サイコセラピスト
評判
サイコセラピストの評価:
3.79/5点 レビュー 14件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1〜14 1/1ページ
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サイコセラピストの評価:
3.79/5点 レビュー 14件。 B ランク
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2019年に発表されたイギリスのサイコミステリーで、世界的大ベストセラーとなった作品です。その評判は邦訳が出る以前から聞いていましたが、遅ればせながら今回手にしてみました。上下2段組で350頁という長編ですが、あまりの面白さにわずか2日で読了してしまいました。
陰惨な事件、口をきかない容疑者、精神科の怪しげな患者たち、とミステリを禍々しいものにする道具立ては揃っています。そして一人称で語る心理療法士セスが、精神科施設のルールを時に破りながら真相に肉薄していこうと努力する姿が魅力的です。
しかもこのセス、私生活では女優をしている妻のキャシーがどうも浮気をしているらしいということに気づいてしまいます。幼少期、暴君的な父に育てられて萎縮した人生を送ったセスは、人とのつきあいに臆する気味があります。そんな彼がようやく出会った伴侶であり、人生を豊かで生きるに値するものと信じさせてくれる女性がキャシーです。その相手から手痛い裏切りに遭うのです。セスの心の傷の深さを思い、読んでいてやるせない思いにかられます。読者がセスの中に自分の姿を見出す瞬間があってもおかしくないでしょう。
物語はやがてアリシアがつけていた日記をセスが手にするところから怒涛の展開を見せ始めます。ストーリーの禍々しさはどんどん増していき、私は、あれっ、ひょっとして、これってこういうことだろうか、と頭をフル回転させながら頁を繰り続け、そしてその果てに、えっやっぱりそういうことだったのか!? と思わず声が漏れてしまう瞬間が訪れたのです。息を呑みました。
ロンドン郊外で幸せに暮らしていたと思われる家族には実は大きな秘密があったという、まさに近年のミステリ界では大きなサブジャンルとなったドメスティック・ノワールです。そこにエウリピデスのギリシャ悲劇『アルケスティス』を取り込むという巧みな手腕を見せる作者にはほれぼれとしました。
見事なミステリです。
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