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シュロック・ホームズの迷推理



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シュロック・ホームズの迷推理の評価: 4.20/5点 レビュー 5件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.20pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

吉田誠一訳の「アスコット・タイ事件」の訳が酷い

「アスコット・タイ事件」と「シュロック・ホームズの復活」のみ、既存の2短編集と重複収録。その他はこの文庫オリジナルのシュロック・ホームズ物。

他のレビュアーの方も書かれているが、これのみ吉田誠一訳(他は深町真理子訳)の「アスコット・タイ事件」の翻訳がひどすぎる。

お話の「落ち」になる「アスコット競馬場のTIE」。この「TIE」を「勝ち抜き試合」と訳してあり、意味不明。
そもそも「勝ち抜き試合」って何のことかと思ったが、辞書をみると、サッカーの「同点決勝、いわゆるPK戦」のことだ。それを、辞書にあるとおり「勝ち抜き試合」とバカ真面目に記述したのだろう。

しかし、競馬の話しなのだから「TIE」は「2馬以上同着」の意味に決まっているじゃないか。
この訳をそのまま収録した編集担当も酷過ぎ。

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(追記 『シュロック・ホームズの冒険』収録分との違いの謎)
念のためと思い、「アスコット・タイ事件」が元来収録されていた短編集『シュロック・ホームズの冒険』(ハヤカワ文庫)を入手して、確認してみた。訳者名義は同じ吉田誠一。
しかし、驚くべきことに「TIE」は、「合同レースの決勝戦」という表現であり、このほうがまだ、競馬用語的には正しい筈だ。
それだけではなく、多くの訳語の選択が微妙に違うし、他のレビュアーさんに不評だった「ワトニイ君」「ホームズ君」という表記も、ハヤカワ文庫版にはない。(「ワトニイ」「ホームズ」となっている)
それに、ハヤカワ文庫版にあった、「馬車の御者の怪しい行動」も、光文社版ではなぜか抜けている。

以下は私の想像である。
そもそも短編集『シュロック・ホームズの冒険』は、後書き・解説を深町真理子が書いているので。ほとんどの作品が深町訳だという思いこみがあったのだが。
調べてみると、全12編のうち、深町訳:8編、吉田誠一訳:1編、小笠原豊樹訳:1編、志摩隆訳:1編、永井淳訳:1編という、連作短編集としてはいびつな組み合わせである。当然、使われる用語や、ダジャレネタへの対応のレベルも様々であっただろう。
そこで、後書きを書いた「代表訳者=深町真理子」が、他の人の訳文に手を入れ、シリーズとしての統一性を図ったのではないだろうか。

今回の光文社文庫版では、早川文庫版で深町が統一する以前の、オリジナル吉田誠一訳(「EQMM」'63.10及び世界ミステリ全集18「37の短篇」('73)に収録)が入ってしまい、その違和感が出てしまったのではなかろうか。

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(追記の追記)
なお「アスコット・タイ事件」は、『ミステリマガジン』2011年3月号に、日暮雅通の新訳で掲載されているので。この訳では、より完璧な訳が提供されているのであろう。

・上記『ミステリマガジン』を入手して、新訳を確認してみたところ、「TIE」は「二頭が同着」と訳してありました。
また、吉田訳で不明だった「続けて行わえる2つのレースのあつかい」が、この訳では「統合レース」と明記してあって、明解。
シュロック・ホームズの迷推理―英米短編ミステリー名人選集〈7〉 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:シュロック・ホームズの迷推理―英米短編ミステリー名人選集〈7〉 (光文社文庫)より
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