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機龍警察 白骨街道
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機龍警察 白骨街道の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 21~22 2/2ページ
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| 月村了衛を読むのは、2021/5月の「非弁護人」以来になります。そして、<機龍警察シリーズ>については、2017年9月に読んだ「機龍警察 狼眼殺手」以来になりますが、その間、作者はプロブラム・ピクチャーを量産した時代の我が国の映画産業のように時代小説、クライム・ノヴェル、「昭和・東京」小説と立て続けに良質のエンタメを書き続けてくれましたので、間が空いたことについては致し方なかったのかもしれません。しかしながら、私は「ドル箱の大作」をひたすら待ち続けていました。「機龍警察 白骨街道」(ハヤカワ・ミステリワールド)を読み終えました。 ストーリーを追うことはやめにしたいと思いますが、今回の舞台は、ミャンマー、そしてもう一つの舞台は古都・京都。国際指名手配犯を追ってミャンマー行きを命じられる姿、ユーリ、ライザ、三人の突入班龍機兵搭乗員たち。待ち構えるミャンマー警察、国軍、武器密輸商人、人身売買組織、そしてロヒンギャの少年・カマル。 方や、特捜部理事官・城木の身内にあたる城州グループによる「機甲兵装導入」を巡るあれやこれやの事件をめぐる贈収賄ルートを追及する沖津以下特捜部の部員たち。そして、城木の従兄、城州ホールディングス役員、城邑昭夫とその妹・毬絵との間で深く苦悩する理事官・城木の孤立した姿。3方の視点から描かれる謀略事件は、「動」なる事件と「静」なる事件を交互に描写しながら、この国を覆い尽くす「悪しきもの」の存在へと力業でアプローチしていきます。 また、タイトルが象徴する白骨街道へと連なる「インパール作戦」という歴史的なパースペクティブを天上から照射しながら、混乱の中にある「スー・チー政権」という「今」を差し出し、その中に映画的な軍事ロード・ノヴェルとも呼べるような視点から、月村了衛は、姿、ユーリ、ライザたちの血沸き肉躍る冒険行を充実の筆致で書き連ねていきます。「文句なし」のエンタメだと思います。(荒ぶる冒険の中、伏線もまたしっかりと回収されていますから、巧みなストーリー・テリングを堪能できます。) 影に怯える財務捜査官・仁礼、マーメイドを意味する「ミュアゲルト」をしなやかに駆使するライザ・ラードナー、ミャンマーの大地、密林、その「ミュアゲルト」の機体を叩く一向にやまない雨音。原初の旋律。毬絵の「京琴」のしらべの如き京都ことばが、聞こえるはずのない「ビルマの竪琴」の音色に変わる時、第二種機甲兵装による地獄の闘いが繰り広げられます。 ページ・ターナーでありながらも、時折、立ち止まって周りを見回した時、(「コロナ禍」によって暴露されたこの国の脆弱性に立ち返った時、)すべては「一瞬の敵」ではなく、「巨悪」とも呼べる"Constant Enemy"によって牛耳られたこの国のシステムを嫌悪し、憂うことにもなりました。私たちにできることがあるとすれば、それはユーリ・オズノフがいみじくも云った言葉だけなのでしょう。 何と言ったかは、本書を最後までじっくりとお読みください。 | ||||
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| 昨年『欺す化生』で自身が最も造詣深い山田風太郎賞を受賞し、デビュー10周年を迎え日本文芸に燦然と存在する小説家、月村了衛の代表作シリーズ『機龍警察』。 今回も前作同様、ハヤカワミステリマガジンの連載を経ての単行本刊行である。 クアイコン疑獄とそれに纏わる“銀狼”による一連の暗殺事案は全容解明には至らぬものの、一応の決着を見た。 数週間後、特捜部はミャンマーで拘束された国際指名手配犯の護送指令を内閣官房から命ぜられる。 なんと、その為に警視庁と契約している部付警部、即ち龍機兵搭乗要員を外国に向かわせろという。 見え透いた背後の意図を読みながら粛々と任を拝命し、三人を送り出した後に沖津特捜部長は指名手配犯の罪状たる機密奪取の中身が初の国産機甲兵装に用いられる複合装甲モジュールであることから、他機関と連携してその正体を炙り出そうとするが…… 舞台のスケールは以前にも況して長大だが、凄絶な展開は一切の間延びなき完成度を担保している。 密林生い茂る山岳地帯のミャンマーに死闘を繰り広げる姿、ユーリ、ライザ。 東京と京都、東西に亘る謀略に飲み込まれる沖津達、そして己が血族の欲望に翻弄される城木。 インパールの屍骸に抱かれる怨恨、京の都に渦巻く妖気。 変わってしまうから人なのか。または、見てこなかった一面でしかないのか。 それらは一つとなる時、過去から連なる悍ましき百鬼夜行を目撃する。 それにしても、連載開始から完結までの現実におけるミャンマー情勢の激動と東京五輪を巡る醜悪な狂想曲。 コロナウイルスもまた一つの結果に過ぎない。 今この瞬間最も熱く、その先も冷徹に見通すフィクションの存在とはこのシリーズにある。 ジョン・ル・カレ亡き後、月村了衛の本質に現代文芸は“踊る”であろう。 | ||||
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