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漂流
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漂流の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全225件 221~225 12/12ページ
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「史実」を題材とした小説は数多くあるのに、著者の小説が「記録文学」と呼ばれるのは何故だろう。個人的な考えだが、それは4つの理由があると思っている。 一点目は、その作品からフィクション的な要素を取り除いた「史実」の部分もノンフィクション作品として一級品であること。 二点目はその作品が史実を題材とした単なる人間ドラマとなっているのではなく、史実と人間が同じ価値を持って描かれていること。 三点目は、作品に登場する人間も、著者の取材と調査によって得たものからその個性が形作られていること。 そして四点目は、著者の抑制の効いた文体である。 序文にある通り、この作品の基になったのは、漂流した人物の手記ではなく幕府(藩)の取調べ書である。起こった事実は記されていても、その人物の心情が記されているはずもなく、その人柄は事実から推測するしかない。 この作品が、事実だけを丹念に綴ったノンフィクションであったとしても圧倒的に面白い作品になったに違いないが、それだけではなく「小説」として優れたものになっているのは、やはり、生還した長平をはじめとする、著者の創造によって人格を与えられた登場人物によるものである。肉体的にも精神的にも極限の状況に置かれた人間の強さを見事に描き切った作品である。 著者は7月31日に79歳で亡くなってしまった。非常に惜しまれる死だが、作家としては幸せな生涯だったに違いない。 | ||||
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事実を元にしたフィクションだが、もはやフィクションの域は超えている。 生きるための手段も工夫も展開も、この本には漂流モノの面白さが全て詰まっていると言っても過言ではない。 ネタバレになるので書かないが、長い期間の間にも状況は確実に変化し続け、全くマンネリにはならない。飽きることなく一気に最後まで読める。 吉村氏の取材力にただただ感服。 絶対にオススメの一冊。 | ||||
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東京湾から沖に流されたとき、房総半島にひっかかれば命が助かるが、岬を越えてしまうと、遮蔽物がない。私はレジャーで海に出るのであり、生活をかけているプロとは真剣さが違うと思うが、海に出る者にとって漂流記は「もし沖に流されたときにどうすれば助かるのか」のヒントを探るための実用書である。 しかし、この本には私が目的とした「どうやって漂流すれば命が助かるか」に関する情報はない。 弱い者は食料にするために殺され、気力を失った者は死に、また自殺する。島での長い年月を生き延びた者でさえ、かつての人肉食のせいか故郷に辿り付く直前に狂死する。まともに生活しようとし、生活している主人公が、もっとも常軌を逸して見える。 吉村氏の著書のあとがきには、戦争が氏に与えた影響について言及したものが多いが、戦争中のジャングル生活とは、鳥島のようなだったのだろうか。 | ||||
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漂着した島は水も草木もない焼島(火山島)で、ただアホウドリの大群だけが待っていた。時は江戸時代、土佐藩船乗り長平は、仲間4人とともに難波船から命からがらこの島にたどり着いた。脅威の精神力と、鳥を撲殺して食べまくることで生き長らえた長平。仲間が死んでいく残酷な運命を受け入れる長平だったが、数年後に漂着してきた船乗り達とともに、知恵と労苦の限りを尽くして12年に及ぶ焼島暮らしから脱出する。実録を元にしているので、ただ恐ろしいばかりの現実に、地獄の結末や如何にと一気に読み進んでしまう。・・つい最近(2002.8)、この島(鳥島)が爆発し、アホウドリが全滅の危機に瀕していることが報道されたが、あの世の長平が聞いたらどんな気持ちになるだろうか? 火種がないため、引きちぎられた鳥達は海水で洗われ生食されたり、後に長平が火を手にした時には、あまりのうまさに「熱さはありがたい」と心の中で叫ばせてしまう。 渡りをするアホウドリたちが島から去っていく恐怖。必死で鳥を殺し干し肉を作る長平たち、しかし干し肉も焼けばもちろん美味である。「人は食べなければ死ぬ」というテーマが胃袋を刺激し、思わずスーパーに鳥肉を買いに行ってしまった。アホウドリと鳥島に未来あれ! | ||||
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この本は江戸時代に無人島に漂流した人達を描いた事実に基づいたフィクションです。しかし船員の嵐との死闘、破壊された船での漂流、そして無人島についてからの人間ドラマなど全てがリアルに描かれていて、あたかも著者がそれを見て書いた様な感覚すら覚える。人間諦めないで努力すればいずれ報われるという事を素直に感じられる良い書だと思う。 | ||||
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