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あこがれ



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【この小説が収録されている参考書籍】
あこがれ
あこがれ (新潮文庫)

あこがれの評価: 3.68/5点 レビュー 28件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.68pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21~28 2/2ページ
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No.8:
(5pt)

切なくて

たぶん誰でもが経験した感情、今また疼くことを詩的な川上ワールドで甘く切なく語りながら、ラストはしっかりと大人である自分に向き合える小品である。
あこがれ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:あこがれ (新潮文庫)より
4101388636
No.7:
(4pt)

アニメーションにしても面白い

この作者の作品を読むのは初めて。文体になれるのにちょっと時間を要したが、次第に読点で連なる文章が、思春期の入り口に差し掛かった登場人物の内面を描くのにとてもふさわしく感じられるようになった。この作者のほかの作品も読もうと思う。
あこがれ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:あこがれ (新潮文庫)より
4101388636
No.6:
(4pt)

気分のあり方?

内容は二つに分かれていて、第一章は小4生のぼく(麦彦)の一人称で、同級生の女の子ヘガティーというあだ名の子、この2人が主人公である。物語はサンドイッチ屋にいるミス・アイスサンドイッチと勝手に名づけた販売員の話である。(おそらく)奇妙な顔をしたその女性に興味を持ったぼくと、ミス・サンドイッチとの顛末。
 そして第二章は6年生になったわたし(ヘガティー)の異母姉(とその母親)また父親との顛末である。物語のなかで多くはあだ名で呼ばれ実名は分らない。また奇妙な小学生的な言い回しなどがでてきたり、そんなまだ未分明な2人の成長、というより気分のあり方かな、そういうものが描かれている。子供が主人公というのは前作の「ヘヴン」に似通っているわけであるがかもされる情緒は違うように思う。
 多分タイトルの「あこがれ」にこの物語の意味がこめられているように思うが、私にはそこまで読みきれなかった。ただ読後感は悪くなかったといっておおこう。
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No.5:
(4pt)

12歳の少年少女とは

かなりの過去になるが、その頃に考えていたことって
案外深く人生がわかったような理屈が、自分の中にはあった。
表現する言葉は持っていないし、
経験値もない。
でも、とてもおとなびた冷静さがあったような気がする。

この作者の本を初めて読んだ。
この年齢の子供たちが、言葉をうまく操ったら、
こんなふうに表現したかもしれないな、と思う。

このふたり、好きだな、と思う。

まわりの大人の事情はあるだろう。
その中で、ふたりがおたがいに不器用に思いやりながら、
今のことを理解しようとし、行動している。
生意気だけど、おとなびているけれど、
ちゃんと素直に、こどもとして。

ふつうに読むと、あこがれという題名に、あまりしっくりとこない。
田の書評を読むと、わかる人にはわかるのね、といったところか。
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No.4:
(3pt)

階段1段上がる話

内容何も知らずに読み始めた。序盤、方向性が分かるまで(どう読めばいいのか判断がつくまで)少々まどろっこしい感じもしましたが、どういう向きの話なのか分かってからは微笑まししい感じに読んだ。
少年少女が階段1歩上がる話でした。
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No.3:
(5pt)

現在進行形の死をとらえるのが映画だとゴダールは言った

子どもの頃の、思春期の、とおに忘れてしまっている、忘れなければならなかった、忘れ去った複雑な感情。言葉にならないもの。社会の論理とは異なる考えの組み合わせ。
彼女の小説は、ひとを、生を、出会いを、誰かとともにいることを愛おしくさせる。
祖母を思い出し、祖父を思い出し、二度と会わない多くの人たちを思い出す。感傷は現実社会を生きるのに何の役にも立たないが、でも生の一部だ。生の或る層だ。たくましく器用に生きるしかないが、喚起される切なさは、人生に含まれている。
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No.2:
(3pt)

まるで「ぬりえ」のように害のない世界

本書は、二章からなるが、この二章は、それぞれ、『新潮』に一篇ずつ発表された。第一章「ミス・アイスサンドイッチ」の冒頭数ページは出色のできで、それは、少年(小学四年?)が「話者」であるが、言葉の出てき方が、まるで詩である。このレベルを保って、終わるまで貫かれていれば、世紀に残る大傑作ではないかと興奮したが、やがて、「ありがちな少年少女の物語」へと収束していく。
 第一章が少年なら、第二章「苺ジャムから苺をひけば」の「話者」は相手の少女なのだろうな、と思っていると、まったくそのとおりで、感傷的な「母恋モノ」に、一章ではユニークであった少年が、ものわかりがよく優しいだけのボーイフレンドになって、「現実世界ではあり得ない小学生時代の日々」で終わる。

 このミステリーがすごい大賞だったか、最近の受賞作に、『女王は帰らない』という小学校カーストモノがあり、さすがにミステリーだから残酷に作られているが、本書のように、子供たちは互いをあだ名で呼んでいたり、会話の調子など、共通点が見受けられる。この著者の『ヘヴン』も、少年少女ものだったし、こと少年少女の内面を書かせたら、なかなか読ませるのであるが、やはり、大人の読者には、少々もの足りないかなと思う。おとなの世界が書けないのか?

 本作を映画に絡めるなら、当然、ウェス・アンダーソンの、『ムーンライズ・キングダム』(2012年)である。あの映画のように、少年と少女は、駆け落ちするのかなと思ったら、文科省も推薦の(笑)、清潔な友情で終わっている。「思春期寸前の少年少女」ということだが、トリュフォーの『思春期』だって、もっと低年齢であった。本作には、現実世界の汚らしいこと、複雑なこと、絶望的なことはほとんど書かれておらず、第二章では、主人公の少年少女は、六年生になるのだが、肉体の変化や、それにともなう世界との齟齬も、まったく描かれていない。
あこがれ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:あこがれ (新潮文庫)より
4101388636
No.1:
(5pt)

世界と映画と人生の記憶をめぐるささやかな冒険

映画評論家の父の影響で、小学生にして早くも映画狂への道を歩み始めているヒロインのヘガティー。
作中の上映会で彼女がチョイスした二作品はいずれもマイケル・マン監督作品で、すでにシネフィル的素養の片鱗を見せつけてくれます。
ネタバレにならない程度に少しだけ真面目なことを言っておくと、彼女が執拗な反復の末に自らのものにしようとしたのがとあるアクション映画の銃撃戦シーンだというのが印象的でした。いくぶん象徴的な言い方をするなら、記憶のある種の空位状態を埋めるのに彼女の選んだ対象があの映画だったということです。そうした本作品の記憶をもとにしてその映画を見直してみると、特にあの銃撃戦シーンにはまた違った味わいが生まれるのではないかと思います。

映画的記憶ということを言うのであれは、本作のタイトル『あこがれ』は、フランソワ・トリュフォーの短篇映画『あこがれ』(1958年)からとったものと思われます。川上版『あこがれ』では、第一章「ミス・アイスサンドイッチ」(それにしても天才的な名付けですね。さすがに関係ないんでしょうが、アステア&ロジャーズを起用したミュージカル映画などで知られる監督のマーク・サンドリッチの名前を想起させる語感です)と第二章「苺ジャムから苺をひけば」で主人公とヒロインがそれぞれ「あこがれ」を抱く人をめぐるエピソードが繰り広げられていきます。第一章でヘガティーが麦くんに向けて言った「だからさ、会いたい人がいて会えるんならさ、会えるうちに会っておかなきゃいけないんだよ、ぜったいに」という(帯でも強調されている)台詞は、第二章でそのまま自分に返ってくることになり、作品内で綺麗な対応関係を作り出しています。

以下やや内容に踏み込んだ感想になりますが、個人的には麦くんのおばあちゃんの存在が印象に残りました。麦くんがおばあちゃんにまつわる多くの思い出を記憶していることは、彼が父親の記憶を持っていないことを際立たせます。この点はヘガティーが亡くなった母親のことを覚えていないこととも繋がっていて、この二人がお互いを求めあっているのは、記憶の不在をこそ共有できるからだ、という見方もできるかもしれません。

最後に、野暮を承知で書き加えておくと、『あこがれ』という本書のタイトルがトリュフォー由来のものであるとすれば、それは必然的に著者の配偶者である阿部和重の群像新人賞受賞作『アメリカの夜』(1994年)を連想せざるをえません(トリュフォーの同名映画の公開は1973年)。さらに言えば、ネットで検索すればその生涯を確認できてしまう有名人が両親であるというのは、幼い子どもを持つ著者自身の境遇と重なるようにも思います。じっさい、本作『あこがれ』の最後の一文は、著者のエッセイ『きみは赤ちゃん』(2014年)との連続性を思わせるもので、感動的です。
あこがれ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:あこがれ (新潮文庫)より
4101388636

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