路地裏の二・二六
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伊吹先生の作品はいつも期待を裏切りません。後半にかけて尻上がりにメチャクチャ面白くなる長編です。ぜひ皆さんにもおススメしたい作品です。 | ||||
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二二六事件。私は日本史の勉強をしていても、なぜかこの事件がよくわからない。いや、理解はできても飲み込めない。 その理由は、大勢に影響を与えたわけでもない軍事反乱がなぜこんなにも特筆されるのかという点です。結局のところ軍内部の派閥抗争であり、どちらが勝っても日本が軍国主義に向かっていく大勢には影響がないわけです。もっといえば現代を生きる我々にとっては「満州事変以降日本は軍国主義に向かい太平洋戦争に突入した」ですむわけで、歴史の教科書からばっさりカットしても大勢に影響がない。というか三一五事件やら五一五事件やら似たような名前が多く、歴史に興味がない人は混同してるのが大半なのでは? なのに二二六事件を描いた作品は数多い。そんなに魅力のある事件なのか?と思えば、特筆すべきことが一つありました。それが日本国における軍事反乱のラストケースだという点です。2025年現在に至るまで二二六事件以上の反乱は起こっていない。 大勢に影響がない日本最後の軍事反乱、これこそが二二六事件の唯一無二の本質です。歴史ミステリのホープであり、動機をめぐるホワイダニットの名手の伊吹亜門氏がこれに挑んだ勝負作となると読まざるをえない。 皇道派やら統制派やら現代人から見たら分かりづらいテーマでしょう。しかし何のことはない、やってることは正義の旗印で殴りあってるだけです。SNSでよく見る光景と一緒で、ただ旗印が変わっているだけです。読む上では、永田鉄山(統制派)を相沢三郎(皇道派)が殺害したということを知っておくだけで十分でしょう。 一読して分かったことは著者のこの時代を再現しようとする熱量です。巻末の参考文献を見ると力の入れ方が尋常ではないことがありありと伝わり、おそらく本年度の歴史ミステリのトップに君臨する作品だと思います。 命をかけた反乱も大勢に影響がない。滅びるものは何をしようと滅びる。時代とは往々にしてそういう残酷性を有しており、巻き込まれた人々はそれに流されるしかない。 しかしそれになんとかして抗おうとする人が存在するのも世の常です。 著者はこの時代でしか描けない「動機」を描くことでその時代の個性を物語に封じ込めます。時代というどうしようもない大河に個人で抗う、それは本作の登場人物にも相通ずる「動機」であり、人間の変わらぬ願いなのだと思い知らされました。 | ||||
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