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かわいそうだね?
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かわいそうだね?の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全68件 61~68 4/4ページ
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深い洞察とあぁそんな感じですよねという表現で女の人の感性とか気持ちのあり方とかかなり不定形なことがしぜんに文章に織り交ぜられている。さっぱりと後読感がいいのは、二作とも主人公がどこか理性的に一貫していて自分を誤魔化さないから。すてきです。 | ||||
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カテゴリは純文学に入るのだけど、 「勝手にふるえてろ」以降綿矢さんの小説は笑える小説化しているように感じる。 初期の純文学バリバリのテイストがないことが寂しくもあるけれど、 腹を抱えて笑える本作収録の二編はすかっとして読んでいて気持ちがよかった。 (特に「亜美ちゃんは美人」の亜美の恋人の喋りのセンスときたらもう。。。 小説を読んでこんなに爆笑したのは久しぶりだった) 個人的には表題作より「亜美ちゃんは美人」のほうが笑えるししんみり出来るし 私は「亜美ちゃん」みたいに超絶美人なわけでもなんでもないけど亜美ちゃんの 「自分を好きになるひとは好きになれない」という感覚はいたく共感できて思わず 「わかるわかる」と頷いてしまった。 傑作というほどではないけれどなかなかの佳作。おすすめです。 | ||||
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芥川賞以降の綿矢さんはスランプに陥っていたと思う。 『夢を与える』には迷いが表れていた。もがいた跡があった。この後綿矢さんはどうなるんだ、って不安になった。 『勝手にふるえてろ』でちょっと不安は和らいだ。迷路の出口に行くための地図を見つけたんだな、って思った。それでも、まだまだ出口が見つからないみたいだった。 そして、この本に収録されている二作にで、迷路から脱出して大人の女になった綿矢さんに出会った。今、進路で悩む私はそんな綿矢さんを見て、勇気と希望をもらった。 綿矢さんの根底は変わっていない。二十歳前のフレッシュな勢いはないけど、全体的にちょっと成熟していて、細やかな情景描写も比喩の鮮やかさもレベルアップしている。 ちなみに綿矢さんの作品は、新しいほど女性受けしそうなものになっています!女性の方、要チェック!もう、有象無象相手にエロチャットなんてしなくてよ!(多分) あー、でも女性受けするようになる分、多分綿矢さんの熱心なファンの大多数であろう、おっさんの受けは悪くなるかも知れません。文学が好きで文章が好きなおっさんはまだファンを続けるかも知れませんが、AKBオタクになるみたいに綿矢さんを追いかけるおっさんは離れていきそうです。少なくとも、そういう人は綿矢さんより若くてかわいいけど、普通より地味かおとなしそうな女流作家が出たら、絶対そっちに行きます。 まっ、これから綿矢さんをストーカーするような不届きなファンは減って、真っ当なファンが増えていくでしょう。 | ||||
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表題作品は、彼氏(隆大)と元カノ(アキヨ)と私(樹里恵)の 三角関係、痴話である。 地震の描写(妄想)で始まり、ラストでは地震が訪れ、 地震の記憶が甦り、不安な心理がバックグランドに漂う。 震災前の2月10日号から5月19日号まで「週刊文春」の連載だが 震災後の時代とのシンクロニシティが興味深い。 『”かわいそう”という言葉は嫌われがちだ。』 感情としては存在するのに、使いたがらない言葉、使われることが嫌われる言葉。 『火垂るの墓』や阪神淡路大震災のトラウマにもなっている言葉。 『アキヨさんは、かわいそうなんだから。』という 元カノに向けられた感情であると同時に私自身や私の置かれている境遇 に対しても向けられている感情である。 静から動へ、ラストに向かって『突撃』という行動によって 爆発する感情に巨大化して行くのである。 地震のような破壊のカタストロフィーで終焉を向かえ、 一服の煙草の静寂だけが残る。 終盤のスピード感が爽快だ。 | ||||
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デビュー作も芥川賞受賞作も、私にとっての魅力は 未成熟な(だけど賢い)女の子の、心の行間を書いている ということでした。 叫び未満で渦巻いている苦しいモヤモヤに、分かり易く名前を付けて切り捨て 社会性という仮面をかぶり まだ幼いままの自分をどこかに封印する… ということがなかなか出来ずに苦しむ人の、 名も無き苦しみを手にとって眺められるようでした。 作品が経済の一部になってしまうと、もう作品は 自分だけのものではありません。 純粋な私小説や日記みたいな内容は許されなくなるので、 公な作品を書こうと四苦八苦されてきたことと思います。 この小説は、いくら話しても分かってもらえぬモヤモヤと、 作者が決別した作品のように思います。 その証拠に、「分かりやすい」でしょう。読む人を選ばない。。 読み物としてはとてもよく出来ていると思います。 起承転結まとまっているし、人物描写もちゃんとしてるし ただこの作品は読み捨てですね。魂がないから。 それは表現を仕事にする人なら 誰もが通る道ですが… 同世代の作家と比べて、「職業作家」になるのが遅く 闇に言葉を与えようと努力されていたのが綿矢さんのような 気がするので、ほんの少し!残念です。 余談ですがこの作者は、毎回絶対インテリおたくみたいな男が 出てきますね。しかも描写が細かい。 もうこれは作者の好みとしか言いようがないのでは… | ||||
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「インストール」、「蹴りたい背中」は情景描写が素晴らしかった。いずれも女子学生を主人公としていて、おそらく綿矢さんが書きやすいものだったのだろう。 しかし、「夢を与える」以降では芸能人の学生・OLを主人公にしたが、苦戦していたように思えた。情景描写の一貫性を感じられなかった。 ところが、今回、またOLを主人公とした文章だが、得意とする情景描写も完璧。(綿矢さんらしさもでてた)そしてラストの心情描写は圧巻。ただ村上龍には負けるが。 そういうところで綿矢さんの成長を感じた次第。 また、2作目の「亜美ちゃんは美人」は「かわいそうだね」と同じような描写で少し残念だったが、おもしろかったのでそれはそれでいいです。 | ||||
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ここまでテーマもなく、読んだあとに何も残らない作品は久しぶりだ。 登場人物は一人も好きになれず共感もしにくく、何が言いたいのかも分からない。 むしろ読んだあとにむかむかしてくる。何なんだこいつら?という感じ。 文章ははっきりいって普通以下。たくさん出してるならまだしも、何年かに一度出してる本でこれは異常。 読めないことはないが、文学作家が書く文章じゃねえだろ(笑) 前作まで句読点が異常に少なかったのを散々叩かれたためか今作はあるにはあったが、その句読点の打ちかたが下手でテンポが悪すぎ。さらに中途半端に入れたせいで、前までどうにかあった個性もなくなった。これじゃこの人の小説を読む意味がない。テーマもへったくれもない、よくある話でよくある登場人物の話(しかも全員性格悪い)を、下手な文章で読むだけなんだから。 とりあえずこの作家に期待をして、ハードカバーで買ってしまった自分を殴りつけたくなる本。 | ||||
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書下ろし長編とおもいきや、文學界初出の「亜美ちゃんは美人」も併録なため、中編2つでした。長さから軽く読むのには丁度良い感じです。 両方とも、そこそこの面白さでした。表題作の英語教師のアドバイスのところでは、書き手がわかってなく、読者がわかるように構成しているのは、面白いとは思いましたが、書き手視点の物語だけに、ちょっと微妙な感じもしました。主人公の職業についてなど、取材は良くされている感じがあります。ただ、喫煙がやや美化されているのは(毒を吸い込むというのは書いていますが)、やめて欲しい感じでした。 亜美ちゃんは美人、は雑誌で既読でしたが、男性には伺えない女性の心理が良く出ていたと思います。美人を著者がどう描くのは特に男性ファンには興味が持てるところかもしれません。 著者の代表作とはいかないかもしれませんが、著者のファンであれば楽しんで読めると思います。 | ||||
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