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モダンタイムス
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【この小説が収録されている参考書籍】
モダンタイムスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.74pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全203件 181~200 10/11ページ
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あるキーワードを検索すると監視される.何で?そういうシステムだから. テーマは国家やシステム化された近未来社会について.「国家はそれ自体が生き長らえることが目的だ」とか「仕事が細分化されて人間は部品の一部になっている」とかけっこう当たっているかも.しかし,今回の主人公は最終的に「でも,そうじゃないんだ.何かできることはある」と主張する.これまでの伊坂作品に比べると人間味がある主人公だ.結婚したり.浮気したり. 相変わらずクールで無味乾燥な文章.そこが好きなんだけど.でも,文章トリックや伏線は弱い.だから,それが好きな伊坂ファンには物足りないかもしれない.話も広げすぎていてまとまりに欠けている.結局最後までよく分からない部分もあり消化不良気味.伊坂作品が初めてという人にはあまり向いていない.他の作品を読んでみて,独特の文章が気に入ってから読んだほうがいいと思う. あるキーワードを実際に検索してみたら,ちょっとだけ面白いことが起こった.監視されるのは困るが,これくらいのユーモアはいい. | ||||
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【評価】 ・星5つに近い星4つ ・微妙につめが甘いところや若干安易に感じる部分あり、 星4つにしているが、読んでとても面白い本である。 【雑考】 ◇「検索エンジン」が内包する不気味さを抉り出す長編小説 ◇500ページ超の長編小説。 ◇しかし気がつくと一日で最後まで読んでしまった。ハマる一冊。 ◇よくもまあ、こんなネタを思いつくものだと思った。 ◇Googleを代表する検索システムに対して抱く不信感のような感覚を 一つのストーリーにまで成長させている。 ◇「ゴッシュ」という会社はたぶんGoogleがモデルなんだろう ◇「そういうシステムなんだ」という言葉が非常に考えさせられる。 ◇「だから仕方ない」ってホントは自分の意思なんじゃないのか? ◇たとえば、アリのような微小な生き物が人の背丈以上もある巣を 作りうるのも「そういうシステム」だからなのかも知れない。 たぶん、そこに個々の意思は存在しない。 でも、「それ」は達成される。 ◇伏線を大きく張ってしまったけど、回収できなかった、 ってわけじゃないよね? ◇相変わらず、この作者の描く登場人物はどれも憎めなくて、楽しい ◇そして最終的にはハッピーエンド?なので重くない感覚で読める。 ◇21世紀後半という時代背景のためなのか、筆者にそういう経験が ないからなのか、SEという職種の人間に対して一種のバイアスがかかった 描き方になっているように思う。SFというジャンルであると考えれば、 そういうものと受け止めるべきなのかも知れない。 ◇少しわき道にそれて細かい話をすると、この本は若干右寄りの思想がある。 ◇私は決して、それを否定するつもりはない。 ◇作者の意見そのものなのか、この連載小説の掲載誌の読者層を意識しての ことなのかはわからないけど。 ◇インターネットコミュニティのあり方についても、考えさせられるものがある。 | ||||
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『魔王』から50年後の世界を描いた続編とのことですが、『魔王』を読まなくても読み進めることはできます。ただ、これを読み、 1)安藤潤也と安藤詩織の若き日々と、安藤潤也の力についてもっと詳しく知りたい。 2)安藤潤也の兄ってどんな力があったのか。 ということが気になった方は、『魔王』を読むとわかります。 『魔王』の裏表紙に書いてあった、「何気ない日常生活に流されることの危うさ」は、私は『魔王』よりも『モダンタイムス』の方が強く感じました。 また、エンターティメントとして考えても、こちらの方が、先が気になり読み進められたのは確か。 しかし、妻の夫に対する暴力に何の意味があるのか最後までわからなかったのと、拷問シーンの気持ち悪さ、そして何の関係もない人間までも巻き込む話の流れなど、読んでいて不愉快になる場面が非常に多いように感じました。 正直な話、単行本でなく、文庫本が出るまで待てばよかったと思いました。 | ||||
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話題の伊坂さんをこの作品で初めて読みました。 伊坂作品最初の1冊目がこれで本当に良かったな〜と思いました。 イニシエより芸術作品は“描写すること”によって、世の仕組みを解き明かそうとしたり、理不尽を世の中に訴えかけたり、より良い価値観を提案したり…っていう一面があるかと思います。 伊坂さんという人が、古いものから最近のものまでたくさんの芸術作品を見たり読んだりして体験し、それらを自分の経験や考えと照らし合わせた。その結果としてある結論に辿り着く。「世界ってこういうことか」 その世界観を小説として私たちに提案している、そういう作品だと思います。 「そういう仕組みになっている。」 どうにもならない事を考えるだけ無駄だという人もいて、フタしておけば気にならないでしょという人もいて、うまく立ち回るのが吉だという人もいる。くだらないと切り捨てる人もいるし、疑問にすら感じない人もいる。伊坂さんも(世の人々と同じように)「そういう仕組み」と日々悪戦苦闘しているのだろうと思いました。 「そういう仕組み」に興味が湧いたことない人には多分あまり意味のない作品です。共感できる部分もないだろうと思います。 この作品は映画、小説、音楽等、様々な分野の芸術が「引用」されてますが、それらの引用元をどの程度「体験したことがあるか」で作品の感じ方が変わるように出来てます。引用元をより多く知っている方ほどこの作品の“奥行き”を深く感じる事ができるはずですし、殆ど知らない方でも作中の引用元を体験すれば新たな視点を得られるようになっています。つまり作中の「苺畑さようなら」=本作「モダンタイムス」、それを読む渡辺=読者です。 作中の気になった検索語は是非調べて→体験して下さい、それが私の言いたい事なのです。という不思議な作品。 何から入ればいいのやら…な方は、まずチャップリンの「モダンタイムス」「独裁者」をどうぞ。あと梅田望夫も是非。 | ||||
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井坂好太郎氏は『人の人生は要約できない』と小説の中で持論を述べていたが、敢えてこの本を要約すると、『自分の行動に責任を持て』ということだろう。 たとえそれが命令されたものであるにせよ、自分の判断力を放擲してはいけないのだと思った。 ”流れに任せる”というけど、今ある自分の人生は小さな判断の積み重ねなのだと潔く認めるべきなのだと思う。 作者の狙い通り、常になんらかの見せ場が用意されている。作者の思惑に乗ってぺージを捲る手がもどかしいほど夢中になって読んだ。 作者の主張と自分の気持ちが一致して、伊坂作品の中では久し振りに共感しながら読めた。 なかなか強いメッセージを包含する佳作だ。 伊坂幸太郎の高感度がちょっとだけ増した。 | ||||
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何か、ゴールデンスランパーという小説が絶賛されていた作者の最新作のようだったので、そのゴールデンスランパーは読んでないが、こっちから読んだ。 全然面白くなかった。 取り上げらているテーマは面白いのに、どうしてこんなに文章が面白くないのか? ある言葉の組み合わせで検索をした人が、なぜかとんでもないひどい目に会う。それが自分の回りに連続して起こったため、その問題解決に動く中で、学校に暴漢が侵入して大量の死亡者が出た事件との関連に気づく…。 実際に、自分も何かわからないことがあれば、「検索」するわけだが、そのキーワードによって自分に何か被害をもたらすようなことが起こるとしたら…と考えると怖い気もする。 Googleなんて、実際にすべての人が何を調べているのかとか、Gmailで何を書いているのかとか監視しようとすれば監視が出来るわけで、これってよく考えるととても怖いことではなかろうか。mixiのメッセージのやり取りなど、多分覗こうと思えばすぐ覗けてしまいそうな気がするし。 メールは怖いので、アナログの手紙で…と思っても、旧東ドイツだったかは、国民のすべての手紙を一度封を開けて閲覧してまた封をしていたとか映画で見たことがあったもんなぁ…。 この「検索」の管理の部分の延長で「国家の意思」というテーマも出てきて、この本は面白いと思われるのだが、いまいち読んでいて集中できなかったのはどうしてだろうか。面白いテーマなのに、グロさが前面に出てくるのも違和感がある。 ゴールデンスランパーは読まない方がいいのだろうか…。 | ||||
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冒頭からぐいぐいと作品世界に引き込まれて行く、力強さのある作品。 悪までもシステムであり、個人の良心や悪意もそこにはないという理論には感服する。 近未来小説としての切り口としては決して斬新さはないのだけれども、さすがの伊坂作品。 個性的なキャラクタ−や語り口で、飽きずに読ませる。 もう少し短くまとめられたのでは?とも思うのだが、連載小説ということもあり事情があったのかも知れない。 ”魔王”とセットで読むことで、双方に深みができ、個性や思考を削り取られ、人がシステムに取り込まれてゆく、新しい形の”全体主義”に進む社会の恐怖が説得力を持って語られる。 若い世代に読んでもらいたい作品である。 | ||||
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自宅に帰るなり見知らぬ男に殴られ気を失った渡辺琢海は,気がつけば腕を下にのばした状態でいすに縛り付けられていた。「勇気はあるか?」暴力になれていそうなその男はこう尋ねた。どうやら,私は妻に浮気をしていると疑われているようである・・・ 週間「モーニング」で連載されいていた近未来を舞台にした物語である。出だしから,面白い書き出しで,ワクワクしながらページをめくっていたのであるが,どうも物語に登場する井坂好太郎の作品を主人公が読むのであるが,ここ辺りから物語がスムーズでないと言うか,間延びと言うか・・・ワクワク感が失速したばかりでなく,その後の拷問のシーンでは何だ気持ち悪くなる始末であった。ただし,物語の設定の話はあり得ない話ではなく大変恐ろしい警鐘のようでもあった。そういう意味でちょっと残念であった。 | ||||
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ゴールデンスランバーの時も、相手がデカいなぁと思いましたが…。モダンタイムス、こちらも相手が曖昧でデカすぎ。普通の人間が相手にするには?そんな設定にラストも予想した着地点という感じでした。なんとなく伊坂語録、伊坂ワールドでつないだ感じで、中だるみを感じてしまいました。魔王や呼吸の物語の続編として考えても消化不良な感じでした。次の作品に期待です。 | ||||
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まず出だしの一行目から引き込まれ そこからいっきに読んだ!という感じです。 他の伊坂作品同様、アクの強い愛すべきキャラがたくさん登場していますが なかでもお気に入りなのは暴力業のお兄さん岡本猛、でした。 (ほんとにいたら怖いけど・・・w) 井坂幸太郎もいい味でてますね。 それにしても評価がみごとにバラバラでびっくり。 伊坂幸太郎の、一番とは言わないまでも自分の中ではけっこう上位に入りそうな作品なので。 | ||||
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主人公がある請負システムの、不思議な機能に気づいてしまう。 特定のキーワードで検索を行うと、何かがやってくる。 知らぬ間に命の危険にさらされる。 「勇気はあるか」。 そんな問いかけに答えられますか。 | ||||
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”ページターナー”伊坂、復活の一幕である 本屋大賞にまでなった「ゴールデンスランバー」には感心しなかったが、あれはあれでローカリティとナショナリティを繋ぐ語り部である伊坂の第一期集大成にはなっている。そして本作ではいよいよ伊坂は仙台を出て政治と産業経済の中心、東京に舞台を移した。これは大きなことだ。ついでに「魔王」の続編にするために時制を近未来にまで移した(これには疑問がある。近未来はもっとローカリティが重要視されるのだから) ポイントは、「システム」と「スキン」の関係にある。日本のシステムは第二次世界大戦後、60余年をかけて構築されている。昨今、その「システム」の綻び、ズサンさが目に付くが抜本的な変更はない。現政権は所詮、60余年に渡って構築されたシステムのスキン(皮膚)に過ぎない。ついては「システム」が変わらなければ政権が交代しても、所詮はスキンが変わったに過ぎないということでもある。G民党だろうとMン主党だろうと何も変わらないだろう、という我々の直感はスキンが変わってもシステムは変わらないだろうという虚無感に他ならない このシステムとスキンの関係を見事にエンタテインメントの領域で表したのが村上春樹の「羊たちを巡る冒険」「ダンス ダンス ダンス」「ねじまき鳥クロニクル」で、その後を継ぐことになったのが伊坂の「魔王」と本作であると言える。村上は「システム」への違和感を描いたが、伊坂の時代になればその違和感を、もっと具体的に異物感として描くことができた また読み解くためのキーワードはいくらでもある。伊坂が本作での「五反田」という登場人物についての言い訳をしている(巻末)が、主人公「渡辺」「五反田」はいずれも村上作品の主要な役割を持っているし、兎男には当然、「羊男」を見てとることも出来る。本作にあるようにそれは「偶然であって、偶然ではない」ことを示すものだ(が、兎男は映画「ドニー・ダーゴ」のキャラクターでもある)。直接的にも間接的にも伊坂は村上とスティーブン・キングの方法論を獲得した新星として、やたら滅多らにキーワードを蒔いている。キーワードがそれぞれに芽を出し、意味を成す。それは本作にある劇中小説「苺畑さようなら」(タイトルは”ライ麦”であり、内容はチャンドラーだ)がそこにキーワードを散りばめることで謎を解く仕組みになっているように、「モダンタイムス」全体にも”検索”すべき語に枚挙の暇はない そろそろ賛否が分かれてもいい時期だが、賛否を揶揄するには一読が肝要 まずは読んでみることだ 僕は次の伊坂が、どこまで「システム」に切り込めるかを楽しみにしていよう | ||||
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『魔王』の続編とでも言うべき作品、という話しだけど、 特に『魔王』『呼吸』に続く作品だとは思わない。 同じ登場人物が出てくることは出てくるけれど、 別個の作品と言ってもいいんじゃないかな、と。 『ゴールデンスランバー』と時期を同じくして連載されていたためか、 監視社会という点でこの2つの作品は類似している。 こちらはインターネットでの監視体制が整っている近未来の話しだけど、 近い将来こんな社会になってしまうのではないか、という危惧も感じられる。 一体いつからこんな風になってしまったのか・・・。 そんなことを思いつつ、 物語自体はすーっと読めていく面白さがあった。 でも、結局『ゴールデンスランバー』のときにも感じたことだが、 最終的に悪者は誰なの? 国家というシステムが悪いのか? それともそれを動かす者たちが悪いのか? そこらへんが釈然としないまま まぁ、読者にその判断を委ねるという部分もあるだろうけど、 何だか中途半端なもやもや感は残った。 ただ、さすがに伊坂氏。 会話の面白さや筋の面白さ、その辺は相変わらずのうまさで ぐいぐいっと物語の中に引き込んでいってくれます。 登場するキャラクターも個性があって もちろん一癖も二癖もあるような人物ばかりですが、 わりと愛すべきキャラと憎むべきキャラとしっかり分かれているので 勧善懲悪ものを見るように読むと それはそれで楽しいかも。 エンターテイメント性で言うと 以前の作品の方が高いと思うんだけど、 これはこれで十分に楽しめるのではないか、と。 辛口の批評が多い中、自分も手放しで面白いとは言えないまでも 及第点は十分に取れる作品だと思います。 | ||||
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「いいか、小説ってのは、大勢の人間の背中をわーっと押して、動かすようなものじゃねえんだよ。音楽みてえに、集まったみんなを熱狂させてな、さてそら、みんなで何かをやろうぜ、なんてことはできねぇんだ。役割が違う。小説はな、一人一人の人間の心身体に沁みていくだけだ」 これが伊坂幸太郎の本音かな。ずばっと直球で沁みました。 さて。 「魔王」の時代から数十年後のお話。 「魔王」で出て来た安藤兄弟も、犬飼首相の秘書のようだったあの人も登場しますが、物語のテーマや本質は受け継いだものの別物として予備知識がなくても読めるようになっています。ただ、できれば先に「魔王」を読んでいたほうが、この物語の提示するテーマや思考の流れがより重層的に迫ってきます。 物語は、主人公の渡部拓海が、暴力的な男・岡本猛に突然拉致されて拷問されかかり「勇気はあるか?」と問われるところから幕はあけます。前作が前作だっただけに、何で拷問されるのかと気にしてみれば「浮気しているんじゃないのか?」という浮気調査だったりします。まぁ、浮気調査で拷問にかけられたり骨を折られたりするのもどうかとは思うのですが、そんなちょっぴりギャグテイストの始まり方をした物語も、どんどんどんどんシリアスになってきて、謎の人物が周辺を徘徊し始め、先輩は失踪し、後輩は性犯罪事件の主犯として捕まり、知人が拉致され、、と徐々に洒落にならない事態に物語は進んで行きます。 大きなあらすじ等は下手に紹介しても興趣を削ぐだけなのであえて割愛しますが、この「モダンタイムス」という物語は、矛盾した意見をぶつけあって進んで行くし、思想や思考の流れなんていくらでも誘導できるんだということをこの小説の中で実際にいくどかやってみせ(そして潰してそれがいかに誘導されたものであるかを暗示し)るので、前作「魔王」以上に、考えるということ、読み手が深く感じる事を要求する小説になっています。 勿論、表面上だけ読んでいくと、そんな風なこともなくジェットコースター小説のような感じで次々と事件が起きるし、主人公はとどまるということを知らないし、それでいて小説家・井坂好太郎! が登場したり、ギャグテイストが満載なので、そんなようなシリアスさも軽くさらさらと読めてしまいます。彼の売りであるリーダビリティーの良さが遺憾なく発揮されていて、どんどん読めてしまいます。けれどこの「モダンタイムス」は、その本質は伊坂幸太郎のけっこう真剣な問いかけであり、作品的にはかなり野心作であると強く感じます。 「そういうことになっている」というシステムの話をちょっと寒くなるようなリアリティをともなって語ると同時に、ごく当たり前の感覚として「でもやっている人間が何も感じないなんて許されない」と正論が出て来て、自分は果たしてどっちなんだろうと悩んだり。しかも「知らないうちに関与している悪」なんて出てくるとけっこう考えることが多いです。 あ。 でも、エンターティナメントを忘れる伊坂幸太郎ではありませんので、読んでいる間はとても楽しくもあります。ワクワクドキドキしながら楽しく読めます。けっこう分厚い本なのに、もうちょっと読みたいなぁと思っている間に物語は終わりますので安心して下さい。 | ||||
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ラッシュライフ、ゴールデンスランバー、重力ピエロなどから比べると、正に2点の領域。未来の時代描写も物足りず、取り上げたテーマも目新しくない。過去の実績から、この本も売れていくだろうが、過去の実績から売れたのであろうと未来の時代にも語られる一冊。 | ||||
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『魔王』の続編。*とあるネットのシステムの検索が要因となり監視。とある単語を羅列して検索するとある企業の監視下に入り、それを検索した人物達が恐ろしい目に遭遇してしまう。果たして、何が目的の監視なのか?その背後には、いかなる事件が隠されているのか?☆長かった…、そして伊坂ワールドでした^^;☆ネット社会だからこその怖さ。そして、何を信じたらいいのか分からなくなる怖さがあった。☆しかし、個人的に物語ウンムンよりもこのお話の中に出て来る蘊蓄が、結構心に残った。自分達では、システムを作り上げそれを巧く実社会に反映しているかのように思っているけれども…。大きな社会の歯車の中で踊らされているに過ぎない。それに気付いた所でどうしようもない(虚無にすぎない)。目の前の小さな事のために働くのだ…。伊坂先生の御言葉、なかなか深い!! | ||||
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正直言って微妙ですね。 伊坂さんの面白さって全篇に散りばめられた伏線が終わりになって一気に解き明かされていく、その爽快感があるとおもうんですが、今回はそれが無い。先の展開が読めてしまうし、意味ありげな伏線でも明かされるとエ、ソレデ、というオチ。残念です。 「魔王」の続編ということですが前作の登場人物ちょっとしか出てきません。 無理に続編にする必要はなっかたのでは。 いいところで終わってしまった作品なので続編と聞いたときは期待していたのですが・・・ 初めて伊坂作品を読む人にはお勧めできませんし、「魔王」好きにもお勧めできません。 トイウジョウホウソウサヲシテミル | ||||
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『モダンタイムス』に出てくる井坂好太郎が言う「人生は要約できねえんだよ」は、 小説家なる井坂好太郎の作品が映画化によって「粗筋は残るが、基本的には、その小説の個性は消える」経験から放たれる台詞だ。 だが、この言葉が今の伊坂作品を象徴している。 要約出来ない屁理屈を個性と勘違いし作品に盛るようになり、その盛りは私から言わせてもらえば甘えにしか映らない。 個性が消えるような作品だった映画化なら、粗筋でも消えないような本筋を鍛えるようにしてくれ! 作品を掘り下げる作業がいかに大変で孤独だと知っているからこそ、生み出されてきた名作と共に作家が尊敬されるのではないか。 ラッシュライフ (新潮ミステリー倶楽部)のシンプルさが消え、屁理屈をこねる男と気の強い女がじたばたするだけの作品などに、お金も時間をも注ぎ読むことで読者は何を得るというのだ。 | ||||
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伊坂幸太郎作品は「死神の精度」しか読んだ事がないのですが、本屋で最初の数ページを読んで即買う事を決めた。 始まりから危機的状況、なのにどこか「のほほん」とした空気に惹かれたのかもしれない。 物語はほんの少し未来の話。自宅で浮気を疑われて見知らぬ男に拷問を受ける事になったシステムエンジニアの主人公。一時的に難を逃れたものの、妻は諦めない。そんな頃、会社の先輩が行方不明になる。彼の仕事を引き継いだ主人公は、その依頼主である会社に疑問を抱く。やがてネットで検索をした後輩が逮捕されてしまう。 妻に浮気を疑われた主人公が、やがて大きな社会の闇に飲み込まれていく。大きな展開の中でも妻に勝てない主人公の弱さが楽しめた1つかも。後半になって明かされる真相に、ちょっと非現実さも感じたが、それも伊坂幸太郎の面白さの1つか。 好みは分かれると思うが、個人的にはラストまでの展開は飽きもこなくて楽しめた。久しぶりに夜中まで読んだ。漫画週刊誌に連載されただけあり、1話ごとの終わり方に「次が気になる」言い回しを使う回も多く、読む手が止まらなかった。 読み終わってから、他の方のレビューで「魔王」の続編なのだと知った。読んだことはないが、本作だけで十分楽しめる。機会があれば、そちらも読んでみたいとは思った。 | ||||
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’08年度の本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した『ゴールデンスランバー』から約1年ぶりの長編。’05年の『魔王』の続編とのことだが、あれから50年ほど経った21世紀半ば過ぎの物語で、関連性はさほど強くないので、独立した物語として読むことが出来る。 「実家に忘れてきました。何を?勇気を」と、のっけから伊坂テイストにあふれるフレーズではじまる作品である。 渡辺拓海は、多忙を極めるシステムエンジニア。ある日、課長から失踪した社員にかわってプロジェクトを継続実行するよう命じられる。その日から彼の周りで奇妙な事件が続く。先輩社員の失踪にはじまって、同僚の誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪、妻に不倫調査を雇われた男の家の火事など、不穏な出来事のオンパレードだ。しかも、それらは、パソコンである言葉を検索した者に降りかかるようなのだ。 この謎を解くべく、渡辺、同僚そして彼の妻や、失踪していた先輩社員も加わって、一大冒険活劇が繰り広げられる。 本書では、あいかわらず、「人を喰ったような」伊坂ワールドは健在だが、書き下ろしとは異なり、もともとは週刊コミック雑誌の連載小説だっただけに、各章の終わりの、次回予告っぽい期待感と、全56章のそれぞれに読みどころがあり、ファンとしては充分楽しむことができた。 | ||||
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