■スポンサードリンク


蠅の王



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

蠅の王の評価: 4.16/5点 レビュー 103件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.16pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全80件 1~20 1/4ページ
No.80:
(5pt)

面白く読みやすい!

思っていた以上に読みやすく面白いです。まだ途中ですがどんどん引き込まれていって、続きが気になります!
読み終わり、ドキドキしながら物語の中にいつの間にか入り込んでいました。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.79:
(4pt)

期待通りの商品でした。ありがとうございました。

期待通りの商品でした。ありがとうございました。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.78:
(4pt)

ゴールディングは暴力が人類の基調だと言いたのでしょう。

「十五少年漂流記」はユートピアを基調としていて最後はハッピーエンドのような終わり方をしていたけれど「蝿の王」の終わりはそうは読めない終わり方。380ページほどある小説で最初の50ページくらいは確かにユートピア風味の小説だったがじょじょにディストピア風味に移行する。設定となった島は少年以外に大人はいないという設定で、次第に監視する人がないことを良いことに暴力的な闘争が始まるがゴールディングは人類的には「十五少年漂流記」のユートピアよりこっちの方が人類学的に正しいと言いたいんだと思います。だからおそらく同じ理屈で警察がなかった時代の人類は人類に殺されていたと「スマホ脳」に書いてありましたし、この本はまだ読んでいませんが『ヒトは、「いじめ」をやめられない』の著者は「いじめは人類の種の保存に必要だからなくならない」と主張しています。そして最後は巡洋艦という言葉が出て来て、それが軍事用品だから第二次世界大戦もそうだと著者のゴールディングは言いたいのでしょう。
蠅の王 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王 (集英社文庫)より
4087605787
No.77:
(4pt)

人間は、人間であるという病気に罹っている

私は以下の2つの側面からこの書籍を評価したい: 訳、及びこの本の意義だ。

まず訳は、正直褒められた物ではない気がする。日本語として前後の繋がりが分かりにくい所が多々出てくるのみならず、その事が重要であろう場面での脳内における情景描写にまで悪影響を与えてくる。勿論外国語の本を、特に表現に富んだこの小説な様な本を日本語に直すのは簡単な事では無い。そこは翻訳者に敬意を表しつつも、それでも、もっと自然な日本語であったなら、更に物語に入り込めたであろうと感じる事があったのも事実である。

しかしだからと言って、この本の意義(伝えたい事)までもが分かりにくくなる、またはそこを侵食する程の訳が展開されているわけではない。後書きを参考にさせて頂くならばこの本は、「人間は暴力的な一面を生得的に持っている」という可能性を示唆する物だ。紳士たる白人至上主義下の英国人が主人公のこの物語、そして当時の実世界において、『優秀な英国人』に疑問符を投げかけ、そこに真っ向から挑戦を挑み、己も含めた隣に居る全ての知人が“野蛮人”になりうる様を描いたこの作者は、まさに当時の英国界に一つのアンチテーゼを投げかけた素晴らしい視点の持ち主であると私は考える。

ここで描かれている様な事態に陥った時、果たしてこの様な凶暴な面を人間が見せるのか見せないのか。それは私には分からないが、史実残酷な事を様々に行ってきた我々人間の、ある種正しくも醜い、野生的で野蛮的な面を垣間見れる良い作品であると信じる。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.76:
(4pt)

強烈な物語。古典と思って油断していたら、不意打ちされた。

飛行機の墜落で無人島に取り残された少年たち。彼らの未成熟な精神がいかに暴走していくかが緊迫感をもって描かれる。

面白かった。古典だと油断していたら途中からとてつもない作品を読みはじめたと感じはじめ、最後は夢中でページをめくっていた。結末が全く予想できなかった。こんな魅力を秘めた物語が1950年代に書かれていたとは。改めて驚かされた。素晴らしい読書体験でした。
蠅の王 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王 (新潮文庫)より
4102146016
No.75:
(5pt)

現在の15少年漂流記

人間の汚い部分を鋭く書いています。
 読み進むと、かなり何とも言えない気分になります。
 この点を考えて、読むことを勧めます。
 マンガで言うと、楳図カズオの漂流教室みたいな感じです~
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.74:
(5pt)

中盤から一気に読めた、面白かった

主役は言わば小学生の子供たちが無人島に流れつき、学校に例えたら、級長を選んで参謀となる副級長がいて、規律を守ろうとするが、対立するガキ大将がいて、仲間割れし、リンチと言う暴力に手を染めていく救いのない話である。級長側は人間の理性、ガキ大将は理性を揺るがす快楽のような関係で相容れない。最後にどんでん返しがあるので序盤は退屈だが、それを乗り越え、読み切ったほうが良い、面白い。
蠅の王 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王 (新潮文庫)より
4102146016
No.73:
(4pt)

今読むと時代の流れを感じます

小説の内容に関しては星5つです。
『十五少年漂流記』のアンチテーゼとして書かれたこの本は、明るくハッピーな話ではありませんが、読み手に強い衝撃をもたらす書物ですので、ぜひとも生涯に一度は手に取ってみていただきたい。

ただ、この版は1973年発行というだけあり、文字使いが古く、人によっては少々読みづらく感じるかもしれません。
例えば、馥郁(ふくいく)、登攀(とうはん)、靡く(なびく)、蹲る(うずくまる)など、見慣れない熟語や、現代であれば平仮名で表すところを漢字変換されて印刷してあります。

私はこの集英社版を古本屋で安く買って愛読していますが、『蝿の王』はハヤカワepi文庫からも新訳が出ていますので、特にこだわりのない方には、そちらをオススメいたします。
蝿の王 (現代の世界文学)Amazon書評・レビュー:蝿の王 (現代の世界文学)より
408124037X
No.72:
(5pt)

書店に行く時間を節約!

書店に行く時間を節約し、読書に専念できる!
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.71:
(5pt)

学校の怖さ

結局この本の怖さは、学校の怖さである。そして職場の怖さ、閉塞的なコミュニティの怖さである。
なぜ10代の子が自殺をするのか、引きこもるのか。なぜ自衛隊の自殺率は2倍なのか。
人間は本来、閉塞的な環境で密になって暮らすべきじゃないのかもしれない。
蠅の王 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王 (新潮文庫)より
4102146016
No.70:
(4pt)

ユートピア的冒険活劇に飽き足らなければ

少年たちが無人島に不時着してそこでのサバイバル生活が始まるという設定からまず想像したのは、少年たちの冒険活劇である。様々な逆境と困難にも負けず、それぞれの軋轢がありながらも友情と協力でそれを乗り越え、最後にはめでたく生還を果たす。そんなストーリーを思い描き、そうあって欲しいと願った。彼のジュール・ヴェルヌの名作『十五少年漂流記』のような展開である。事前情報から分かっていたことではあるけれど、その期待は見事に裏切られた。南の島の青い空に嵐が迫りきて少しずつ暗雲が垂れ込めるがごとく、少年たちのなかに不穏なものが見え隠れし始める。少年たちの年齢はおおよそ6歳から12歳。小学生の年齢である。子どもというのは社会的訓練が未熟な分、感情表現であれ行動であれ直截的である。そして子どもは決して無垢ではない。むしろ直截的であるがゆえに残虐ですらある。ゴールディングは小説舞台を子どもたちだけにした。それぞれが気ままで統制が取れず、未だ多くの物事を知らず非力なゆえに得体のしれない怖れを心の内に持つ。そうした子どもだけで構成されたコミュニティーがどのような末路を辿るのか。文明と社会組織の枷が外れた世界で、人が内に持つ本性がいったい何を為し、何を為さないのか。そうした興味と恐怖で読者を惹きつけ、グイグイ読ませる。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.69:
(5pt)

内容が面白かった。

前読んだときから随分たっていますので、新訳は新鮮です。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.68:
(4pt)

ある意味純粋な話だと感じた

思ったより生々しくはない。少年達の無邪気さがチームになり離散する様と、タイプの違うリーダー格の少年同士の因縁の物語。生きる中での人に生じる欲やひたむきさが行き来するいい話でした。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.67:
(4pt)

恐怖とどう戦うか

無人島での生活を余儀なくされた少年たちの変化を生々しく描いた小説。
15少年漂流記とよく対比されるが、もっとも違うと感じたところは、15少年漂流記では、少年たちが協力しあい、困難を乗り越えて行くのに対し、この蝿の王は、困難に直面する度に、秩序がどんどん崩壊していくところだ。
蠅の王 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王 (新潮文庫)より
4102146016
No.66:
(5pt)

化粧の効果

まず、この話はシンプルな物語に詩的な描写を入れまくったってだけのもの。ただ話を動かすのに人物や状況、環境だけでなくキーアイテムがいくつか出てくる。その中でも、個人的に最重要なのは化粧だと思った。ほら貝と違って、彼らが自らつくりあげたもので自分や他者にしっかり意味を伝えている。この小説の中ではほら貝は民主主義の象徴、メガネは科学主義の象徴らしいが、化粧は、化粧こそは人間の象徴なんじゃないだろうか
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.65:
(5pt)

過去最高のトラウマ本。(笑)

ネタバレ含むから超注意ね。
読んでない人ダメね。

多分今まで読んだ中でイッッッチ番最悪の本だわ。

確か作者って、『ノルマンディー上陸作戦』参加してんだよな。
だからなのかも。

最悪だろこの本。
マジでトラウマになった最低最悪の本だわ。

だけど、作者が第二次世界大戦のあの、『超激戦』、超地獄絵図を見た上で、
『人間てこんなもんだよ』って話してるなら、めちゃくちゃ納得は出来る。

『集団性の恐怖』なんだよね。

昨日まで友達だったと思ってた奴が、群集心理にやられて、
理性の高いコチラが追っかけ回されて無残に殺される。

とか、想像しただけで恐怖だわ。

オレ駄目なんだよ。。

あの『ピギー(だっけ?)』が死ぬ時の描写が、もう、無理。

めちゃくちゃリアルやんアレ。

子供にやらすか??アレを、、、汗

マジで読んでる時も、読んでから数年経った今も、普通にダメだわ。。

でもさ、、もしかしたらこの作者は
『生』でそれを見て来たんでしょ。

プライベートライアンのあの映像のもっと酷いヤツを生で。

若しくは『自分がやって来た』って言うね。

既に降伏してるドイツ兵の自分の親父ぐらいのオッチャンを崖から突き落としたり、捕虜のドイツ兵を首を締めて殺したり、皆んなで寄ってたかって
笑いながら嬲り殺したり、、

自分の妹ぐらいの村の娘をレイプしたり、、

なんてね。
『見るのも』嫌だけど、
『自分がするの』ってもっと嫌かもね。

『自分の中にその残虐性がある』って、めちゃくちゃ辛い事だよ。
『破壊』は人間の本能だからね。

まあ、『猿』の部分だよね。
モンキーだよ。大抵は。
人間ほど残酷でグロテスクな奴は居ないよ。
『野獣のようなSEX』って言葉があるけど、野獣のSEXはエロく無いよ。
嫌らしくも無い。『交配』だもん。
あんなもんただの交尾だよ。

『快感』云々でやってないでしょ。

全てをイヤらしく、グロテスクに出来るのは人間だけだよね。

『人間は元々悪である。』そんな事を言ってる本だよコレは。

人間が本来『完璧な悪』か『完璧な善』であればそもそも『性善説』かんて説か無いよ普通。

性善説の『善』ってのは、まあ所謂『良心』の事だろうね。

『罪悪感』て奴だよ。
記憶してるから残ってるだけだろ。

『お前にも色々あっただろうけど、ついカッとなって殺しちゃってゴメンなさい』てだけだと思うよ。

チーターやライオンが獲物を食い殺してるのと、人間が殺すのは圧倒的に違うからね。

人間は『楽しいから』殺したりするでしょ。
イジメとかね。

そんなもんが一杯詰まった作品がコチラの一作です。

是非是非ご賞味あれ‼︎笑

オレは過去最高のトラウマ本だよ笑
かなりオススメ本だねコレは。

皆んなこんぐらい闇を抱えた方が少しは良いよ。
マジでね。

『闇』ってのは痛み、『傷口』だからさ。
蠅の王 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王 (新潮文庫)より
4102146016
No.64:
(4pt)

新品だが印刷にムラあり

古本で購入したつもりだったが新品が届いた。読み進めていくと印刷にムラがあり薄いところがある。読むには問題のない薄さ。古本ではなく印刷ムラがあったため市場に出なかった物なのか。安価で購入できた点は良いが、どのような商品なのかを載せていただけると安心感がある。
蠅の王 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王 (新潮文庫)より
4102146016
No.63:
(5pt)

『様々な読み方ができる』読書会向けの本を探す方にオススメ。

"世界が、道理の分る、法の守られる世界が、今や消え去ろうとしていた。かっては、ここに何があり、かしこに何がある、といえた。"1954年発刊の近未来小説であり様々な作品に影響を与えた本書は、少年漂流物語の形式をとりつつ子供の残酷さ、社会や政治などを寓意的に考えさせてくれる。

個人的には、ガンダムとかウテナとかメタルギアとか本当に様々なアニメやゲーム、映画について本書の影響が度々指摘される中、実は未読で【居心地の悪さ?を感じていた事】また3度目の、今度は何と登場人物を【少年から少女にチェンジした】新作の記事(https://www.google.com.tw/…/artic…/2017/08/31/52199.amp.html)を見て、このタイミングで読んでおかなければ!と本書を手にとりました。

さて、最初に印象的だったのは【情況描写がとても素晴らしい】という事でした。少年たちを取り囲む自然の姿がコントラスト強く私に伝わってきて、南海の孤島に自分も閉じ込められたかの様な没入感を与えてくれたり、一方で忍び寄る『獣』が恐怖心や不気味さを的確に煽ってきて、訳文にも関わらず本当に文書が上手い人だな!と感じました。

また一方で本書は【危うくも無垢な少年達の平和な世界】が、次第に殺伐かつ陰惨な世界と変化していくわけですが。特に決定的な対立が生まれてからの【後半部分の展開に関しては圧巻で】久々に読み終わるまで"どうにもページをめくる指がとまらない"そんな興奮を与えてくれました。(未読な方はぜひ、ネタバレを事前に読まずに体験してほしい)

子供時代を苦々しく思いだす誰か、今スクールカーストで苦しんでいる誰か。あるいは前述したアニメやゲーム好き、はたまた『様々な読み方ができる』読書会向けの本を探す方にもオススメ。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.62:
(5pt)

色あせない衝撃作

訳については、無駄がなく簡潔で、読みやすいと思います。
年齢が上がってから読んだからかもしれませんが、情景が絵画のように浮かんできて、
この世界にすんなり入っていけます。

内容は、評価が定まっているので、今更加えることはないのですが、
人間のネガティブ面を、まざまざと見せつけてくれる迫真の内容です。
ストーリー展開、情景描写、人物設定などがすばらしく、
しかもエンタメ性もある(これは映画化したくなるでしょう)
まさに神がかり的な傑作です。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908
No.61:
(5pt)

疎開する少年たちの「愉しくも怖ろしい」孤島体験

評判どおり、とてもおもしろかったです。
登場する少年たちは「遊ぶのが愉しく、生気に満ち満ちていて、希望は必要なく、必要がないから忘れられる、そんな時間」(98頁)を楽しんでいるように感じられたからです。サバイバルゲームのような愉しさの感覚かもしれません。

この物語の舞台設定は、疎開する少年たちを乗せた飛行機が不時着した無人島。
この極限状態のリアリティーに置かれても、少年たちの生命力は「遊び」感覚を忘れない。
現実を忘れ、現実を超えて、遊んでいる、愉しんでいるようにも思えます。

仲間割れをして離れていった少年たちとの激闘も、野蛮人との戦闘「ごっこ」みたいです。
ジャックとモーリスとロバートの三人は「顔に戦化粧をして、部族ごっこ」(259頁)をしている、と主人公のラルフは「分別」しているのです。少年の分別です。

ラルフは、「戦化粧という仮面」(246頁)を付けて野蛮人になった三人のことを
「なんだか愉しそうだな」(248頁)とまでいいます。この状況で、この余裕。すごすぎ。

そんな風だからラルフの「演説」は、真剣な目の「おチビたちにさえ物足りなく」(249頁)思われます。
その程度のリーダーシップなんです。愛される近所のガキ大将みたいです。

豚のはらわたの山の上で黒いかたまりとなっていた蠅たちも、
サイモンの「腿の上で馬飛びをして遊んだりした」(242頁)

蠅たちまでも「馬飛び」をして遊ぶとは。可愛すぎて絶句。

偉い〈蠅の王〉様までもが、サイモンにのたまい、警告します。
「わたしたちはこの島で愉しくやろうとしている。わかるかね。この島で愉しくやろうとしているんだ!」(253頁)

この本のタイトルにもなっている〈蠅の王〉までもが
「愉しくやろう」としているなんて。この本は絶対に愉しい、はずです。

なお、巻末の「訳者あとがき」によりますと、
1992年、演劇版の『蠅の王』を学校で上演した少年たち(七歳から十三歳)に向かって、原作者のゴールディングは、「小さな野蛮人をやるのは愉しかったかい」と訊いたところ、少年たちは興奮して「はい、愉しかったです!」と答えたそうです。

この本の刊行は、1954年。

《備考》
「『蠅の王』も、少年たちが凶暴化するのは幼児虐待を受けたというような環境のせいではなく、特殊な遺伝子のせいですらなく、要するに人間は誰でも暴力性を生得的にもっているという人間観に基づいている。作者の言葉にしたがえば、“この少年たちは人間であるという恐ろしい病気にかかっている”、“人間は蜜蜂が蜜をつくるように悪をなす”」(「訳者あとがき」)
 原作者のゴールディングの言葉では、少年たちは恐ろしい「病気」(360頁)にかかっている! というのです。
愉しい物語の裏には、恐ろしい「病気」が隠されていたのです。裏を読むのは難しいです。
 訳者の「黒原敏行」さんは、「この愉しくも怖ろしい孤島体験を味わいつくしていただきたいと思う」(「訳者あとがき」)と、「愉しくも怖ろしい」と適切にうまく表現しています。
 この物語は、怖ろしさが背景になっているからこそ、愉しさが浮き上がってきているのではないかなと思いました。涙を経験してこそ、心から笑えるように。泣き笑いの人生なんですから。
 読書は、表面を読んで楽しんだ後に裏面も考えてみると、意外に怖くなって、味わい深くなることもあると、この本は読者に示唆してくれているように思いました。
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)より
4151200908

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!