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遠い山なみの光
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遠い山なみの光の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全85件 81~85 5/5ページ
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| イシグロの最新作「わたしを離さないで」に感動し、彼の長編をさかのぼって読んでゆき、たどり着いたのが、処女作「遠い山なみの光」でした。翻訳ものとは思えない読みやすさ。魅力的な登場人物たちは、私の心に入り込んで、その続編を想像させずにはおかない。何より驚いたのは、20代の男性が女心をここまで書けるのかということ。会話の言葉遣いに関しては、違和感を持ったことがここのレビューに書かれてありましたが、別のサイトにも同様のことがあり、主人公の娘景子と同世代の私にとっては、逆にそれは思いがけないことでした。「昭和は遠くなりにけり」なのかもしれません。何はともあれ、日本では埋もれているこの作品を、多くの人に読んでもらいたいし、出来たら映画化して欲しいと思います。 | ||||
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| 日系英国人作家、カズオ・イシグロの長編第一作である。 イシグロ本人も認めているが、本作と 『浮世の画家』『日の名残り』は同じトーンで貫かれている。 イシグロは本作の舞台を長崎に設定しているが 作中の長崎は、氏が五歳のときに出国して以来 一度も帰っていない記憶の中の場所だという。 そのためか作者の記憶も、作中人物の記憶も 夏の陽炎のようにゆらゆらと頼りない。 私たちにとり、自分をこの世界に繋ぎとめているものが、 ある時間を生きてきたという記憶なのだとしたら イシグロの作品は押し並べてこの拠って立つ 堅牢な土台に鋭いメスを入れているようなものだ。 エキゾチックな雰囲気を醸し出すことによって 注目を集めた部分は否めないが、 それだけにとどまる作家ではないことを この後の作品でイシグロは証明することになる。 | ||||
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| 語り手の女性を取り巻く一一あるいは取り巻いていた一一様々な人の姿を冷静な観察で細部から浮き彫りにしつつ物語は進行しますが、それぞれの言葉や態度、そうした表層から推察できるそれぞれの思惑や人生観が悲惨なほどすれ違っているのがおもしろい反面、それはじつはすれ違いではないのかもしれない、という何か無感覚に近い光明(?)をわたしにもたらしました。何より思うのは、これはある国や人びとの過去の姿ではなく、これと同種のことが今もそこら中で日常的に起きているということ、そしてそうした人たちをかろうじて繋いでいるのは、あるいは戦争が代表する死や恐怖の共同体験でしかないのかもしれない、ということでした。その読み易さ以上に深くて重い、わたしにとっては手ごわい作品。 | ||||
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| この小説はメイン舞台が日本であり、日本女性の手記という形であり、その主人公は自分のことを「わたし」と第1人称でよぶ。この形式だけみると、いわゆる私小説じゃないかと思いたくもなるが、この本は違う。 まず、主人公の感情が直接記載されていることはほとんどなく、スローモーションのような外界の描写がさらさらと淡白に描かれている。その文章の中に、激しい情念や絶望、儚い希望にしがみつく人々が息づいている。 戦後日本の国民的精神の揺れ、移り行く価値観に戸惑う人々、何とか人間らしく生きていこうとする人々を、遠い国から祖国に想いをはせ、美しく描き出だすことに成功している。 | ||||
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| メロディーを奏でるように滑らかに流れ行くリズムが、この本の全体に覆う暗い影をいくらか軽減させている。明日の見えない不安、孤独、僅かながらもしっかりした希望の存在。物語は原爆の落とされた長崎を舞台に、主人公の記憶の中を彷徨っていく。著しい変化に戸惑う人々、それでも、女たちは、不安を打ち消すことに必死にもがきながら生きていく。その表現は、決して泥臭いものではなく、淡々と語られていく。 主人公の悦子自身の葛藤は余り描かれることがない。彼女が何故イギリスに来たのか、そして日本から連れて来た娘は何故自殺してしまったのか、それは最後まで語られることはない。悦子はイギリスでも子供を産んでいる。彼女は娘に「あなたの好きなように生きなさい」と語る。それはまるで、人生を傍観してしまっているかのような、希薄な存在を表わすかのように。 まるで魔法にかかってしまったかのような印象。読み進む内に、世界に引きずり込まれ抜け出すことができなくなる。描かれることのない謎を、究明していきたくなる、そんな物語だ。 | ||||
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