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旅涯ての地
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旅涯ての地の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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最終章であるマッダレーナの最期を看取るシーンから、主人公が老いてマッダレーナを回想し永遠の安らぎと幸福を実感するまでの文章は圧巻。主人公と一体になってその安らぎと幸福を自分にもたらすこの美しい文章をぜひあなた自身で体験して欲しい。人生が一段と豊かになった気分の読後感です。ありがとうございました。 | ||||
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物語の主眼は第三部にあります。宗教・民族・文化といったマクロな要素と、人間の性愛と良心といったようなミクロな要素の複雑な絡み合いの中で、東方から来た主人公夏桂と異端のカタリ派に帰依したマッダレーナを対比していきます。 ローマ教会の異端審問官一行の到来という最大の危機を前に、続々と城を離れる信徒たちをよそに、慫慂として居残り、一人死を迎えるマッダレーナを見て、夏桂は何を思ったか。「マリアによる福音書」の記述は、彼女にどのような影響を与えたのか。 アルプスの山間の村ののどかな暮らしの描写から始まった第三部は、極めて荘厳な終結を迎えます。展開のおもしろさ以上に、いろいろ考えさせられる作品です。 | ||||
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初めて海外を舞台にした坂東作品を読みました。日本人の作家が、この時代のこの地域を舞台にして小説を書くのは、決して容易なことではなかったでしょう。 浮き沈みの大きい人生を送ってきた、日本人の血を引く主人公夏桂が、大都からの帰還中のマルコ・ポーロ一行に同行し、ベニスで奴隷として働き始めるところから話が始まります。この設定だけで私は相当な新奇さを覚えました。 歴史上実在した人物は出てくるものの、先の展開が全く読めないまま、引きずられるように読み進みました。相変わらずな即物的な表現は、多少気になりますが。 全体の構成も斬新です。第1部と第3部はそれぞれベニスとアルプスの麓を舞台に夏桂が語りますが、間の第2部は、「マリアによる福音書」をめぐるローマ教会と異端のカタリ派との抗争に巻き込まれた夏桂が、運命に翻弄されるかのように逃げ回る様子が、追う側の往復書簡の形で綴られています。 日本人を母に、漢人を父に持つ主人公が、ルネッサンスの足音が聞こえてくる中世末期のヨーロッパをさまよいながら、様々な素性の人たちと出会い、交流し、議論し、そして別れていく。何ともわくわくするような展開です。同行する、禁欲的で敬虔な女性マッダレーナとの対比も非常に印象的です。 「狗神」や「死国」といった一般受けする作品を読んで喜んでいた頃の自分がほろ苦く思い出されるような、スケールと深さのいずれにおいても圧倒される大作です。 | ||||
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坂東サンはイタリアに造詣が深く、またタヒチにお住まいということで外国で暮らすことの大変さをよくわかっていらっしゃると思います。日本人が、アメリカ、ヨーロッパなどで暮らし、一番戸惑うのはやはり宗教観(キリスト教との関わり)だと思います。現代の世の中でさえ、アメリカ、ヨーロッパでは多くのヒトが神、キリストを信じて生きています。その違和感は日本人として、またScienceのなかで生きてきたものにはとても奇異です。主人公である夏径は最後まで、神や信仰に生きることに納得できませんが、信仰を貫いていきようとする女性に引かれてゆきます。話の中心になる聖杯なるものが、マグダラのマリアであるという説や「マリアの福音書」などは、ダビンチコードでも出てきた物語です。結局、宗教や歴史というものは時の為政者に都合のいいようにかえられながら、できてゆく訳ですからそれを信じられるというのは私には理解できないことです。 | ||||
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こんどの子猫殺し騒動は黒い笑いが満載だった。 「他国に在住する一人の作家の(たかが)猫殺し」と「レバノンの子供老人を含む住民の無差別殺戮」との温度差。 その次に「不買運動」。わたしの好きな作家はみんなこの対象になってしまうだろう。 ベストセラーリストを見て暗澹とした気分になる人には、坂東眞砂子の長編はどれもお薦めだ。 何度読んでも面白い。 何度も読む価値がある。 繰り返して読めば読むほど味がでてくる。 (どこかで聞いたような粗い人物描写でも)生の魂にじかに触れた気分になる。 5-6行でまとめられたあらすじでは、見当もつかないところにつれていってくれる。 | ||||
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舞台こそヨーロッパであるものの、著者の「じっとり湿った空気」はこの本でも健在。 映画化された死国や狗神に飽きたら、ぜひ一度手にとって欲しい一冊です。下巻まで寝るのも忘れて読みきりました。 | ||||
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宋人と倭人の血を引く夏桂が、マルコ・ポーロ家の奴隷として連れて来られたヴェネチアで、偶然一枚のイコンを手にする。そのイコンが彼の運命を変えていく。イタリアが舞台なので、最初のうち、登場人物の名前のを覚えるのに一苦労したが、誰が誰であるかを把握してからは、先を読まずにいられなくなり、下巻まで一気に読んでしまった。直木賞受賞作『山妣』より圧倒的におもしろい。 (下巻のレビューに続く) | ||||
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(上巻のレビューの続き) 邪教と呼ばれたキリスト教・異端カタリ派たちが住む"山の彼方" が、下巻での主な舞台になる。夏桂は"山の彼方"に住む人々とうまくやっていくが、彼の東洋的宗教観とカタリ派たちのキリスト教的価値観が、かみ合わない様がおもしろい。しかし、イコンが再び災いを引き寄せる。"山の彼方"はどうなってしまうのか…。少し皮肉めいたラストも感動的である。 | ||||
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