凍てついた痣
- 拳銃 (222)
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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「グラント郡」シリーズの第三作。地元の大学で起きた複数の殺人事件を巡る警察ミステリーだが、真相解明と同じかそれ以上に主要な登場人物たちの人間模様が印象的な作品である。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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子供が死体をバラバラに処理するとか、ちょっと荒唐無稽な内容もありますが、そういうことが気にならないくらい読ませてくれる小説でした。 | ||||
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カリン・スローター作品群は、第一期のグラント郡、第二期の捜査官ウィル・トレントの二本のシリーズとそれ以外の独立作品に分類される。本書は第一期の過去シリーズのグラント郡第三作の本邦初翻訳作品である。 昨年一二期を合体させたミステリー大作『スクリーム』によって、現在のウィルシリーズと過去のグラント郡シリーズが一つになった。二つの時代を股にかける連続殺人事件の存在が明らかとなり、現在と過去が交互に語られる合体作が奇跡のように実現したのである。日本の読者はそれを体験した後で、またゆったりと過去シリーズにお目にかかることになったというわけである。 シリーズの現在から過去へと前後の脈略を逆に、翻訳されてしまっているこの状況は、日本人読者にとっても作者にとってもあまり幸福なこととは思えないが、それぞれのシリーズを往来するキャラクターが、歳を取ったり若返ったりするのを勘案しながら、それぞれの成長や変化や過去体験を楽しむというあたりで、ぼくら日本人読者は落ち着くしかないだろう。それもまた楽し、といったところか。 本作は、警察署長ジェフリー・トリヴァーと医師サラ・リントンを主役としたグラント郡シリーズでありながら、同時に一作目以来悲惨な体験を潜り抜けてきた女性警官レナ・アダムスに相当な焦点を当てた作品ともなっている。レナは、本作では驚いたことに前作までの職業であった警察官を退職し、今はグラント工科大学の保安要員として働き出している。その大学こそが、実は本作のほぼ全編に渡る舞台なのである。警察をやめたレナは、警察と協力して事件の真相を探る立場となっている。 まずは大学裏の橋からの男子学生の飛び降り自殺で物語はスタート。そこに駆け付けたサラが偶然同乗させたまま連れて来てしまった妹テッサが刺されて重傷を負う突発事件が発生。さらに翌日には飛び降り自殺の目撃者であった女子学生の死。こうして連鎖的に起こる凶事により、最初の男子学生の自殺も土台から揺らいでゆく。 怪しい人物が学内にも保安部内にも学生寮にも多く登場するに至って、真相は深い闇の底に沈んでゆくかに見える。薬漬けの学生。複雑な人間関係。学生とその両親間の葛藤。 大学組織そのものへの捜査の梃子入れが必要と思われる状況の中、第三、第四の殺人が起こり、さらに事態はもつれにもつれる。保安要員としてその中心軸のような立ち位置を保つレナと、捜査の先頭に立つジェフリーとサラ。彼らを取り巻く複雑な人間関係はどこへ向かってゆくのか? 事件とミステリーを中心の物語としながら、シリーズ作品としての人間関係の変化、進展、憶測を語ってゆく作者の目論見が、見事にはまる一作。パトリシア・コーンウェルとも共通する一シーン一シーンの長さが、相変わらずこの作者の特徴であり、ぼくの苦手とするところなのだが、一方で人間関係のディテールへのこだわりは、この手の女性ミステリー作家ならではのものと諦観を決めて楽しむべきだろう。 それにしても最後の最後、意表を突くエンディングには驚いた。この作者、やはり巧い! | ||||
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グラント郡シリーズ3、とにかく凄かった。 読みながら感情が追い付けないほど次から次へと起こる悲劇だった。 私はずっとレナが好きになれず、レナがどうしてこんな人間になったのか不思議だった。今作、それを読んで理解できたと思う。ただ、残念ながら今後のレナはたぶん変わらない。レナがサラのような人と出会い救ってくれたと 願うが先の展開を知っているので無理だろう。サラとジェフリーの関係性は発展していく。互いに絶対的必要な存在。 今作はレナがヒロイン的でサラの出番は少なかったが、やっぱりサラが好きだと思った。 サラの妹テッサに起きた悲劇、家族で乗り越えてほしい。カリンスローターさんの作品は本当に素晴らしいと思う。本格的なサスペンス、事件、登場人物に人間模様が巧みに書かれていてどうしても他作品と比較してしまう。 今回も良作だった。 | ||||
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<グラント郡>シリーズ3弾。 事件自体は今回も巧妙で、……犯人は終盤までわからなかった。 中心はジェフリー、サラ、レナ。 前作に続き、とりわけレナのシーンが多くインパクトがあった。 ここでのレナは、#1『開かれた瞳孔』で負った心理的ショックから立ち直れないまま7か月前に警官を辞め、地元大学で警備員に就いている。その大学内で次々と発生する事件。指紋検出によりレナは重要参考人となるが、警察を離れた現在、調査にたいへん非協力的である。 レナの立場で考えれば、本当にぼろぼろの人生で、彼女の中にいまだ巣食っている心理的葛藤を理解できなくはない。だが、とにかくかわいげがない。“強情”ぐらいでは済まない。 たぶん私が<ウィル・トレント>シリーズ(後日譚だが先行発売されている)を通して、ずっと彼女を好んでないせいだろう。特に最新刊ではかなりのくそ女だったし。 本作ではサラも、冷静沈着ぶりが欠如しているところが多かった。元夫ジェフリーに、妹テッサが入院している病院に心細いがために来いと言ったり、ペットに餌をやらせに行かせたり…。自分は病院にただいるだけで(しかも両親もいる)ジェフリーは警察署長で超多忙なのに。終盤にも感情が先立ってジェフリーを非難したり。 ジェフリーだけがとにかく優しい。(他にもいるが、彼の経歴を考えると微妙) そして何より、非常に冗長だった。スローター作品は元々その傾向が強いが。 今回のストーリーに直接関係のない、シリーズのこれまでのいきさつや登場人物の詳細なども述べられたりしているので、本書を単発で読む人にとってはなおさら煩わしく感じるのではないか。 私が個人的にレナを好んでないとはいえ、内容自体はよかったので、全体的にもう少し無駄がなくスピード感があれば――と思う。 | ||||
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