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マガイの子
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マガイの子の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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デビュー作とは思えない文章力と細部まで練られた設定を見せつけつつも構成力が足りずにその設定の細かさが足を引っ張り話が拡散していた印象のあった前作『二階の王』 本作は設定の細かさはそのままに東京の姉、地元の弟と人物の視点だけでなく場所を隔てることで、ひとつの事案である『マガイ』を巡る話をホラー風味としての側面とミステリ風味としての側面に分割しそれぞれの視点から話を掘り下げることで場面の転換により読者が容易に意識を切り替えられるように配慮することで話の拡散を防いでいる。 文章力と想像力に構成力が加わった本作でこの作者は本格的に作家として開花したように思う。 非常に読みごたえのある作品で読書好きにオススメの一冊だ。 余談だが、同時にデビューした澤村氏の作品がどんな媒体でも通用する徹底的な万人向けエンタメホラーであるのに対し、名梁氏の作品は小説という世界でしか活かしきれない本好きの為のホラーであるように思う。 読者に考える暇を与えず流れるようにするすると読ませる澤村作品に対し腰を据え、考えさせたり疑問や疑念を抱かせながら読ませるのがその所以だ。おそらく映像にすればこの作者の作品の魅力を半分も引き出せないであろう事は想像に難くない。 読みごたえのある作品というのはそれだけで殆んどの場合映像化には向かないのだ。 | ||||
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著者の作風は、怪奇テイストにホラーとミステリーを盛り込む点にあると思われるが、本来理が通用しないところに生じるホラーと理で読者を驚かせるミステリーは共存が難しい。だがこの作品はそれが巧みなバランスで成立している。ミステリー要素が前面に出される中後半部もホラーが通奏低音として響いていて、クライマックスのハーモニーにつながって行く。 自分が何者なのかというアイデンティティに関わるホラーだからこその成果で、今後それに代わる手法があるのかどうか分からないものの、着眼と構成がすばらしい。最後の1行まで目が離せない。 著者は前作『二階の王』からラブクラフトを意識しているようだが、クトゥルフとは一線を画す怪物のデザインは注目に値する。 ストゥージズと淫力魔人、ジョン・カーペンターと遊星からの物体Xなどの引用の遊びも楽しく、登場人物も魅力的である。 | ||||
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神隠しなどに遭って戻って来た子は人でないものの子に入れ替わられていると云う。チェンジリングとか取替え子とも呼ばれるその伝承が残る地域が有った。そこでは「偽者」と云う意味で「マガイの子」と呼ばれていた。 アパートで暮らしながら美術を学ぶヒロインは警戒心が強く攻撃的。彼女は幼少の頃から「マガイの子」と呼ばれ差別され続けて来た。物語は、そんな彼女と、故郷で高校に通う弟のの話が交互に描かれて行くが、それぞれの身辺に徐々に怪しい男達の存在が見え隠れし始める。 果たして本作はミステリなのかホラーなのか、はたまたサイコサスペンスなのか・・・と想いながら読んで行った先のどんでん返しは、良い意味で予定調和を引っくり返す面白さと痛快さが有った。 | ||||
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