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金の仔牛
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金の仔牛の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.50pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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タイトルが示す通り、18世紀の金融実験を背景にしたもので、 登場人物たちの魅力はさることながら、その思惑と市場がもつ 本質的な不安定感とがうまく結びついていてとても読んで快い。 同著者の「醜聞の作法」では同じ頃の書簡媒体を背景に した小説だったが、社会的なシステムが人々の考え方や所作に 影響していく点をペダンチックにならずにあくまで背景として 生かしきるところは毎作品、すごいなぁ、品がいいなと思います。 何故、こういう面白い小説がもっと話題にならないのだろうと 不思議に思います。 | ||||
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新境地とみるべきか、劣化なのか、あるいは進化なのか。 今までの佐藤亜紀作品とはずいぶんテイストが異なります。 佐藤亜紀作品はほぼ全て読んでおり、これまではなにかしら悪辣だが魅力的で、痛快、ときには過酷で熾烈なほど、それが胸に刺さりました。 今回は生ぬるくて、歴史小説風な紙芝居と化していて、薄っぺらいです。 このオペレッタ的な展開はあえて狙ったものだとは思うのですが、個人的には今までのように読みごたえのある作品を期待していました。明らかに別物で、残念です。途中からは読むのが苦痛。題材のせいもあるかもしれません。裏政治とか戦争とかが、この作者にはあっている気がします。 | ||||
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18世紀のフランスが舞台となっていますが、そこで行われていた金融取引の手法は現在となんら変わらないことに改めて気づかされました。登場するのは、空売りに信用売買にリスクの証券化にマネーロンダリングに、と現在と過去がオーバーラップして立ち現われてくるような錯覚を覚えます。現在の経済のカラクリの基本を描くのにこういう手法があったんだ。加えて、現在のネット取引や先物売買の決済に通じる仕組みまで描かれている。そういえば前作の「醜聞の作法」ではマスコミのカラクリが題材だったことを思い出します。複雑化して見通しが悪くなった現代社会のあらゆるシステムの基本をすっと透かしてみるような快感。結構な情報量の整理整頓をしたうえで、きちんと小説としても楽しめる作品に仕立て上げる作者の胆力に賞賛。金融の仕組みが今ひとつわからない人は、入門書を開くより、こっちを読んだほうが理解が早いかもしれません。金融業界に職を得ようとしている若者は人生勉強も兼ねて是非一読すべし。 | ||||
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野心あふれる庶民が,その野心をあおり立てて自分をはめようした貴族に対して逆に鮮やかなしっぺ返しを決めるという,モーツァルトのオペラになりそうなお話です。 読後感は非常に痛快。 佐藤亜紀さんの小説の中では「戦争の法」以来の面白さでした。 経済や金融について若干の知識があれば,より面白かろうと思います。 ところで,私が佐藤亜紀さんの小説を好む理由は,その文体の魅力が過半を占めるといってよいのですが,本作では文体の面で若干の実験をなさっているようです。 現在形を多用した,たたみかけるような文章の運び。 これにはぐいぐい読まされてしまいました。 佐藤さんには,今後もコンスタントに作品を発表していっていただきたいと思います。 | ||||
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20世紀にニューヨーク証券取引所に端を発した世界的大恐慌以前の3大バブルのひとつ、ミシシッピー事件を小説にしたもの。 金に飢えた有象無象の人々が過熱していく相場に巻き込まれていく様子が、実にリアルで面白かった。 投資するか、それとも投資家の仲介役に甘んじるか、投資するなら価格下落リスクをどうヘッジするか、つまり第3者にどうリスク移転 するか、このリスクを最小化しつつ利益を最大化する手法について小説で記述されているものは、そのまま現代でも「証券化」という 技術で応用されており、筆者も金融技術についてもよく研究しているなと感心した。 また「存在しない黄金を根拠とする国家発行の偽金、すなわち不換紙幣」による富の創造という大実験が、ミシシッツピ事件の本質であり まさしく現代史で出てくる信用恐慌、ニクソンショック以前にもあったことは驚きだった。 | ||||
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異才、佐藤亜紀の最新作の舞台は18世紀初頭のパリ。 オランダチューリップバブルやイギリス南海泡沫事件に並ぶ、 ジョン・ローが引き起こしたミシシッピ会社事件がテーマ。 最初の1ページ目から、鋭くかつ高貴な文体に引き込まれ、 著者の完璧な社会史知識をベースに、今ここで見ている かの様なリアリティで、近代パリのバブルが描写される。 一癖も二癖もあるキャラクターたちが縦横無尽に駆け巡り 市場参加者の一人である私でさえその精確さに驚く 金融市場の昂奮が、株価格の上昇とともに高まっていく。 ラスト、彼女に他の作品には見られない、痛快なハッピーエンドで この作品は大団円を迎える。若奥様の爽快な活躍に、まさに 「近代小説!」と叫びたくなる上質な「ロマン」である | ||||
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