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極夜の警官
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極夜の警官の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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「ダーク・アイスランド・シリーズ」1作目「雪盲」に次ぐ2冊目です。ただしこれは実はシリーズ5作目で、アイスランド語から英語に翻訳された順番にならっているそうです。できれば作順に出版してほしいものですが、たぶんアイスランド語→日本語に直接翻訳できる人が今はいないのでしょう。とりあえずは1作目から読んだ方がわかりやすいと思います。前作の設定が2008年、この作品は2014年に本国で刊行されているので、間に2作目、3作目、4作目のなんらかの出来事があって、それだけの月日がたっていると思いながら読めばいいと思います。実際、以前はシグルフィヨルズルとレイキャビークで離れ離れに暮らしていたアリ・ソウルとクリスチャンのカップルは今はシグルフィヨルズルで一緒に暮らして赤ちゃんもできています。署長だったトーマスはレイキャビーク転勤になりました。 相変わらず署長とアリ・ソウルの2人しかいない小さな警察署ですが、その署長が街外れの荒れた空家で銃撃されるという事件が起こります。何も起きないと思われていた平和で小さな町で警察官が撃たれて瀕死の重態になるという大事件に、街は不穏な空気に包まれます。アリ・ソウル1人の手にはおえず、急遽、前の署長だったトーマスが呼ばれます。2人はこの事件に、麻薬と、そして政治家までがからんでいるらしいとつきとめるのですが・・・というストーリーです。 1作目は、控えめで思索的なアイスランドの国民性もありますが、主人公のアリ・ソウルが寡黙であまりにも優柔不断に見えてじれったい感が強く、アイスランドの北の果てという土地柄もあり、暗く陰鬱な天候もあいまって、地味で暗めでいまひとつかなと感じました。今回はアリ・ソウルもだいぶ警察官としての経験を積んで、土地にもなじんできて、たのもしくなった気がします。また、北欧全般に言われていることですが、陰に隠された男尊女卑や家庭内暴力の問題もちらりと描かれています。 小さな町の人間関係や地道な捜査と、正直、大作にはなりえませんが、街の様子や人々がわかってくるとそれなりに親しみを感じるようになりました。こじんまりしたお話ではありますが、続けてシリーズを読んでいきたいと思います。2作目はやっと翻訳されたようですが、さらに3作目、4作目も翻訳していただきたいです。 | ||||
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アイスランドの極北の寒村を舞台とした警察小説なので、この邦題なのだろうが、原題は「nightblind(=鳥目)」。「人間の本性は闇の中で他人からは見えない」程の意味なのだろうか。アイスランド全体の人口が約35万人な上に、寒村(人口は明記されていないが、警察署員が2名だけ)で警察署長が射殺されるという事件なのだから、アイスランド国民及びこの寒村の住民にとっては驚天動地の大事件という事なのだろう。なお、本作は偶々生き残ったもう1名の警察署員アリ=ソウルを主人公としたシリーズの第五作の由。 私は同じくアイスランドを舞台にした「エーレンデュル警部シリーズ」を愛好しているのだが、本作もそれと同様に(あるいは北欧ミステリ全般と同様に)、男女を中心とした様々な人間関係、社会の変遷や抱える問題を描くという意図が濃厚に感じられる。こんな寒村では住民が互いに顔見知りで平和に決まっているし、警察署長が射殺されるなんて大事件が起きれば犯人は直ぐに特定・逮捕される筈、という固定観念(幻想)に警鐘を鳴らしているのである。また、しがない警察官の主人公とその妻(バリバリのキャリア・ウーマン(医師))との意識差、射殺された警察署長の過去、関係者が過去に受けたDV(の相手との因縁)、蔓延する麻薬などの幾つかの人間関係・社会問題が深く掘り下げられている。 巻末の解説に依ると、作者は"アイスランドのクリスティ"と呼ばれている由だが、解説者が力説する程には、"謎解き"が優れているとは思わなかった。時折、作中に何者かの手記を挟んでいる点が唯一の工夫だが、陳腐な手法で、さしたる効果を感じなかった。また、本シリーズはアリ=ソウルの成長過程を描く事も目的の由で、実際、本作のアリ=ソウルは感情を抑制出来ない未熟な警察官(人間)として描かれている。これは作者の意図通りだとは思うが、何だか「エーレンデュル警部シリーズ」と比較して軽い印象を受けてしまった。 | ||||
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