コンビニ人間
評判
コンビニ人間の評価:
3.99/5点 レビュー 1,008件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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全1,013件 681〜700 35/51ページ
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ヒトは群衆動物である。そして、私も含めて大部分のヒトは社会の歯車・部品で、いくらでも代わりがある。だから、恐怖から逃れるために、その時々に正義をつくって群れようとする。
しかし、その正義は、あくまで群の意識を維持するために創り出されたものであり、それと異なると「やべぇ」として、共感する者どうしの群の関係を確かめる手段となるものである。
そうすると、私たちが当然に受け入れてきた正義は、実際は相互に影響しあうなかで、群から排除される恐怖を背景になんとなく醸成された、真理とは無縁なものが含まれているかもしれない。
また、どんなに金持ちのヒトでも肩書のあるヒトでも一人では絶対に生きられないはずである。しかし、差別意識・格差意識は無くならない。作品中、結構残酷な言葉が主人公に投げかけられる。私自身も職業差別を口にするヒトに会ったことがある。それでも主人公が社会の一部であることに歓びを感じ、自己肯定感を認識できる居場所に出会えていることは、今の私から見ればむしろ幸せな事であるようにも思える。しかも、市場調査もできて、店のみならず客=ヒトに対する臨機応変な優しさもある。これは、マニュアルではなく経験等によるものであるはずだ。ヒトに対する愛おしさも感じるエピソードだ。
一方で、妹の子供が泣いているときのエピソードなどは合理的というだけでは済ますことができない危うさを感じることも事実だ。前述の優しさと矛盾しているようで悩ましい。「店員」と「お客様」というコンビニでのロールプレイングだけだったということだろうか。しかし、プライベートにもコンビニで働く影響が入り込んでいるエピソードがいくつもある。
とにかく、考えるほど、この小説は混沌として多面的で私には難しい。単なるコンビニ店員の職業の問題や白羽の人間性の問題のみに矮小化できるものでない。
最後に、社会生活では、大勢の正義から逃れることはなかなか困難である。しかし、たとえ適応できなくても卑屈になる必要など当然にないと思う。
正直に言うと私自身も困難の最中。群の中で他人との比較によってつくられたアイデンティティーによる幸せも良いが、ありのままに生きることができればそれも幸せなのだと思う(いたい)。
それから、小説はもちろん、巻末の解説も良かった。テクニックも含めた内容の理解に資する、品のあるしっかりした解説だと感じた。