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(短編集)
ふがいない僕は空を見た
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ふがいない僕は空を見たの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全131件 101~120 6/7ページ
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それぞれの作品は単独で成立しているが、連作短編集になっている。5作品の主な登場人物は共通しているが、語り手である「私」「俺」が変わっていく。 「ミクマリ」は、いきなりアニメおたくの主婦と高校生の特異なセックスシーンで始まる。「どこが山本周五郎賞?本屋大賞第二位?」と思っていると、どんどん深くはまっていく。 アニメおたく、不妊症、ネット社会、ひきこもり、カルト宗教、老人問題、貧困、学力、ホモセクシュアル、命、結婚、離婚など、あらゆる社会問題を網羅している。 高校生の斎藤君のお母さんで助産院を営む女性が、とても魅力的だ。 | ||||
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一つの出来事に対して,それに関わる人たちの悩みや想いがうまくつながっているように,しっかりとした構成で書かれていると思いました。世間的に“良いこと”をしていても,される方の受け取り片もあり,“余計なこと”“迷惑”になることもあるのに,それを批判するようなことを言うと,「善意が分からないなんて」「悪気があるわけじゃないのだからそんなふうに言わなくても」などとされてしまいます。でも,世間的に良くないことだとそうはならない,むしろ同じように気味悪く捉えられたりと,結局はその人の判断の押しつけなんだな,悪いときは歩み寄ってはくれないんだなといったことを考えながら読んでました。でも,最後に命の尊さというか,「いろいろあるけど人って何か健気に頑張るよね」という内容だったので,気分よく読み終えることができました。 | ||||
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R-18文学賞大賞作品「ミクマリ」の斎藤くんとその周辺の人々をめぐる連作短編集。 出だしから、うまいなーと感心しながら読み進める。でも、そのうまさというのはプロのライターの書く小説の上手さであり、正直、性やコスプレが題材に使われることには抵抗があった。性と生はすごくつながっているんだけども、うーーん、という感じで・・・。 「セイタカアワダチソウの空」を読んでびっくり! 抑えた文章の中に確かに存在するのは、まぎれもなく山本文緒氏の評するところの「この世に生まれ落ちることの苦悩と喜び、その凄まじい痛みに涙が出た」このままの心境になったのである。淡々と爽やかに描かれているけど、けなげに冷静に自分の運命を受け入れている福田くんに涙した。田岡の哀しい習性と人間臭さにも・・・・。 この一編がすべてを物語る。すべての登場人物を理解できる。 つまりそれぞれの登場人物が見上げた空は、ふがいないけど、どこか優しい空気で繋がっているということだろうか。 結果的に、今生きている人々の抱える問題や貧困、孤独感もきちんと描かれて山本周五郎賞にふさわしい作品になった。 | ||||
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それぞれの登場人物が最終的にどうなるのか気になって読み進めましたが結末はなかったのが残念でした。斉藤くん、里美のその後が気になります。 あまり読書が好きでない私でも読み易い文章で、飽きる事無く読んでいてその世界に入っている時が心地良かったです。読むのが楽しみでした。 図書館で借りるか購入するか迷って他の方のレヴューを見てずっと自分の元にあった方が良い本かなと判断し購入しましたが、微妙でした。 でもこの世界の心地良さはなんなのだろう?爽やかで穏やかな風に吹かれている感覚がしました。 | ||||
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R‐18文学賞にふさわしく、性描写がリアルで、コスプレ、引きこもり、ネット社会による暴露など多くの話題が盛り込まれていて楽しめた。 5つの短編集はどれもリンクしており、最初の物語に登場した人物たちのその後の様子が、別の物語でも描かれていたのもよかった。 個人的には「セイタカアワダチソウの空」が一番好きだった。大変な状況におかれた主人公が自分のことだけでもいっぱいなのに、友達や家族のことを大事にしながら精一杯生きていこうとがんばる様子は応援したくなった。 | ||||
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図書館から本が届いて、ちょっと読みはじめたら… 思った以上のキワドイ描写に「どうしよう…」と戸惑いました。 けれど、ここのとこ、どーも小説を手にしてもページが進まなくて挫折しまくりだったのに、なぜかこれは先に進みたくなって… この先に何かあるのでは!と読み進めました。 結論、読んで良かった! きちんとした書評が既にありますので、 下手に私がチープなことを書いてしまうと嘘臭くなりそうなんで、簡単な感想に留めておきますが… 最後、とにかく号泣。 でした。 一話進む度ウルウルして… 最後はもう声出して泣いてしまいました。 誰か死ぬとか、永遠の愛だとか、 そういうんじゃなくて、そういうんじゃないのに。 ただ全員がガムシャラに生きる姿に泣きました。 こんなの初めてです。 衝撃のデビュー作品。 次回作も楽しみにしています。 | ||||
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ふがいない僕でも、「空を見た」。 決して「下をうつむかずに・・・」だ。 導入部がエロ満載で、聊かこの先が期待薄・・・、 と思うなかれ。 読み進めるうちに、ただの最先端素材を扱った どこにでもあるような作品ではないことに気付く。 登場人物は、現代でありがちな、現実逃避、自己責任 能力の欠如、向上心という言葉を知らない輩なのだが、 それでも「生きる」「生きていく」ためにもがき、 一筋の光明を導き出すために、それが非現実的であっても、 異常な選択であっても、前に進むためにあきらめない。 「性」から生み出される「生」への拘りも素晴らしい アクセントになっている。 改行を極力減らして、一気に作品の世界へ引きこまれる。 「そんな趣味、おれが望んだわけじゃないのに、余計な オプションつけるよな神さまって」 「おれは、本当にとんでもないやつだから、それ以外のところでは、 とんでもなくいいやつにならないとだめなんだ」 この二つの科白には、ヤラレた。 とてつもなく、想像力と着想力が秀逸な新人が現れた ものだ。 人心の奥深さを描くことにかけては、リアリティーが 半端ない。 既読の方は、蛇足だが、腐男塾の「同じ時代に生まれた 若者たち」というシングルを聞いてみてほしい。 ストレートで恥ずかしい曲なのだが、今作品に通ずる、 「生きている理由など、考えないで生きる」という 歌詞が、ズシリと心に響いた曲である。 人間、悩みや、どうにもならない葛藤、逃げ出したくなる 境遇が、えてしてあるものだが、とにもかくにも「生きる」 こと以上に大切なものはない・・・。 つべこべいろいろ言いようがあるけれど、素直に そう思った・・・。 | ||||
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「高校生の男の子が人妻と不倫」というきわどい内容紹介に惹かれ購入。 その内容紹介どおり、セックスシーンの描写が結構でてくるのですが、いえいえ、それは一つのオプション。 この本の骨になっている大きなテーマは、 ふつうに生きているように見える人たちが抱えているさまざまな問題(不妊、マザコン、いじめ、高齢化、貧困、性癖、夫婦関係など)が織りなす ヒューマンドラマ。 そんな日常のドラマが丁寧に描かれています。 何も問題を抱えず生きている人なんてほとんどいないでしょう。 だから、読んでいて、自分にも思い当たるフレーズに出会い、心にグサッと刺さったりしました。 (私は夫婦関係のことでしたが) 風景描写がとてもきれいで、きらきらした感じ。 場面が頭に浮かんできて、映画を観ているようでした。 ふつうに見える人たちの人間ドラマ+風景描写で読後は心にさわやかな風がふきました。 ただ、4つ星なのは、章ごとに登場人物の視点が変わるので、私はそこでいったん集中力がとぎれてしまい、物語に入っていた自分が現実の世界に戻ってしまい、おもしろさが少し落ちた気がしたので。 | ||||
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本屋大賞1位「謎解きは…」より、断然面白い。 ただ、今作品を1位にしてしまうと、読者が増えるわけで、やっぱり「R‐18大賞」受賞作という事もあり、高校生には刺激的です。 現在、高校生の人は大学生になったら読んでください。(こう書くと読みたくなるのが人間の心理だと思いますが) 視点が代わる連作短編集のなかには、秀作がいくつかあります。林真理子「みんなの秘密」、道尾秀介「光媒の花」等。 今作品は、それらに匹敵する出来だと思います。特に、「ミクマリ」は素晴らしい。 是非、期待して読んでみてください。 | ||||
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力作、秀作であることは、多くのレビューを見ても間違い無い。日常、異常、為す者、為される者、それを批判する者、全ての登場人物に対し、一方的に肩入れすること無く、かつ、現代的で普通の生活者目線で淡々と語るところに、圧倒的なリアリティを感じる。つまり、これこそが現実である、ということ。一点、注文を付けるとすれば、オタク、不順異性交遊、子供の万引き、迷惑を掛ける痴呆、扶養放棄などの「眉をひそめる」人たちと、犯罪である児童性愛を同列に並べ、「仕方が無いこと」の様な印象を与えるのは、如何かと思った。 | ||||
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深く、そして濃い文章。初めて読んだ作家さんだけど素晴らしかった。 でも後半はそんなにエロスもなく、後半からのテーマは「生」という印象を受けた。R-18がテーマだったけど、全体を通してそこにいくつもりだったのか、そこは測り兼ねた。 結局この少年は何を学び、何に生かすかというところまでもう少し見たかったなあという感じでした。性が生につながっていくというところを書きたかったのかなあ・・・おもしろいはおもしろいけど、自分の期待とは違っていたので4つ。 | ||||
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誰もが事情を抱えていて、必ずしも上手くはいかなくて 生まれながらにハンデを背負っていたり、 過ちを犯してしまうこともある。 それでも皆、自分なりに、一生懸命生きている。 悪いこともあれば、良いこともある。 力強く、生を肯定する作品です。 構成も文章もすばらしく、楽しく読めます。 ここ数年で読んだ小説の中で、一番感動しました。 | ||||
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こんな言い方をするのは何だが、初めての小説集にして最高傑作といえよう。文章もうまく、表現力も抜群。 「女による女のためのR-18文学賞」大賞は、エロい系官能小説の登龍門で、もちろん本書もセックスシーンはある。しかしそれだけに留まらず、青春や人生のままならなさ、男女間や家族間のすれ違いが鮮明に描かれ、最後には微かな希望が見えてくる。 しばらく本をじっと見ていたが、バカなことをしてても、我々人間は滑稽で愛おしいものだと思って眺めてたのだろう。ほんの少しでも、誰かを好きになりたい人には、ちょっとエグいけど、勧めたい。 | ||||
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衝撃的な面白さでした。5編の連作短編集です。 「女による…R18文学賞」大賞受賞作が第1話。これは、アニメオタクとか不妊治療とかの最先端素材を入れ込んだエロ話です。それなりに、ふーんと感心します。 だが、2話からが凄い。そこで出てきたキャラクターを中心視点人物に据え、それぞれの話をリンクさせ、一つの事象を深く深く作りこんでいきます。マザコン、ネット社会、体外受精、ひきこもり、新興宗教、児童虐待、ぼけ老人、児童性愛…そんな現代社会の課題が力まない形で素材になっています。日本アカデミー賞映画を3本続けて見た気分でした。 特に、「セイタカアワダチソウの空」はすごい。凄い、すっごーい。読み終わって、しばらく体中がしびれました。これは間違いなく高校生青春ストーリーのマスターピースの一つです。セックスなんて要素は全く出てきません。スポーツも関係ありません。でも、ここにはきらきら懸命に輝く青春の結晶があります。 「セイタカアワダチソウの空」を、だれか映画監督に読んでほしい。絶対に映像化したくなるはずです。 そもそも「ふがいない僕は空を見た」なんてすばらしい題名をつけられた時点で、作者の才能は間違いないんです。この題名と同じ言葉は、連作小説内のどこにも出てきません。音楽作品のアルバム・タイトルみたいなものです。そういうことからしても、一流ってわかるでしょ? | ||||
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久々に凄い新人(?)の作品を読みました。観察力。それを表現する力。組み立て。何をとっても凄いです。長編もいけるんではないかと思います。是非挑戦してください。 | ||||
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もともとは、2011年本屋大賞第2位ということで、手にした本書ですが、第24回山本周五郎賞(以下、Y賞という)を受賞していることも知りました。 しかし、一番意外だったのは、新潮社主催の「女による女のためのR−18文学賞」(以下、R賞という)なるものがあり、本書の第1短編【ミクマリ】が第8回受賞作であると知ったことです。 HPには、「世にエッチな小説は数あれど、その95パーセントは男性による男性向けのもの…女性が読んでもナチュラルに感じられる、エロティックな小説を読んでみたい、書いてみたい…諸姉諸嬢のために」創設されたとあります。 つまり、「性」がテーマの小説が対象となっているということ。 本書は、さきほどの第1短編に続き、【世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸】【2035年のオーガスム】【セイタカアワダチソウの空】【花粉・受粉】の4編が収録されていますが、確かにかなり多くの性描写を含む小説群となっています。 私は男ですが、じつのところ、性描写については、40代のオジサンとしては、取り立てて色めき立つようなものはありませんでした。 それよりも、私はR賞が【ミクマリ】での受賞であるのに対し、Y賞が5編から成る本書全体に与えられていることに注目しました。 【ミクマリ】は多くの部分が性描写で占められているのですが、1編ごとに性描写は減っていきます。代わりに増えていくのが、「妊娠・出産」と言った「生」に関する描写です。 私は著者が描きたかったのは、「性」ではなく、「生」であったと感じています。 R賞の性質上、【ミクマリ】は露骨な性描写が多くなったのに対し、次第に「生」を描く作風に変化していき、それが5編の作品全体のY賞受賞に繋がったのではないか、そんな気がしています。 いずれにせよ、ともすれば悲惨さだけが浮き立つようなところを、「希望」を感じさせる作品群に仕上げている、好印象な物語でした。 | ||||
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読み出しは確かに「女による女のためのR-18文学賞」受賞作品で 性描写が続く。 しかしテーマは性だけでなく、 人を思う気持ち、夫婦、嫁姑、親子、恋人と、 全編を通して登場人物が上手くつながっており、 作者の冷静な視線がどの人物に対しても陰日向なく降り注ぎ、 人間対人間で生まれる感情を描写している。 上手いな〜。 読みやすく、しかも思いが胸に残る。 面白いです。 どの章の主人公も応援したい気持ちになる。 | ||||
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2011本屋大賞の2位。 1位にはできませんよね・・・ 短編でつむぐ,この方法は,確かに読んでいてリズムは出るのだけれど,物足りなさは残る。「あぁ,もうちょっとここを・・・」 「あれ?ここは書かないの?」といった読後感はある。 リアルな描写が過ぎることで,それはそれで満足度が高いのだけれど,ほかの本を読むときに影響が出てしまう。これは読書だけに限らないのだけれど,リアルを追及されちゃうと,次には抽象的なものを読みたくなってくるのです。 この一人称で統一した本書は,とても切ない物語が詰まっています。 | ||||
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他のレビュアーの方も仰る通り、最後まで読んで下さい。“生”について深く考えさせられる本です。短編のどれも違う視点から描かれていて、違う価値観、立場をもって生きています。その生きるという必死さ、立ち向かおうとする様が丁寧に、時には荒々しく表現されている。特に最後の章は感動ものです。心に残る一冊でした。 しかし、なぜ星が5じゃないか。というと、文章表現力に甘さがあるからです。使い古された表現または解りにくさが随所に目立ちます。 視点(登場人物の目線にズームアップした状態)から少しずつズームダウンして周囲を見ていくため、視点の周囲の事柄がボヤけ気味。そこに重要な事柄が含まれていても同様。結果的に、感動に至らない部分も出てきます。 以上は減点せざるを得ないです。残念。 とは言え、本作が著者のデビュー作であるのだから、今後の活躍にも目が離せません。次回作にも期待大です! | ||||
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「本屋大賞2011」のノミネートで知った作品。 しかも、レビューの評価が高いので大賞受賞すると予想して購入。 完全にミーハー的な感じで申し訳ないです。 内容的には、予備知識が全くなく読み始めたので最初のエロ小説的展開には驚いたが、 結局は、現代社会での諸問題に巻き込まれて生きている人々が、 そのどうしようもない辛い現実を受け入れつつも、何とかして生きて行こうという姿を描いた作品といえる。 こう書くと、これまでも同様の作品があったので真新しさが無いように思えるが、 その人々を繋いで描く構成力と、主人公たちの冷めた目線を活用した文章力で勝負したという感じ。 特にこの目線は、辛い現実を諦めて受けいれているようにも、 でも心のほんの小さな部分で何とか打開したいと考えているようにも取れる描き方で、非常に秀逸だと感じた。 「本屋大賞」を取るか、上位入賞で話題となるでしょう。 映画化、といういつもの展開になるかもしれない・・・。 | ||||
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