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遠い山なみの光



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【この小説が収録されている参考書籍】
遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

遠い山なみの光の評価: 3.85/5点 レビュー 81件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.85pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全57件 21~40 2/3ページ
No.37:
(4pt)

カズオ・イシグロのデビュー作品とのこと。まだまだ若い時期にこんな作品が書けるなんて。

おそらく五十代の女性悦子はイギリスで暮らしていて、長女の景子は、思春期、家で引きこもっていてその後、家を出て結局は自殺してしまったらしい。
英国で生まれた次女は長女とはあまり仲が良くなく、長女の葬式にさえ出席をしなかったらしい。
次女のニキとの会話や、ふと思い出した日本にいるころの知り合い佐知子と、佐知子の娘万里子との関係。
長崎の戦後のあたりのこととは思えるが、原爆の被害があった長崎とは思えないほど静かな町の情景に思え、少し違和感があった。
とにかく、不可思議な謎がいっぱいあって、結局私にはわからず、残念だった。
どうも、原作の方が、理解しやすいらしいので、ぜひとも、原作を手に入れて読んでみたいなと思っている。
カズオ・イシグロのデビュー作品とのこと。
まだまだ若い時期にこんな作品が書けるなんてただものではなかったんだなあ。
遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)より
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No.36:
(5pt)

楽しみでした。

楽しみだった素晴らしい本です。文章作成にも役立ち、勉強になります。
遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)Amazon書評・レビュー:遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)より
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No.35:
(4pt)

生きることの哀しみを淡々と語る主人公

カズオ・イシグロのペーパーバック5冊目。

戦後すぐの長崎から何かの理由でイギリスに移住した女性の回想。
現在から過去、過去から現在と何度も場面は入れ替わる。

何故今イギリスにいるかの説明はなく読者が想像するしかない。
どうやら分ってきたことは
1.純日本人の長女が自殺した。
2.その長女は長い間引きこもっていた後に家を出た。その後首をつった。
3.主人公は長崎で長女を産んでから日本人の主人と離別か死別。
4.その後イギリス人?と知り合い渡英。次女が産まれる。
5.ハーフの次女は長女と仲が悪く葬儀にも参列しなかった。
6.長女自殺前に再婚相手の男性(次女の父親)も死んでいる。
7.次女との会話から遠い長崎時代を回想しある親子を思い出す。
8.その親子は母子家庭でアメリカ人と一緒に渡米しようとしている。
9.子供は感受性豊かでたびたび白昼夢を見る。
10.夫と義父とのやりとりで戦後日本の価値観の転換を記す。

など多くのことが語られるが基調は身の回りの出来事を主人公が静かに淡々と描写していく。
唯一の躍動する場面は稲佐へケーブルカーで登って美しい山並みや港を見るとき。
ここでは将来への明るさや産まれてくる赤子を楽しみにする前向きな姿が描かれる。

「ケイコは幸せだった。」「一緒にケーブルカーに乗った」というのは
お腹の中にいる胎児のケイコについての話。そう考えられる理由は、ずっと前に藤原さんとの会話で
胎教の重要性が示されている。つまり母親が辛い悲しい状態だとお腹の中の子供にとって
よくないと藤原さんは力説している。

主人公はこの小旅行はとても楽しくハッピーだったと回想している。
母親が浮き浮きしているのだから当然胎児も幸せになる。
カレンダーで長崎の情景を見た主人公は楽しかった稲佐行きを思い出す。
その時一気に「あの時ケイコは幸せだった。」という感情が蘇ってきた。
今は死んでしまったが・・・・・・という悔恨?や詠嘆とともに。

次に If you don't like it over there, we can always come back.
以下の数行に用いられた we について。

これはいわゆる paternal we で相手の気持ちに同情した時に用いられる用法。
看護師や医師が患者などに「貴方の気持ちは私も一緒」という感じで使われる。
つまり、このweは具体的にエツコとマリコが「我々が~する」と言っているのではない。
ここの翻訳がどうなっているかは見ていないがプロなら誤訳していないと思う。

しかし、「ケイコはあの日幸せだった」という描写にぶつかって私も一瞬産まれた後の
幼児のケイコと一緒にまた山に登ったのかと考えた。だが、それでは「あの輝く一日」の煌めきがなくなる。
やはりここはお腹の中のケイコが幸せだったと解釈すべきでしょう。

マリコの描写はこの小説の大きな柱になっている。これを主人公の幻想や作者のファンタジー
と考えるのは読み過ぎではないだろうか? 謎めいた言動も具体的な説明を読めばそれなりに了解可能だと思う。
いずれにしろ処女作としてこれだけ書けるカズオ・イシグロは大したものだと感嘆する。

英文は平易。高校生の速読教材として最適。
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No.34:
(4pt)

さすが日本生まれのノーベル賞受賞作家の作品

作品の舞台が、長崎から始まって、親しみを持って読み通した。その中に、もちろん作家自身がイギリスで生きたことからの精神的資質ももちろん、内容に現れている普遍的価値を持つ作品。
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No.33:
(5pt)

この小説は、母娘の心の深淵を覗き込む、カズオ・イシグロの天才的なひらめきが輝いている傑作です。

この小説は、読み手に不思議な、そして未解決なわだかまりが残りそうな作品なのですが、私の理解では、これは語り手である(悦子)主人公の心の内にある相反する二つの真実(心の葛藤)を見事に対比して、そのことによって、読み手に強烈な残像(印象)を残す、極めて完成度の高い作品の様に思えました。

悦子(主人公=語り手)は、自分の分身である佐知子であり、佐知子の娘の万里子は悦子の娘の景子なのです。物語りの最後に、悦子は次女のニキに「ああ、何も特別なことはなかったのよ。ただ、思い出したというそれだけ。あの時は景子(万里子)も幸せだったのよ。みんなでケーブルカーに乗ったの。」と語ります。それは、素晴らしく感動的な部分であり、妊娠している自分のお腹の中(心の内)にいなければならなっかた、愛したかった娘景子を万里子として受け入れることで、それまでの私(悦子)のわだかまりは、一気に氷解(悦子=主人公が自分を解放)します。深い感動に読者が包まれる部分です。

そうです、この小説の中でスポットライトを浴びた様に一際明るい、ケーブルカーで登った長崎の丘の上で過ごした一時は、母娘の極ありふれた幸せな時間でした。それは、「女たちの遠い夏の輝き」であり、眼下に広がる「遠い山なみの光」なのです。

作者は表立って何も語りませんんが、親子の愛情の微妙(で複雑?)な感情の流れを、客観的な視点で描きつつも愛おしさを持って語っている様に、読み手である私には感じられました。
勿論、悦子(本人)と佐知子(分身)、景子(娘)と万里子(分身)をそれぞれ別の人格として読むことも可能ですが、押し寄せる深い感動を味わおうとするなら、主人公の中に内在する二人の自分という視点で読むことで、より大きな感動を感じることができるのではないでしょうか?

厳しい生活の中にも自由な開放感が漂う戦後の長崎を舞台に、子供から解放されたい思い(佐知子)を抱えながら娘を愛おしく思う(悦子)。しかし、女としての自由を得ようと娘の心の拠り所の飼い猫を川に流す行為が万里子(景子)を次第に追い詰めて行く事になります。

主人公の中にある母親と一人の自立した自由を得ようとする女性の葛藤を精緻な技法で描いています。
悦子の中にある光と影、それは、よく晴れた日本の夏にははっきりと映し出され、雨の降り続くイギリスでは、実態も影も不鮮明なまま埋没してしまいます。
カズオ・イシグロは何を言いたかったのでしょうか?

この作品は、私にとって、天才的なひらめきがあるものだけが書ける小説の様に思えました。
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No.32:
(5pt)

さすがいい作品です

日本人として改めてよかったと思う作品です。ノーベル賞そのままです。蔵書にしました。
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No.31:
(5pt)

フェミニズムの小説?やっぱり英国の小説は進んでいる!!

カズオイシグロの最新作を読んだ後に、この初期作品を読みました。深すぎて、ついてゆけない部分が多かった最新作の「忘れられた巨人」に比べ、ある意味わかりやすく、日本語のよく練れた翻訳だと思いました。この小説の底に流れているのは、女性の自立の問題のような気が私にはしました。戦前の日本と戦後の日本を生きたヒロイン悦子が、なぜ今英国にいるのかが書かれていないことで、想像力が刺激されますが、たぶん夫との確執が原因ではあるらしい。そこのところを書かないところが、ちょっと意地悪な!?イシグロワールドのような気がしますが。
 ロンドンに住む娘には、自立を促す悦子。そしてその自立への憧れが、長崎時代の悦子の友人だった不思議な?母と娘にもオーバーラップするのですが。ただしここでは理想としてのアメリカでの生活ですが。戦後の長崎の生活には、一種敬愛されるべき封建制と新しいものの持つ軽薄さなども描かれ、この視点を若きイシグロ氏がどこで手に入れたの?とも思ってしまいます。
 会話体の語り口で進む小説の中に、明るさや希望はなさそうなのに、読者には一条の光が見えてきます。「遠い山並みの光」……というタイトルは言い得て妙。若き日のイシグロさんがこういう老成した小説を書いたということに、僭越ながら驚きました。
 青春の日に読んだ、ブルックナー、ドラブルなどの英国のフェミニズム小説の系譜に繋がるのではないか?と思った遠因は、翻訳者の小野寺氏がこれらの小説の翻訳者であることを思い出したからかもしれません。若き私にたくさんの刺激を与えてくれた、彼女たちの小説。それは素敵な訳文のせいだったと思います。翻訳者の小野寺さんのご逝去を最近新聞で知り、この小説が書かれた時代は遠くになったと感じましたが、小説は現代にも生きていて、また脚光を浴びています。初期小説から読み進んで、奥深いイシグロワールドを楽しんでゆきたいと思います。
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No.30:
(4pt)

戦時中の女、戦後の生き方

読めば読むほど引き込まれる。女の生き方、母の行き方を観察しながら、心が傷付いてしまう娘の心
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No.29:
(5pt)

日本語ではしばしば主語が省略される。

読了後、推理小説を読んだのに結局犯人が分からなかったような違和感を覚えました。何か見落としているのではないかと思い検索したところ、こちらのレビューに「原文では終盤に衝撃的なストーリーの転換がある」というコメントを見つけました。Kindleに英語版をダウンロードして読んでみました。

私と同じようにすっきりしない読後感だった方は、終盤のシーン、文庫本で245ページ5行目の「その男(そのひと)」を「あの男(あのひと)」に、10行目「そう、ほんとうなのよ。行ってみて嫌だったらすぐ帰ってくればいいのよ。」を「約束するわ。行ってみて嫌だったら、すぐ一緒に帰ってきましょう。」に置き換えて読み直してみてください。

全編にわたり原文に極めて忠実に、美しい訳がなされていると思います。このシーンも決して誤訳ではありません。しかし日本人読者の多くは種明かしに気づかず通り過ぎてしまうでしょう。
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No.28:
(5pt)

幻想の「日本」を描く筆さばきと会話の妙

イシグロの長編としては第1作。未読だったので読んでみた。訳者の小野寺氏は先日亡くなったばかりだ。
物語は現在と過去を往き来しながら、淡々と進む。その推進力となっているのが「会話」だ。この作品で語られる過去は戦後まもなくの長崎。原爆の余韻もそこここに残っている。そこに住む人々の会話は、正確な意味での日本人の会話ではない。外国人イシグロのイマジネーションが作り上げたメタ日本人の会話なのだ。話している女性たちはイシグロの両親と同世代だろう(訳者の小野寺氏も)。両親というフィルターの向こうに霧のようにたちのぼる日本の生活を丹念に描くイシグロ。それは不思議な(あるいは不自然な)トーンの映像となって読者のアタマに刻み込まれる。最後の締めとなる仕掛けともいえないさりげない作者の企みによって、なんともいえない読後感を読み手に残す。若書きといえる作品だが、その後のイシグロのエッセンスはここにほとんどあるのではないか?
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No.27:
(4pt)

いっ気に読みました。

私は敗戦の時2O歳ですから戦後の混乱期のことが解ります。英国籍の人にあの時代の悲しみ。苦しみ。妥協して生きてきた人達のことが解るのかと?戦後生まれの
人達にはこの本を読んで、どれだけ理解出来るか?思います。久しぶりにあの頃のいろいろを思い出しました。随分勉強なさっていらっしゃるのでしょうね。この本を沢山の人に読んで理解して欲しいです
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No.26:
(5pt)

地球の裏側ペルーより

日系人であるため、翻訳の日本文は読みやすく大助かり。また作家とある意味では、同じ境遇であり、同感するところ多し。
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No.25:
(4pt)

時の時代背景とそこで生きる人々の息遣いのようなものが滲み出る

淡々とした日常風景の描写に当時の時代背景とそこで生きる人々の息遣いのようなものが滲み出る。
読後になんとも言い難い深い余韻を味わえる作品。
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No.24:
(5pt)

感謝

ノーベル賞の内容を理解すべく購入した

日系イギリス人、イシグロカズオの作品に初めて接し、幻想的、ポエムチックな表現ながら

人間や社会のあるべき姿を描き出す手法は日本人の智(血)が残っている人とは思えぬ

日本人にはありえない視点を持った作品と感じた

予定通り到着して感謝しています

amazonn関連の書籍は全てキチンと対応してもらえるので安心です

Kaz
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No.23:
(4pt)

イシグロ作品の入門編と言えましょうか

小生の拝読したのは原作の第二稿訳です。第一稿訳は読んでおりません。原作のタイトルの訳から見ると第二稿の方が明らかに素直で分かりやすい。長崎に住む女性達の日常のさりげない会話がしつこくなくくどくなく描かれている。彼のベストセラーになった最初の作品とのことで、新人の持ついささか初々しさが感じられ、青年石黒の抑制の効いた文体に好感が持てる。石黒氏のキャラクターが読める感あり。
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No.22:
(4pt)

長崎について

長崎の描写は残念ながら、長崎らしさが全く伝わってこないので残念です。ですが戦後の長崎の様子が描かれている場面のあって、興味はありました。
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No.21:
(4pt)

技巧が過ぎる

おそらく作者が非常に手の込んだ謎をしかけて、わざと読者をまどわせようとしているのはわかるけれど、だとしたら、最後にはちゃんとあきらかにしてくれないと、すっきりしない。記憶のあいまいさとか、語り手の頼りなさとか、そういうことではない。なにか、作者の秘やかな趣味を外側からちらちらと見させられたような、一体なんなんだという消化不良感と、中に入れさせてもらえない歯がゆさが残ってしまった。
この作品は英文学の伝統にのっとっているのだろうから、そもそも日本文学的ではもちろんない。そこは面白かった、日本を舞台にした英国文学作品として。
しかし、もしかしたら悦子は佐知子で、恵子は万里子なのではないか、と思わせるように仕掛けることで、悦子と恵子のその後の人生は佐知子と万里子のその後の人生にはからずも似ることになってしまった、という皮肉、不条理、を表現したかったのだとしても、それはあくまでも作品の伏線のひとつで良かったのではないか。
そうでないと、あまりに弱すぎる、作品の発する力がまるでぼんやりとした薄明のように感じられてしまう(まさに、文庫本の後ろの短い解説文に『淡く微かな光』と書かれている)。それを、登場人物たちの現状や未来を暗示したり象徴したりしているのだ、と作者が言いたいのなら、その仕掛けはちょっとやりすぎじゃないか、そうぼくは思ってしまった。

【追記】
読後、数日経って、最後の仕掛けがずっと頭に残っている。やはり、カズオ・イシグロは優れた作家だ。うまい。こういう技巧の秀逸さが、イギリスでも評価されたのだろうか。
その仕掛けは、よく考えれば、なんてことないのだ。しかし、非常に効果的なのである。これによって、作品全体が俯瞰され、作者の意図がおぼろげに見えてくる。見事である。
先日のインタビューで作者が語っていた創作の意図は、この処女作からすでにいかんなく発揮されている。つまり、作者は、同じテーマを長い時間をかけて、深く追及しているのである。これはやはり、さすがノーベル賞を受賞しただけのことはある、と言わざるを得ない。他の作品も読むのが楽しみだ。
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No.20:
(4pt)

カズオ イシグロ作品

以前「日の名残り」を読んで良かったので今回は「遠い山なみの光」を買いました、まだ読み始めたところです。
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No.19:
(4pt)

ノーベル賞

ノーベル賞が発表されてすぐに注文したのですが中々届きませんでした。
どんどん読みすすめる本です。
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No.18:
(4pt)

味わい深い秀作

イシグロは小津映画に大きな影響を受けたと語っている。長崎湾を見晴らすアパートでの義父と悦子のやりとりは、まさに小津の代表作『東京物語』の尾道水道を見晴らす家での笠智衆演じる義父と原節子演じる嫁のやりとりそのものだと思った。
物語は追憶と現在を交錯させながら一種不気味な緊迫感をもって進んでゆくのだが、語られないことが多い物語だ。悦子は英国人と再婚しているが、前夫二郎とは離婚したのか死別したのか、英国人と再婚して英国に渡ったいきさつ、これらは読んでいて当然気になる事柄なのだが、語られることなく終わってしまい、消化不良感が残る。その辺は読者の想像に委ねられている形だが、作者が本作に込めたの意図は個々の登場人物のストーリーではなく、主人公のさまざまな追憶の断片を通して、人生や人間社会の不条理といったなものに焦点を当てることなのだろう。
長崎湾は低い山並み=Hillsに囲まれた坂の街であり、坂を少し上がれば山並みが目に入ってくる。昭和30年代の日本を知る人、長崎に行ったことがある人には、自身の記憶と重なりあい、懐かしさを伴って味わい深く読むことができるだろう。それはまた幼児期のイシグロの脳裏に強く刻まれた記憶でもある。
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