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横道世之介
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横道世之介の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.14pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全141件 121~140 7/8ページ
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80年代が舞台とのことですが、別に現代だと言われても違和感なく 読めたような気がします。 何といっても登場人物がみんな魅力的でした。 とりたてて優れたところのない世之介は、しかしマイペースで 嫌味なところがまったくない、理想的な主人公だと思います。 ヒロインの祥子ちゃんはちょっとずれていてかわいいし、魔性の 女?千春さんも意外に普通のきれいでかっこいいお姉さんでした。 あと友達の加藤君がかっこいいです。好きです。 でもそのうちの誰ともあまり長く深くつきあっていない世之介って、 実はけっこう冷たいのでは…とも思いました。新聞連載ということ が関係あるのかわかりませんが、一つ一つのエピソードがちょっと 唐突で、独立していて、あまり奥行きを感じませんでした。 個人的に祥子ちゃん以外のキャラクターの現在の話はなくても よかったような気がします。 そういうわけで星4つですが、面白いのは文句なく面白いです。 | ||||
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人生に影響を与えるという点で、世之介に才能があったようには描かれていない。それゆえ「どの人の人生も、特別な誰かではなく、それまでに出会ったすべての人々の影響を受けて作られている」ということがテーマかな、と思う。 各章の書き出しが「・・・するのが世之介である。」というように遠景から描かれるせいか、青春小説という割には感情移入がしにくい。また前半は話の起伏に乏しく、正直イライラした。 ところが、途中から挟まれる現在の登場人物との内容的ギャップが、読み進めるにしたがって狭くなる。それが収束したときの風景は、同じ日常なんだけど、見え方が少し変わる。ラストまで読んで、ようやくそのうまさに気がついた。 | ||||
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作者もどこかで言っていたように、「学生時代こんなやついたな」みたいな 主人公に対する親近感とともに、その頃の自分を懐かしく思い出しました。 これってなんだろう? 何かを教えてもらったり、啓蒙されたわけでもないんだけど、 気楽に楽しく一気に読めて、そして、読後にじわじわと感動が 波のように押し寄せて来る、といった感じです。 作者も楽しんで書いているイメージで、これもまた好感が持てました。 | ||||
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普通、小説の登場人物は、あくまでも、小説の中の住人なのですが、 たまに、実在の人物以上に、身近な存在になる場合があります。 僕にとっては、「太郎の青春」の太郎とか、「ガープの世界」のガープ 「龍馬のごとく」の龍馬、「伊丹十三のエッセイ」の伊丹十三のように、 世之介もとても身近な存在の様な気がします。 だから、この作品には愛着が沸きました。 初めて、レビューを書きたくなったのは、 そんな理由からです。 | ||||
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彼の長編はほとんど読んでいるけれど、本作が自分にとっての最高傑作になるような気がしてならない。思い入れのある小説や映画の初見のあとに覚えるのは、感動とか清々しさではなくて、(今回は世之介の)作品世界から自分の現実世界へ引き戻された、この2つの世界の断絶に対するわだかまり、いってみれば想像の世界を自身が去ってしまったあとの強い名残惜しさである。平凡で退屈な現実世界をこれほどまでに共感できる、愛らしく、かつそれを他者の視線や記憶と混じり合わせながら1つの物語を作り上げる作者の小説家としての態度は、自分自身を創作意欲に駆り立てる。 『パレード』において同作者が持ち出した「マルチバース」という概念を、この『横道世之介』では世之介と関わった人の記憶の集積というかたちで再び用いられていると思う。前者では「マルチバース」というものが1人の人間がどこにも存在しないことを言うために利用されたのに対して、今回のそれは複数の記憶や視線が多かれ少なかれ確実に1つのある意味で共有された世之介の記憶、人間像を描写するという逆の意味で用いられていると感じた。 作中で物語が世之介の立場から語られることは少ないけれど、読者は世之介の世界との関わり方は、もうすでに写真家としてのそれだったのだと気付くはずである。 そして、自分がどんな人間になりたいという思いよりも、人にとって自分がはどんな人間であるのか、なりたいのか、さらにはどんな人間として思い出されるのか、そんなことを考えさせる。 | ||||
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ポジティブとはまた違う心の隅で「Yes」をつぶやく世之介の姿勢が、人生に行き詰った人達の背中を優しく推してくれる感じが実に心地よい。 日常の中で善意のメッセージを汲みとる感性の豊かさに本人が気が付くのは本書ではとくに触れられていないのだが、それまでの過程を解きほぐすように綴られているから、読後感が素晴らしい。 哀しみの中に希望と安らぎを見出した彼に関わった人達の背中を彼は再び優しく推してくれるのだろう。 オーバーなドラマにならず、抑制を利かせながら読者の心にしっかり印象を残す本作はじんわりと胸に届く感動作である。 | ||||
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すごい小説だ。この作者は色々な作風があって、当たり外れが大きいと僕は思うのだけど、この横道世之介が一番好きだ。 人生って思い通りにはいかないし、ささいな出来事が人生を大きく変えてしまう事もある。横道世之介と周りの人達の20年後の描写が好きだ。彼らが様々な出来事によって人生の分かれ道を選択した結果の20年後が見事に描かれていた。これが主人公だけならよくある小説だけど、脇役の人生も含めて作り上げると、すごい複雑なパズルになる。だからこの話はなんでもない18歳の少年の、よくありがちな話なのに、こんなにも深く、読み手の心に染みてくるのだ。 | ||||
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毎日新聞連載中、欠かさず読んでおりました。 世之介、どこにでもいそうな学生である。 特に特徴もなく普通の一般家庭田舎の生まれ。 物語の途中で、世之介とかかわりのあった人達のその後が出てきます。 世之介とは同世代なので読んでいて自分の学生時代を思い出したりしました。 終盤「もしかして世之介は・・・・・」と思い込まされる描き方にドキドキしましたが・・・・ ただひたすら世之介の日常を描いた作品、なんの盛り上がりもアクションもあるわけでもないのに、「世之介の十数年後はどうなるの?」という期待を抱いて読んでいました。 不思議な作品です。 | ||||
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吉田修一の本をずっと読んでいて、 作風の幅広さに魅了されつつ、 ときどき「?」という作品もあったりするので 「どうかなー」と思いつつ読んでみましたが、 意外や意外。あらすじだけでは分からないこの面白さ。 ある意味、著者の過去最高作品なのではないでしょうか。 世之介くんは、田舎出で上京したての大学生で 容姿がすばぬけていいとか、お金持ちとか、頭脳明晰とか、 バックグラウンドに恵まれた男の子ではないかもしれないけど 変な魅力があって、その漠然とした魅力を こんなにも筆を積み重ねて書いたその筆力が 吉田修一ならではだなぁ、と舌を巻きました。 そして、何よりも自分が胸を打たれたのは 世之介くんのガールフレンドだった 祥子さんの「その後」でした。 彼とのとある経験が、彼女の人生にこんなにも 影響を与えるなんてと、読み進むほどに 万感の思いがこみ上げてきました。 大学時代を振り返ると、みんな世之介くんだったような気がするし、 自分もまたそんな一人だったかもしれないと、 そんな懐かしさとやさしさが 読み終わったあとにジワジワとこみ上げてくる一冊です。 2009年にこの本を読めて、すごく良かったです。 世之介くん、ありがとう。 | ||||
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20数年前の学生の1年と彼に関わった人の現在がシンクロして展開。 どこにでもいるような青年「横道世之介」。 吉田修一らしい登場人物の意外な末路。 どこでどう結びつくのだろうとわくわくしながら読み進めた。 加筆・修正したためか、一部で、世之介を客観的に扱うような文体が突如として出てきた。ちょっと不思議だった。 *** 「ただね、ほんとになんて言えばいいのかなぁ…。いろんなことに、『YES』って言っているような人だった」 | ||||
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自分が大学生であった80年代の時代の空気を思い出しつつ読みました。 力み過ぎず、淡々とした文体がすごく良かったです。 登場人物の平凡さと非凡さのバランスがいい感じでした。 出来たら違う結末が良かったなぁ・・・というのは もっと続きを読みたかったという私の欲張りな気持ちです。 40も半ば近くになり、昔を思い出すことが増えた私には 近しかった友人のあの頃を本で読んだかのような読後感でした。 80年代の高校生、大学生だった読者向け・・・かなと思います。 | ||||
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世之介は、田舎から大学生として上京してきたばかりの垢ぬけない男の子。 物語は、上京から大学1年が終わるまでの世之介の1年間を描いています。 世之介の友達、あこがれの人、バイト、初めての帰省、彼女、家族… 彼の姿を通して、あ〜、自分もこんなんだったな、とか、こんな要領悪い子いたな〜とか、 クスクス笑いながら読めます。そして世之介を通してクスクス笑う自分は、 懐かしい暖かい気持ちでとても幸せなのに気付きます。 普通っぽく見える世之介は、読んでいる人を知らず知らず魅了し、彼の存在を 愛しく感じさせてしまう、不思議な魅力を持っています。 何をしたわけでもないのに、みんなに愛されてしまう世之介… そして、思いもかけない世之介の最期…胸が苦しくなりました。 でも読んでいくうちに、あ〜、彼らしい最期なんだろうな、と納得していくのです。 懐かしく、暖かく、少し胸が苦しくなる、そんな本です。 読んでいる間は、とても幸せでした。 | ||||
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この結末だけにはして欲しくなかった。悲しすぎます。いい人は早死にするということは実際によくあることなので、小説の中では起きて欲しくありません。祥子ちゃんかボートピープルのあの赤ちゃんと結婚するかいずれにしてもハッピーエンドがよかった。それ以外はすばらしい作品でした。 | ||||
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長崎で生まれた世之介は、名前は「好色一代男」の主人公と一緒だけど、80年代の 東京のどこにでもいた、普通の上京組の大学生。イヤミのないお人好しで、何となく友達ができ、 何となく女の子に気に入られるとにかく、普通にいいやつだ。そんな世之介のありふれた 毎日のきらめきを掬い上げた青春小説の金字塔!(あえて古い褒め言葉を使いたくなるような 王道感がいいんですよーほんと) とにかく、主人公の、ヒーローっぽくないんだけど可愛い男子ぶりがたまらなくよい。 入学式で話しかけられた男子とそのまま友達になり、なんとなく勧誘されて入る サークルがサンバサークルなんていうとんでもないところだったり(別に踊りや ブラジルに関心があったわけでもないので、かなり突拍子もない)。彼の出会う人たちも 小説的に面白いんだけど、どこかに実際にいそうな感じ。ちょっと ズレてるお嬢様で世之介を好きになった祥子ちゃん、いつも一緒 だったけど、意外な理由で大学を去ることになる倉持くんなどなど。 こんな友達が一緒だったら楽しいだろうな〜ちょっと時々疲れても、 みたいな人たちとエピソード満載なのだ。 しかし、この小説、リアルタイム目線で80年代を描いている わけではなく、現代を生きている、世之介をめぐる人たちが 「学生時代、横道ってやつがいたなあ」と思いだしていく回想形式を 上手く取り入れており、そのスタイルで描かれていた理由が次第に 明らかになる。この構成もよかった。 読めば読むほど、なんてことない世之介君が大好きになっていく小説。その ぐいぐいすきになっていく気持ちが心地よい。 | ||||
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「悪人」があまりにも素晴らしかったので、こちらは★4つにしました。 吉田修一氏の描く人物はいつも人間くさくて共感を覚えます。 横道世之介は石を投げれば当たりそうなくらいに普通の大学生ですよね。 青春を謳歌しつつ、それなりに悩み事を抱え、本人は一生懸命難だろうけど、他者からみるとなんだか笑える、そんな毎日です。 恋人の祥子ちゃんがサイコーですね。 浮世離れしたお嬢様と世之介の噛み合わないやり取りは面白いやらハラハラするやら。 人生は自ら切り開いていくしかない、と思っていたけれど、世之介のように与えられた責務に真摯に取り組んでいくことで、道は開かれていくのかな〜と思いました。 爆笑あり、涙腺のゆるみあり、の素晴らしい作品です♪ | ||||
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始めはなんとも情けない始まり方で。これも意図的なものなのでしょうか。読み進めるほどに味わいのある小説でした。友人の台詞にもあるように、彼のいた人生はきっと彩りのあるものだったにちがいなく、後半の、彼を失う喪失感は言葉では言い尽くせないものだと思います。どんなにえらい人物でも素敵な人でも、彼のかわりにはなれない。 1年って、年をとればとるほど、味気なくあっという間に過ぎてしまうものになってしまいました。でもこの本を読んで今一度、その時間のかけがえのなさを感じました。名作(西鶴のような)ではないでしょうが、心に残るお話だと思います。作者と同い年なので、80年代の描写も目に浮かぶようで楽しめました。当時はまだウォークマンだったんですね! | ||||
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80年代学生物と思っていたら、横道世之介が人生の方向性を決めることになった1年生の1年間だけを描いていて、しかも合間に世之介の友人達のその後も挿入されていて、戻れない時間が持つ切なさと世之介の人間性に胸が一杯になった。 「世之介に出会った人生と出会わなかった人生で何かが変わるだろうかと、ふと思う。 たぶん何も変わりはない。 ただ青春時代に世之介と出会わなかった人がこの世には大勢いるのかと思うと、 なぜか自分がとても得をしたような気持ちになってくる」友人加藤が世之介を後に思いだして考えるこの言葉通り、 世之介という人柄が1冊の本から微笑みかけてくるので読んでいて優しい気持ちになる。 読後、憎めない横道世之介の笑顔が心に残る、ということは、読んでいた自分自身が笑顔になっていた本だった。 | ||||
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どストレートな青春小説。文章も物語も登場人物もカラッとしていて心地よい。最近の吉田修一さんは、人間の罪悪の意味を問うた中長編が目だっただけに、ここまで常春な雰囲気の作品は意外な気がしたが、文句なく楽しめた。地方から上京し法政大学とおぼしき大学に通う男子の一年間を巧みに描いた一冊。 都会での初めての一人暮らし、サークル活動、アルバイト、教習所通い、夏休み、帰郷、あるいは今迄にない恋心、デート、めまぐるしく移ろいゆく友人関係、大都市生活での戸惑いと慣れなど、おそらく多くの「若者」にとってお馴染みの出来事やイベントが、実にみずみずしく描かれており、共感し、微笑みながら読み進められた。現役の学生よりはむしろ、卒業してからしばらく過ぎた人が読んだほうが感慨深いだろう。青春は、遠きにありて思うもの。 80年代の群像劇ということで、バブリーな時代のハイテンションぶりや当時の流行モノが随所に書き込まれているだけでなく、この時代を切り取った既存の小説とは異なる時代イメージを打ち出そうとしているような感じもして面白かった(おそらく最大の「仮想敵」は村上春樹さんの作品)。とはいえ最も素晴らしいのは時代の復元などではなく、あくまでも個別のシーンを示唆深く描写する著者の筆の力で、彼のセンスのよさが遺憾なく発揮された傑作に仕上がっていると思った次第である。 | ||||
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映画と写真の世界を行き来する様な感覚の作品でした。 内容は深いとはいい難いですが、また読み返したい、日曜日の午後に読みたい、という感じの作品に仕上っていると思います。 吉田修一は80年代がとてもよく似合いますね。 彼の作品は、額縁に飾りたい様なしゃれたものだといつも思います。 世之介を取り巻く人々の20年後(現在)の回想シーンがとても印象的です。 できちゃった結婚して退学した倉持と阿久津唯の現在、お嬢さんがアフリカで難民支援をしている祥子ちゃん。 確かに、20年の時間を経れば人って変わるのだろうな〜と、妙に納得です。 映像的な作品でとても彼らしい作品に仕上っているのではないでしょうか。 だって、大好きな祥子ちゃんに「じゃあ日常でも切り取ります?」と言わせてるんですもの☆ 世之介がカメラマンになったという運びは、吉田修一ファンなら納得なのではないでしょうか/ もう500ページ読みたいと思わせる、日曜日に最適な作品です。 | ||||
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主人公世之介の上京物語と言ったところか。 どこか不器用、素朴、単純、無意味に前向き、人懐っこい世之介。 大学で上京した1年間を綴った物語であり、大きな事件があるわけでもなく、 淡々と物語が進んでいく。でもなぜか読んでいて飽きない。 大笑いというより、クスッと笑いながら、「ああ、わかるわかる」ってな感じ。 世之介以外の登場人物も個性的であり魅力的なことも飽きない要素だろう。 最後の世之介のお母さんの手紙の中の、「あの子は『ダメだ、助けられない』のではなく、『大丈夫、助けられる』と思ったんだろう」という言葉。この言葉が世之介という人物を見事に現わしていると思う。 本の帯に「あなたもどこかで会っている」とあったが、読みながら自分の昔の友人を思い出させてくれる そんなやさしい話。 個人的には、登場人物の中の加藤君が好き。 | ||||
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