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破滅のループ



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【この小説が収録されている参考書籍】
破滅のループ (ハーパーBOOKS)

破滅のループの評価: 3.89/5点 レビュー 9件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.89pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(4pt)

ヘイトクライムへの反撃メッセージ

この作家は初読。冒頭に11歳の子のリップグロスがどうのこうのと出てくるので、間違った本を買ったのかと思ったが、白人・男性優位主義を厳しく批判するメッセージが軸になっている、しっかりしたアクション物で、ページターナーだった。
392ページにジョージ・リンカン・ロックウエルが「第二次大戦と朝鮮戦争で海軍の司令官でした」と言う訳文があるが、ロックウエルは1950年にlieutenant commander(海軍少佐)、1952年にcommander(海軍中佐)だったから、commanderを司令官と訳したのは間違いでしょう。
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No.6:
(4pt)

ジェンダー、人種、ヘイトを超えるのは人格でしかない

圧倒的スケール感とスピード感で一気に読める小説ですが、背景の人種差別や性差の問題がざらりとした違和感を確実に残します。勧善懲悪ではあるのですが、人間の心の奥底に潜む心理を誰もが完全に全否定できる可能性に頼ることが本当に正しいのか?それとも常に他人には疑いを持って自衛すべきなのか?

狂信者に導かれたあまりに卑劣な2重3重のテロ行為を防ぐと同時に人質と化した2名の女性を救出するためにカルト集団に潜入する捜査官の運命やいかに?文庫本ながら700ページはあっという間でした。
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No.5:
(4pt)

シリーズ一のスケールで描かれたアメリカン・ヘイトクライム作品

カリン・スローターの作品はぐつぐつと煮詰めたシチューのようだ。濃縮された様々な食材が、混在し、溶けて、一体となった混合物。作品中でいう食材は、主に人間である。様々な毛色の人間たちが、煮え滾るスープの中で、煮詰まって、ぶつかり合う鍋の底のような世界だ。

 ウィル・トレント・シリーズ。そのコアなヒーロー&ヒロイン=ウィルとサラとが主役を務める、実に王道の作品。本シリーズの未だ初心者のぼくにとって、ウィル・シリーズなのに、毎度、他のキャラクターが主役を務める感の強いのがこの作家の特徴。つまり、キャラの立った人物像が、予め考え抜かれ、設計された凝ったシリーズなのだと言える。

 本書はシリーズ中、最もシンプルな作品と言っていい。通常の殺人事件に始まるミステリーとは言えない。最初にとある人物の誘拐シーンで幕を開ける。そのほぼ一か月後、いきなり病院で爆弾テロ勃発。逃走現場での撃ち合いの中にウィルとサラの姿、そして誘拐された女性の姿。そんな、ど派手な幕開けである。

 700ページ弱の長大なページをほぼ全編緊張の状況が埋める。凶器のテロ集団。感染症に苦しむ子供たちでいっぱいのキャンプ。渦中のサラ。ウィルの潜入。ジョージア州警察のバックアップ。男性作家にさえ書けないほどの度はずれた暴力描写や、緊張感の緩まない心理描写。ウィル、サラ、ウィルの相棒である女性刑事フェイスの三つのシーンで構成される複数多面描写による、時空間的厚みと、それを支えるストーリーテリング。

 この物語の題材は、差別とヘイトが人種間に産みつける憎悪、その発火点、そして際限のないほどのテロリストたちの冷血性と、悪魔性である。この種の徹底した悪と闘うのが我らがヒーロー&ヒロインたちなのだが、彼らの世界のディテールが読者の枯渇しようとするヒューマニズムを救いあげる。

 その断面は、男女の恋愛、家族の愛情などをもって細密画のように丁寧に描かれる。悪に対する善なるものとして。今回、テロ組織が用意する悪魔の兵器とその準備段階でかなり疲弊してしまう神経を、善なる側の愛情や友情が救ってくれる。無論救われない魂の数と平衡を取っているとは言えないまでも。全体が残虐さに満ちたという意味ではシリーズ屈指の一作であるにしても。

 個人的には、面白さはあってもどうも好きになり切れない作家である。パトリシア・コーンウェルを継ぐ、時代の売れっ子女流作家であるが、同じ感じで面白さだけが読む原動力であるけれど、内容の残酷さ、容赦なさは二人とも同じような側面を感じる。でも、コーンウェルを結局は全作読んでしまっているように、このままキャラクターたちに引きずられてしまいそうな自分を、ぼくは自分でよく知っている。不思議なことに。
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No.4:
(5pt)

ウィルandサラは最強!!

ウィルとサラ、大好きすぎてやばい!
2人がお互いを思いやる描写に泣きました……

カリンスローターの本は邦訳されてる物はおそらく全て読んでます。全てストーリーに引き込まれるし、もう読み終わるのが勿体なくて。今回は読後、モヤッと感がなく、次回への希望というか楽しみがまた出来ました。
まだ邦訳されてない短編なども読みたいので、是非お願いします!!
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No.3:
(5pt)

サラ、フェイス、そしてアマンダ

無駄な会話が多く、ままごとのような「カルト集団」を描いた「彼女のかけら」は、この作品に至るための習作だったのかもしれませんね。
 「破滅のループ "The Last Widow"」(カリン・スローター ハーパーBOOKS)を読みました。
 GBIの特別捜査官・ウィル・トレント・シリーズ、9作目。舞台は、アトランタ、ジョージア。のっけから、サスペンス全開です。引き起こされる爆弾テロ、遭遇する交通事故。巻き込まれるウィルとウィルの恋人でもある、検死官・サラ。ドゥニ・ヴィルヌーヴ映画のようなザワザワ感。ウィルは負傷し、サラをさらわれ(笑)、そのことは1ヵ月前に起きた米国疾病予防管理センターの疫学者・ミシェルの拉致事件とリンクしています。誰が彼女たちをさらったのか?何故?何のために?多くの謎が、ウィル、そのバディのフェイス、そして拉致されたサラの視点を通して語られる中で少しずつ明らかにされていきます。ストーリーは、いつものようにここまででしょうね。

 「プリンセス・ブライド・ストーリー」、読み書き障害、多くの探り当てなければならない何故、ミセス・ロビンソンの娘を演じた俳優は、キャサリン・ロス(笑)、米国のSIGINTは何故か鳴りを潜め、あれほどまでに活躍したブラックベリーの代わりにアップル・ウォッチがプルーフを届け、今回は「カルト集団」に代わって、グレイト・リプレイスメントを宣言するかなり手強い、ある集団とウィル・トレントは、怯えながら戦うことになります。おそらく、愛ゆえに。
 2020年の米国が抱えるすべての<闇>が、魔法使いが撫でさする「水晶玉」のイメージのように浮き上がります。<Covid-19>が世界的に停滞し、ヘイトに焼き尽くされようとする米国。それは、現時点での現実を垣間見る私たちの視点が、事件の渦中にいるサラの視点にすり替わったかのようにすら思えます。(作者は、SNSや動画サイトはヘイトの商品化だと看破しています)
 希望の話をしましょう。自分らしさを心地よく感じている女性に怖じ気づいたりしない男たちは消滅し、サラ、フェイス、そして、GBIを背負うアマンダが、阿修羅の如くこの小説の至るところに存在しています。
 エピローグには、クリント・ブラックやガース・ブルックスの代わりにドリー・パートンの歌声が聞こえ、リーヴァ・マッキンタイアが歌う"The Night The Lights Went Out in Georgia"が聞こえてくるような気さえします。
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No.2:
(4pt)

ウィルにできることが他にあったのではないかという思いが残る(※ネタバレあり)

シリーズ邦訳9作目。
爆破事件の救助に駆けつけたウィルとサラが、そこに居合わせた犯人グループに襲われサラが拉致されるところから始まる。そこからはサラ、ウィル、フェイスとアマンダそれぞれの立場から、同時間帯における考えや行動が描かれ、次第に事の真相が明らかになっていくという見事なプロットで、ぐんぐん引き込まれる。
今回の敵は大規模なテロを目論む白人至上主義者(現在世界中で起こっている人種差別抗議デモを加速させそうなタイミングの出版だ)。 細菌・ウイルス学、病理・医学に関する学識がよく調べられている(これも新型コロナウイルスを思い起こすところが少々あった)。
ただ終盤のクライマックスシーンに関して、ウィルのとった行動に幾ばくかの疑問が残った。…ウィル自身も納得しきれていないが。
解説にもあるがスローターが描く小説は、暴力社会について問題提起し、世に訴えたいことなのだろう。
私は#3『ハンティング』のレビューでも記述したが、スローターにはグロテスクさを描いて読者の目を引きつけようとする意図を感じる。今作も凄惨な場面の中でのウィルの戦い。納得しきれないのは見せ場を作るために「それあっての彼の行動」と感じたところ。
サラを思うあまり単独判断している。他に事前にできたことがあったように思う。
ウィルのことは大好きだし、彼は一生懸命やったけど、一般人の多大な犠牲に対して、仕方がない、これしか方策がなかったのだから、と思い切れない。
霜月氏の解説はよかった。だが本書について「残虐度もおさえめ」という記述には同意できなかった。

視点を変えて…、私はシリーズを通して、ウィルとサラの関係が少しずつ前進していく過程が楽しみだ。
特に今回はロマンス面の記述がふんだんにあったのでうれしかった。
破滅のループ (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:破滅のループ (ハーパーBOOKS)より
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No.1:
(5pt)

泣けました

シリーズ最新作、早速読みましたのでレビューします。

今回は物語の途中で何度も泣いてしまいました。
事件そのものはカリン節炸裂というか、いつものぞわっとするような描写だったり
リアリティを感じさせる事件だったりで言うことありません。いつもどおり素晴らしいです。

泣けたのはやはりウィルとサラについて。今回は二人の関係性は大きく変化したと思います。
サラが誘拐され生きているかもどうか分からない状況の中でのウィルの決断だったり苦悩だったり
本当の思いが伝わってきました。二人の視点が交互に書かれている場面もあるのでより分かりやすかったです。
サラがウィルへ残した天井メッセージは特に印象に残っています。それから(彼の左手、私の右手)というサラ
のウィルへの思い、印象的でした。

ラスト、事件の結末はネタバレになるので言えませんが苦しかったです。
二人の関係は、、次回が楽しみで仕方ありません!!
本当に良かったです。
破滅のループ (ハーパーBOOKS)Amazon書評・レビュー:破滅のループ (ハーパーBOOKS)より
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