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悪の芽



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【この小説が収録されている参考書籍】
悪の芽
悪の芽 (角川文庫)

悪の芽の評価: 3.31/5点 レビュー 26件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.31pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全14件 1~14 1/1ページ
No.14:
(4pt)

想像力のない人が目立つよねという話

無差別大量殺人を犯してしまった動機を辿っていく話ではあるけど、テーマとしては原罪と想像力かなあと思う。

自分が過去にいじめをしていたことに対する反省の気持ちを持って事件を調べると言うと聞こえは良いけど、そこには自分は悪くないはずという気持ちが見え隠れする。世の中の人たちが求めてるからと思って事件やキャバクラに行くまでの動画を投稿することは自分の承認欲求を満たしたいという偽善にすぎない。
結局、自らの悪い部分、黒い部分を人は原罪として抱えていて、それらを隠し繕って、あるいは認識することもままならないまま生きている部分があるけれど、それと向き合うことなく、自分さえ良ければそれで良いと思う人は割と多い。そんな自分本位の想像力のない人間が、あることないことを都合の良いように解釈して満足いくように表明して、知らないうちに本人や周りの人を傷つけてしまうことがある。
キャバ嬢の子どもの病気の手術のために募金をするなんて馬鹿げていると思う人たちは、彼女がどういう人物でどういう生い立ちで、どうしてキャバ嬢にならなくてはならなかったのかは想像をしようともしない。ただキャバ嬢という記号で、子どもを性欲にかまけて産み落としてしまって父親に逃げられたから、まともな仕事にも就けずろくでもない人物だと決めつけられる。
そういう社会の想像力のなさ、自己責任論で済ませてしまう社会の無慈悲さに斎木は絶望した。犯行は確かに凶悪で、許されるはずはないが、彼を糾弾できる人は誰もいない。すべての人(と彼は少なくとも思った)が彼の犯行の動機で想像力のない社会に対する絶望感から彼は犯行を犯した。それこそ悪の芽は社会の側にあったんじゃないの?という話。
悪の芽Amazon書評・レビュー:悪の芽より
4041099676
No.13:
(5pt)

憎しみを広げたくない,というメッセージ

読んでいて主人公ではないが、息苦しくなって読み進められなくなった。
 大量殺人事件で娘を失ったフルート奏者がいる。かけがいのない娘を失うが、40歳の犯人の親を訴えようとする他の遺族に反対して、私は犯人だけを憎んで憎しみを広げたくないですという。こんなふうに考えることができるのか、唖然とする。
 ところが、同じく娘を失った母親は主人公の銀行員が犯人をいじめた同級生であることを突き止める。犯人が死んで、存在しない以上、銀行員が間接的に娘を殺したと犯人と考え憎悪感をつのらせて社会的に抹殺することを考えている。しかし、憎しみを広げたくないというフルート奏者の言葉を聞いて、考えを改める。また唖然とする。しかし、この人達の崇高さに泣きたくなる
 息づかいが聞こえてくるようで著者の心理描写に感銘する。
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No.12:
(4pt)

愚行楽とかある男とか

ある人物を、いろんな人の視点で語らせる。すると、なんだか違う人物像が浮かび上がる的な展開。
今回は、犯罪者とマスコミ、このステレオタイプについて。
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No.11:
(4pt)

弱肉強食の世界は動物の世界、人間なんだから、優しくありたい。

大手町の一流銀行に勤める安達周41歳。美しく賢い妻と二人の娘がいて順風満帆な人生を送ってきた。ある日アニメコンベンションの行列に火炎瓶を投げつける無差別大量殺人事件が起こる。犯人はその場で焼身自殺していたが、安達は犯人の名前を知って古い過去の記憶がよみがえってくる。小5の時二人は同級生だった。安達が犯人の斉木に「バイキン」とあだ名をつけたことで、斉木はみんなからいじめられ、数ヶ月後には不登校になっていたのだ。安達は自分のせいで斉木が大事件を起こしたのではないかと罪悪感に苛まれ、またマスコミがいじめを知って自分の家にやってくるのではと恐れるあまり、パニック障害になり会社に行けなくなる。安達は会社を休職して斉木の動機をさがす素人探偵をはじめる。       重いテーマではあるが主人公の安達の視点で色々な人に会い話を聞いていく過程が興味深く、飽きさせない。後半、「結論を出すにはページ数が足りないのではないか」と危惧したが、一応結論は出た。想像力の欠如は、日頃感じていたことであり、読書人口が減ったことにも関係しているのではと個人的に思う。この作品を読んだすべての人が、想像力、思いやり、優しさを取り戻してくれることを願います。
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No.10:
(4pt)

いつのまにか犯罪を引き起こす遠因を作っているかもしれない怖さ

大きなアニメコンベンションで起きた無差別殺人事件。犯人が自分の小学校の同級生であったことを
知るエリート銀行員の安達は、小学校時代に自分がその犯人である斎木におこなったいじめが
今回の無差別殺人の原因ではないのかという考えに慄く。彼は、それがゆえにパニック症候群を
患うが、何とか自分なりに今回の斎木の犯罪の背景と原因を探っていく。いじめ、SNS、ネット、
アニメファン、等々。この作品には現代日本の特徴的現象が詰め込まれている。それぞれがまさに
「悪の芽」になりうるという怖さ。そこには作者の現代社会への強い警鐘が聞こえてくるようだ。
これはミステリーかも知れないが、知らぬうちに悪の芽を育てていくかもしれない危うさへの
作者なりの強い現代社会批判であると私には思える。
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No.9:
(5pt)

今日もまた、一日が始まる時に。

冷たいネット世論に翻弄される社会。
居場所を与えなかった社会。
社会が落伍させる。
こころをいじめる。
いじめのことば、その行為は決して許されることはない。
勇気の欠如の”悪の芽”と、困っている人に手を差し伸べる”善の芽”とは。
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No.8:
(5pt)

貫井さんの本大好き

本屋さんで探すより簡単でストーリーも少しわかるので注文してます。1日一冊読めるほど、ワクワクします
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No.7:
(5pt)

【貫井徳郎の新天地】負の連鎖の果てに見出した希望

貫井徳郎の小説は『慟哭』以来ずっと好きで読み続けてきたが、今回の『悪の芽』は、これまでの貫井徳郎作品とはひと味違う。絶望やそこから派生した人間の負の感情や負の連鎖を描くのに長けた貫井が、いつもの負の連鎖の先に<優しさ>を紡ぎ出した。今まで貫井の小説は単にエンターテイメントととして抜きん出た面白さがあったが、今回は、<小説>の醍醐味を感じさせてくれた。今後の彼の作品が、楽しみな傑作だ。
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No.6:
(4pt)

問題提起

この登場人物たちがこの後きっと..と読み進めました。貫井作品はやはり一気読みしてしまいますね。残り数ページなのにあの人もあの人も出てこなくない..まさかこれで終わらないですよね..?!となりましたが。絶望の中に光を持たせるための収束のようにも感じます。筆者がその光を信じきってはいないからこういうものが描けるのだろうし、そこにまた惹かれるのかもしれません。

この一冊に複数の問題提起が詰め込まれており、SNSで立場表明をされるより、こうした形の方が身につまされます。普段、小説にはKindleのハイライトをいれないのですが、これはいれずにはいられない箇所がいくつもありました。決して明るく美しい表現ではありませんが、忘れられないし忘れてはいけないと思わせる表現が出てくるので。もし自分に中学生〜大学生の子どもがいたら読後感想を話し合ってみたいものです。
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No.5:
(4pt)

想像力の欠如や人間の善意・悪意など、考えさせられる一冊だった

なぜアニコンで大量無差別殺人事件が発生したのか。

小学生時代に、自分がいじめのきっかけを作ったからこの事件が発生したのか。

無差別殺人の理由が分からず、自らの過去の行いを責める銀行員の安達を中心に、様々な悪意や中傷が渦を巻く物語だった。

自分が事件に直接的に関係がなくても、事件の遠因がいじめだとすると、心穏やかではいられない。

また、事件の被害者もなぜ自分の家族がと、犯人に対する憤りを隠せないが、犯人が自殺しているため、怒りの落としどころが見つけられないつらさが丁寧に描かれていた。

自分の過去の行いを反省して加害者家族に会いに行ったり、職場を訪ねたりして真実を知ろうとする安達の行いは、当初は自らの保身や家族を守るためのものであったが、それが次第に、加害者のことを真剣に考え思いやる気持ちをもつように変わっていったのが印象的だった。

誰かを傷つけることで自らの怒りや理不尽さを発散する人間の醜さや、自己責任という強者の理屈で上から物を言う社会に対する加害者の怒りが感じられた。

読後感はあまりよくなかったが、想像力の欠如や人間の善意・悪意など、考えさせられる一冊だった。
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No.4:
(4pt)

帯の「驚愕の真相」を期待して叙述トリックなんかを期待しないように!

無差別殺人を犯した元同級生を学生時代に苛めていた主人公のお話。
イジメなどというのは想像力と理性の欠如した愚行で、大人になってからはまさに黒歴史でしかない恥ずかしいことだし、そういう意味では、学生時代苛めていた側の人間が大人になって思いっきりそれを痛感して苛まれるというのはお話として面白いし、社会に一石を投じるという意味でもこういうテーマはもっともっと世の中に出してもらいたいことと思います、、が、帯の「驚愕の真相」ばかりに期待し過ぎていた人にとっては、思っていたのとは違っていたなと言う人もでてくるのては?とも思いました。少なくとも私はそうでしたので。
貫井氏の本ならどんなジャンルの話であろうと読みますが、ただこの帯の謳い文句では、例えば叙述トリックなんかをむやみに期待させてしまいがち、といいますか、、。あまりそういうのを意識しないでフラットな気持ちで読みたかったな、というのが本音です。
なのでこの帯では、せっかく本書で作者の言いたかったことの本質がうまく読者に伝わらない場合もあるような気がして、勿体ないなあと思いました。筆力のレベル高さは相変わらず素晴らしく、一気読みではありましたが。
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No.3:
(4pt)

もしかしたら

小学校時代に同級生へ仕掛けたある行為と、その同級生が引き起こした無差別大量殺人の犯行動機との因果関係を辿る物語。
事件を探るという点はミステリーと言えますが、真相そのものは所謂ミステリー的な要素は無いと思います。

過去の行いを後悔し、罪悪感に苛まれ心が壊れそうになりながら、自殺した犯人の動機を調べる主人公の様子は痛々しい。
また、被害者遺族や無神経な第三者の目線からも語られ、このような事件における問題点や怖さを浮かび上がらせます。
ただ、ラストに主人公が出す一つの結論は、そうあって欲しいと思えるものでした。
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No.2:
(4pt)

一つの犯罪に携わる人間の背景を丁寧に描いた作品

人間が悪意を抱く背景やそれに気付く過程を多様な観点から描き出した作品。現実に起こった事件に対する問題提起とも感じられた。迫真の筆致で物語としても面白く読みやすかった。
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No.1:
(5pt)

素晴らしい。貫井徳郎にハズレ無し!

貫井先生の筆力で、一気読み止まらず。登場人物の会話や情景を表す一文にも「これは」と思い痛烈に印象に残る表現もあり。
大量殺人を何故アニコンの場で犯したのか、最後の最後のそのまた最後まで犯人の意図は読めません。しかしそれが判明した時の犯人の未熟さ、やるせ無さを思うと自然と涙が溢れて止まりませんでした。
エピローグにはささやかですが明るい未来を展望する描写も描かれています。
犯罪者、被害者家族、犯罪者にまつわる様々な人々達、多数のキャラクターの人物が登場します。絶対に自分と共通点を持つ人も見つかるんじゃないでしょうか。彼(彼女)を自分に当て嵌めて読み進めるのも醍醐味かと思います。
※私は、異性ではありますが「安達」タイプの人間ですので余計に終章からエピローグまでが感情を揺り動かされました。
悪の芽Amazon書評・レビュー:悪の芽より
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