民だ!」とメイド・イン・チャイナのキーボードをガチャガチャ打ってる人もいるが、せめて日本鬼子の罵声を萌えイラストであしらった時のような余裕は失わないでほしいし、肥大化したプライドで目が曇って敵から学ぶことを忘れた民族は必ず没落する そして上巻の段階で地球人と三体人が平和的関係を維持できた可能性……抑止を継続できて地球側が発展して三体世界に「隙がねーし、もう侵略は割に合わね―や」と戦争を断念させられた可能性が示唆されているのは、作者が意図したかは不明だが、日本は警鐘として受け取ったほうがいい 過去に列強諸国に侵略された苦い経験があって生存競争に一切の躊躇がない国に隙を見せてはいけないし、本当に共存共栄を望むなら自らも相手から怖れられる存在でなければならない。抑止と均衡は人間が水場を巡って骨の棍棒で威嚇し合ってた時代から引き継がれている原則であり、有限の資源を奪い合う他にないこの世界では原理であり続けるだろう 三体はSFとしても普通にオススメだし、最近のなんやかんやで中国に脅威を憶えてる人ほど読んでおくべき | ||||
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翻訳が待てずケン・リュウ英訳版を自分で日本語にしながら読んだ身としては、プロの翻訳は読み応えがあり、なるほどと頷く箇所が多々あります。ケン・リュウ自身は3部作のうち死神永生が一番好きだと言っているようですが、私も同じ意見です。圧倒的な世界観とストーリーに飲み込まれながら、翻訳していて涙を流し、登場人物に罵声を浴びせたことを思い出しました。是非ハードSFファン以外の方にも読んでいただきたい本です。 個人的には本作のテーマとして、全体主義(専制国家)と民主主義のいずれが人類規模の危機に対して有効かという問いが挙げられると思いますが、現在のコロナ禍や米中対立の世界状況を見ているといろいろ考えさせられます。 あと、三体人の視覚的描写があればよかったなー、と。これはNetflixがドラマ化した時の楽しみに取っておきます。 | ||||
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物語の全体の流れはよかったのですが、いかんせん主人公に感情移入できません。 小説を読んでいて一番ストレスが溜まるのは、登場キャラクターの評価が、作中の人間と読者で乖離することなんですよ。 やりたいほうだいやっている悪役がいたとしても、ちゃんと極悪人として処理されていれば、さほどモヤモヤすることはありません。 三部の主人公の程心ですが一言で言えば出しゃばりの無能です。 無能なら何もしなければいいのですが、彼女は責任感だけは無駄にあるんですよ。 そして2度も大きな……というより取り返しのつかない判断ミスをし、地球文明に災いをもたらします。 そんな彼女を大衆が高く評価している描写を見ていると、まるでおかしなカルト集団に紛れ込んだかのようです。 二部の主人公であるルオジーが数十年間の長きに渡り、たった一人で、三体文明と互角以上に対峙したのと比べるとあまりに酷い。 ルオジーは執剣者の名に恥じない実績を残したのですが、地球人は彼にまったく感謝していないがどころか、犯罪者扱いです。 むしろ敵である三体世界が彼に畏敬の念を持ち、一方程心はお嬢ちゃん扱いなのが皮肉です。 かくして地球文明は有史以来最大の危機を迎え、風前の灯という状況で下巻に続きます。 そして作品の核ともいえる暗黒森林攻撃ですが、これには度肝を抜かれました。 どんな致命的な攻撃がやってくるのかと予測していたのですが、まさに次元が違う攻撃です。 よくこんな発想できるなと感動したので、主人公への不満込みでも星5点。 Netflixでドラマ化するようですが、この暗黒森林攻撃の絶望を映像で見られる日を楽しみにしています。 | ||||
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三体Ⅰ,Ⅱが非常におもしろかったため、予約し今日手に入れました。 はじめの3ページには、三体Ⅰ,Ⅱの要約が非常によくまとめられています。 これを読むだけで、三体Ⅰ,Ⅱを読んだ時の記憶が鮮明に蘇り、早く読みたくなります。 上巻の前半は、いろいろな説明がされていきます。 上巻の後半は、伏線が回収されていき、とても楽しめます。 とにかく、登場人物が多様で、読んでいてわくわくします。 下巻の内容も気になって、はやく続きが読みたい! | ||||
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"智子は香りよく点てた茶の碗を両手で持ち(中略)今度は程心の前に碗を置いた。『宇宙は大きい。でも、生命はもっと大きい。縁があれば、この先きっとまた会えるでしょう』2021年見事に翻訳された本書は『地球往事』シリーズ三部作の最終作(上巻)となる中国発、世界大人気のハイブリッドエンタメSF。 さて、そんな本書(死神永生)は前作の第二部『黒暗森林』に直接続く流れになっていて、今度は若き美人航空宇宙エンジニアの程心(チェン・シン)を新たな主人公にして、前作の三体世界の侵略艦隊に対抗する『面壁計画』の裏で極秘に同時進行していた【侵略艦隊の懐に人類のスパイをおくる】『階梯計画』の過去描写から始まり、前作の主人公、羅輯によって最終的にもたらされた三体世界との【休戦から続く時間軸】を描いているのですが。 まず感想を一言で言うと【最高に面白かった】それぞれ発売直後に三体、三体IIと読んできて、そして迎えた待望三体III!でも、まだ上巻を読み終えたばかりですが。少なくともエンタメ作としては【シリーズでも極上の作品】に仕上がっていると感じました。 その理由としての一つは、すでに読後の記憶が朧げですが。どちらかと言えば【海外古典SF、あるいはハードSF】の影響を感じた一作目『三体』そして、急展開かつ地球の技術が発達し【銀河英雄伝説】や随所に日本カルチャーの影響を感じた『三体II』を経て。 本作はそれらの要素が更に【サービス精神豊かにパワーアップ】しつつ(今度はイデオンや宇宙戦艦ヤマト要素も?)さらには安楽死問題や全体主義の台頭といった世界的タイムリーな要素も貪欲に取り込みながらも、ストーリー展開は洗練されていて、予想を裏切り続けるシンプルにジェットコースター的な【血湧き肉躍る展開】に、それを盛り上げる魅力的なキャラ、さらには【宇宙スケール、時間を超えた大恋愛!】これで盛り上がらないわけがない! また、もう一つの理由として。これは主に日本人読者だけかもしれませんが。【現在の世界情勢をリアルに反映して】まったく物語全体としては影も形もない寂しい日本ですが(都市名として、わずかに東京だけ一度。。)代わりに、その不満を全て代弁するかのように(あるいは著者の理想を具現化?)登場する智子(ともこ)【三体世界の智子に制御される美少女和風ロボット】が、お茶に着物、忍者に日本刀とこれでもか!と日本的要素をアピールしてくれていて【ともこー!日本を代表してくれてありがとう!】と読み進めながら。熱くエールを送りたくなるからだ。(冷静にはやや唐突すぎる気もしつつ『それはそれ!』エンタメ作品なんですから!) うわー!下巻はもちろんだけど。Netflixで世界的傑作『ゲームオブスローンズ』そして宇宙を飛ぶレイアとか攻めた内容で賛否の『最後のジェダイ』さらにプラピと原作者が関わるらしいドラマが楽しみすぎる!(智子はぜひ日本人女優が演じてほしい!) 全てのSFファンはもちろん、70年代から80年代の日本アニメ、漫画ファンの方にも猛プッシュにオススメ。 | ||||
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第3部、上下巻を通してのレビューです。 1冊だけでも、第1部と同じぐらいの文章量なので、読み応えがありました。序盤付近の「脳を送る」というあたりのくだりで、何故かキャプテン・フューチャーシリーズのサイモン教授のことが頭に浮かんだりして。 それはともかく、今作は主人公がコールドスリープを繰り返しながら物語が動くせいか、展開がめまぐるしいです。ただ、しょっちゅう「後世の歴史家によれば」的な文章が入るので、たとえ“今”が危機的状況であるにせよ、太陽系はそのハードルを乗り越えたんだろうなあと思いつつ読みましたが、、、。うーん、読後感はあまりすっきりしません。え?こういうラストなの?そんなあ……と思ってしまいました。 多分に、これは好みの問題なのかもしれません。自分的には、第2部のラスト付近でルオが三体人に打ち勝った時のようなカタルシスのあるオチが好きなので。比べれば、シリーズの結末である第3部はその点が物足りないです。ちょろっと出てきた得体の知れない存在は、結局のところ出オチめいて終わりだったし。 シリーズ名は「三体」ですけど、太陽系対三体世界として綴るなら、第2部で終わりにしてもよかったんじゃ?とも思ってしまいます(今作下巻での三体人の扱いがおざなりなせいもある)。 結局、レビュータイトルにしたように、第2部が一番面白かった、になってしまいます。 | ||||
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1作目では発想の奇抜さに惹かれ、2作目では描かれる世界の不気味なリアリティに一気にのめり込んだ。 中国語版が10年前に出版されたのになぜ邦訳がまだないのかと煩悶すること一年弱、3作目は発売日、徹夜で一読み尽くしてしまった。もったいないと言われるかもしれないが、止まらなかったものはしょうがない。 3体シリーズ最大の魅力は何といってもスケールの大きさ、そして設定、描写の緻密さだろう。SFは結構読んできたが、3体シリーズほど練り上げられた世界観を持つ作品は珍しい。科学技術的な設定はリアリティを追求して緻密に構築されているし、歴史や社会、政治の描写も手心を加えることなく人間の醜い面も含め容赦なく描き切っている。そのせいで、もしかしたら現実でもこの物語のようなことが起こりうるのではという恐怖すら感じた。 ハードSFではしばしば世界やSF的な理論体系を構築するのに力を入れるあまり、登場人物や物語自体がやや無機質で副次的になってしまうことがある。本シリーズもその傾向があるのだが、今3作目ではよりそれが強まった印象だ。個人的には主人公の女性にはあまり感情移入できなかったし、ストーリーにも2作目ほどのワクワク感は感じることが出来なかった。 普通ならば大きな欠陥だが、本作に限っては世界背景が素晴らしく魅力的なのでそれほど大きな問題だとは感じなかった。登場人物やストーリーはこの世界観を観賞するためのツールだと考えればいいだろう。 人物、ストーリーでも満点の出来だった暗黒森林に比べるといささか冗長で失速した感もあるが、前2作の世界観に魅了されたなら今作にも十分満足できると思う。 | ||||
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今や日本でも知らない人間は少ない大人気SFである「三体」シリーズ。 その三部作の最終巻がこの「死神永生」だ。 中国では第二部の「黒暗森林」が一番人気があるらしいが、個人的にはこの「死神永生」を最高傑作に推したい。 以下「黒暗森林」のネタバレも含む感想。 さて、「死神永生」は基本的には「黒暗森林」の正当な続編であり、時間軸もそれに沿って展開していく。 ここで読者は一つの不安を覚えることになる。 すなわち、「黒暗森林」がついに三体世界に対抗する手段を手にした地球世界が彼の文明の侵略を跳ね除ける、という希望の持てる終わり方だったために、その続きを描く「死神永生」ではその希望が全て打ち壊されるのではないかという恐怖だ。 残念ながらそれは的中してしまう。 三体世界と地球世界の宥和は幻想に過ぎず、致命的な隙を見せた人類に対して三体世界は再び牙を剥く。 相手を欺くことを覚えてより完璧になった三体世界の侵略にはいかなる隙も見出だせず、今度こそ人類は彼らに対抗する手段を失った。 このまま支配を受け入れるしかないのかーーと読者が戦々恐々としているところで、とある要因により三体世界は地球世界から手を引く。 だがそれによって読者が恐怖から解放されることはない。 なぜなら、そこまで読んだ読者なら分かっているからだ。 そのとある要因が、実は三体世界などより遥かに危険で、かつどうしようもない死刑宣告であることが。 「死神永生」はあらゆる要素が第二部までとは桁違いにスケールが大きくなる。 時間の単位も、危機の範囲も、ありとあらゆるものが。 本書はそれによって、誰もが持っている「宇宙への根源的恐怖」を呼び起こすことに成功している。 宇宙は人間が不用意に足を踏み入れていい場所ではない、という危機感が増幅され、登場人物たちへの極大な感情移入効果に繋がっている。 つまり物語への没入感が前二冊よりも凄まじく、最高傑作に挙げるのはそれが理由である。 ただし、欠点もいくつかある。 一つは主人公。 今回の主人公は仕方ない状況もあるとはいえ、人類にとって致命的な過ちを二度も犯す。またその原因は論理的思考に基づくものでなく、ほとんどが彼女の感情的な部分によるものなので、嫌悪感を覚える人も多いだろう。 第二部の主人公も続投しているのだが、こちらが常に泰然自若とした態度でいるのもまた対照的に主人公の不安定さを浮き彫りにする。 もう一つは終わり方。 ただしこれは別に終わり方が明確に悪い、というわけでなく、どちらかと言えば「黒暗森林」と比較した場合の話だ。 「黒暗森林」はそこまでの全ての話に決着をつける上に希望の持てる終わり方で、「続編でやることがあるのか?」と言われていたほど綺麗な結末だったため、流石にそれと比べると分が悪い。 中国で「黒暗森林」の方が人気が高いというのは、恐らくこの二つの違いによるものではないだろうか。 特に主人公に関しては「死神永生」の方が人気が無いのは確実だろう。 ただそれでも自分にとって「死神永生」は三部作の中でも読んでいて最ものめり込めた作品だ。 「黒暗森林」まで読んだならこれを読まないのは損をしている。 値段は少々高いけれど、それ以上の価値のある作品だと思う。 | ||||
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