■スポンサードリンク
(短編集)
刀と傘 (明治京洛推理帖)
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
刀と傘 (明治京洛推理帖)の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.74pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
架空の人物と実在の人物で5つのミステリー事件を捜索させるのが面白かったし、タイトルの意味が読んだらわかります | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
幕末から明治初頭を舞台にした本格ミステリの連作短編集。 第19回本格ミステリ大賞受賞作である。伊吹作品は初読。 とある書評でこの著者の新作が高評されていて興味を持ち、文庫化されてた2018年発表の作品を入手したという格好。 明治維新前後、慶應3年から明治6年にかけての日本の激動の時代を背景にした本格ミステリという触れ込み。いやいやどうなんだか?などと甘く考えて読み始めて度肝を抜かれました。 この連作短編、単に時代設定をそこに置いただけではない。当時の時代ならではの世間の状況や、市井の人々のものの考え方、政治的画策や立場による確執やらをあぶりだす。そして、それら故の事件への動機、機会、そして犯行の手口へ繋がっていく、という趣向なのだ。なかなか凝っている。 それとですね、ミステリ小説よりサスペンスに振った作品に多いと思うが、登場人物たちにはわかっていない事情や事実を読者は知っている(歴史的事実として知っていたり、著者が予め明らかにしていたり)といった、登場人物と読者との間の情報の非対称性が前面に出ている作品を思い浮かべるとよい。本作はその逆張りともいえるのでは? 例えば「監獄舎の殺人」。探偵役の慧眼によって動機が明らかにされるわけだが、読んだ瞬間の反応は(当方の歴史的知見が浅いからかもだが)、はあっ?!であった。 その後きっちりと背景含め説明が加えられるので読者としてもナルホドと納得するわけだが、現代人の思考回路ではこんな動機はありえないし思いもよらない。 当方、いわゆる理系な人間で教科としての歴史には弱いほう。そうはいっても、明治維新前後の政治的や軍事的なあれこれのごたごたの基礎知識くらいはあるつもり。しかしこんな動機にたどり着くのは到底無理であった。そういう意味でも度肝を抜かれたとしかいいようがない。 いや、ちょっと良いものを読ませてもらいました。 視野が広がるってこういうことか。書評恐るべし。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
期待以上の読みごたえで、ミステリの出来栄えに唸らされました。 一番の読みごたえを感じたのは、鹿野師光(かの もろみつ)と江藤新平(えとう しんぺい)という主要登場人物のふたりの関係が変化していくところですね。 ふたりそれぞれに抜群の推理を閃かせる切れ者なんだけど、それぞれの正義というか思いが相容れないところから亀裂が入り、やがて衝突するようになっていく。後半の話に行けば行くほど、両者の軋轢(あつれき)による緊張感が高まっていきます。 最後の「そして、佐賀の乱」の話など、ぞくぞくするくらいスリリングな展開で、圧倒されました。 タイトルの『刀と傘』は、鹿野師光が持つ黒の西洋雨傘を指しているのでしょう。 本文庫の目次の隣のページに、〈LE ROUGE ET LE NOIR 〉(ル・ルージュ・エ・ル・ノワール。訳すと〝赤と黒〟。)と、フランス語のタイトルが記されています。「〝赤〟は血の赤で、〝黒〟は闇の黒なのかな」とか、色々考えちゃいました。 それから、末國善己による巻末「解説」。読みごたえありましたね。ネタバレはしてないけれど、話のエッセンスやらポイントやら、かなり踏み込んで語っています。 わたしは本文に行く前に目を通したんですが、作品を読み終えた後に解説文読んだほうが良かったかなと、今はそんなふうに思ってます。てか、作品読み終えた後にもう一回、じっくりと読んだわけなんだけど。 とまれ、幕末から明治初めの空気感もよく描けてたし、先述した主役のふたりのキャラも魅力的だったし、それぞれの話が一筋縄ではいかないひねりもよく利いていたし、とても読みごたえのある連作ミステリ短編集でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「黒牢城」を読んで歴史ミステリに興味がでてきたので。 切れ味の鋭い本格ミステリ短編集。新人賞受賞作「監獄舎の殺人」がいちばん面白かった。最終話の「そして、佐賀の乱」は読むのが辛くなるほどに心に迫る話だった。しかし、主人公だけ台詞の方言があるのはなにか理由があるのだろうか? いっそ全員方言なしでもいい気がして不思議。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本を読んでいる間、江藤新平が長谷川博己で、鹿野師光が濱田岳をイメージしました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
江藤新平を中心に、尾張藩士出身の架空の人物が明治前後の時代で活躍。 大きな時代の動きの中のある動きを、一志士達が歴史の片隅でになった役割が本当にあった出来事のようにに仕上がっている。 ミステリーだけでとらえれば、特段の仕掛けがない部分もあるが、江藤新平の人間的な偏屈さなど歴史的な局面から読んでも面白い。 表舞台には立たずとも、歴史の狭間で役割を全うした人物達にの悲壮が伝わる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
倒幕後から明治初期を時代背景にした全5作の連作ミステリー。密室殺人、眼前で毒殺された死刑囚の謎、倒叙もの等バラエティーに富んでおり、全作品ともミステリー好きには溜まらない謎解きがしっかり用意されています。 一方、探偵役は近代日本の司法制度の礎を築いた江藤新平と尾張藩士鹿野師光のコンビですが、この彼らの出会いから別れまでが、全編を通じて描かれています。そこにはこの激動の時代だから故の二人の関係性が、物悲しく炙り出されており、何とも言えぬ感傷が残る幕切れでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
明治維新前夜と維新後という舞台選定が非常に面白みのある切り口であり、かつ「法学の誕生」(内田貴)で述べられているような、西洋価値観の流入(導入)により試行錯誤した時代背景も織りなしながら、しっかり時代の空気を漂わせることに成功している作品である。 受賞作である第3章「監獄舎の殺人」が第1作にあたり、その後、第1章と第2章が発表され、単行本用の書き下ろしとして第4章と第5章が加えられたためか、やや全体を通しての不自然さがあるのは否めないものの、歴史を後世から「神の視座」で語るのでなく、当時を生きた人々の考えや苦悩を踏まえて語ろうとする姿勢は好感が持てる。次回作以降に期待が持てる作品と言える。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
時代背景に、事件が絡まり、興味ぶかい流れを感じて、一気に読みました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
素晴らしい作品でした。作者はこれが初めて出した本なんですね。構成がとても素晴らしかったです。 ただ鹿野との再会〜二度目の別離が少し慌ただしかったので、間にもう1作江藤&鹿野がタッグを組んでの探偵譚を挟んであると良かったのかもしれない。 それでもラストにかけては物語への引き込む力がとても強く、多少の違和感は吹き飛びます。 江藤も鹿野も水と油のように相容れない性質を持っていても、それでもお互いへの親しみを捨て去る事はなく、結果、あの結末へ辿り着くしか道はなかったのかもしれないと、読んでいて心から納得してしまった。 ミステリ部分は、二人とも有能な探偵の才能があり、どちらの視点でもかなりロジカルな推理で解決してくれるので、読んでいてとても楽しい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
幕末から明治にかけ、二人の男が出会い、訣別し、それぞれの結末を迎えるまでの物語。 明治ミステリですが、事件の背景に使った程度で時代小説色は意外に薄く、実在の登場人物も江藤新平程度であります。実在するかと思って鹿野師光の名前で検索かけましたよ。 第三話『監獄舎の殺人』はミステリーズ!新人賞受賞作なので普通なら巻頭に置かれるところを時系列順の掲載。おかげで江藤と鹿野の関係性や鹿野の心情の流れはすっきり整理されていますが、普通なら八~十話かけて描く内容を五話にまとめたため、全体に駆け足の印象がやや残念。星4つ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
王政復古直後の京で、二人の男は出会った。一人は、できたばかりの新政府に参加している尾張藩の藩士、鹿野師光。もう一人は、佐賀の鍋島閑叟から送り込まれた江藤新平(後の初代司法卿)。この二人の行く手に、いくつもの事件が立ちはだかる。 剃刀のような切れ味の頭脳を持ち、傲岸不遜で目的のためには手段を選ばない江藤。江藤に劣らぬ洞察力と論理的思考力を持ちながらも、あくまで職務と己が使命に忠実な鹿野。 二人の推理合戦が一番の見所だが、敬服、友情、対立などがない交ぜになった二人の複雑な関係が、実にうまく表現されている。 五つの事件を通じて著者が投げかけてくるのは、維新の栄光の反作用として生じた影だ。志半ばで落命した志士、明治初期の権力闘争の捨て駒とされた小役人、新政府に反旗を翻したかつての顕官や徳川方の残党など、影に墜ちた者たちの姿は、深い悲哀に満ちている。 薩長藩閥の打破と司法権の独立という大目標に向かって、すべてを踏み台にして邁進する江藤だが、その度合いが増すにつれ、やがて生じるであろう反作用は激烈なものとなることを示唆している。このあたりの構成もうまい。 歴史ミステリーと呼ばれるジャンルで、連作短編集で、これほどまでに深みと凄みのある作品には、そうそう出会えるものではない。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!