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羊と鋼の森
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羊と鋼の森の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.87pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全382件 221~240 12/20ページ
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娘がピアノを弾いていた頃、調律の時期を知らせてきて我が家を訪れた調律師。女性なのに重いピアノの前板を外し、ハンマーを手にコツコツ仕事をしていました。繊細な仕事であることは聞いていましたが、存外力仕事でもあるのだなあと思って見守っていたものです。 調律は、絶対音階を持ち、緻密な調整を行う特別な仕事という印象を持っていました。子どもの頃、音楽的な素養もないと思われる父から聞かされていたのを思い出しました。父の言葉には、その職業が特別な才能を持つ人のみ就くことができる特別な職業だというニュアンスが含まれていました。 そんな調律師の世界を、透明感溢れる文体で描いたのが、この宮下奈都(みやしたなつ)さんの、「羊と鋼の森」です。 宮下さんは、まるでガラス箱の中に登場人物を入れて、それを外から覗いている様な透明感と空気感でこの物語を書いていました。主人公「外村(とむら)」も、自然の中で生活して来た純粋無垢の青年として描かれています。 先に「ガラス箱の中」と表しましたが、宮下さんの文が客観的で感情移入出来ないという意味ではありません。主人公の内面を覗くという意味ではガラスの外に居ながら主人公と同化する様な体験を得たと言った方がピッタリかもしれません。 調律という「試み」。敢えてここでは「仕事」と言わずに「試み」と言いたいですね。その「試み」の奥深さを表すには、この様に表す以外方法がないのではないかと思わわれる透明感のある秀逸な文章です。 この小説は、調律というものの神髄を、純粋無垢な主人公外村(とむら)青年の考えと彼を取り巻く様々な登場人物との会話によって、一つずつ一つずつ深めていこうとする「試み」でもあります。「音」、「音楽」というものを「よくぞここまで描き出そうとしましたね」と拍手を送りたいくらいです。 「『なるべく具体的なものの名前を知っていて、細部を思い浮かべることができるっていうのは、案外重要なことなんだ』《略》『でもさ、外村、お客さんにチーズみたいな音に調律してくださいって言われたらどうする』《略》『まずは、チーズの種類を確認します。ナチュラルか、プロセスか。それから熟成の具合を尋ねると思います』《略》『要するに、好みの問題なんだ。ピアノにどんな音を求めるのか、それはお客さんの好み次第だよ』ようやく話がつながった。《略》『やわらかい音にしてほしいって言われた時も、疑わなきゃいけない。どのやわらかさを想像しているのか。必要なのはほんとうにやわらかさなのか。《略》具体的にどんな音がほしいのか、イメージをよく確かめたほうがいい』」 弦を叩くハンマーの先端が羊の毛の固まりで出来ていて、それを針でつついて柔らかくするだけで、ピアノのキャスターの向きを変えるだけで、部屋のカーテンやテーブルクロスの有無だけで音が変わるなど、調律の奥深さ、難しさがびっしりと詰まっています。 2016年「本屋大賞」受賞作ですが、この透明感のせいか賛否もある様です。でも、これは評価に違わぬ傑作だと思います。宮下奈都さんの他の本も読みたくなりました。 | ||||
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「夢を持つ」大人にも青少年にもお勧め出来る本です。 特別な才能を持たない主人公が夢に向かってコツコツと頑張る姿を描いた良作。 周囲と比べると仕事が上達しなかったり、お客さんに否定されたり、育った環境に恵まれていなかったり等、多くの人が共感できる要素を持った主人公。そんな主人公の成長を周囲の人間が暖かく見守っています。中には意地悪な人もいますが、好感を持てる登場人物ばかりです。 調律師という仕事に関して知識のなかった私でも興味が沸いてくる内容でした。 あざと可愛い双子の少女達への仄かな恋心が、ストーリーに彩を加えていました。(個人的には、双子の設定が現実離れしていて少々あざと過ぎると感じましたが) 文章も綺麗で読みやすく、スルスルと読み進められます。人混みで読んでいても、周囲の音が気にならない位集中して読み進めることが出来ました。人前でもウルッと涙ぐんでしまう程、気づけばめり込んで読んでいました。 捻りが聞いた物語が好きな人には向いてない気がしますが、普段あまり本を読まない方にこそお勧めしたい「素直な物語」です。 | ||||
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仕事への真摯な姿勢、純な気持ちの後進を育てる温かい先輩の言葉、そして取材に基づいた調律師の心の内が綴られていた本でした。ピアノはどの学校にもある子どもが目にすることのある楽器ですし、子どもにもおすすめしようと思います。 | ||||
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恥ずかしながら、「羊と鋼の森」を読むまで、宮下奈都先生を存じ上げませんでした。 とても丁寧な作風で、読み進めていくとまるで心が洗われているような感覚になります。 優しい方なのでしょうね、宮下先生は。 意外な展開があるとか、許せない登場人物がいるとか、そんなことはありませんけれど、 不思議と最後まで夢中になって読みました。 宮下先生の他の作品、これから探してみようと思います。 | ||||
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一気に読んでしまいました。とても面白い展開でした。満足です。 | ||||
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純粋な気持ちで調律師を目指す人の話です。 サスペンスのような山や谷はないのですが、不思議と引き込まれます。 また、仕事について色々考えさせられる点もあり調律師の仕事を知る良い機会でもありました。 とても良い本です。 | ||||
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昨年の本屋大賞作。 友人から勧められて、購入、読破しました 本屋大賞、2年続けて“音楽もの”ということになったんですね。 正直、『蜂蜜と遠雷』のあとでは……です。 少しと気になったのは、セリフが誰のものか、です。 独白部分を否定はしませんが、 セリフが誰のものか? と気になる部分がありました。 ただ、調律師の世界をみごとに描いたところには感動しました。 チューニングの高い方向への変化については、 けっこうプレイヤーの間ではいろいろあるみたいですね。 特に、ヴァイオリニストは、会場によって、微妙な調整必要なようで……。 しかし、オーケストラの基本音がオーボエによって決まるというのも常識で、 それによる多少の調整は仕方ないのでしょうが。 | ||||
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終始音楽のことで上品な作品でした。題名そのものがピアノの構造をいい表していますものね。 | ||||
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大学生と中学生の親ですが、これぞ子供たちに読んでもらいたい本と思った。 読んだあと友人に送ったら気に入られ、本が戻ってきていないので2冊目の購入。 上質、美しい、静謐…読後感にぴったり合う言葉をさがしてもどかしい思いですが、 それはきっと他の方のレビューに言い尽くされているのかも。 こんな物語をもっと読みたいです。 | ||||
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世評の高さは聞いていたが、評判以上の心温まる清々しい物語。高校時代にある名人調律師(後、会社の大先輩)が調律したピアノの音色(特に主人公の出身地の"森"を想起させる)に魅せられて、一人前の調律師を目指す主人公の青年の成長物語を核としながらも、主人公の造形・悩み・生き方が万人に通じるものである事が多くの読者の共感を呼ぶ結果となっていると思う。勿論、音楽と美と調和とに満ちた物語ではあるが、作者が音楽だけに傾注している(中には読んでいると頭に音が流れるとの世評もある)と言うよりは、個人的には作者の文学的決意を感じた。ちなみに、表題は、「羊=フェルト・ハンマーの材料」、「鋼=ピアノの器具」、「森=結果として流れる音色」の意であると同時に、「羊=主人公の出身地の畜産物」、「鋼=(主人公を中心として)人々を繋ぐ絆」、「森=結果としての人々の温かい小世界」となっている辺りが巧みである。 作者の文学的決意の話に戻ると、主人公は「理想の音色(調律)とは何か?」と迷い、会社の先輩に尋ねるが、その先輩は文学者の言葉を借りて概ね次の様に回答する。「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少し甘えている様でありながら厳しく深いものを湛えている文体、夢の様に美しいが現実の様に確かな文体」。即ち、作者はこれに合致する文体の物語を書きますと作中で"宣言"しているのである。これにはチョット驚いたが、これを本作でほぼ実現している点には更に驚いた。この決意の後で、調律師という題材や理想と現実の狭間で悩む等身大の主人公の造形を考えたのではないかと思う程である。 主人公が(修業後)調律を担当する一卵性双生児の女性ピアニスト等、やや甘い面もあるが、概ね他の登場人物達との連携も上手く、才能や運ではなく、地道に努力を積み重ねて、他の人と協調して行く事で初めて"森"が出来るという筋も一本通っている。多くの方に手に採って頂きたい傑作だと思った。 | ||||
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小説は荒唐無稽系が好みなので、合わないだろうなと思いつつ 話題になっているので何となく読んでみたのですが、 案の定なんのドラマチックな展開も無く、どんでん返しがあるわけでもなく 平凡な毎日が丁寧に描かれているだけなのに、 (調律師という職業は平凡では無い気もしますが) いつのまにか主人公と一緒にじれったく歯がゆい思いをしながら 小さな出来事に一喜一憂しながら、ああ良かったね、と 嬉しくなってほっこりして、陳腐な表現だけど、正に心温まる一冊でした。 | ||||
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文体とストーリーが見事に調和した、美しい物語だと思います。強い力に引かれるような感覚で一気に読み進めたのは、音楽を言葉で表現できる、筆者の確かな力量によるものでしょう。読後は、静かな幸福感と温かな涙がわき上がりました。 | ||||
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とにかく熱中して、何かで中断させられることにからり苛立ちを感じるくらい、夢中になって読んだ。 こういうのが本当の読書だと思う。 図書館の順番待ちで1年1ヶ月も待ったのがものすごく悔やまれる。 | ||||
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ピアノ調律師という職業がある。その存在を知っていものの、日常生活に深く関わる人ではないので、日々その存在を意識することはない。本書で語られるのは、職人が我々とどのように関わっているのか、普段は黒子の存在でいる調律師の存在とは何かだ。ピアノなんて普段聞かないなあと思っていても、よくよく考えてみれば、テレビのCMでも流れるし、商店街やお店のBGMでも流れる。楽器の中では最も身近な存在だ。そのようなピアノを自然に聞く人の耳や心に届けるのが、調律師の仕事。このような職人の仕事には頭が下がる。主人公の外村は、優れた調律師に出会ったことで天職を見つけた。こんな幸運はなかなかない。生活に派手さはないが、外村は幸せだと思う。ピアノに関わる人々を幸せにしているし。ちなみにタイトルの「羊と鋼の森」はピアノそのもののことだった。 | ||||
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やられた。 タイトルは比喩だと思っていた。 ピアノの音を支える弦とハンマー、それらに使われる鋼と羊毛。 それらが複雑に有機的に組み合わさっているピアノを森と表現しているのだと。 美しいが比喩にすぎないと思っていた。 だが違った。 ピアノの音自体が、音楽自体が森なのだ。 うかつにも最後になってようやく気づいた。 実際、「ピアノって、音楽って、ほんとうは自然そのものなんじゃないか」(229-30) という言葉がある。 そして気づいてみれば、この小説は最初から最後までそういうものだったのだ。 深く、そして遠い、おそらくはずっといにしえからの自然、 その一部である音、そして音楽。 この小説では、 山深い土地で生まれ育ったらしい主人公の意識に乗せられて、 あくまで柔らかく、ひそやかにではあるが、 そうした根源的ともいえる次元で、人間の生活や自然や音楽が結び合わされる。 語られる自然は不思議だ。 普通の意味の、具体的なものとしての自然描写ではなく、音や光を受け止める感覚として描かれる。 若いピアノ調律師の成長を描いたこの小説は、そうした「森」に深く分け入ってゆく発見の物語でもある。 『羊と鋼の森』は本屋大賞を受賞したし、 調律師というユニークな人物設定でも話題になったから以前から知ってはいたが、 最初からそれほど読もうと思っていたわけではない。 それが恩田陸の『蜜蜂と遠雷』を読んでいる途中で、 やはりピアノと音楽を描いた評判の良い小説ということで意識しだした。 それが直接のきっかけだったといってもいい。 しかし同じくピアノや音楽を扱っていると言っても、この二つの小説はずいぶん違う。 ピアノコンクールを描いた『蜜蜂と遠雷』は音楽への情熱に満ち溢れて、いかにも熱い。 そこへいくとこちらはいかにも静かな、静かな物語だ。 音楽の曲名もほとんど出ては来ない。 もちろん違うのは当たり前といえば当たり前で、 読者によって好き好きはあるだろうが、 私にはどちらも別の魅力でとても楽しかった。 ここに描かれているのは音の哲学と呼んでもいいものかと思う。あるいは音の詩学。 だから具体的な曲名は少ないし、静かでもあり、自然とつながってもいる。 ピアノを45年調律してもらっているという作者の宮下奈都さんはもちろん音楽が好きなのだろうが、 音楽との関わり方というのは、人それぞれ様々な形を持っているのだとあらためて思う。 思えば私自身は、こんなふうに音楽を、 音として、それも自然とつながる音として、考えたことはなかったかもしれない。 また一つ違った感性に導かれて、新しいともいえる音=音楽の魅力に触れることができて嬉しい。宮下さんに感謝。 主人公の素朴な人柄も魅力だが、 彼が心を寄せる和音との関わり方も、ありがちな恋愛もののような形で描かれていないのもいいと思った。 | ||||
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ピアノの調律師という世間的にはあまり注目されない仕事を取り上げており、しかも物語上、大きなイベントはない。静かな筆の運びと相まって、地味な小説だという感じを抱いて読み始めた。 しかし、読み終えた今では、良い作品に出会ったと感じている。 音という目に見えないもの、それも調律の違いのような感じとれる人も多くはないであろうものを、見事に文字で表現しきっている。この力量はすごい。 調律の世界に、到達点などない。このことを、主人公の苦悩を通じて、これでもか、これでもかと投げ掛けてくる。それでも本書は、希望に満ちている。 「才能」とは何か、「継続」とは何か。考えさせられるところの多い作品だった。 | ||||
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ついつい小説の中に惹きこまれ、気が付くと最後のページでした・・・。読み終わるのがもったいない小説でした。 | ||||
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「美しく 善い 祝福の歌」 こんな風に美しいメロディー、文章、景色に囲まれて ずっと過ごしていきたいね。 世界中の人が 「明るく静かに澄んで懐かしい」 気持ちで生きていれば素敵なのに。 鍵カッコの中の文字は、本からの引用です。読んでいる時間は、ずっと美しく澄んだ気分でした^^ | ||||
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ご自身で読んで見てどう感じるかだと思いますが、基本的には調律師のお話です。 | ||||
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もちろん、本屋大賞でその名を知って、手に取りました。 宮下さんは、スコーレ以来。スコーレはとっても良かった。 期待大。で、ワクワクしてページをめくりました。 主人公は外村君。北海道の山の中で育った彼が、高校の体育館で 目にしたものは、板鳥さん。板鳥さんがやっていたのは調律。ピアノに 息を吹き込む。ピアノに話しかける。ピアノが産声をあげる。 その姿に外村君が目指したものは調律師。 就職したのは板鳥さんの姿を追って。 スタートした外村君が出会ったのは柳さん、秋野さん。 そしてその二人が憧れる板鳥さん。 やがて外村君がめぐり合うのは様々なピアノ、様々なピアニスト。 そこにはそれこそ語りつくせない物語がそれぞれにあって、外村君の 感性を磨きます。 まっすぐな外村君に話しかける双子の姉妹。和音ちゃんと悠仁ちゃん。 二人の成長と外村君の成長。 響き合うのはどこに向かって、そしてどんな音色を。 という物語。 静かな滑り出しから、北海道の山の風景、しばれる寒さ、そして森の 風、山鳴り。それが一貫してピアノに映し出される姿が外村君の心に 重なり、味わいは良好。 80点。 静かに始まり、静かに終わりました。 柳さんと和音ちゃんと秋野さんと板鳥さんの笑顔。 いいお話でしたが、ちょっと盛り上がりが低くて、高い山を登る 感覚がなかったかな。 宮下さんはスコーレがすごくいいんです。人の成長。 描き出しています。これからも期待しています。 | ||||
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