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死んだレモン
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死んだレモンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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高評価なレビューが多い中、私は合いませんでした。 たとえば「奇跡的に無事で、かろうじて立っていた」のあとに「黒焦げで、腕は千切れ、血はほとばしり」のような表現が続き、無事どころか死にかけてるよね? 無事な人とは別の人のこと? と混乱して、確認に前のページに戻ったことがしばしばありました。「俺は覚悟を決めた」と言った数行後に「やはりもう駄目だ」と言ったり。 設定は面白かったのですが、とにかく流れというか繋ぎかたが万事つたなくて、書きたいところだけ力の入ったライトノベルのようでした。 最初自費出版だったと知って、ですよね、と私は納得の作品でした。 | ||||
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同作家の別の作品『壊れた世界で彼は』を先に読み、次いでこちらを読みました。 同じように事件の経過そのものはもっさりしています(二作品同じ印象ということはこれが同作家の筆癖なのでしょう)。 が、こちらは出だしからクライマックスの現在と、交互に語られる過去の経緯という構成の妙が、もっさり感を上手に打ち消していると感じられました。 オチは正直、ある程度途中で予想できる(というよりも逆算して人物を絞り込めてしまう)ので少々物足りない気はするのですが。それでも『壊れた世界で〜』よりはずっと面白く感じられたのは、現在の緊張感を合間合間に挟み込む一方で、謎解きさせる過去を現在に追いつかせる手法が良かったのだろうなぁと。 しかし二作読んで思ったのですが、この作家は通常そこは丁寧に描写するだろうというくだりを、やけにあっさり場面転換で省略もといスルーするのですね。 それがこの作家の筆癖であり個性なのだと思うのですが、あまりにあっさりしているので、二作品とも「え!これで終わり!?」と内心びっくりでした。 | ||||
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あまり期待せずに買ってみましたが、思った以上の作品でした。 帯にもある様に主人公が最初から絶体絶命のピンチで、犯人が分かった状態からスタートするのですが・・ ニュージーランドが設定と言うのは珍しいと思いますが、土地柄含めて結構楽しめる作品だと思います。 | ||||
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ストーリーの展開からすると障害を持った主人公のサスペンスというところですが、主人公を含めて登場人物が類型的で惹きこまれるものがありません。ミステリーとしては凡庸で面白味がなく、事件の動機や背景もはっきりしないまま終わります。心理学や歴史の説明部分は冗長で、ストーリーにうまく挿入されているとはいえません。 色々と詰め込んでみたけど、うまく消化できなかったという印象でした。 | ||||
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期待して読み始めたが、1/3もいかずに苦痛になってきた。 物語は主人公が崖から落ちかかるリアルタイムパートと、主人公が舞台となる街にやってきてからの過去パートが、パラレルに進んで最後に収束していく構成。そういう構成だと、普通は「なんで主人公は崖からぶら下がることになったのか?」と2のパートをつなぐ部分を想像しながら読むのだが、本書は意外性も何もない。これならパラレルじゃなくて1本道のほうがよかったのでは。 途中のカウンセラーは説教臭いし、悪役たちは作者が不気味さを印象づけようとしているのはわかるものの、人物の造形が浅くて不気味さが足りない。ネタバレになるので具体的には書かないが、結末は説明不足でまったく腑に落ちなかった。 | ||||
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物語の道具立ては魅力あるものだと思うのですが、読んでいていまひとつのめり込めませんでした。 おそらく主な理由は、凝った構成など作者がやりたいことに対して、技量が追いついていないと思われる点だと思います。 読者のわがままな感想で言えば、せっかく過去パートと現在パートを交互に語って、現在パートの危機的状況のサスペンスと、事件の背景や主人公の再生物語を並立させようとしているのに、現在パートのネタが無いのか現在パートが置いてけぼりになり、過去パートばかり続いてサスペンス感が中断されます。 また、主人公がピンチになったところで気を失い、次の段落で病院等で眼が覚め、都合よく誰かが助けてくれたというパターンが何回か出てくる繰り返しにも、興がそがれました。 さらに善悪がはっきり分かれた単純すぎる人物造詣、真相をぼかそうとしたのが裏目に出たのか唐突な展開、物語を進めるためなのかご都合主義的な展開と取ってつけたような説明など、がっかりな要素が結構ありました。 | ||||
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現在と過去の話の連続は、近頃良く見られるパターンで飽きる。話の展開を楽しめない。NZの過去の歴史もしつこいし、セラピストや牧師の話は途中で読み飛ばした。最後の結末は途中から分かってしまうし、とにかく読み終えるのに苦労した。 | ||||
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ミステリをたまに読むときは、ほとんどタイトルと基本的な舞台設定で選んでいます。本書もそうなのですが、私の場合はこの方法で選んでほぼ外れたためしがありません。 主人公が危機的な状況を現在として一人称でそこから脱する様子と、過去数ヶ月の出来事とを交互に語る手法は、そう目新しいものではないにせよ、本書ではこれがうまく機能しています。 特に、最初は主人公の語る過去が抽象的でセンチメンタルなため、あまり好きになれないタイプだなと考えていたのです。が、カウンセリングの過程などを通じて、なるほど、自分を哀れむいけすかない奴ではなく、そんな自分を変えようとして未だ戸惑っているのか、とわかってくるにつれ、主人公への共感が増していきます。こうしてストーリーの展開よりも、むしろ主人公の心理を通じてぐいぐいと引き込まれていくような印象です。 ニュージーランド最南端の町の人々の生活も民族的な歴史も興味深く、サスペンスの強烈さよりも、閉塞と解放のギャップを感じさせるようなエンタメをミステリに求める私としては、好みの通りといえます。 内容的には粗とはいえないまでの不満もあり、訳語に疑問に思うところもありましたが、満足のいく作品でした。本書で脇役だった人物が主人公だという2作目も刊行を待ちたいです。 | ||||
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七月の目玉となった作品。個性がいくつもある。一つにはニュージーランド発ミステリー。作者は、法心理学者としての本業の傍ら、小説は電子書籍でしか契約しないという欲のない姿勢を貫いているが、この通り、内容が素晴らしいため、作者の意に反して紙のメディアでも世界中に翻訳され、売れっ子となりつつある。 ページを開いた途端、絶体絶命の窮地にある主人公の現在が描写される。いきなりの海岸の崖に車いすごと足が岩に引っかかって宙ぶらりん。ぼくはこの作品の前に、クレア・マッキントッシュの『その手を離すのは、私』という本を読んでいて、その最終シーンが海辺の崖の上での意味深なシーンだった。まるでその続きみたいに始まるのだが、場所は『その手を離すのは、私』のウェールズの崖ではなく、遠く離れた南半球、ニュージーランドは南東のしかも南の外れにあるリヴァトン。面白過ぎて、グーグルマップで場所を探す作業からぼくの読書は始まる。凄い! 南の果てで南極に一番近い海岸線。凄い! それも崖の上で宙ぶらり状態。しかも車いす利用者なのか。凄い。描写は六か月前の過去に、私ことフィン・ベル(そう著者と主人公が同名である)が銃と、人の頭を吹き飛ばせるホローポイント弾を買い込むシーンから始まる。その後、気になり過ぎる現在と、過去とを行き来しつつ物語は進んでゆく。 主人公は南アフリカ出身でニュージーランドに流れ着いた「人生の落後者」(=原題のDead Lemons)であり、妻に去られ、酔いどれてトラックに突っ込んで両足とその感覚を失ってしまった車いす生活者。『楽園の世捨て人』というカナリア諸島に行き着いた中年男が正義を通して自分を撮り戻す作品があったが、そちらが悲壮で真面目な小説だったのに比べると、こちらの作品は同じような絶望的設定なのに、何故か明るいのだ。脇役たちの明るさ、軽さ、人の好さ、等々が主人公を助けると同時に、読者をも笑いや優しさに満ちた時間へと掬い上げてくれる。主人公の独り語りも、悲壮感というより破れかぶれな決意感のようなものがすっと通っていてなかなか宜しい。 作家の持ち分であるサイコセラピーの部分は、優しく厳しく熱いおばはんセラピストによって、すごく専門的な知識を駆使して語られてゆく。この辺の知識豊富な部分と、ニュージーランドに流れ着いた者たちの歴史を紐解く部分も凄まじい。 捕鯨やら砂金やらに群がった無法者たちの300年前の姿がロマンチックであると同時にワイルドで、その舞台となったこのリヴァトンの辺りが、何ともきな臭い隣人三兄弟の薄ら寒いような悪の怖さを醸し出し、主人公の緊張感を行間から滲ませ続ける。過去に起こった少女とその父の連続行方不明事件を調査するにつれ、緊張は高まる。 主人公が車を飛ばして相談に駆け付ける元刑事ボブ・レスの犯罪心理分析の語りのシーンもおそらく作者ならではの専門知識が活躍する。怖い隣人のこと。行方不明事件のこと。主人公自身が脅しや恐怖に曝される緊張状態の中で、世界の果ての海岸線に接した小さな町が、事件の再びの捜査に湧き立つ。 そして最後に現在に戻る。二転三転。驚きの結末。全体を包む現在時間の緊張感と、じっくり語りゆっくり進み、時々恐怖、という過去時間がついに集約する大団円。見事な構成。見事な読ませ感。ミステリの要素をいろいろと重ね合わせてホチキスで止めたような結末。読み始めたら最終シーンまで収まりのつかないこの一冊に、是非とも翻弄されて頂きたい。 しかし、これがこの作者、小説デビューだって? うーむ、俄かに信じ難いのだ。次が楽しみである。 | ||||
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海外ミステリーとは云うものの、作者のカウンセリングの知識やニュージーランドの風土、人々の繋がり等様々な要素が散りばめられています。軽くも読めますし深くも読めます。お盆の3日間で一気に楽しく読めました。次回作も期待です。 | ||||
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頭にこびりついて離れない陰惨さと、対照的な登場人物たちのいきの良さ、過去と現在を交差させつつニュージーランドの歴史も交えつつテンポよく展開。映像が頭に浮かぶ。。。映画で観たいな。 | ||||
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「死んだレモン "Dead Lemons"」(フィン・ベル 創元推理文庫)を読み終えました。 南アフリカ出身、飲酒運転による自損事故で下半身の自由を喪ったフィン・ベルは、ニュージーランド最南端の町に引っ越しますが、その住居はいわくつき、26年前、その家に住む一人の少女が失踪していました。その後、隣のゾイル家の土地から少女の骨が発見されますが、証拠不十分のためゾイル家は逮捕を免れています。初めて訪れた土地で、美容室のオーナー・パトリシア、セラピスト・ベティ、「マーダーボール」と呼ばれる車椅子ラグビーで知り合ったマオリ族のタイと知り合い、次第にその関わり合いができてくる中、他にもいくつかの謎がもたらされ、フィン自身がその事件を調査し始めますが。。。まあ大筋は、ここまでにしたいと思います(笑) 巻頭のあのスリリングなシーンから<現在>の章と<五カ月前>の章が交互に語られ、ミステリの常道とは言え、巧みにサスペンスを醸成していますね。また、今まであまり描かれることのなかったニュージーランドの南の風景と風俗、捕鯨業、造船、そして明かしてはいけない歴史が物語の章を追うごとにその事実の重さを堆積させながら、単なるサスペンス小説としてだけではなく、(散りばめられた多くの伏線を回収して)パズラーとしてもしっかりとそのプロットが構築されていると思います。欲を言えば、起承転結の「転」のパートに、サスペンスを弱めてしまうあるポイントがあるような気もしましたが。。。それは、私の単なる好みの問題かもしれません。 特筆すべきは、主人公フィン・ベルのキャラクタリゼーションにあると思います。自分を偽ったあげくに、酒に溺れ、結婚生活が崩壊し、更にアルコールに依存し、運転を誤り、車椅子生活という名の社会復帰に至った主人公が辿り着いた先には、多くの苦難が待ち受けていましたが、セラピスト・ベティとのセッションの中から、ある答えを見出します。「苦痛がなければその原因を自覚せず、自覚がなければ変わらない。変わらなければ、苦痛のそもそもの原因となった問題は決して解決されない」 自覚とは、認めることですね。心の底からその罪を認めることによって、傍らにいてくれる誰かを信じることができるようになり、自分の人生を委ねることもまた可能になるのだと思います。 「幸せな人は、不幸な人と同じ人生を並んで歩むことはできない」というこの「"Dead Lemons"=人生の落伍者」の一節の言葉が読書中反響し続けましたが、とは言え、たとえニュージーランドの最南端、絶望の果てにあったとしても、<苦痛>を自覚した人は次第に立ち直っていくものなのだと思います。<Who-Done-It>でありながら、世界の果ての<再生>の物語だと思います。 | ||||
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