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サイコセラピスト



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【この小説が収録されている参考書籍】
サイコセラピスト (ハヤカワ・ミステリ)

サイコセラピストの評価: 3.79/5点 レビュー 14件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.79pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(5pt)

(2024-21冊目)「本物の愛はとても静かで、とても穏やかなものよ」(119頁)

ロンドン北西部のハムステッド・ヒースに暮らす画家のアリシアは写真家の夫ゲイブリエルを殺害した廉で逮捕されたが、一切口をきかず、現在は精神科治療施設に収容されている。心理療法士の私=セスは、事件の真実を知りたくてその精神科治療施設に就職を果たす。セスは初めてのセラピーでアリシアからいきなり襲われる。果たしてアリシアは本当に夫を殺害したのか……。
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 2019年に発表されたイギリスのサイコミステリーで、世界的大ベストセラーとなった作品です。その評判は邦訳が出る以前から聞いていましたが、遅ればせながら今回手にしてみました。上下2段組で350頁という長編ですが、あまりの面白さにわずか2日で読了してしまいました。

 陰惨な事件、口をきかない容疑者、精神科の怪しげな患者たち、とミステリを禍々しいものにする道具立ては揃っています。そして一人称で語る心理療法士セスが、精神科施設のルールを時に破りながら真相に肉薄していこうと努力する姿が魅力的です。

 しかもこのセス、私生活では女優をしている妻のキャシーがどうも浮気をしているらしいということに気づいてしまいます。幼少期、暴君的な父に育てられて萎縮した人生を送ったセスは、人とのつきあいに臆する気味があります。そんな彼がようやく出会った伴侶であり、人生を豊かで生きるに値するものと信じさせてくれる女性がキャシーです。その相手から手痛い裏切りに遭うのです。セスの心の傷の深さを思い、読んでいてやるせない思いにかられます。読者がセスの中に自分の姿を見出す瞬間があってもおかしくないでしょう。

 物語はやがてアリシアがつけていた日記をセスが手にするところから怒涛の展開を見せ始めます。ストーリーの禍々しさはどんどん増していき、私は、あれっ、ひょっとして、これってこういうことだろうか、と頭をフル回転させながら頁を繰り続け、そしてその果てに、えっやっぱりそういうことだったのか!? と思わず声が漏れてしまう瞬間が訪れたのです。息を呑みました。

 ロンドン郊外で幸せに暮らしていたと思われる家族には実は大きな秘密があったという、まさに近年のミステリ界では大きなサブジャンルとなったドメスティック・ノワールです。そこにエウリピデスのギリシャ悲劇『アルケスティス』を取り込むという巧みな手腕を見せる作者にはほれぼれとしました。
 見事なミステリです。

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サイコセラピスト (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:サイコセラピスト (ハヤカワ・ミステリ)より
4150019479
No.9:
(4pt)

タイトルが、、、

これ、原題の「サイレントペイシェント」のままじゃダメだったの?
サイコセラピストにしたら、タイトルでメインとしたい人物が別になってしまうけど、、、、

内容は、途中で何となくこうかなって想像できたけど、でも面白く一気に読めた。
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No.8:
(4pt)

よく練られたストーリー

よく練られたストーリーで、処女作とは思えない出来栄えでした。
この物語の象徴となるギリシャ悲劇の「アルケスティス」の使い方は非常に巧みですし、犯人と目される女性が何故沈黙を守るのか合理的で説得力のある解決を導いています。心理学的にも興味深いです。
ただミステリーとしてはストーリーの運びに無理があり、アンフェアだと思いました。驚きのラストを迎えるために作者はある出来事について明確にせず、明確にしないことで読者が錯覚を起こすような運びとなっています。上手なマジックは種も仕掛けもありませんとハンカチの表裏を両方見せますが、この作品に関しては種も仕掛けもありませんと言いながら表しか見せていないという感じでした。その点が少し残念でした。
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No.7:
(5pt)

ドストエフスキーがサイコスリラーを書いたらこんな作品に?

文句なしに、ぼく的なブックオブザイヤーNo.1です。
ドストエフスキーが生き返って、サイコスリラーのエンターテインメントを書いたら、こんな感じではと思いたくなるような作品です。設定といい、展開といい、精神分析学的な心理描写といい、よくできています。これが著者のデビュー作とは。

少年期にアガサ・クリスティに読みふけったこと、そして精神科施設で短期間ではあるけれど働いていたこと、 著者のふたつの体験のマリアージュが、上質かつ衝撃的なこの本を生み出したようです。

どんなストーリーかって?
教えられません。結末が衝撃的だから。
エンディング近くで、話は指数関数的に急上昇し、最後のページで思ってもみなかった結末が待っている、とだけ言っておきましょう。

すでにお読みになった方もいらっしゃるかもしれませんが、まだの方はぜひ、このフルボディの味わい深いサイコスリラーに酔いしれてください。
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No.6:
(4pt)

ツイストのきいたプロットとストーリーテリングにデビュー作とは思えない非凡さを感じた

サイコ・サスペンスであることを文字通りタイトルに掲げてのデビュー作とのこと。原題は『沈黙の患者』。読了後の感覚では、直訳タイトルでもよかった気がする。でも取っつきとしてはこのタイトルでも悪くない。ザ・グローブという名の精神科施設を舞台に展開する、まさに精神科診療そのものの物語であり、それを題材にしたミステリーなのだから。

 夫殺しの容疑をかけられた画家アリシアは事件後、頑なに沈黙を続け精神科施設で薬漬けになっている。彼女の沈黙に挑戦するのは、過去、父のDVに悩まされた経験のある心理療法士のセオ。事件の背景を探るうちに幾層もの怪しき人間模様という迷宮に彷徨い込む。

 事件の真相が掴みにくいばかりか、個性的なキャラクターが次々とセオの前に現れ、セオ自身は妻の浮気に鬱屈をつのらせる中で、やめていた喫煙や大麻にまで手を出し始める。再生の物語と見える序章が次第に不安に満たされる。

 前半は退屈に思えたものが、最終章で一気に思いもかけぬ方向にツイストする。写真や絵の中に現れる、謎の男の影。夫婦だけと思われた銃撃事件にもう一つの影が忍び寄っていたか? そうした疑いの生成を境に物語は屈曲を始める。

 キプロス生まれの作家による、ギリシア神話を題材にした、ロンドン郊外の物語。デビュー作にしてこの驚愕を読者にもたらすとは。ニューヨークタイムズ・ベストセラーリストに連続23週ランクインというロングランヒット。さらに版権は40ヶ国に売れ、日本でも同年邦訳となるこれは早川書房快挙であろう。作品は映画化権まで争奪戦が繰り広げられたそうである。プロットとストーリーテリング、どちらでも快挙と言える実力型新人の驚くべきデビュー作。

 ご紹介頂いた友人たちに改めて感謝である。
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No.5:
(5pt)

よくできている

Alex Michaelidesの『The Silent Patient』(2019年)の翻訳。
 よくできたミステリである。周到に張り巡らされた伏線、巧みなミスディレクション、意外な結末となおかつ腑に落ちる感覚。世界中でベストセラーになっているのも納得だ。
 訳文はこなれていて読みやすい。
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No.4:
(4pt)

原題のままがいいのに・・・

実は翻訳されているのを知らずに原著を先日一気読みしてしまった。
日本語にどう訳したのか気になるので機会があったらこちらも読んでみたいと思っていますが
これ、原題のままのほうが良かったのでは?(サイレントペイシャント)
う~ん、翻訳本の存在を知らずに先に原著を読んでいて良かったと思いました。
英語が比較的平易だったので、kindle持っている人は原著を読んでもいいかも。
昨今流行りのツイストあり。
面白かったんだけど、最後があっさり終わったなぁ・・・と。
日本語だともっと余韻を醸すのかもしれないと期待します。
あとパソコンもスマホもちょっと出てくるけど、記録手段が手記な事が多いのと雰囲気とがもっと古時代の
ゴシック小説じみてて、そこも好みでした。
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No.3:
(4pt)

アリシアがそうなった理由の説得度

アリシアがなぜそういう状態になり、刑務所ではなく精神病院に収容されているのか、その理由が納得いくものでありますようにと願いながら読んだ。最後に明らかになったとき、自分としては納得いくものだったので、必然的に星の数も多くなった。
舞台が病院だし、あやうい感じの人が多く登場するので、読み心地に多少の気持ち悪さはある。その気持ち悪さも含めておもしろかった。
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No.2:
(4pt)

読んで損は無し

面白いです。特に後半は一気に読めました。
少し突っ込みどころはありますが、目を潰れる範囲で面白いです。
しかもこれが処女作という点も評価されるべきだし、今後の作品も期待されます。本作は既にハリウッドで映画化も決まっているようです。製作はブラッドピットの製作会社「プラン B」です。映画も期待できそう。
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No.1:
(4pt)

スティレットの切れ味を持った納得のサイコ・スリラー

「サイコセラピスト "The Silent Patient"」(アレックス・マイクリーディーズ 早川書房)を読み終えました。
 画家のアリシアは、ファッション写真家の夫の顔面に5発の銃弾を打ち込み、それ以降一言も言葉を発せず精神科施設に収容されます。沈黙の患者として。司法心理療法士、セオはアリシアに対して自分なら心を開かせられるとの思いから、アリシアが収容されている精神科施設に就職します。
 何故アリシアは夫を銃殺したのか?その後、何故「沈黙の患者」となりおおせたのか?それは病、それとも病のふり?心理療法士、セオは粘り強いセッションを継続しながら、一方でアリシアの「過去」の関係者を訪ね歩きます。まるで一人の私立探偵のように。そしてその背後にはエウリピデスのギリシャ悲劇「アルケスティス」が幻のように見え隠れしています。(探偵、ギリシャ悲劇と言うと、西海岸のあの作家に思いを馳せてしまいがちです)

 いつも語りすぎていますので(笑)、ネタバレに注意して今回はここまでにさせていただきます。
 不発だった「ケイトが恐れるすべて」、「名探偵の密室」に比して、今回はページ・ターナーでありながら、最後まで十分に楽しめる内容ですね。
 スティレットの切れ味を持った納得のサイコ・スリラーだと思います。
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4150019479

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