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ドーン
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ドーンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.04pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 41~45 3/3ページ
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このタイトルからオクタヴィア・バトラーの同名SF小説を思い出した。本書では様々な小説、映画などに少しずつ触れているので、もしかしたらバトラーの作品のオマージュにもなっているのか?とも思う。ただ、内容に関しては地球外が背景、そこで起きることに多少の共通項があるだけで、テーマなどは違う。本書では冒頭から不穏な過去が示唆され、それが次第に明らかにされていく。 本書のテーマは著者の造語の「分人主義(dividualism)」。個人は分人の集合という。時代はちょっと将来のアメリカ。2033年の「ミッション・トゥ・マーズ」が中心となる。主人公の佐野明日人(あすと)は息子の太陽を東京大震災で失くし、医者から宇宙飛行士に転職する。地球の人口が80億を超えたため、火星移住をにらんだミッションに加わったのだが、そのミッションである出来事が生じる。そのため、「ドーン」というこのミッションが過小評価されてしまった・・・。 それにしてもよくアメリカの現状などを反映させ、いかにもありそうな近未来(エコバブル、ウィキノヴェル、ニンジャ・マラリアなど)を巧みに作り上げている。以前、青木淳悟の小説がピンチョン的というのをどこかで読んだが、この『ドーン』の方が、舞台がアメリカなせいか、ピンチョン的、と感じた。現実の問題と架空の事件、男女の問題がうまく配分されている。でも一番印象に残ったのは、こうした未来でも人は物語を必要としているというところ。物語の形式は必ずしも小説、ではないかもしれないが、物語るという行為自体はなくなりそうにない。 | ||||
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年齢が近い部分もありずっと期待させて頂いていた作家さんでした。 前作の決壊から今作は出版も早くどんな小説になるのか期待して読みましたが、想像以上に話しが面白く映画等を越え ページを終えるのがとても残念でした。今読まれるべき小説だと思うしなにか普遍的なものが誰の心にも届くのではないかと思います。そして平野さんの作家としての今後の活動がまたとても楽しみになりました。ありがとうございます。 | ||||
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本書は、『日蝕』で芥川賞を受賞し、 最近は読書論など幅広い活動を行う著者による長編小説。 舞台は人類が火星に降り立った近未来。 東京大震災で、息子を失った宇宙飛行士を主人公に、 宇宙船クルーに沸き起こったスキャンダル 東アフリカで繰り広げられる戦闘 猛威を振るうなぞのウィルス そして、白熱するアメリカ大統領選挙― 一見、無関係に思われるそれぞれの事件が やがて大きなうねりとなり、人類の未来を変える様子を描きます。 物語そのものや入念な人物造形は言うまでもなく、 それにも劣らない本書の大きな魅力は、 領土を持たない国家「プラネット」 個人の人格を分割可能なものと考える分人主義 防犯カメラのネットワーク化と防犯率 ―など、現代を考える上でもとても示唆に富む思想や世界観。 これらがスリルと躍動感に満ちたストーリーが相まって とても読み応えのある作品となっています。 個人的に印象深かったのは、 現実さながら、両候補者による激しい討論や 入念なミーティングがなされる大統領選挙の様子。 選挙終盤には、とても象徴的なある人物まで登場し 思わずニヤリとしてしまいました 夫婦愛、国際政治、社会問題、そして人類の未来― さまざまなテーマを含みつつも エンターテイメント性を失わない本作。 著者のファンはもちろんのこと、 一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です | ||||
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前作「決壊」は確かに衝撃的だった。極々私的で非常に狭い世界観で完結する小説が多い中、積極的に社会とリンクし世界にメッセージを送ろうとする意欲が感じられ、なおかつ小説としての力を持った作品でもあった。 しかしその問題提起は、現代社会の有り様を反映して暗く絶望的な結末で読者の賛否を呼んだ。今作は、作者自らによる前作に対するアンサーと言える。 今作は海を越え、さらに宇宙に飛び出し、近未来が舞台である。特にアメリカの行く末が非常にリアルに語られ、人々を取り巻くテクノロジーや世界情勢が事細かに、且つ予言的に描かれている。 展開はオーソドックスで、今回も登場人物が類型的な面もあるが、前作以上に文体が読みやすく飽きさせない。しかも火星への有人探査に大統領選挙をからめた大きなスケールでありながら、テーマは徹底して個人の「愛」である。その個人の「愛」が結集して未来を変えてゆく奇跡が、他人同士である夫婦の結びつきとともに、説得力を持って読者の胸を打つのである。 ところで、時々説明的で長く読み取りづらい文章が出てくるが、かのノーベル賞作家に似ている気がしない? | ||||
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まさに衝撃的な作品でした。 読んでいて現実と仮想、過去と現在と未来を行き来している感覚に襲われます。 はたして、自分が生きている今の時代とはどういう時代なのかを、この小説によって 深く考えさせられました。 時代は、2033年。今から24年後の近未来。コンタクトレンズ型モニター、AR(添加現実)、散影、ディビジュアル などなど この小説には、人類の進化によってもたらされたさまざまなツール、考え方が登場します。しかし、決して荒唐無稽な話には感じず、まさに24年後には存在していそうなものばかりで、最初聞きなれなかった言葉も、次第にリアリィティを増していき、この小説のうみだすうねりにのまれていきます。 さらに、テロ、大国アメリカ、ジョージ.W.ブッシュ、大量破壊兵器、情報操作、金融危機、GM破綻、NASA、JAXA、人種差別、同性愛問題、人工中絶問題、エコバブル、水、食糧の不足、燃料資源の枯渇、、など、まさに現代の私たちが直面している様々な問題が、平野氏の筆力によって核心に迫っており、未来を通して、現代の地球、そして自分のいきる日本について考えさせられます。 ただ、複雑な問題を扱っている小説の反面、すごく単純なひとひとのつながりの大切さ、 今の時代にあっても変わらぬものを、この小説「ドーン」を通して強く感じることができました。 「自分の好きなことを一生懸命にがんばる。うまくいかない時には助けあう。この二つのことだけは、どうか、忘れないでください。」(本文P.9) すてきなひとは、いつの時代もいる。 時空を超えて、そうこころに語りかけてくれるこのやさしい小説にはげまされ 今年の初夏を迎えれてうれしいです。 追伸:出版社の方、ぜひ、この「ドーン」を海をこえ、世界で出版していただければ 幸いです。種種の問題をとびこえて、世界中のかたに読んでいただきたい と純粋に思います。 2009 at Karuizawa Pioneer man | ||||
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