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晴天の迷いクジラ
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晴天の迷いクジラの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 1~20 1/3ページ
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作者の筆に圧倒されながら、読み進めていった。章ごとに3人の主人公たちの生い立ちから現在までの人生が綴られ、その苦悩や絶望がリアリティを持って描き出されていく。 キーワードは「母」であろうか。正子は母親の偏愛に、由人は偏愛の外側にあるものとして、野乃花は孤独な子育てに苦しむ母としてそれぞれに苦しみながら生きてきた。立場も性別も年齢も違うこの3人に、私は強く共感する。ヒリヒリとした感覚が痛いほど感じられる。それは、とりもなおさず、作者の筆の力にほかならない。 死を覚悟した由人と野乃花は、ある町の湾に迷い込んだクジラを見にいくことにする。その旅の途中、生きることに疲れ果てた正子を拾う。3人は、かりそめの家族として、雅晴の家に滞在することになるが、そこでの日々が3人の心を柔らかく変えていくことになる。ここに登場する「おばあちゃん」の存在感はとても大きい。その何気ない言葉の中にも、先の戦争をくぐり抜け、命の儚さも尊さも経験してきたからこその重みがある。そして、限りなく優しい。 絶望のどん底の淵を描きながらも、微かな希望の光を差し込ませる。真っ暗でないと見えない光。ここにも、作者の筆の力を感じざるを得ない。 | ||||
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バーベキューで孫たちが喜んで食べていました。 | ||||
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ラストの展開に警察が登場しないという筋書きに現実味がないのは気になる。ラストの展開自体は良かったが。 登場人物各人が抱える辛さに共感。魂が震える気持ちで読み進む。脇役たちの憎たらしくも憎めない、でもやっぱり憎たらしいという人間らしさの塩梅も読ませる。 由人の章の軽度の鬱状態をリアルに読ませるジャブに始まり、野々花の章で古い世代ならではの世間の厳しさに追い詰められていく描写は今読むと新鮮。政治家の義父の描写は唸らされる。 正子の章では母と娘の閉じた関係と自由を教えられた友達との葛藤が心と体を蝕む。辛み。門限をいつの間にか破るようになったそのいつの間にかを書かない事で、より正子に共感できる仕掛けになってる。 最終どうしようもない孤独を抱えた彼らが出会い、旅先で出会った一家との交流を通して少しだけ違う角度から自分の人生を眺めた先に鯨がある奇跡を起こす。 終章は展開が力技なのに勢いのまんまに読ませられるのは3人の人生に客を引き摺り込む描写の力かな。なすすべなく周りの人のどうしようもなさに巻き込まれる彼らに魂が震える。それは彼ら自身もそうで、孤独な魂が共鳴し合った時点でそこには少しの救いの余地が見える。段々とそれに3人が気づいて行ってほしい、自分も気づきたいという願いが自然と涙を誘う。本の中だけの奇跡なのか現実でもそんな風にいれるのかはまだ分からないけど、少しだけ信じてみたい気にさせてくれる。本の中だけじゃんと言わせない、わざとらしくなさがあると思う。 人と人が一瞬でも心が通いかける、でも通ってるのか誰にも分からない。だけどそれを求めてしまう事が生きること、生きてしまうことだというメッセージを感じた。でもやっぱり窪さんという作家の生み出す奇跡の中にいるこの人たちが眩しくて羨ましいな。 | ||||
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親子関係の上手く行かない描写、何が好転させ何が後退させるのか難しく、その辺りを上手く描いています。 | ||||
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登場人物の感情表現に形容詞をあまり使わず、動作や背景、風景など作中に散りばめられた様々な要素から、各人物の心境を考察する事が出来るとてもおもしろい文章でした。 読み方や読み手によって印象が違う事を想像するのも、楽しめると思います。 ただ物語の後半になるにつれ、展開が乏しくまったりし過ぎな気もしました。 | ||||
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人生再生作品です(^-^*)/ 主人公の弱りゆく様は有りがちですが、野乃花の弱りゆく様は壮絶で一気に引き込まれましたし、 そんな野乃花と正子の新たな繋がりも見事で感動しましたし、 そこにクジラを組み合わせた点も素晴らしかったです! 人生に様々行き詰まった人たちの再生作品としてオススメです(^-^*)/ | ||||
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閉塞感を抱えた3人の物語。無理矢理、3人という登場人物を織り交ぜた感はありますが良作と感じます。 | ||||
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自分は親が支配的で虐待されて育ったため、親が好きになれずずっと離れて暮らしてきました。野乃花も正子もとても共感しました。これからも親との関係で悩みは尽きませんがこの本で少し救われました。他の作品も読んでみたいです。 | ||||
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読了:2017年156冊(12月11冊)★3.9 『晴天の迷いクジラ (新潮文庫)』2014/6/27、窪 美澄 (著) 最初は、ふーん、とあう感じだったが、最終章になるにつれ、感動が増していく。『ふがいない…』より好きかも。本書では家族のしんどさ、親子のすれ違い、夫婦の欺瞞、人間の弱さなどを描く。『ふがいない…』は、誰にも完全な救いはなかったが、本書には少し暖かい終わりで結ばれている。由人、野乃花、正子、みんな死に向かう辛さを持ちつつ、生へUターンする構成はシンプルだが感動的だ。それをクジラの姿も重ねつつ。本書の主張もシンプルだ。「死ぬな」どんな歪みがあっても誰かが心配している。無碍にせず、たまには思いおこそう。 ───「由人くん、死ぬなよ」雅晴が由人の顔を見てそう言った。声はもう震えていなかった。「絶対に死ぬな。生きているだけでいいんだ」総か、と、由人はまた思う。悩む必要なんかなかったんだ。連淡自殺しようとした野乃花にも、リスカしている正子にも、そして薬飲んで何となくこの世からいなくなりたい自分にも「死ぬなよ」って。ただそれだけ、言えば良かったんだ。(p.403) | ||||
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『ふがいない僕は空を見た』に続き読ませていただきました。これも、いい本だと思います。著者の世界観に圧倒します。 | ||||
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「ふがいない僕は...」から好きになった作家。 文章の運びや表現は普通なのに、吸い込まれていくほど登場人物の背景が自分に重なる臨場感がすごい。 正子、野乃花、由人それぞれの今までの生い立ちを、一緒に背負ったかのような感情移入をしてしまった。 生きることの苦しみと、そこまでに至る自分と自分以外のどうしようもできない環境に私は潰されそうになった。 | ||||
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小説をあまり読まない私にとっては、物語として特別感じることはなかったです。ですが、最後まで読んで、作者が伝えたかったことは理解できたと思います。そしてそれは、シンプルですが、とても意味のある言葉だと思います。 | ||||
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なぜ生きるのかを再度、自らに問うことへと繋がる。届かない思いを大切に。 | ||||
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それぞれ心に何らかの迷い、傷を持った3人が織りなす物語に深く引き込まれました。性格描写が素晴らしい。物語の展開が素晴らしい。読後感が素晴らしい。著者の作品を読んだのは2冊目ですが、これからすべての作品を制覇していこうと思うほど、力を持った作家です。 | ||||
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この本を読みながら、とても幸せな気持ちになりました。 決して話の内容が「幸せ」なわけではありません。 むしろ不幸を、淡々と、しかも克明に綴っています。 果たして小説家というものは、ここまで人々の不幸を、「まるで自分が体験したかのように描けるものなのでしょうか?」、実は、「窪さん自身が実際に体験したものなのではないでしょうか?」、そう思わせるほどに、不幸な生活を強いられた人々の描き方がうまいのです。まるで、その人物たちの生活を近くで見てきたかのようです。 なるつもりがないうちに母となり、子どもを虐待してしまう主人公。母親に愛されずに家を飛び出した男。母の干渉に耐えきれずに拒食症となり、リストカットを繰り返す少女。 それらの登場人物の、生活と心象風景を、淡々と言葉を置いていくことで描いていきます。 ◇ 「だけど、そもそも人間は自分以外の誰かの気持ちなんて、『わかる』ことがあるのか、と車のキーを抜きながら由人は思う」 「『正子ちゃんのここには』おばあさんが正子の左右の肩に両手を置いた。 『正子ちゃんのここには、きっと、お友だちもお姉ちゃんも、おるとよ。正子ちゃんはその人たちの代わりに、おいしかもん食べたり、きれいなもんを見たりすればよかと。それだけでよかと。生き残った人ができるのはそいだけじゃ』」 ◇ その言葉の一つひとつが心に滲み、心を揺さぶります。 その心に滲み込む何かと、揺れが、振動が、とても幸せな気持ちにさせてくれるのです。 小説のストーリーではなく、言葉そのものが心の中を揺さぶります。 これは、もしかしたら私が作者に白旗を上げているのかもしれません。「かないません。こんな話を書けるのはあなたしかいません」と。 | ||||
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窪作品はずしんと重くて、軽くトラウマになることがあるのですが、 この作品は後味もそんなにニガくなくて良かったです。 | ||||
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窪美澄の作品を読むのは、デビュー作「ふがいない僕は空を見た」に続いて2冊目だ。人間の業を描きながら「いのち」の核心に迫ろうとするデビュー作は傑作であった。そして、作者の姿勢は本作においても一貫している。3人の主人公の置かれた状況はそれぞれに異なるのだが、いずれも湾内に迷い込んで二進も三進も行かなくなったクジラに似ている。迷える動物がクジラであるところがいい。巨大だからだ。「いのち」のシンボルは桁外れに大きくて重い方がよいに決まっている。だが、本作にはデビュー作のようなキレがない。些か冗長な感が否めない。また、幾ら環境が人を変えるといっても、あの田舎のナイーヴな少女が、後にがさつな女社長になるとは考えられず、些か無理があるように感じる。しかし、これら多少の瑕疵に目をつぶれば、本作は読むに値する作品ではある。エンディングでは3人の主人公にもクジラにも、幸福な未来こそ約束されていないけれども、そこには希望の光を見てとれる。悩める人々に注がれる窪美澄の視線は温かい。 | ||||
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「不甲斐ない僕は~」から連続して彼女の作品を読んでみて、自分の人生にスパイスが 加えられ、眼を通して見える世界の色、出会う人々の表情がちょっぴり明るくなったと思う。 そう思わせるだけの筆力が彼女にはあり、作品を通して読者の人生に影響を与えられることは、 作家冥利に尽きるのではないだろうか。彼女の才能に乾杯。 | ||||
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商品はとても綺麗で、満足です。 内容は、心に残る作品でした。 今後とも、良品の提供を希望します。 | ||||
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時間の無駄にならない 数少ない人間が描ける作家 これからも楽しみ | ||||
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