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漂流
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漂流の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全225件 181~200 10/12ページ
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時は江戸天明年間、船が難破し、絶海の孤島(鳥島)に流れ着き、12年後に流木で作った船で生還した土佐の船乗り長平の物語。 鳥島は火山島であるがために、食物となる植物は育たず、湧き水も火もない。もちろん冬は寒い。ただ、何十万羽もいるアホウドリの肉を主食に、わずかな貝や海草、たまに釣れる魚で食いつなぐ。ビタミン不足からか、仲間は次々と手足の関節が動かなくなり亡くなっていく。しかし、長平はひとりになっても生きる希望を失わず、数年後に同様に漂着した大阪船や薩州船の船乗りたちとともに、その後さらに何年も生き延び、想像を絶する苦闘の末、故郷に生還するのだ。 このような過酷な環境に置かれた人間の反応は二種類あるようだ。ひとつは、絶望し、死にたいと考える者。そしてもう一つは、現実をありのままに受け入れ、前向きになれる者。もちろん、ここでもダーウィンが『種の起源』の中で記した名言は生きている。すなわち、「最も強い者が生き延びるのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き延びるのは、変化に対応できる者である」。 何年か前、青春18きっぷを手に掛川城に行った帰り、新居駅で途中下車し、関所を見学したことがあった。その近所に石碑があって、それは同書と同じく、難破して何年か後に生還するという、数奇な経験をした者たちを顕彰した内容だったが、結局詳細はわからずじまいであった。本書のP149に「遠州(静岡県)新居の船が鳥島に漂着。・・・」との記載があるが、きっとこのことだったにちがいない。点と点がつながった気がして、少しうれしくなった。 | ||||
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主人公が漂着してからの島での食習慣のため体臭が変わったとされる記述、おそらく作者によるフィクションかな、 と思いますが、妙なリアリティをもって迫ってきます。神仏の在り難さも改めて再認識させられました。作者の淡々とした 記述もよかった。 | ||||
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人は、決して一人では生きていけない、人を支え、また、支えられて生きている(自然・神仏・先祖にも)。 極限に陥った時に、どう行動するか(生死の差)。 於かれた状況を、正しく認識し、受け入れ、物事を悲観せず、気持ちを強く持ち、お互いに励ましあい、支えあって、自分たちのできる最大限の努力をすることで、初めて神仏のご加護がある。 ただ、自分達では何もせず、念仏を唱え、神仏のご加護を祈るのみでは、明日は無い。 人間の無力さと、自然の強大さ・有難さを、実感させられる。 | ||||
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日本らしい重厚で繊細な一冊になっていると思います。 素晴らしい本です | ||||
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一気に読んでしまいました。 吉村さんの著書は、たくさん読んでいますが、中でもこれは、人間の意思の強さと弱さを客観的に見事に描ききっています。 | ||||
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淡々とした語り口ながら作品の世界に一気に引き込まれ、最後まで読んでしまいました。 著者の作品はどれもハズレがありませんが、これもお勧めの一冊です。 絶望的な状況での生き方についても考えさせられます。 | ||||
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アナタハン島などが一時期話題になり、無人島へのあこがれという部分も最初はありましたが、ひたすら厳しい現実が続く小説です。 導入部分こそ最初の漂流者の出帆するまでの村の生活なども描かれて、時代の雰囲気がありました。 漂着した後は、ひたすら何もない中で、アホウドリを捕まえ、食糧にしながらも、だんだん体力が衰える日々、一人死に、だんだんとサバイバル状態になっていく。新たな漂流者があるものの、新しい展開はなく、また絶望の中で島を生き続ける。そして、新たな漂流者。絶望と希望を繰り返し、島での生活は続く、脱出するのか、そのままこの無人島で死んでいくのか、どうやって脱出するのか。 物語が成り立つには、脱出しなければ、ストーリーにはなりえませんが・・・ なんとも絶望感を持ちながら、読み続けた感じで、やっと終わったという開放感がありました。 | ||||
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無人島で12年以上生き、生還した長平を中心に、漂流者たちの生きざまを描いた本。 「死に至る病は絶望である」 希望を持たなくても生きていける(悟りが必要)が、絶望をすると比喩ではなく死んでしまう。 これだけ過酷な環境でも生き抜く事ができる、という事を知っていれば、今現在辛い状況にいる人も絶望はしなかったのではないか? 少なくともその一助にはなれたような気がする。 背筋がぞっとする話だが、どこか勇気をもらえる本だった。 | ||||
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若い頃に入院し、隣の人から借りたのが最初でした。あれから40年が過ぎ、どうしても読みたくなって購入しました。どこまでが事実でどこまでがフィクションなのか分かりませんが、徹夜してでも読み続けたくなりました。良かったぁ! | ||||
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「無人島に生きる十六人」は感慨にひたり楽しく読了できたが、この作品は感動と同時に恐怖した。 淡々とした筆致がリアリティをもって自然の厳しさや運命の過酷さ、不条理をこれでもかと一読者の自分に 突きつけ読了後は興奮とともにおつりで海に対するトラウマを抱えそうです(マジで)。 程度の差こそあれ、わたしたちが生きる現代も現実におこる災難や運命に 抗うこともできずただ為すがまま現実を受け入れるしかないことは多く たいてい思い通りにはいかないしすべてを投げ出してしまいたくなること山の如し。 地獄と形容しても過言でない現実に人間の小ささを悟り、幾度も絶望と歓喜を繰り返しても諦めずに生きようとする長平に感動し 人間の底力を知り、陳腐な表現ながらも生きる勇気をもらいました。 そしてあらためてわたしたちの現在の生活が先人たちの積み上げてきた文化や文明のうえに成り立っていることを痛感し感謝の思いです。 | ||||
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漂流:江戸時代に火山島である鳥島に漂流した若者の話。食物は貝貝と海草とアホウドリのみ。栄養が偏り4人いた仲間を死滅し、一人生き残ってしまう。途方にくれるが、3年後に同じように遭難した仲間と出会い、最終的には流木のみで船を作って自力で脱出する。壮絶な話であった。 | ||||
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この本は江戸時代の一人の漂流者の記録に基づいて書かれた小説です。伊豆諸島の無人島(鳥島)で、12年間暮らした男の壮絶な生き様!アホウドリの生肉を海水で洗って食う生活!仲間の病死!絶望的な孤独!生への執着!流木で作ったボロボロ船での脱出!もう、何回泣いたか数え切れません!これを読まずして人生の荒波を超えることはできません!(笑) | ||||
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長平という凄い男に出会えた幸運に感謝している。また、この出会いを用意してくれた吉村昭の執念に感謝している。 江戸後期の天明5(1785)年、時化(しけ)に遭遇し、黒潮に遥か遠くまで運ばれてしまった24歳の土佐の船乗り・長平が漂着したのは、不気味に静まり返る絶海の無人島であった。火山島のため、水は湧かず、穀物は育たない。この過酷な環境の中で、一緒に辿り着いた船乗り仲間の3人は、次々に倒れていく。 飲料水をどうするか、食物をどうするか、衣服をどうするか、住居をどうするか、落ち込む気持ちをどうするか。実在の人物・長平がこの危機をいかにして切り抜けたかは、長平の事績をこつこつと丹念に調べ続けた吉村の力作『漂流』(吉村昭著、新潮文庫)で知ることができる。長平の創意工夫と精神力は並大抵のものではなく、驚くべきレヴェルに達している。 「妻と連れ立って海を旅する鯨がうらやましかった。鯨は、自由にどこへでも行くことができるが、自分には島から出ることもできない。あほう鳥は、空を遠くまで飛び、魚は海を泳いでゆく。人間というものの無力感が胸にしみ入った」、「かれは、くずれかける気持をふるい立たせて体力をつけることにつとめた」。 長平がこの無人島に辿り着いてから3年後に大坂の船乗り11名が、そして、5年後には薩摩の船乗り6名が漂着する。長平は彼らを励まし、この絶望的な状況の中で生きていく方法を伝授する。 「『(あほう鳥の)干し肉だけ食べて体を動かさずにいると、(死んでいった仲間のように)死ぬぞ。磯へ出て貝をひろえ』。長平は、しばしばかれらに声をかけた。そして、率先するように、磯に出て貝をひろい、釣竿を海面にさしのべた」、「長平は、深い息をついた。無人の島で生きぬくためには尋常の精神力では果たし得ない。気力が萎え、死をえらぶ男がいるのも当然だった」。 長平がこの島で過ごすこと8年が経過した時、長平は、舟を造って、島から抜け出そうと覚悟を決め、仲間たちに自分たちの手で帰還のための舟を造ろうと呼びかける。『舟が造れなければ、おれたちはこの島で朽ち果てる。それが恐ろしければ、舟を造る。この二つの道しかない。いずれの道をとるか、それをきめたい。島で朽ち果てるか、それとも故国へ帰るか』。皆で力を合わせ舟造りに取り組むことを約したが、材料も道具も無い無い尽くしという困難の連続で、作業は遅々として進まない。この間の長平のリーダーシップは、現代の我々にも多くのことを教えてくれる。 12年4カ月後に、遂に13名の仲間とともに生還を果たした長平は、今や、私にとって、最も尊敬できる歴史上の人物の一人となったのである。 | ||||
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これだけの絶望の中でも帰りたいと思う。そして実現するのがすばらしい。 果たして今の日本人が、同じ状況で鳥島にたどりついたっとして何人が生き残れるだろう。 生のアホウドリを食べようとも思わないし、干し肉をつくる発想も生まれないだろう。 もし食いつないだとしても、自力で船を建造して、八丈島までわたれるだろうか? 「生きること」への執念を強く感じる、力強い話だ。 | ||||
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余分な情報を見ないで、読んでみてください。読みやすく、最後まで飽きることなく読めました。 | ||||
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とにかく、凄いの一言。 あの時代、あの状況でよくぞ…という感じです。 つべこべ内容を書く前に一読の一冊です。 | ||||
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貪り読みました。 あっという間に引き込まれ、あっという間に終わってしまいました。 恥ずかしながら、三陸海岸大津波、関東大震災を手に取るまで、吉村 作品を知りませんでした。そして、その圧倒的な表現力、文章力に感嘆 させられました。 そしてこの作品。驚愕です。 長平の人生を綴っています。 漂流者の心理、行動。そして長平の勇気。 圧倒的、迫真の表現力に、目の前に展開する無人島の景色が浮かぶ ようです。 そして、考えさせられました。 「全ての人が漂流者なんではないか?」と。 さいとうたかをさんの同じようなテーマの漫画を思い出してしまい ました。その作品も非常に面白かったのですが、この作品も素晴らしい。 多くを記載する必要はありません。 一言、お勧めです。文句なしの満点x2。 事実、記録だからこその迫力をどうぞ。 追伸; この本の後に、コンチキ号、無人島に生きる、大西洋76日間、 エンデュアランス号、ジョン万次郎など読んでしまいました。 それでもやっぱりこの本が一番でした。ご参考まで。 | ||||
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吉村昭の本はたくさん読みましたが、私はこれが一番好きです。 漂流もので有名なのはロビンソン・クルーソーですが、RPGゲームみたいに必要最低限の生活必需品が揃っているあの物語は、この本に比べたら単なるキャンプのようにすら思いますね。それくらい過酷な物語です。 江戸時代に実際に無人島に遭難漂着した人の文献を基に描かれた物語ですが、何もない島での10年以上におよぶ暮らしのエピソードが、これだけ面白いものになったのはやっぱりさすが吉村昭だなあとつくづく思いました。 読書好きの知人数人に薦めましたが、皆「面白かったよ!!」との返事が返ってきました。(あまり好みでないと感想は帰ってこないw) とにかく一気に読めるというか、読まざるをえないほど面白い物語。私が今まで読んだ本の中でもかなりのお薦めです。ぜひ、読んでください。 | ||||
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小笠原の孤島にやっとの思いで流れ着くがそこは無人島。待てども助けはおろか沖を通過する船の気配さえない。鳥肉を食料とし、雨水で渇きをしのぎ、ひたすら生き残ることを考える日々。島を脱出するには結局自ら船を作り漕ぎ出すしか方法はなかった。10数年に及ぶ漂流生活を、悲壮感漂わず着実に暮らし続ける逞しさが描かれている。勇気をもらえる一冊。 | ||||
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江戸時代の航海は死と隣り合わせ、板子一枚下は海、という形容がそのまま当てはまる船乗りが、本当に漂流したらどうなるのか?極まれにアメリカの捕鯨船や商船に救助され生き延びた人もいるのですが(そのあたりは『アメリカ彦臓』を読むべし)、船を失い無人島に漂着してから生還を果たした人はほとんどいないでしょう。そんなまれな人々を描いたのが本書で、その間なんと12年。無人島でどうやって12年も生きていたのか、絶望のあまり死んでしまう人もいる中で、何をこころの糧としたのかを知る事は現代人にも必要でしょう。こころを強くするにはこういう本が必要なんですね。 | ||||
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