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かわいそうだね?
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かわいそうだね?の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全55件 21~40 2/3ページ
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題材が非常に面白そうで気に入った「亜美ちゃんは美人」目当てだったが、これはアタリだ。 天性の美貌を持って生まれたが、人格には非常に問題のある女性の堕ちていく様が、そんな彼女の影に隠れて鬱蒼と生きてきた女性の視点で、非常に愉快に書かれている。作者のブラックユーモアは、本作でも切れ味が鋭い。 この作者の本は、評判の悪いタイトルでも、私は面白くて気に入ってるのだが、それでも尚、作者で一番面白い小説じゃないかと思う。 やはり全体的な評価も非常に高いようだ。 一つ疑問なのは、さかきちゃんの彼氏が童貞じゃなかったって話。この下り、必要あった? 表題作「かわいそうだね?」は、タイトルにもなってるが、「亜美ちゃん」ほどの面白さではないと感じた。 | ||||
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この本には2作入ってまして、2作目の「亜美ちゃんは美人」を強くおすすめします。 特に、彼女が欲しいけど女の子とコミュニケーションがなかなかうまくいかないと悩んでいる男の子にすすめたい。 女の子の世界というか力関係とでもいおうか、男の子とはかなり違うことがわかります。 コンパなどで失敗しない参考になるでしょう。 この話に出てくるさかきちゃんみたいな女の子は結構いると思いますよ。 | ||||
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弛みのない言葉で綴られる樹理恵の物語。 スラスラ進むストーリーに時折挟まる樹理恵の思索がいちいち良く。 そして、「どっせい、どっせい、どないせっちゅうねん!」から始まるラストシーンに なんだかとてもカタルシスを感じたのでした。なんか知らんがスッキリ。 そして、併録の「亜美ちゃんは美人」。日々のもやもやした気持ちや感情を、 言葉として表現することは難しいわけだけど、それをスラスラと語ってくれる 綿矢さんの文章はとても気持ちがいい。 知的で、饒舌に語る少女漫画の主人公たちの次の物語が、また楽しみ。 | ||||
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衝撃、おもしろい、リアル。 この本を読んでいる最中に、綿矢りさ作品三冊追加購入してしまったほど。 キレイな文体の整った恋愛小説が気にくわない女性にオススメの、飽きさせないストーリーが魅力。 | ||||
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さすが綿矢さん! 前から発売されるたびに読んでいましたが、 今回も期待を裏切ること無く、楽しかったー! とくに、「かわいそうだね?」の快進撃が楽しい。 20〜30代の女性が共感できる部分が多く、読みながら、頭の中でかなりイメージできました。 もう1話も、主人公のような「引き立て役」の気持ちになったことのある人って、多いと思う。 私とは違うなぁなんて思いながらも、読み進めて行くうち、最後のさかきちゃんの祝福に感動。 簡単に読めて、楽しい。 おすすめです。 | ||||
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ぱっくり折れたミュールの表紙のインパクトが凄かったのと、綿矢りさ先生のファンなのとで購入しました。 アメリカでは普通のことなのかもしれないけれど、女の人が嫁ぎ先の伝統や風習にならうみたいに、日本では日本のあり方でいて欲しいかも。彼氏は今回の件で意見を折らなかったら、これから先、女性関係でもっと大きな壁にぶつかったとき、どうするつもりだろう?けれど、主人公の心の揺らぎを読みながら一緒に体感していると、自然な流れでこちらまで納得させられてしまったり、怒りがふつふつと湧き上がってきたりしちゃうのが不思議。最後、今まで押しとどめていたものを解放した主人公が、読者の気持ちを代弁してくれます。「いいぞ、もっとやれ!」。ラストのその後を考えると、思わずイラッとしてしまいますが、そういった読者の気持ちの誘導や主人公の気持ちの揺らぎは、この作品のコンセプトになっていることだと思うので、そこは綿矢先生に上手く洗脳されたということで。 | ||||
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綿矢りさは、芥川賞をとった直後ぽつぽつと訳のわからない恋愛小説を遺し死んだかと思っていた。しかし、本作の『亜美ちゃんは美人』で彼女が地獄から這い上って来た。綿矢りさは健在でした! 斬新な視点。三人称ながらあくまでも語り部は坂木ちゃんで、冷静に自分を客観視して「さかきちゃん」と自らをキャラクター化して物語に登場させている。「さかきちゃん」がわざわざひらがなである訳はここにあるだろう。さかきちゃんの一人称視点ではこの小説は成功しなかったと思う。一歩だけ遠くから、亜美ちゃんと自分(さかきちゃん)を語ることで、この小説の均衡は微妙に保たれているという印象を受ける。 よくあるテーマでありふれている人物像と批判されるかもしれないが、それでもその「よくいる現代女子」を描かせれば綿矢りさの右に出るものはいないなぁ、と唸ってしまう佳作。 | ||||
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綿矢りささんの小説はお気に入りで、これまでの小説はすべて購読しています。綿矢さんの小説の魅力は、言葉遣いの巧みさ。流れの良い文章の中に、ところどころに潜むユーモアある表現が、女性からのラブレターを読んでいるかのような印象を与えてくれます。 この作品も途中までは心地良く、読み切ってしまうのが惜しい気持でどんどん読み進んでしまいましたが、主人公が豹変してしまった後は嫌な印象だけが残ってしまいました。綿矢さんは最初からこのような展開の小説を書こうとされていたのでしょうか…聞いてみたいです。 | ||||
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2編のストーリー、どちらも好きですが、私は2つめの「亜美ちゃんは美人」の方が好きです。 表題作は三角関係です。笑 私ならこの状況は耐えられないし、彼とはつきあっていないと思います。 綿矢さんの作品は最近のびのびとしていて大好きです。 今回も感動しました。 | ||||
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おもしろかったぁ! 綿矢りささん、好き! 以下、教訓。 「かわいそうだね?」 ○ 優柔不断な男を挟んでの恋のつば迫り合いは、必ずしもより愛されているほうが勝利するとは限らない。 × なにごとも辛抱がだいじ。 「亜美ちゃんは美人」 ○ 女同士の嫉妬を超えた友愛は成立しないと思い込んでいる男は、ダサい。 × 美人のお友達は持たないように心掛ける。 ]の作者との対談で、 あの佐藤優氏が「亜美ちゃんは美人」は悪の問題を扱ていると言っておられたが、 わたしは違うと思う。 | ||||
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リアルな女性目線の恋愛や人生観を味わえます、まるで本の主人公になったような感覚に陥るリアルな描写が印象的です、ぜひ、オススメです。 | ||||
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大分前に読んで、面白かったと思い感想。 20代のリアルな生活、彼氏である、男の軟弱性というか、なんというか、言葉に出せない空間、行間みたいな所を、文章で表せるのが、綿谷さんだと思います。 妙な三角関係と思ったら、相手の女性は確信犯だった、という事。男はどっちつかず。 簡単に言えばそうなるが、その描写が本当に頭で想像できる。それを描くという事はやはり天才的じゃないと無理なのだと思いました。 そして「かわいそう」という言葉。 私個人として、受け止めたのは、人間は結局非情にエゴイストなのだ、と思いました。小学生の感想ですが、年を取ったところでも、根本は変わらない。 そして、彼氏である現代風の男の、この軟弱性。これは私にもあてはまる、ような気がしてドキッとしました。草食系というか、自身をかっこつけて、どっちつかず 傷つかない様に過ごす男。それにつけこんだ間女。 この時代を飾るに相応しい小説だと思う。 何十年後に読めば、この時代の「雰囲気」を未来の若い人が感じられる作品だと思う。 | ||||
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どちらも面白くてテンポが良く、どんどん読めてしまうので、 読み終えるのがもったいなかったです。 「かわいそうだね?」 私は元カノと今カレの同棲なんて許せないし、まずあり得ない。 しかもあんな元カノと付き合ってたなんて、まずそんな男はナイですね。 いわゆるダメ男ですもん。 あんな男と付き合ってたら自分の価値が下がる気がするし。 でも主人公はそれが解っていても別れられないんですよね。 これが現実なのかな〜とも思えるところが綿矢さんの上手いところですね。 「亜美ちゃんは美人」 亜美ちゃんが落ちていくところがほんとに上手く書かれすぎていて、 読んでいて気持ちが悪くなり軽い吐き気さえ感じましたね。 人物像の描写が上手すぎる!まるで目の前にいるかのよう。この一言に尽きます。 | ||||
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大江健三郎賞受賞。 面白く読めました。 彼氏が元カノと同棲している(秘密にすることもなく、就活中で金もなく、住む家がないからかわいそうだし泊めてあげているという理由)彼女が主人公。 無茶苦茶な理論の彼氏に振り回され、葛藤する彼女の様子を非常にうまく描いていて、さすがだなという感じ。 男でも面白く読める作品かと。 | ||||
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よかった点 この作家はやはりおもしろい。題材が恋愛で、ほとんどが略奪愛や女の嫉妬が書かれている。展開が急に変わるのは、主人公が過激な行動に走るからだろう。冷静に分析していると思いきや、糸がぷつんと切れるように怒りのタガが外れ、暴走する。かわいそうだね?の主人公は冷静さを持ちながら怒りの臨界点を越えたら本能むき出しになるという、これまでの作品群の主人公像を受け継いでいた。理性と本能の振れ幅の描写がおもしろい。元カノを匿うどうしようもない彼氏の部屋などめちゃくちゃにしてしまえと僕も憤りを感じていたので、いいぞやれやれと高揚感と興奮で胸が熱くなった。箒や脚を乱暴に振り乱し部屋をめちゃくちゃにするあたりはこちらもスカッとした。予想通り残念な結末だったが、彼女がしゃーないと呟いたようにうまく気持ちを切り替えてほしい。実は破天荒に暴れる野性味溢れる君のような女性を好む人もいるかもしれない。頑張れと声援を送りたくなるほどに良い読後感だった。 亜美ちゃんは美人は、三人称で書かれており、客観的な視点の物語。美人に嫉妬する女友達の心境を描いたこれまた作者が得意そうな題材。美人を嫉妬するという誰もが抱く卑しさを発表することは勇気がいると思う。だがそれをやり遂げたのは偉い。いつものドロドロした展開よりも比較的まともに進行するスタイルは作者の新しい試みだと感じた。小池君のキャラクターがよかった。 悪い点 恋愛系は飽きた。インストールで感じた自分とは何者なのか模索する、作品に漂う虚無感のようなものをもっと深く掘り下げた秀逸な作品を見たい。作者の力量ならできるはず。かわいそうだね?を貶そうとしたがどんな作品だったのか思い出せない。感動や怒りなどをあまり感じなかったからだろう。深みがない印象の薄い作品という評価にせざるを得ない。おそらくテーマが巧く作品に浸透しなかったからだと思う。かわいそうという気持ちはみんなが持つ当たり前の概念で、決して哀れみの意味が込められた卑しい言葉ではない。相手を包み込む愛情のように当たり前の気持ちとしてかわいそうという言葉がある。みんなが自分を愛し、相手も愛するためにかわいそうを使ってほしい。平等な愛とは誰もが思う平等な感情なのだ。作者が伝えたかったのはこういうことではないか。その意図と出だしの地震の関連性は掴めたが、メインストーリーにそれが絡んでいなかった。それが作品をただの憎愛劇と形容していい茶番に仕上げてしまった。主人公はアキヨさんが彼氏の部屋に転がり込んで暮らしているのに傷つきながらも大目に見ていた。なぜなら根底にかわいそうという同情があったからだ。だが作者が、かわいそうを平等の価値だと主張するならば、アキヨさんも彼氏も、そして主人公もかわいそうな存在なのだ。そのことにはたと気がついた主人公が自分の主張を通すために暴れるという展開ならよりテーマを深く掘り下げることができただろう。 亜美ちゃんは美人は、これまで見た作品中もっともつまらない尻すぼみ方をする過去最低のオチを見せた。普通亜美ちゃんを別れさせるだろう。苦労すると知りながらもその助言をしなかったさかきちゃんの真意が不明である。僕なら止める。不幸になるのは明らかなのに、何故止めなかったのか。果たしてそれは友情なのか。腹黒い魂胆が描写されているわけでもないので、さかきちゃんは最善の策だと思っているのだろうがその選択は馬鹿だと思う。最後はそんな彼女が嫌いになった。主人公を嫌いになる小説は読むに値しない出来になる。途中まですごくよかったのにさかきちゃんの選択によって歪んだ作品になってしまった。 | ||||
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表題作は、もどかしくぎこちなくとりすました三角関係を、一瞬でぶち壊すカタルシスが魅力。 興奮しすぎて訳の分からないこと言う自分を自覚しながら止まらない。わかるー。 併録の「亜美ちゃんは美人」は、さかきちゃんのスピーチが見事だ。 坂木ちゃんは、世界で一番亜美ちゃんを応援している。 | ||||
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綿矢りさ氏は、あえて言葉や物語にはしなかったけど、 「あるっ!あるあるこういう時!」っていう状況を書くのが本当に上手い。 あと同年代だから、人生(恋とか学校とか仕事とか)における今重要な出来事が 共通していてすかっとする。 2編入っていて、 標題作の「かわいそうだね?」は、最後暴走する主人公が良い。 恋人の、浮気?ともいえるような行為を、 その恋人の元カノの非常識ともいえるような行動を 相手の気持ちを考えて、がんばって理解しようとするんだけど… 題名の「かわいそうだね?」には、 「かわいそう…なのか?」とか 「かわいそう…だね?んなことねーだろうがよぉう!」みたいな意味も込められているのかな、 と思いました。 「亜美ちゃんは美人」の主人公さかきちゃんは、綿矢りさの小説の中に珍しいなかなか理性的な主人公。 恋人ができて、亜美ちゃんを客観的に見れるようになったシーンや 「亜美さんの不幸を願っている」と言われて、 そうなのか?そうじゃないのか?と悩むシーンとか、 亜美ちゃんのイタイ彼氏を、実は影響されやすいだけの素直な子なんじゃないか、と思うシーン、、 常識的で理性的なのに、感情をないがしろにしない考え方をするさかきちゃんが良かった。 この小説は結構深いな〜真理だな〜と思う部分がたくさんあった。 亜美ちゃんの人生は、前のままの方が、「幸せ」と呼べたのかもしれない。 でも、孤独と窮屈さを一生感じて、他人から見た完璧な「幸せ」を生きるより、 暴走ともいえるような行動をして、苦労して傷を負って、生きる方を、 亜美ちゃんに選ばせてあげたい、と思ったさかきちゃんの感情には、 嫉妬からくる恨みなんて気持ちはなく、優しさと愛だと私は思います。 最後に、全体としてとにかく笑えた。 「にこっ」みたいな笑いじゃなくてまあまあの爆笑。 小説で爆笑させるって、なかなかすごいと思いませんか? そこは、関西人ゆえなのかな〜!好きです。 | ||||
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今までの綿矢りさ作品(新作『ひらいて』は未読です)の中で、一番好きな作品となりました。あんまり書くとネタバレになるので短評を。 前半『かわいそうだね?』…シニカルな女性目線(というか、綿矢りさ目線?)の「綿矢節」が炸裂していて、とても面白かった。 後半『亜美ちゃんは美人』…100頁弱の短編小説で、「綿矢節」は登場しないが、色々考えさせられるものがあった。これを「深み」と呼ぶのかは知らないが、『かわいそうだね?』よりは読みやすい仕上がりで、大衆向けなのであろう。 著者の世間的な評価を上げるには、『亜美ちゃんは美人』のような作品を書いていく方がいいのだろうが、個人的には「綿矢節」が炸裂して思わずニヤッとしてしまうような作品も書き続けて欲しい。 | ||||
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表題作の『かわいそうだね?』と、短編の『亜美ちゃんは美人』の2篇を収録。 どちらも女子の世界だなー。 --- 『かわいそうだね?』 --- 彼氏が諸事情により、元カノとの同居を始めて、三角関係という話。 綿矢りささんの小説を読むのは『インストール』、『蹴りたい背中』に続いて3作目。 いつの間にか、おもしろ愉しく読ませる人になっていた。 ユーモアセンスが格段に上がっている。 それでいながら、純文学の要素もないわけではない。 女の子って、こんなこと考えていたりするのねーと、客観的に見て面白い。 たぶん、映像化したら、さほど面白くはならない。 小説ならではの心理描写が魅力。 ラストは爽快だった。 「かわいそう」って言葉を人に使うのは、いいイメージを持たない人が多いだろう。 読み終えると、このタイトルが非常にしっくりくる。 --- 『亜美ちゃんは美人』 --- 美人の親友にいつも隣に並ばれる女の子の話。 おぉ、いい短編を書きますなぁ。 最後はじんわりくる。 さかきちゃんは美人。 でも亜美ちゃんはもっと美人。 女性だったら、共感できる人は多いんじゃないかなぁ。 自分は女性ではないが、さかきと亜美の気持ちは、なんとなく想像できる。 やっぱり、最後がいいねぇ。 さかきの心情の変化が微笑ましい。 「ねえ、いままでの人生のなかで、どの瞬間が一番幸せだった?」 さかきからこの質問を受けた亜美の答えが、よく分かる。 幸せってきっと何気ないところにあって、通り過ぎて、しばらくたってから振り返ったときに気づくものなのかもしれない。 | ||||
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文句なしに面白い。 随所で笑えるだけではなく、いろいろな伏線を巧みに配置して、クライマックスに持って行くストーリーテリングの冴えは、ただ見事という他はない。 しかし、面白く巧みなだけの小説なら、他にくさるほどある。 ここに収められた2篇が卓越しているのは、その上品さだ。 「かわいそうだね?」の樹理恵ちゃんも、「亜美ちゃんは美人」のサカキちゃんも、人間として実に品がいい。その品のよさは日本語では表しにくく、英語のディーセント(decent)という言葉が最もあたるような種類のものである。 大江健三郎賞を受賞したが、大江も「ディーセントな人間」を高く評価していた。 上質なエンタテインメントでありながら、根源的にディーセントであるがゆえに、平凡なヒロインたちが、その欠点も弱さも含めて、いや、それゆえになおいっそう、崇高な存在にすら感じられてくるのである。 | ||||
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