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ペット・セマタリー
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ペット・セマタリーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全36件 21~36 2/2ページ
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発表されてすぐの頃,独身のころに読んだときは「大切なものを護るために,より大きな損失をかかえてしまう人間の性」というような評論家的なスタンスで読んで,それなりに教訓めいたことをこの本から得るとともに,一番怖いのは人間そのものだという認識をさせられたものだった. 月日が流れ,子供ができたあと,たまたま読み返すことが,あった. なるほど,人間はおかれた環境でいろいろなものの受け止め方が変わるものだなぁと痛感した. 以前は「愚かな」と多所冷ややかに読んでいた父親の行動も,子供のいる今なら理解できるし,同じような状況であれば,自分も同じようなことをしてしまうかもしれない.いろいろと考えながら読んでしまった. かけがえのない大切なものを持てばもつほど,人間は臆病にもなるし,それを失ってしまえば,他人から見れば狂気としか思えない光藤を取ってしまう. 「大切なものを護るために,より大きな損失をかかえてしまう人間の性」を分かりつつ,同じ道を選んでしまうかもしれないし,それを止められないかもしれない,自分の心が非常に恐ろしい. ホラーではありますが,切ない愛の物語です. 映画化もされていますが,そちらもお勧めです. | ||||
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これは言ってみればキング流のゾンビ・ホラーだが、構成が本当に巧みだ。並みの作家がゾンビ・テーマで書いたらスプラッタかドタバタか、あるいは陳腐なパロディにしかならないだろう。キングは“ペットの霊園”を前面に打ち出すことで、この危険を巧妙に避けている。 原題の綴りは sematary だが、これは cemetery=共同墓地 の誤り。つまり子供が書いた間違いという雰囲気を出したタイトル。 死んだペットが生き返る? じゃあ人間はどうなの? という誘導の仕方はまったく巧い。しかも全体のテーマが家族愛なので、ゾンビの陳腐なイメージが読者の中に起こらない。 けれど、どうにも救いのない内容だ。というのも、オチはきれいに決まっているが、それはもっと悪い未来につながっていくのが確実だから。ということで、読後感はすっきりせず重苦しい。いわゆる「後味の悪い」小説だ。 訳者あと書きによると、キング自身が「汚くて胸くその悪くなる作品」と評したらしい。個々の描写(特に墓を暴く第2部以降)だけではなく、全体のトーンにもそういう感じはある。この感覚は、愛するものの死による打撃が濃厚に書き込まれていることと、復活させた対象がペットであれ人間であれ、もはや元のままではなく悪鬼であるという設定からくるのだろう。 加えて、単純なエンタメ小説が好きな読者からすると、心理描写、状況説明、そして喩えや言い換えが過剰なように感じられる。もっとシンプルにすっきりと整理させたら、もっと怖くもっと深い余韻が出たのではないだろうか。後味の悪さも減じたかもしれない。 作品の出来が傑作級かどうかはわからないが、印象の強さはキングの緻密な構想力と文学的な筆力からきていると思う。 | ||||
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娘の飼っていた猫の事故死を、娘にどう伝えるべきか……実生活のそんな出来事の直後に構想が纏まったと言う逸話のある作品です。 この本を買った時の事は、今でもよく覚えています。 大学生だった頃の夏、神保町の古本屋で上下巻のセットを見掛けて即買いし、近くのコーヒーショップの喫煙室で「昼休みの間だけ……」と読み始めたのに、結局、午後の講義をサボって一日で読破してしまいました(笑) 死者を蘇らせる――本来あってはいけない事と知りつつも、喪った者への愛執から、禁忌へと足を踏み入れてしまう人々……。 キングらしく、日常をじわりじわりと恐怖か浸食して行く様子を、こってりたっぷりの描写力で描き出し、引き込んでくれる本作は、『S・キングのホラー』として自信を持ってお薦め出来る作品だと思います。 ただ、タイトルにも書いた通り、原作者をして『クージョと並んで嫌いな作品』と言わしめる内容でもありますので、それなりに腹を据える必要はあるかと思われます。何せ、キング自身が頑なに映画化を拒み、親友であるジョージ・A・ロメロが口説き落として漸くO.K.を出した、と言う話があった位ですので、かなり好き嫌いが別れるでしょう。 | ||||
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映画のほうは十数年前ビデオで見ていましたが、結末を忘れていたのでドキドキしながら読みました。後味がわるい終わり方だが、やっぱりおもしろかったです。 | ||||
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ホラー要素をいくらか絡めながらも、家族や近隣の友人との平穏で輝く日々を描いた上巻。 下巻ではそれを一気にこき下ろすように急転落していきます。 次々と身に降りかかる悲劇。大切な人を失った悲しみを抑えられない主人公は・・・。 アメリカ映画や小説の王道は最終的に巨悪なり、負の感情をバッサバッサと倒し、 「ドドドドド!!おっしゃ倒した!俺正義!正義勝つ!ハッピーエンド!凄いぞ~かっこいいぞ~!美男美女カップルがチュッチュ♪」 で脳内お花畑な ~HAPPY END~ で第3部完!なものが多いのですが、この作品は全然違った。 持ち上げ、こき下ろし、粉々に打ち砕く・・・。こんな残酷なストーリーがアメリカにあったなんて・・・。 どこまでも何度も冷水を叩きつけられるような絶望を感じてみたい貴方にお勧めです。 P.S. この本を読んでいるうちに、物が壊れる、仕事が上手くいかない、先生に怒られまくる、後輩に馬鹿にされる、下痢が止まらない等の不幸な出来事が続き、心身共に体調を崩しました。著者はまだ存命のようですし、特に曰く付きの本でもありませんが、何分鬱な本なので読む際にはご注意をお願いします。 | ||||
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あなたが今まで読んだ本で一番怖かったのは? と聞かれたらためらわずに本書をあげる。私が唯一読了後、明かりを消して眠ることができなかった小説だ。 最後の一文を思い出すだけで、今でも奥歯の後ろから嫌な唾が滲んでくる。 この本の恐怖は、死者が蘇るという伝説に踊らされる人間の愚かさでも、蘇ったゾンビに襲われるパニックでもない。 愛する者を失う、それも自分の過失(と本人は思っている)に近い状態で愛する者を目の前で失った人間がどれほどの苦しみと後悔を味わい、それを償う為なら魂などくそくらえと思う。 誰でもが明日にでも経験するかもしれない狂気の本質が、そこに延々と綴られているからに違いない。 | ||||
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正月に読み返しました。 ずいぶん久しぶりに・・・。 大学生のころハードカバーで発売された本書を読みふけるあまり、 高速バスのバス停を乗り過ごし、 夜道を歩いて帰る途中に墓場に遭遇。 髪が逆立った経験があります。 今読んでも怖いです。 主人公が家族を愛するあまり、 禁忌に取り込まれていく様子がリアルです。 本作、キングのいわゆるモダンホラー長編の中では、 もっとも暗い。救いがないストーリーです。 善と悪の戦いというような分かり易さはありません。 主人公は「愛のために」破滅の道を進んでいくしかない。 切ない話です。 この小説の大テーマは、 ふたつあると思います。 ひとつは「家族愛」。 二つ目は「死」そのものです。 さらに小さなテーマとしては、 「タブー(禁忌)」=「聖域」があります。 モダンホラーの傑作、 「シャイニング」、「クリスティーン」よりも、 テーマの重複性がストーリー展開に面白さをもたらしています。 ペット霊園の背後に広がる森の不気味さは、 まさに異界。 下巻で主人公が壊れていく様子は、 怖いし、面白い! みなさんにじっくり読んでほしいと思います。 | ||||
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この物語は、本当に救いの無い展開になっている。 おそらく評価は読み手によって大きく二分されるだろう。 しかし、何かしら読み手の感情の琴線に触れるものがあると思う。 ホラー好き、キングファンに関わらず色々な人に読んでほしい作品だ。 この「ペット・セマタリー」がキングの初期の小説にしては異色の作品と呼ばれるゆえんは ただこの作品が未知の物への恐怖のみに焦点を当てているだけでなく、 その恐怖に主人公の家族愛を絡めていることだろう。 家族をモンスターから守らなければならないという話ではない、 家族が徐々に「気味の悪い」対象になってしまう恐怖である。 それも、主人公の愛するものを取り戻したいという想いに反して その愛するものは次々に異形の者と成り果てついには最悪の結果を迎えてしまうのだ。 それゆえにストーリーの衝撃はエグさをもって読み手の心に直球で突き刺さる。 描写には一貫した「切なさ」が感じられる。 一度この小説を読んでしまうと、 主人公の愛する妻や子供とのふれあいも、隣人との間に築き上げた友好関係も、 すべては破滅への道に向かっていくのだということを仄めかしているように思える。 | ||||
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本作のテーマは結末のシーンを見れば一目瞭然で「不滅の愛」である。S.キングの小説は長いことが一つの"売り"なのだが、それにしても上記のテーマを書くにしては長い。長すぎる。 それと多分、日本人と欧米人との恐怖に関する感覚の相違なのだろうが、S.キングが延々と綴る恐怖のシーンは私にとっては単に胸クソが悪いだけだった。墓堀のシーンを何故あんなに得々として書く必要があるのだろう。 それと"聖地の丘"はどうやら聖書(キリスト教)に関係があるらしく、その神聖な場所で「あれ」が起こることが、キリスト教徒にとっては特別の意味を持つらしいことが察っせられるが、無宗教の日本人には関係がない。 「これだけの量を読了したぞ」と読者に自己満足させる作風は感心できないなぁ。 | ||||
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しばらく読んでみて、タイトルの言葉が普通に出ました。以来、中高生の時のように「小説」にハマっています。いくつかの海外小説を読んでの偏見とは、げに怖ろしいですね。 みなさーん、小説って面白いんですよー! そう言いたくなりました。天の邪鬼にならず、本物の匂いがするベストセラーは読むべきですな。おかげで続きが読みたくて家に帰る日々を送っています。 | ||||
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この物語においてキングは直接的な恐怖描写をほとんどしていない。いつもと変わらないはずの日常のはずなのに、何か違和感を感じる。そんな描写なのである。このような表現の結果、読者は自分の想像力によって物語をイメージし、その恐怖の正体を探らねばならない。そして、それが少しずつ理解できてくると同時にキングの張りめぐらした恐怖がじわじわ襲ってくるのである。 自分の家族(しかも姿形はまったく同じ)のはずが、実は「まったく別物の何か」だったらという恐怖。想像してみてください。 | ||||
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映画を見ただけでこの本を読んでいない方には、是非、手にとってほしい作品です。この作品を安易に「ホラー映画」と評価するには早すぎます。キングの原作には、人のさまざまな感情を、畳み込むように、あるいは、一枚一枚、むき出しにしていく様に、ある行動に移るためのその過程が描かれている作品が多々あります。シャイニングやミザリーなど、映画化されても、すばらしい作品もありますが、この作品は、本で読まなければ絶対にわからない心理描写があります。読後は、引きずり込まれた後遺症で、夜、目が冴えて眠れない事でしょう、、、。 | ||||
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決して面白くないわけではありません。確かに物語は著者の豊かな筆力によって哀しくも美しい展開を見せていきます。しかし、怖くないのです。言うまでもなくホラー作品にとって怖くないということは致命的です。それでは、一体なぜ怖くないのでしょうか。いろいろと考えてみたのですが、どうも私はこの物語に出てくるような食人鬼のようなものの存在を、たとえそれがフィクションにせよ、受け容れることが苦手なようです。そしてそうであれば、これは作品の側というよりも私の側の鑑賞能力に問題があるのかもしれません。 | ||||
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スタンドバイミーやミザリー等により食指を動かされ、本書を原作とする映画をご覧になった方は少なくないと思う。とにかく美しい映像風景の映画で、些細な構図の中にも柔和な美が存在している映画である。激しい喪失感を抱えて悼み入る父親の姿に胸が熱くなるが、キング映画であるし、内容が内容なので当然結末に向けて恐怖感は増していく。しかし原作のえげつなさは映画の比ではない。容易に感情移入できるが故に、恐怖や凄惨という言葉では表現できない「痛み」が描かれている。恐怖を通してしか描くことの困難な人間性の本質を味わって欲しい。 | ||||
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スティーブン・キングの小説は、人間の元々もっているものをあらわにすることで読み手に恐怖を与える。この「ペットセメタリー」では、愛情とは何だろう、自己の欲望と愛情の境界線はなんだろうと考えさせられました。キングの小説には、変わった存在が出てくるが、本来それらは怖くないのです。本当に怖いのは、それらに触発された人間が怖いのである。この本もその人間に私は恐れを感じた。 | ||||
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キングの作品で実際もっと良い作品はあると分かっていても、私にとってはどうしてもこれ以上のものは無い。 子供を失う恐怖、それ以上の悲劇なんてあるのか、キング自身も子供の病気を気にしていた時期に書かれているだけにそのストレートな思いが強烈に出ている。死と向かいあうことの大変さ、しかも愛する子供の死にどうしたらたえられるのか、耐えられやしない、という結論で書かれている。かなりキング作品でも異色の作品になっている。恐すぎるので封印した、とか出版時期がずれたことでいろいろ言われているが、本当は、余りにキング自身の気持ちがストレートに出過ぎて、夜中に書いたラブレターが朝になるとたえられないのと同じく、ためらわせたと思う。 私の娘もある致命的な病気で生後数カ月で亡くなりましたが、その入院中に読んで運命的なものを感じました。その恐怖、喪失感はなにをもってしてもうめられない物ではありますが、私にとっては、ある種の救いになった作品です。 | ||||
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