■スポンサードリンク
共喰い
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
共喰いの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.19pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全92件 81~92 5/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
話題の人になった著者ということで読んでみました。 昭和の片田舎のドロドロ感がよく出た小説。 宮本輝さんの「泥の川」とか水上勉さんの「猿籠の牡丹」 なんかをちょっと思い出してしまいました。 文章も凝っていて日本文学の王道系ってところです。 新鮮味はありませんが、今後も地方の雰囲気を伝える 純文学作家として大成してほしいなと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
あの会見を見て面白半分で買ったのですが、今は読んでよかったと強く思います。 私は普段、自分にとって読みやすい文体の作家さんの本を何冊か読む程度しか読書をしないので、正直最初はとっつきにくく、内容がなかなか頭に入らないのを無理矢理読み進める感じでした。 途中でリタイアしそうでしたが、後半からは内容も文章も急展開。ここからは一気に読んでしまいました。 正直、私には一回読んだだけでは100%は理解できず、自分の解釈が正しいのかも分かりません。だからこそ、自分なりに理解できるまで何回も読みたいと思えたのです。 また、この物語の暗さがよく伝わりました。描写が細かくて繊細だなと感じました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作者の田中慎弥さんの会見を見て、どんな文章を書く人なんだろう、と興味がわき、早速購入しました。 正直なところ、読んでいて辛くなりました。性欲と暴力をコントロールできないどうしようもない父親、それでもそばにいる女性たち・・そしてその父親からうけつぐ血に翻弄される主人公。どうしようもないけれど、それが人生なのだ、前を向いて歩いていかなければいけないのも人間だ・・・と感じました。 田中さんが自室の中であらゆる人物像と格闘した上で、誕生させた登場人物たち。 ご自身の生れた下関が舞台のようですが、独特の匂いを感じます。壮絶なラストです が、これも現実なんだ、という妙にすがすがしい読後感でした。田中さんの他の作品も早速読んでみたくなりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
思春期の頃の親や異性や自分に対する葛藤やうまく処理できない感情がズブズブ伝わってきた。ヘドロの臭いや酸い匂いがまとわりつく。純文学を味わうとはこういうことなんだと、鈍りつつあった嗅覚を取り戻した気分。男とか女とか関係なく、必死に生きている人なら誰もが共感できると思う。 リアリティを感じられなくてつまらないと批判する人は、想像力がなく、サクサク読める簡単なエンタメものだけを小説だと勘違いしているからでは? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
芥川賞の受賞会見が物議をかもした田中氏が、一体、どんな小説を書くのだろうかと、興味津々で 読んでみた。 舞台は、昭和のおわりの「川辺」という貧しい海辺の田舎町。下水道の整備が進む前で、家々の汚 水が川に流れ込むため、夏場は激しいにおいを発するという場面設定である。主人公は、遠馬とい う人物。彼の父親は、異常なまでの性欲を持ちセックスの時に相手を殴るという性癖を持つ。遠馬 自らの血に流れる「性(さが)」や「業」を下敷きにしながら、重苦しく暗いトーンで物語は展開し ていく。 やはり、小説としての質は高いのだと思う。奔流のような勢いを持つ人間の本能的欲望に抗うこと の困難さがよく表現されているし、「赤犬」や「蝸牛」などの動きを隠喩的に使いながら、微妙な 心理の揺れを巧妙に描き出している。一方、性的な描写や表現が、かなり直截的だと感じるし、 「共喰い」とのタイトルも、かなりエグいなという印象も受けた。 読後感は、やるせない思いに包まれた中に、ごくわずかな救いがあるのか、という感じ。個人的な 好みで言えば、あまり好きとは言えないが、こうした飾らない人間の原存在といったものに迫ろう との意欲的な試みは、文学としての価値があるのだとも思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
言葉選びにしても人物・背景描写にしてもストーリーにしても完成度が高く、文句の付け所はありませんでした。 ですが、風呂敷は自体は小さく、「これは…」と言うインパクトや勢い、強烈な個性は皆無です。 鰻と性器だなんて的確です確に。綺麗とは言えないヒロイン千種のチョイスと言動…。 どうしても使い古された表現や人物設定が目につきました。 著者は引きこもりだと聞きましたが、文学に引きこもっていたのでは?文学好きが書いた同人小説と言う印象を受けましたね。 やはり芸術家は自分に引きこもっちゃうような極度の利己主義ナルシストでなきゃ斬新な作品はつくれないのではないのでしょうかね。 奇をてらっただけの携帯小説家や一部勘違いした芸人作家は論外として、最近の新人作家さんて、なんかそこらへんのマトモなサラリーマンみたいにキッチリした人らばっかで少し残念です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
いまどき、こういう文学を書く人がいるんだ!と感激です。 斉藤美奈子さんが朝日新聞で分析していたように、古臭いと思う人もエグイと思う人もいるかもしれません。 でも、現代にあって、その土地の匂いが立ち上ってくるような、濃密な世界を描けるのはさすが。 たいしたことない、という人は前衛を求めているからかも。こういう王道の文学こそ、現代には希少価値だと思う。 「もらって当然」と言ったその意味がわかる作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
芥川賞受賞を機に、作者のキャラクターが気になってしまって買いました。 あっという間に読みました。 濃密で、漂う空気が肌に合わない人がいるでしょうが、読後に残るものはあります。 情景描写が暗く淡々と、悪く言うと古臭くて退屈かもしれません。 ほかの方も指摘しているように、性描写もしばしば登場し、鬱屈した空気感に拍車をかけます。 17歳高校生の主人公が二人の母親や、セックスの時に暴力を振るう父親、 さらに童貞を捧げた同級生や、身元も知らない死んだように生きている近所の女と関わり生きる日常が舞台です。 何よりも、 主人公をはじめとした人物の、人生の、どうしようもなさっぷりが静かに胸に響きます。 個人的には、最後の「奇妙な金属の塔」の描写が頭にこびりついて離れません。 読後感は快いものではありませんが、しばらく一人で余韻に埋もれていたい気分になります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読書にミステリーの爽快感やスリル、恋愛小説的な感動とかだけを求めるならば、 人気ベストセラー作家や、本屋さんが推薦する仕掛け本や発掘本にそれを求めればいいでしょう。 自分も結局はベストセラーやオススメ本を追いかける読書をしていますが、 たまにこの「共喰い」のような古臭く重たい「空気」を味わう本からは、読書の本当の楽しみを教わります。 選考委員の黒井千次さんが言う「普通の才能ではない」濃密で執拗で鮮やかな文章にグイグイ引き込まれ、 いつの間にか17歳の遠馬に共感を覚えている自分に気づく。 もちろん遠馬とは育った「環境」は違うけど、17歳の男だったら誰でも通過してきた父、母や自分を取り巻く人間への感情、 そして「自分って果たして何者なんだろう」という問いへの答えが見つからない情けなさや焦り、葛藤・・。 男なら誰でも遠馬に共感を覚える部分がきっと多いはずだ。 そしてクライマックスにその描写が収斂される、女の「強さ」と男の「弱さ」。 女性読者は女の強さとは何か?強さとはこういことなのか?これでいいのか?を考えさせられることでしょう。 グイグイとあっと言う間に読んでしまいましたが、 2度目は言葉をじっくり味わいながら、ゆっくりゆっくり読んでみようと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何かと話題になっている田中慎弥の本を読んでみた。 一見、性や暴力の話のようなので、うーん、グロいのかな、、 、と心配になったが、実はそんなに描写はグロくないし、その芯にあるものがわかりはじめると、ぐいぐい入りこめる。ちょうど高校生くらいの男女の性のやりとりが不器用で、しかもその理由が自分が生まれた家庭への葛藤からきている、ということをしっかり描いているし、実はしたたかに強い女性たちの姿もいい。仁子さんが、ひとでなしの父親をなぜ愛したか、という理由も切なくていいです。遠馬は愛されて、生まれた子、だと私は思った。もしかしたら、最初のイメージと違って、 女性の方が共感する話かもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分的にはそこそこでした。悪い点を挙げると、リアリティの反映がないというか、人物描写が薄いのと、古い文体が相まってまるで昼ドラの脚本のような感じがした。展開も半分ほど読んで「親父が千○を○○するんだろうなぁ」等と容易に想像できてしまったし、陰鬱さを孕んだ内容も内容なので人によっては二度と読みたくない作品と評価しても不思議ではない。しかし、その古臭い文体で叙述される古い時代が、素朴なニュアンスを生み出していて、特に風景や情景の描写が秀逸だと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
テレビで記者会見をみて、作者に興味が沸き、読みました。 好き嫌いが別れる作品かもしれませんが、私は好きです。読み応えありました。 最低な環境で、複雑な親子関係に悩みながら、自分の性衝動の異常さに怯えているかのような主人公。 諸悪の根源は父親。 父親似の主人公を愛せないのか?と思えてしまう母親。(右腕に壮絶な障害) 肉感的な義母・娼婦くずれのような近所のオバさん・既に性的関係にある幼なじみの彼女 汚物や悪臭にまみれた「川辺」に住む人や動物、鰻・・・ 凄く引き込まれて読みました。 父親の性癖に、自身も同化してしまい、狂気に傾いていく主人公が、最悪の結末を迎えないようにと祈るような気持ちでした。 最後は母の強さ、愛情が、問題を解決してくれたかのようで、ほっとしました。 母の取った勇気ある行動が、これから先、主人公の人生にとって、救いのともし火になることを。 ダークサイドに堕ちそうになった時も、思い出して支えになることを願うばかりです。 最近映画にもなった「ヒミズ」なんか好きな人は、興味深く読めると思います。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!