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失われた地図
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失われた地図の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.17pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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いかにも恩田さんらしい、つまりいい点もいまひとつの点も共に凝縮されたような作品だと思いました。恩田さんは、まず印象的なスタート、謎めいた状況とどんどん膨れ上がる不穏な雰囲気で読者を魅了し、作品に引き込むのがとてもうまい作家さんです。が、それは逆にいうと最初は詳細な説明がほとんどないままに話が進むということで、読者も懸命にその状況を推測しながら読み込んでいかないといけません。 この小説も、まず女性1人、男性2人が登場し、この世に突然裂け目ができて、そこから”グンカ”なるものがわらわらとわいてきます。それはどうも軍服を着たゾンビのような木偶のようなものらしいですが、それがなぜわいてくるのか、わいてきてこの世に大量に入り込んだらいったいどうなるのかなどはほとんど説明されません。 そしてそれはどうやら一般人にはまったく見えなくて、彼ら一族だけに見えるらしい、彼らにはそのほころびを縫って閉じ、やつらを封じ込める特殊な能力があり、その役目を代々ずっと担ってきたのだということがわかってきます。 それとあわせて、その女性と男性はかつて結婚していて、息子が1人いるということが明かされます。仲が良くまだ愛情も残っているようなのにどうして彼らは別れなくてはならなかったのか?それがわかるのは作品の最後近くなってからです。 ”グンカ”だから、漢字を当てはめるとしたら”軍禍”なのかな・・と考えました。過去の妄執から湧き出す災い=禍だとこの漢字がぴったりかな、と。 ただ、いろいろと釈然としないことも多く、たとえばその”グンカ”は一般人にはその存在が見えなくて察知もできず、特に人を殺傷するわけでもないようで、だったらいったい具体的にどんな害があるのかが明らかにされないので、それも茫漠とした印象を持ってしまう一因かもしれません。 女性が再婚したのはどうやら大臣らしいのですが、これも何か意味があるのか?「常野物語」のように特殊能力を持つ一族の物語として、続いていくのでしょうか? また、”人間もどき”をテーマにした異様な雰囲気が強烈だった「月の裏側」とも少し似ています。恩田ファンとしてはさらに世界を拡大した続編をお願いしたいです。 最後に苦言をひとつ。このいかにも禍々しい”グンカ”が象徴的に持っているのが旭日旗であるとわざわざ記述してあるのはどんなものでしょう。特に韓国が過去の軍国主義の象徴として事あるごとにつるし上げていますが、これは現在、日本を守ってくれている陸上自衛隊、海上自衛隊の正式な旗です。それを恩田さんはまさかご存知ではありませんか? この作品が海外に翻訳されているかどうかはわかりませんが、同じ日本人が他国の誤解を助長するような記述はどうかと思ってしまいました。 | ||||
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いかにも恩田陸さんの描く世界という作品。 なんの前触れもなく魅力的な登場人物と不穏な設定で、世界に放り込み、ゾクゾクするほどの展開で読ませ、「えっ?」と思うくらいにスパッと読者を投げ捨てる。 その世界の切り取り方が好きな人には好きだろうし、読者は著者の切り取った世界しか覗くことができないんだと思うとちょっと悔しさを感じます。 私は恩田陸さんの作品のこの投げっぱなし感を「足りない」と思うのですが、恩田陸さんは「足りている」として作品として仕上げているはずなので、その差を埋められないのは作品を読み取る、感じる力が「足りない」と思うしかないのかなと思います。 物語は恩田さんがかつて描いた常野物語のシリーズに近い雰囲気。「グンカ」があふれ出る裂け目を縫い封じ込める力を持つ男と仲間の活動を描きながら、それぞれの地や現代の不穏な感覚を物語に込めているように思えます。 続きが読みたいと思う一方で、出ないんだろうなぁという諦めもあったり…… 町の夜景に古地図を白く描いた透明なカバーでかぶせる装丁は大好きです。 | ||||
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「蜜蜂と遠雷」とは、180度違う恩田陸らしい1作。 ファンタジーというか、おとぎ話というか、ゲーム脚本というか、そんな感じ。 まだまだ、話は始まったばかりで、これで終結では、なんとも悲しい。 話としては、これから、続、続々があってほしい。 主人公たち一族の姿が、まだまだ描かれるのを楽しみにしたい。 装丁がいい。 とてもいい。 | ||||
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どっちかというと「序章」な感じ。「古よりの宿命と役割持担った」の恩田氏お得意の系統。 楽しく読んだ。 読後感は、親が「畏怖」を感じる子を持ったら、親は大変だろうなあ。です。 | ||||
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恩田ワールド全開な作品だ。 恩田陸のこうゆうSF作品が好きだ。 ただ、『常野物語』シリーズ、『ネクロポリス』、『夜の底は柔らかな幻』等似たようなジャンルのものに比べると内容に劣る。 他の作品は舞台設定を緻密な描写から想像することができるが、この作品の世界観は大雑把なような気がした。 しかし、最近の恩田陸のSFミステリものはぶっ飛んでいてついていけなかった。 この作品は自分の中では復活してきた感じがある。 シリーズ化しそうな内容なので期待したい。 | ||||
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恩田陸の直木賞受賞後、待望の第一作。 見えない悪意と人知れず戦う一族の物語。 SF格闘+紀行モノ+ミリタリーの三本柱の作品。 テーマが盛り沢山なぶん、個々の要素にもうちょっと踏み込んで欲しかった感が残る。 同著者でも、テーマに絞った下記作品の方が、読み応えがあったと感じる。 SF能力モノ『光の帝国』 ミリタリー『ねじの回転』 また、直木賞を機に『蜜蜂と遠雷』から恩田陸を読み始めた読者には、 本作よりまず、同じコンクールものの『チョコレートコスモス』を薦めたい。 取っつきやすい作品から入り込んだ恩田陸ファンが増えることを祈る。 とはいうもの、ストーリー展開以上に、 文章表現や情景描写を味わうことを楽しむ恩田陸信者としては、魅力にあふれた納得の一作。 | ||||
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