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みかづき



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【この小説が収録されている参考書籍】
みかづき

みかづきの評価: 4.29/5点 レビュー 163件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全133件 121~133 7/7ページ
No.13:
(5pt)

人間としての在り方と教育方法の原点を見る思いがした

新聞の書評に惹かれてこの本を読んだ。一家族の三代にわたっての生き様が教育塾を背景にして描かれており、著者の初等・中等教育に対する思いの丈に圧倒されて一気に読んだ。

 物語の始まりは昭和三十六年の習志野市の小学校の用務員室である。用務員として働く傍ら子供たちに勉強を教えている大島吾郎を主人公としているが、途中からは、吾郎の指導力に惹かれて結婚をした千明を中心とした、教育塾の拡大物語として語られていく。千明が教育塾を補修塾から進学中心の塾に方針を変えて世の親の歓心を得ながら大きくしていくほどに、吾郎の教育思想とは相容れない結果となり、二人は別離の道をたどるのだった。

 著者は、子供の学習力を引き出すに天才的な能力を持つ温厚な人柄の吾郎と、文部省の指導要領に激しく反発しながら教育塾を発展させていく向上心の強い千明、という二人を対照的に描きながら、彼らの子供や孫世代にも教育に係らせるという描き方で、日本の教育はどうあるべきかに迫っていく。

 私が好きな場面は後半にある。吾郎と千明の孫である一郎が塾というよりは寺子屋のような形で子供たちに勉強を教え始める場面に、人間の在り方と教育方法の原点を見る思いがした。それを応援する福祉事務所や、千明が大きくした塾を引き継いだ塾長達の一郎への思い切りのよい支援に、快哉し、人の情けの深さに涙したものである。

 著者の心にある教育への思いが読者(私)の胸を打ち、開発途上国で技術指導をする私自身は、人に学問(私の場合は技術)を教えるとはどういうことかを考えさせてくれた。上質な作品に感慨深い思いをしたのは私だけではないということを、先にアマゾンに書評を書いた人々の内容を読むにつれて知り、同じ志を多くの人々が持っていることを知ってうれしく思った。
みかづきAmazon書評・レビュー:みかづきより
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No.12:
(5pt)

泣けます

日本の義務教育と学習塾の変遷を縦糸に3代にわたる家族の歴史を横糸に絡めた物語。昭和の塾乱立時代に小中生だった私は塾の内部分裂を目の当たりにしたこともあります。学校週休2日制の導入からゆとり教育まで教職にも携わっていたのでその時々の時代背景も蘇ります。小~中学時代の塾に対して良い思い出のない私には、学習の原点を求め続けるこの3世代の生きざまに何度も涙してしまいました。「なぜ勉強をするのか?」「自分で考えることの大切さ」を再認識させられる書です。
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No.11:
(5pt)

一気読みする面白さ!

読み終わった後も、登場人物が心の中で生き続けている。おすすめです!
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No.10:
(4pt)

50歳以降の方は時代背景が理解しやすい。

若い方でも面白く読める内容で、467ページだがページ数以上のボリュームに圧倒されるかもしれない。

帯には、阿川佐和子氏が書評を寄せていて短い文章にも感じるものがあった。

高度経済成長やバブル期の日本は、若い人には実感しにくいと思うし、

敗戦後の日本の教育制度の迷走ぶりは、想像するのも難しい。

一時は、エリート養成のためには落ちこぼれが出ても止む無しという官僚の意向が、

その反動で優劣をつけずに個性を優先する教育へと舵をとったりするうねりの中で、

塾業界に生きた3世代を時代背景とともにうまくストーリー化している。

こういう作品は、やはりブックオフや図書館などではなく、書店で買って読まないと

著者は報われないし、いい作品が続いて出てこない。

いい作品が報われる流れが無くならないことを望む!
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No.9:
(5pt)

久しぶりの読ませる本

大笑いしたり涙したりしながら、私としては珍しく、ページを繰る手を止めることができないまま読了しました。久々の感動作でした。元気がでます。おすすめです。
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No.8:
(5pt)

塾教育に献身する家族を描く大河小説

森絵都さんは児童文学の分野で華々しい業績を挙げてこられた。やがて大人向け小説に進み、3作目の「風に舞うビニールシート」が第135回直木賞を受賞した。難民救済の事業に命をかける男女の愛の物語であったが、私は、描かれた愛の形に激しく動揺し胸突かれたのだった。以来、森さんは私の注目する作家となった。本作は「風に舞うビニールシート」から10年目の長編小説となる。

これは塾業界を舞台に昭和30年代から平成まで、親子孫三世代の40年以上に及ぶ大河小説である。千葉県の小学校で用務員の大島吾郎は授業についていけない子どもをこっそり教えていた。家庭教師をしていた赤坂千明はそれを知って吾郎に学習塾を一緒に立ち上げようと誘う。まだ塾が社会から認められていない時代である。結婚した二人が経営する塾は経済成長とベビーブームに後押しされて順調に拡大していった。しかし、塾の乱立は競争激化を生み、小規模の塾は淘汰されていく波乱の時代を迎えた。戦後から平成までの学校教育の変遷が丹念に描かれている。文部省と塾業界の長年の対立が社会の変化に押されて補完関係へと進む過程が興味深い。著者による3年かけた教育現場の取材と調査が細部のリアリティを高めている。

本書の題名は塾開設を決意した赤坂千明が漏らす次の発言に由来する。
「学校教育が太陽としたら、塾は月のような存在になると思うのです。太陽の光を十分に吸収できない子どもたちを、暗がりの中で静かに照らす月。今はまだ儚げな三日月にすぎないけれど、かならず、満ちていきますわ」
子どもたちのための教育、その理想に燃えて吾郎と千明は塾経営に奮闘するが、やがて経営方針をめぐって対立、離反、和解と波乱万丈の展開にいたる。 二人の間に生まれた個性的な3人の子供たちとその孫が加わって、家族の濃厚なドラマが繰り広げられる。揺るぎない信念が世代を超えて脈々と受け継がれていく様には心揺さぶられた。

長年児童文学に専念されてきた森さんの子どもへの強い思いが詰まった小説である。すべての登場人物へ著者の温かい視線が注がれている。大きな価値に向かって献身する人々を愛情込めて描く森さんは「風に舞うビニールシート」から変わっていなかった。いや、読者をして460ページを一気に読ませる長編作家へとパワーアップしていたのである。

最終章、死の床で千明が遺した言葉に私は震えた。
「常に何かが欠けている三日月。教育も自分も同様かもしれない。欠けている自覚があればこそ、人は満ちよう、満ちようと研鑽を積むのかもしれない」
こんなにも深い意味が「三日月」には含まれていたのか。

追記:この小説は電車の中で読んではいけない。とりわけ最後の章に注意。
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No.7:
(5pt)

最高のラストシーン

『カラフル』も『いつかパラソルの下で』も『ラン』も『この女』も…。
ザワザワとした鳥肌を立てながら、涙をこらえながら、「終わっちゃう、終わっちゃう」と惜しがりながら一気に、休まずにラストまで読み通す。
こんな作家、こんな作家の作品は他に知りません。ああこの本を読んでほんとに良かったと思えるものばかり。

『みかづき』。5年ぶりの長編、その5年間を待って良かった。さらにパワーアップした森絵都さんが帰ってきました。オススメです。
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No.6:
(5pt)

親子三代のストーリー

この本から見えてくる教育観は深くて考えさせられます。戦後から現代までの日本における教育の在り方を3世代の登場人物の視点から読み解いていく物語は、これまでにないスタイルで読み応えがあります。青春小説の傑作『DIVE!!』の著者の新境地に拍手をおくります。
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No.5:
(5pt)

50歳代には懐かしい。

小学校の教員をしている娘のために買った本です。
ちょうど僕らの生きてきた時代をほぼ満遍なく描いているので、とても懐かしく読むことができました。
描かれていた学習塾の理念が私の子育ての姿勢に近かったこともあり、以外にすらすら読むことができました。
時代の変化と家族の成長。そして教育についてきちんと描けているところがいいですね。
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No.4:
(5pt)

家族と教育を考える一冊。

塾の講師を息子がやっており、興味を持ち購入。自分の生きてきた時代と場所がシンクロ。久々の一気読み。登場人物が明確に描かれており、頭の中で映像化されました。爽やかな読後感があります。家族みんなに読んでほしいと思いました。
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No.3:
(5pt)

☆5つです!

テレビで紹介されていて読みました。
本当にさわやかな読後感で 感動しました。
ドラマ OR 映画化されるのではないでしょうか。
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No.2:
(5pt)

キャラクターが好き

テレビで紹介されて、すぐに購入しました 表紙を開いてから ほぼ一気にラストまで読んでしまった感じです
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No.1:
(5pt)

読後にしみじみするタイトルも秀逸。

小学校の用務員として働く大島吾郎は、子どもたちに頼まれ勉強をみているうちに、みるみる子どもが増え、いつしか「大島教室」と呼ばれるまでに。そんな吾郎の前に現れた、冴えた目をした小1の蕗子。けっして勉強ができないはずもない蕗子がなぜここに?
不思議に思った吾郎が問いただすと、母親に偵察に出されたのだという。そして、後日その母親千明が吾郎のもとにやってくる。戸惑う吾郎を前に「私の道連れになってくれ」という千明。彼女の立ち上げる塾に来てほしいと乞われた吾郎は……。

今では誰もが当たり前のように通う塾も、物語の舞台の昭和36年には、「ジュクって何?」と言われる存在。そんな「塾」の創設に関わる男女の物語かと思いきや……。

けっして完ぺきではないけれど、愛すべき登場人物たちが、懸命に「理想」を求め奮闘する姿にいつしか引き込まれ、思いっきり心を揺さぶられ、何度はぁ~っとため息をついたことか。昭和~平成と生きてきた人なら誰でも、共感できる「何か」がありそうです。
人生そんなに捨てたもんじゃないのかも。今、自分の生き方や家族のことでふがいない思いをしている人もそんな風に思えるような物語を届けてくれた森さんに、今回も感謝の気持ちでいっぱいです。
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