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(短編集)
眼の気流
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眼の気流の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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昭和30年代に発表された短・中編が5編。 タイトルにもなっている『眼の気流』だが、やや作為的過ぎていまひとつ。 どれも趣向を凝らしたミステリだが、『たずたずし』『影』がよかった。 | ||||
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大変迅速丁寧な対応で受け取りした商品も満足しております! | ||||
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最後の章は面白いが、眼の部分がわかりづらかった。 もっと読みたい | ||||
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数ヶ月前、松本清張を集中的に読んだ時に選んだ短編集の一つです。 この短編集自体は、ミステリとしてストーリーは面白いが展開に無理があるなと感じるものが多く(伏線やエピソードを増やして長編にすれば違ったと思われる)あまり印象に残っていません。 が、中の1編「結婚式」はかなり強い印象を残した作品です。 この「結婚式」はミステリとはいえず、「社会派」とも全く関係なく--私が最初にこれを読んで思い浮かべたのは江國香織さんの「清水夫妻」でした。江國香織作品は他に読んだことがないし、松本清張と文体やテーマに共通点を見つけた訳でもないのですが--喜怒哀楽とも愛憎とも違うところにある人生の味というか機微というか、不思議な趣に惹かれた点が同じだったのです。 一時期まとめて読んだ清張を続けて読んでいないのは、やはり古く感じる作品が多いからなのですが、この「結婚式」などは今でも十分通用すると思います。他にも厳密にはミステリでない作品に私の好みは集中しているので、そのような「ミステリでない」一風変わった作品だけのアンソロジーがあればもう一度読みたいし、松本清張なんて古いと思っている読者にもアピールすると思うのですが。 | ||||
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アナログな内容一気に読みました。 清張フアンです。 | ||||
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推理小説と探偵小説の違いが明確です。清張は現実の人間の生き様を描く推理小説家だと思います。 | ||||
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タイトル作はタイトルがややわかりにくいが、舞台が地方から東京に移るあたりから面白い。死体隠し場所の偽装に使われたアイデアは、刑事コロンボにも似たようなものがあったと思うが、それを偽装に持ってくるところが上手い。 「暗線」では自分の出自をたどった結果の不愉快さは主人公ならずとも憤りを感じるだろうと思った。 「結婚式」では松本清張お得意のヘタレ男としたたか女が登場する。 「たづたづし」は身勝手な男の振る舞いにしっぺ返しがないのが残念。ややご都合主義的な展開だが、この女性像は松本清張的にはやや異端ではないだろうか。 「影」は藤子A不二雄が題材にしそうな皮肉な内容だ。二人共零落してしまうのが哀れと言えよう。 全体的には面白いです。 | ||||
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「眼の気流」 妻と死別し、いまは若い愛人をつくっている初老の紳士が、浮気をした愛人とその相手の若い男に復讐する物語。 岐阜県・恵那市のタクシードライバーである青年・末永庄一は、ある日、温泉旅館で、三十過ぎの肉感的な美人と二十代後半のやせたイケメン男を乗せた。しかし、二人の客は後部座席であからさまにイチャイチャと戯れながら、田舎の運転手にすぎない末永を露骨にバカにして、末永は内心はらわたが煮えくり返る。 その後、東京へ出てタクシードライバーを続ける末永の車に、あの温泉場で乗った因縁の美女が再び乗車してくる。こんどは初老の紳士と同伴の乗車だった。末永はこの二人は夫婦だと考え、興味をそそられた末永は美女の身辺をひそかに探りはじめる。 ところが二度あることは三度あるという譬えどおり、今度は都内でその美女と、さらに温泉場で一緒に乗せたことのある年下のイケメン男が乗車した。 末永は、三十代の美女がこの若い男と浮気をしていると考え、れいの初老の紳士にこの事実を密告する。ところが妻と思っていた美女は、初老の紳士の愛人だった。 この密告を契機に末永は、小川圭造という初老の紳士と友達になり、彼の家によく遊びに行くようになった。 ある日、小川が家の広い庭に、釣り堀を造ると言い出した。釣りが趣味の末永に設計から管理まで任せるという条件まで提示された。そこで、末永はタクシー会社を辞め、釣り堀の管理を仕事とすることとなった。 しかし釣り堀の着工は、小川の復讐への序曲だった。いっしゅ痛快なリベンジドラマである。 「暗線」 自分の父親のことを調べているうちに、父が不義の子だったことを突きとめるという、自分のルーツを探る物語。 「結婚式」 新聞社を退職し広告取扱店を始めた新田徹吉は、聡明な妻・元子の才覚に助けられ、広告業で成功する。 おまけに、まんまと若い女子社員の佐伯光子を愛人にした新田だったが、妻の元子にバレてしまう。しかし、聡明な元子は、夫徹吉と社員光子の両方の立場を考慮し、この浮気問題を見事に解決して見せる。 聡明すぎる妻を持った中年男の悲喜劇を、徹吉の親友である元同僚の吉村の視点で語る。この作品も痛快な快作です。 「たづたづし」 つい最近課長に昇進したばかりの三十二歳のわたしは、毎日の通勤電車の中で二十四歳の平井良子という女性と知り合い、やがて肉体関係を持つにいたる。 関係ができて三ヵ月後のこと、良子はとつぜん、自分には恐喝傷害で刑務所に入っている夫がいて、あと一週間で出所するということをわたしに告白する。 課長という自分の社会的地位を失うことを極度に恐れたわたしは、良子を長野県富士見駅近くの山林に連れ出し首を絞めて殺害した。 ところがその後、何日経っても新聞に良子の死体が発見されたという記事が出ない。次第に不安になってきたわたしは、毎日々々、長野県の地方紙を詳細に読み始めた。そして、実に信じがたい記事を発見するにいたる。良子は生きていたのである。 この短篇の奇抜なストーリー展開には心底びっくりしました。松本清張ってひょっとして天才じゃね。 また、作品の最初のほうに引用されている万葉集の中の一首もすばらしい。 《夕闇は道たづたづし月待ちて行ませ我が背子その間にも見む》 これは作中のわたしが会社からの帰りに途中下車して良子の家に通うのだが、彼女の侘しげな家で数時間を過ごしたあと暗い夜道を帰らねばならぬという、わたしと良子の境遇に事寄せての引用である。 ヒロインの良子は主人公のわたしを愛していたにもかかわらず彼から殺されかけ、記憶喪失にはなったが死ななかった。それはいいのだが、作品に書かれているその後の人生が、彼女にとって果たして幸福だったのかどうか。その判断は読者にゆだねられている。 そんな結末にも、女性の人生の深遠さを感じさせられてたいへん興味深かった。数ある清張短篇の中の傑作のひとつらしいです。 「影」 ゴーストライターの悲劇を扱った作品で、読みながら2014年の佐村河内さんと新垣隆さんのゴーストライター事件を思い出してしまった。あっちは音楽のライター(?)だし、シチュエーション自体は本作とは違うけど、ゴーストライターの実体を世間に知らしめるという意味では共通しています。 貧しい作家志望の青年である宇田道夫は、編集者の江木に頼まれ、人気通俗作家・笠間久一郎の代作を引き受けることとなった。 売れっ子作家の笠間は、実はすでにアイデアが枯渇して、すっかり書けなくなっていたのである。そんな笠間のために、代作を引き受けた宇田青年は、笠間の文体を徹底的に研究し、非常によく似た文章を書けるようになった。 宇田に大いに期待した編集者の江木は、「もう笠間の作家的生命も終りだな。但し、君がもう少し手伝ってやれば寿命が延びるのだがね」と宇田を激励する。 だが、宇田自身のオリジナルな文学作品は文壇からいっこうに評価されず、「笠間久一郎」名義で代作した通俗小説ばかり世間の大評判になるという皮肉な現実は、この文学青年を失望の縁に陥れる。 売れっ子作家とゴーストライターとの、持ちつ持たれつの関係と、その破滅を描いて出色な好短編です。 | ||||
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清張の短編集。眼の気流は人間の心の闇を抉り出しています。誰の心のなかにも潜む悪意。これらの炙り出しのタッチが清張ならではで、あっという間に読み切りました。 | ||||
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大変面白かった。作品紹介は次のとおり。車の座席で戯れる男女に憎悪を燃やす若い運転手、愛人に裏切られた初老の男。二人の男の接点に生じた殺人事件を描く表題作等5編。 一般文学通算119作品目の読書完。1977/02/20 | ||||
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もはやぼくの先入観では、松本清張は推理小説で名をあげた心理小説家なのだった。 推理小説という観点で読んでいくと、中には「ありゃ?」というできのモノがある。 例えば、この「眼の気流」に収められている「眼の気流」だ。 事件発覚すら確定していないのだ。桑木刑事は行方不明の二人の男女の行く末を「刑事の直感」で殺人事件と見抜く。 真犯人も「刑事の直感」で! 「死体はここにある!」と警察上層部の反対を押し切って捜索するも死体は出ず。 となぜか、2番手の死体遺棄現場を「刑事の直感」で発見。 それを見ている「真犯人」はやがて自白でもしそうな勢いだ。 なんだ、そりゃ?と思わせないのが松本清張の心理小説家たる筆力。 この小説として疑問だらけの展開が、松本清張の筆力にかかれば、二転三転の起伏にあふれる娯楽小説に生まれ変わるのだ。 「結婚式」にいたっては心理小説でですらない。 しかし、面白い。 松本清張の底と謎をいつか解いてみたい。 | ||||
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表題作は、タクシー運転手の目を通して「人間の傲慢さや虚栄」が描き出されそのタクシードライバーという職業にある事情が事件解決につながるというストーリー。なぞとき絵ときよりも、書かれている「人間性の断片」に関心をいだきます。こういう人間は男女ともに、世の中に少なくないでしょうから。この本におさめられた「たづたづし」も印象的です。エリート官僚のみにくい保身主義を根本におきながら、殺人事件とその結末を描いています。エリートと呼ばれる人間がいかに地位保全をはかり、そのためには人殺しまでしてしまう、小心翼翼たる人間の犯罪動機をいうものを清張さんは多くの作品で書いてきました。この「たづたづし」もそのひとつです。 | ||||
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