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望楼館追想
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望楼館追想の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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はじめて『望楼館追想』を読んだのは2004年。今回、新しい挿画入り "文庫で復活版" で読み返し、ケアリーの鬼才っぷりにあらためて驚愕しています。 ” デヴィッド・リンチの異形ものの映画とか、ヴィム・ヴェンダースの『ミリオンダラー・ホテル』なども連想させる、怪奇小説のような恋愛小説のような. . . 、とにかく、すごいんです。「この本を読まない手はありません」” ”不思議な人ばかりが暮らす「望楼館」。それは、かつて「偽涙館」(Tearsham)と呼ばれた由緒あるお屋敷を、分譲用に改装したもの。で、そんな「望楼館」と「偽涙館」が交互に語られるところが、もう圧巻です。めくるめく、時間のオルターネート. . . 。 それと、巻末につけられた収集品のリストにも、ぞくぞくしちゃいました。” 最初に読んだとき、わたしは上記のような感想を書いたのですが、いま20年の時を経て、さらなるぞくぞくがじわじわ来て . . . まさしく追想の追想、めくるめく夢のようです。 で、やっぱり言いたい! 「この本を読まない手はありません」 | ||||
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破れや汚れもなく、とても綺麗な状態でした | ||||
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何年も前に読んで、原著の洋書も買ったり(積ん読になってるのがよろしくない・・・)最近図書館で再度、翻訳されたものを借りたり。 読破したのは昔なので、ディテールは覚えていないけれど、死んだように生きている人たちが瑞々しく蘇っていく過程が素敵で忘れがたく、だからまた読もうと思ったのだろう。 そしてさり気なく思い出に凝り固まった人々をほぐしていく我らがヒロイン、アンナ・タップ! 彼女こそ私が今まで読んできたあらゆる小説の登場人物の中で最も魅力的な女性です。 | ||||
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まず何よりタイトル。”Observatory Mansions”を『望楼館追想』という余りにも美しい日本語に訳してくださった古屋美登里さんに感謝の気持ちを伝えたいです。(“古屋美登里”さんというお名前もなんだかこの作品にピッタリな気が。。。) こんなに読み応えのある切ない物語がなぜずっと出版され続けないのでしょう?本当にみんな、本読むの好きなの? | ||||
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絶対にお薦めの本です。各登場人物のストーリーがしっとりとおもしろく描かれていて感動しました。初版発行時に読んだものは人に貸して紛失しました。その後何度も読みたいと思っていたのですが、今回購入でき感無量です。 | ||||
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I like Francis Orme because he is stubborn and childish. | ||||
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「手袋をして、人が触ったものすべてを調べる魔法使いは、この世界の上を漂いながら、 下界の人々を見守り、苦しみをすべて見届け、世界を監視しつつ、 だが、絶対にそれに触れようとしないのだ」(本文より) 立ち止まったまま、動けない人たちがいる。 彼らは忘れて、忘れたふりをして、動けないのではなく自分の意思で動かないのだと言って、その場に立ち尽くしたまま、日々を過ごしている。 望楼館に住む人々は、そんな「時」からずれこんだ人たち。 彼らをしばっているのは思い出だけど、彼らはそれを見ようとはしない。 それが、一人の新しい入居者の登場で、錆びついた時計の針が動き出して、先に進むまでの物語。 全体的に、よく構成されている物語だと思う。いわゆる物語として、すべてが符合している。 「望楼館」の本当の名前は「observatory mansions」。 observatoryには、監視衛星という意味がある。 主人公フランシス・オームが自分のことを例えていたのもまさにそれで、自分が手袋をはめて、他人に触れない理由をそこに落ち着けている。 冒頭の詩は、まさにこの物語の本質を述べている。 解説の部分に、この詩の全文がのっているが、読了したあとに見ると、ああなるほど、とうなずくものだった。 厚さのわりには読みやすく、展開もスタンダード。 現状から抜け出すことを忘れ、言い訳をしてふたをしている人のための。 そしてそこから一歩を踏み出したい人のための物語。 | ||||
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主人公の語りに始まり、一癖ある住人達の過去と現在の物語が並行しながら次第に重なり合って大きな流れとなります。風変わりな短編小説を束ねて捻ったような印象でした。 設定こそ奇妙ですが恋の切なさ、やりきれない悲しみ、圧倒的なエンディングと、意外なほど起承転結がはっきりしているので長い物語に飽きることはありませんでした。風変わりな設定もむしろ物語の標識のようで理解を助けてくれるようです。 うまいお酒を味わうようにゆっくり楽しめる素敵な作品でした。 | ||||
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主人公であり語り部でもあるフランシス・オームの自叙伝とも言うべき物語。 「望楼館」という古びたマンションで巻き起こる、せせこましくも愉快で、時に残酷なお話。 フラグメンツのようでいて、一本の絵巻になっている不思議な世界。 「読み出すと止まらない!」というご意見が多いようですが、自分は少しずつしか読めませんでした。イタイんすよ、いちいち。どこか自分と似ている孤独でひねくれもののフランシスにイライラしたり同情したりして、すごく疲れました。 真っ暗な闇の中から少しずつ浮上して光が見えてくるような、そんな読後感です。 そして重要なのは、「光」を与えてくれる存在は常に「他者」だということ。自分以外の誰かなしには世界は進まない、文字通り「兜を脱いで」触れ合うしかないのだと、けっこうすっぱいくらい書かれています。でもそこがいいじゃない。「個人主義」をみごとにはきちがえた「自分勝手」な日本人である自分を再確認させられます。 理論武装したり、飽食にまみれたり、着飾ったり、したり顔で世間を斜めから見たり、そういう意図がいっさいないむき出しの小説です。もちろん小説としての野心には満ちていますが。 確かに暗いです。かなり好みが分かれると思います。幼稚だ、つまんねえという意見もあるでしょう。それはわかります。 でも感じる人は感じる。 少なくとも紹介文を読んで気になった方は、手にとって損は無いはずです。 冒頭の数行、効きますよ。 | ||||
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変化を嫌い、自分の世界に閉じこもる主人公を含む七人の奇妙な望楼館の住人達。ある日新しい住人がやってきて、彼ら七人は「彼女」を拒み、追い払おうとします。彼らの変人具合は本書を読めば解るので略します。 注目すべきは構成。 新しくやってきた彼女の存在が切欠で否応なしに引き出される、彼らが今まで目を背けてきた過去。その怒涛のように語られる追憶のラッシュにくらくらします。 特に圧巻なのが主人公の父と母が交互に語る過去。平行線を辿るかに思われたそれらのエピソードが次第に交差し始める瞬間が絶妙です。 そして、隅々に行き渡っている作者の物語への支配力。なにげなく描かれていた細部の布石が収束されていく様子は、まるで硬く絡まっていた毛糸が慎重にほどかれ、暖かい色の布地が織られてゆくようでした。 | ||||
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ひさびさにはまった長編小説。この本に会えてよかった。 こういうすごい才能をもっと日本に紹介してほしいと思う。 2作目の「アルヴァとイルヴァ」も好きだけど、長い分こっちのほうが読み応えがあるし、細部まで書き込んでいるように感じる。 とにかく文章がいい。翻訳の方の力も大きいと思うが、 非常に簡潔で、難しい言葉を選ばないきっぱりした文章だ。 長編小説でありながら、簡潔と飛躍を見事に成し遂げている。 だからこそこちらの想像力を刺激する。 小説好きなら、まあ読んどけ。 | ||||
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本の魅力を再認識させられる類い稀な物語でした。 独特の文体は作品世界にいとも簡単に読み手をひき込みます。 現実味に付かず離れずの作者の想像力はくせになる感じ。 読み終えて、もっと読んでいたっかたという物欲しさすら感じてしまうほど。 | ||||
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際だった登場人物のキャラクター。 最初の数ページでこの特異な世界にすんなりと入り込める筆力。 いつまでも本のなかに滞在していたい稀な一冊です。 カバーのイメージが自分の想像と合わなかったけれど カバーをとったところの表紙の白い手袋ににやりとしました。 とにかく巻末の展示品リストがすばらしい。ひとつひとつじっくり読めてしまう展示品リストなんてそうあるものではありません! | ||||
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零落した大金持ちの元屋敷がマンションとなり、そこに住む一般的な尺度で言えば変人・世捨て人達の閉鎖的な世界が主人公の眼を通して語られる。 主人公自身、決して白い手袋を脱がず、蝋人形の振りをすることでお金をかせいだりし、そして他人の思い出、歴史にかかわった些細なものを盗みナンバーをつけて秘密の場所に隠している、というアウトサイダー、というかどちらかと言えば悪い卑怯な人間だ。 そこに越してきた女性は病で視力を失いつつあるが、住民の心に入りこみ、皆の心を開いていく。あろものは忘れていた自分の素性を思い出し、あるものは昔の愛の記憶を呼び覚ます。 そして他人の愛の記憶を盗んで生きてきた主人公も、次第に女性に惹かれていくが・・・ という話で、個性的かつシンプルな文体、登場人物のとんでも無く個性的なキャラ、次第に登場人物たちの過去の秘密が糸を解すように明らかになっていく意外にスリリングな展開など完全に新しいオリジナルな才能を感じさせる。 そして中核となるのは、凍結した記憶の世界で冷たい人生を送る人々が記憶を取り戻し感情を取り戻す「愛と再生」だ。ここに描かれるそれは決して幸福なものだけとは限らないが、人間の感情の機微が解き放たれる模様そのものが美しい。 最後は感動ですよ。 | ||||
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大変に伏線が多く、文章は淡々としているのに、スリリングな展開でした。 主人公のフランシスは、はじめは臆病で傷つき易い青年として登場するの ですが、次第に奇人変人ぶりが明らかになり、やがては盗人であり、他人 の人生を支配しようとする野心家であることが分かります。「いったいど うしてこんな怪物のような子供を創りだしてしまったのだろう、私たちは」 という、彼の父の台詞は物語のクライマックスでしょう。しかし、それす らも彼の本当の姿では無いと、最後にどんでん返しがあります。 主人公が片時も離さなかった白い手袋の謎が解け、望楼館の人々が見てい た悪夢の真相が明らかになる頃、やがて起きる事件をきっかけに主人公が 悪夢から目覚めます。希望にあふれる結末は、これまでの陰湿な物語を十 分補うものです。最後まで読者を飽きさせない物語でした。 | ||||
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冒頭の畳み掛けるような文の連なりに、ノックアウトされる。 登場人物のいびつともいえる個性、悲しい過去、そして広がる世界。 途中までは、ボリス・ヴィアンを思わせるが、どこまでもイギリス式で 捩れたユーモアや奇怪な美に彩られている。 ストーリーは、残酷すぎず甘すぎないが別の収まりの良い到着点が あるのではないかと感じた。 | ||||
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何だか、「ホテル・ニューハンプシャー」とか「ガープの世界」を読んだ時みたいな、不思議な感覚でした。浮遊感、というんでしょうか、独特のバックグラウンドを持った人間たちの、不思議な行動、衝動の源泉が解き明かされていく過程が楽しめました。 朽ち落ちつつある、幻想的な建物、望楼館。「人の愛したもの」をコレクションする、動かない男。テレビの世界に生きる老女。100の臭いを持つ、元教師。視力を失いつつある、新しい住人。愛すべき異形の人たちの、哀切のストーリーでした。 | ||||
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