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ドーン



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【この小説が収録されている参考書籍】
ドーン (100周年書き下ろし)
ドーン (講談社文庫)

ドーンの評価: 4.04/5点 レビュー 45件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.04pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全45件 21~40 2/3ページ
No.25:
(1pt)

全くダメ

ホントは★ゼロです。作品のテーマは家族愛的なものなのでしょうか?だとすると、大地震、ディビジュアリズムという概念、火星探査船、アメリカの大統領選がからむのに主人公が日本人だったりという点は必然性がなくて、思いついた設定を無理やり物語につなぎ合わせて後からテーマをつけた、あるいは つなぎ合わせる為に設定を作った感じが否めません。他の方のレヴューに有る通り登場人物のキャラが立っていないし、ほぼ全編にわたる長々とした描写はほとんど意味がありません。大部分を飛ばし読みしても感想は変わらないと思います。あまりにも退屈でした。アイデアをエンターテイメントとして結実させる筆力が圧倒的に劣っています。帯の宣伝文句に騙されて購入しないように!時間を無駄にしますよ。
ドーン (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:ドーン (100周年書き下ろし)より
4062155109
No.24:
(2pt)

ここまで長くする必要があったのか

初めてこの作者の作品を読みました。

前半部分はミステリー要素もあり、どんどん読み進めていけたのですが、
後半、大統領選がメインになってくると、話の主題が変わってしまい、
あまり読む気力も無くなり、最後のあたりは毎日少しずつしか読めませんでした。

この本の中で語られる男女の恋愛の話と大統領選の話は一つにまとめる必然性があまり
感じられず、盛り込み過ぎではないでしょうか。
本は分厚いですが、薄っぺらい読後感しか抱けませんでした。

他のレビューを読んでみると、この作者はこういった系統の作品が多いようですね。
ちょっと自分には合わなかったようです。
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4062155109
No.23:
(5pt)

計算されたエンタメ性

「日蝕」の時には読者を意識したわざとらしさあり苦手な作家だったのですが、この小説ではそういうものがきれいに消えています。
小説内の登場人物は全て作者の「dividual」であると考えれば、これほどナルシストな小説もなく、
だからこそ登場人物を恥と向き合い、戦わせているのかもしれません。(無論解釈は読者のdividualですが)

そしてその一人が語る通り、作者が
「…というメディアで語れる内容と表現方法とがどこまでなのか、
分かってもらう必要のある人にだけわかる文章がどういうものなのかを考え、
書くべき事柄を改めて整理した」
のであろうことがうかがわれます。

エンターテイメント性を損なわないラインがきっちりと計算された、絶妙なバランスのある小説で、爽快に読み切ることができました。
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4062155109
No.22:
(4pt)

いつ宇宙人が出てくるのだろうと読み進めたが、、、

宇宙船内で衝撃の事件が起こる、という話だったので、宇宙人が出てくるに相違ないと思っていたが、違ったので、その点はがっかりだった。
長期間、狭い空間に入れられると精神に異常をきたすというのは、なんとなく理解できる。
エンターテイメントとしてよい作品だが、若干くどい感じがした。
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No.21:
(3pt)

作者は面白さは度外視しているのだろう

いつも敷居が高い著者ではあるが、『決壊』を読んでみて、
ちょっと低くした感はありました。
だから、『ドーン』も読めないことはないだろうと敢えて挑戦しました。

物語は、2033年、人類初の有人火星探査船、アメリカ大統領選挙、
アフリカで作られたアメリカ製薬会社の生物兵器と
いろいろ絡み合ってスリリングに展開します。

ただ、その魅力的な環境は著者の造語の「分人主義(dividualism)」。
個人は分人の集合という。。。概念の説明する状況を作ったに過ぎません。

それゆえ、後半はだらだらした展開になり、正直読むのを断念しそうになりました。

思わず純文学とは何ぞやと呟いていました。
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4062155109
No.20:
(5pt)

近未来のアメリカ大統領選の話

一人の個人(individual)は複数の分人(dividual)をもつ。という発想が主題である。
これ自体にSF的飛躍はなく、要するに「家族に対する自分と同僚に対する自分はそれぞれ別個の顔で接している」というような、私たちが実際に覚えるすごく普通の(だけど普段はあまり意識化されない)観念だと思う。
それを小説世界の中で、「Dividualism(分人主義)」或いは「ディビジュアル」という新造語に収斂させ、このことが「散影」という顔認識システムが普及し、それに応じて「可塑整形」の技術が向上しているSF世界の基礎付けになっている。
「ディビジュアル」というのは紐解けば結局斬新な発想ではないけれど、著者が端的に「ディビジュアル」という一語でもってそれを社会通念に転換させたことと、それがテーマとなった仮想社会をつくり上げたことに個人的には大変感心した。
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No.19:
(4pt)

名作。でもしんどい。

筆者の構成力・文章力・語彙力の高さに驚かされる。名作。でも、なぜアメリカの大統領選がメインの舞台なのかなと考えさせられる。正直、読むのがしんどい。一般の読者からするとテーマが日常生活から遠すぎる。希望のある結末だけど、底流に流れる暗さもしんどい。
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4062155109
No.18:
(5pt)

近未来的であり現代的

そのような印象を受けた。

作品の中に出てくる『ディヴィジュアル』という考え方。
たしかに人間はそのようにTPOにあわせて変化する場合がある。

久しぶりに物語として楽しめて読めた作品だった。

全般的に多少湿っぽい重さがある。

この世の先端をゆく宇宙飛行士の悲哀を感じる。
この本にて宇宙へと旅立ちたい方はどうぞ。
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4062155109
No.17:
(5pt)

やっと読めた

前々からこの著者の作品を読んでみたいと思っていた。にもかかわらず、「日蝕」は30ページほどで挫折、「決壊」は本屋の店頭でパラパラめくってみたところで断念、この作品が、3度めの正直でやっと読めた。
そういうわけで、他の作品と比べることはできないのだが、他のレビューにあるように、エンターテイメント的要素がかなりあること、最後に希望の光が見えることが、最後まで読み通せた理由だと思う。
後半の、共和民主両サイドの大統領候補が、東アフリカでの戦争についての討論をする部分では、どちらの主張にもすごく説得力が感じられ、現在の日本で、北朝鮮に対する防衛について討論されている情景にも似て、引き込まれてしまった。
また、最後に主人公明日人が、生い立ちから現在までの自分について書いた文章を推敲する部分では、思考と文章の力について考えさせられた。

現代的な問題を取り上げ、それに抵抗し個人的な癒しへと達する小説が多い中、この作品はもっと大きな観点で、人間の力を信じる方向を目指しているように感じられ、読後感が良かった。
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No.16:
(5pt)

エンターテイメントのフォーマットを土台とした純文学

前作の『決壊』が顔の見えない相手と世界との関係との闇を描き、
出されたアンサーがあまりにも絶望的で衝撃だった。

今作では、SF的な近未来をベースとして、「分人」というテーマを描いている。
「散影」という顔そのもののデータベース、火星への友人着陸、アメリカ大統領選挙、
東アフリカでの泥沼の戦争、無国籍国家(プラネット)、など、
非常にエンターテイメントとしても楽しめるが、著者はそのフォーマットの上に、
文学を行うという手法とり、総合小説とでも言える方向性を出している。

その結果として、今回は希望というアンサーが出されていることは好ましく、
個人的にも明日人と今日子、太陽という存在が最後にいくほど胸をしめつけ、
最後の二章は昨今あまりないような深い感動を覚えた。
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4062155109
No.15:
(3pt)

SF的な仕掛けと 物語の勢いとの間に 強い結びつきが感じられない

2033年、人類初の有人火星探査船の乗組員の一人ノノが精神に異常をきたし、リリアンは火星到着後に堕胎するという事態が発生。
 一方、アメリカでは次期大統領をめぐって激しい選挙戦が展開。そこへある生物兵器の存在が浮上して…。

 物語は実際の2000年代初頭のアメリカの国際政策を下敷きにしていることが明白です。
 そのぶん、近未来SFの体裁をあえて借りる必要があったのかと思えるほど、書かれていることの多くに目新しさは感じられません。

 例えば、一人の人格が多角的であるとする分人思想(dividualism)というのは、社会学でいうところの「役割の束」という人間観からさほど遠くないと思います。分人思想と名を変えたところで、新味が増すとは思えませんでした。
 米国が支出を減らすために民間に戦争を委託するという話も、ブッシュ政権下の問題点として散々報道されていたので、この小説の中でことさら詳述されても何を今さらという気がしました。SFで論じる上でのひねりがあるわけでもありません。
 『』というノンフィクションの読み物のほうが、大変興味深くその問題点を知ることができると思います。
 日本人乗組員・明日人の死んだ息子・太陽の代わりとして創造されたAR(一種のホログラム)もスピルバーグの映画『AI』に類似していて新鮮味がありません。

 もちろんこうした新奇さを欠いた要素を用意したのも、現実味を帯びたSFとして提示するための仕掛けだからこそという見かたもあるでしょう。
 確かに私も、300頁あたりまではそうした近未来の仕掛けのあり得そうな現実感に引っ張られて頁を繰ったのですが、それ以降、主人公たちが停滞して物語に大きな展開がなくなり、一方で著者の訴える思想めいたものが強くなっていくのを見るにつれ、私の中の関心が徐々にしぼんでいくのを感じました。
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No.14:
(4pt)

いかにもありそうな近未来

この作家の作品は芥川賞の「日蝕」以来だが、今回の方がはるかに楽しめた。ところどころ、情景描写の重々しい文体が、近未来小説という軽い感じの設定と不釣り合いな感じだが、そのあたりは単なるSFミステリーじゃないんだという主張が出ているのかな、と思って読んだ。

ディヴィジュアリズムという人間のあり方が普通に受け入れられている社会が舞台になっている。ディヴィジュアリズムは考えてみればすでに自分たちの内面で起こっていることのように思うが、近未来にはそれが「主義」として表面化しているというわけだ。いくつものディヴィジュアルを使い分ける人物たちには何やら得体のしれない不気味さを感じるが、主人公とその妻はその流れについて行っていないようで、読んでいてほっとする。いくつものディヴィジュアルを使い分けるという発想は頭でわかっても、実際にそんなことができるほど少なくとも私は器用じゃない。

話の筋は、現代の国際情勢を風刺的・批判的に扱ったもので、決してコメディーではないのだが、わりと気楽に面白く読めた。それほど先の未来でもないので、かなり現実感がある。「無領土国家」がクレジット会社から発展しているとか、物語のかなり重要なエッセンスを「ウィキノベル」なる媒体に語らせるなど、なるほど、いかにもありそう、というアイデアが面白い。老いたブルース・スプリングスティーンが車椅子で登場する場面ではその様子を想像してちょっと笑ってしまった。
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No.13:
(5pt)

純文学の正統進化形態がここに

SFっぽいネタ(人類初の火星探査。そこではやっぱりある問題が発生)や時事ネタ
(未来のアメリカ大統領選、そこでも海外派兵が問題になっている)を盛り込みつつ
その真は自分と他者との関係、それも人は相手によって自分を使い分けるという
(著者の言葉を借りるなら「分人主義」)人の営みそのものを描いております。

 先の点を横軸とするなら、縦軸には高度に進化したネット社会(此処では独立している
防犯カメラが、ネットにより有機的に結び付けられている)との関係を持って来ることで
他者との関係はどうなっていくのか・・・という点をより深く抉(えぐ)っています。

 純文学に属する作家らしく、純文学が昔から考えていた、人の内面(含む他人との距離)
については、著者なりの思考結果が述べられております。そこに文頭に書いたような
味付けを行うことで上質なエンタテインメントと純文学の並立、いや、純文学の正統進化と
言える一作を著者は作り上げてしまったのです。

 映像化出来そうなくらい構築された世界に酔うも良し、著者と一緒に自分と他人との
関係について思索の旅に出るも良し、何度読み返しても飽きない面白さ(知的興奮)が
満載です。

 その上、本文約500pというボリュームにも関わらず、ソフトカバー製本なので1,800円と
いう財布に優しい価格です。文庫化を待って読み逃すのは勿体無い。

附:エンディングには救われました。
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No.12:
(1pt)

絶賛一辺倒は不健全

この作者の作品に対する読者の評価は星5つから星1つまで万遍なく散らばります。この作品だけがすべての読者から絶賛されるはずはありません。過去の作品で酷評した読者は本作の厚さを見て、始めから読むことを避けたのでしょうか? 私の真の評価は星は1つではなく0です。 500ページになんなんとする長編を読み終わって湧き上がるものは怒りのみ。登場人物の無機質さ、しつこいほどの無意味な字句強調、温度も艶もない文章、言葉遊びの極致! 全く得るものなし。デビュー作以来進化していない。 金はいいから時間を返せ。 まだ若い芥川賞作家なのだから奇をてらわないでまっとうな作品を書いて欲しい。そろそろ大きな勘違いに気がついて欲しい。
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4062155109
No.11:
(5pt)

自信を持ってお薦めできる1冊です!

そうか、純文学なのか。近未来のアメリカが舞台のSFとして読んだが・・・。
設定が非常に精緻であり、その中に現代につながるキーワードをちりばめられており違和感無く世界観を堪能することができた。

東京では大震災があり、主人公明日人は息子を亡くしている。アメリカは大統領選の終盤に差し掛かっており、野党民主党は選挙で挽回を図るべく民間エージェントにキャンペーン映像を委託しているが芳しい出来にならない。そんな中、与党共和党が武力介入し泥沼となっている東アフリカで禁止されている生物兵器が使用され、あろうことか国内でもその被害が出ているとの情報が入ってきた。
巻き返しの切り札として情報収集を進めているうちに、有人火星探査「DAWN」との関係が次第に判明してきた。世界に公開されていないある事件とは?東アフリカとの関連は?大統領選との関連は?

というお話。

プロットはしっかりしており、さらに表現に無駄が無い。舞台は近未来だが、人間のドラマがしっかりと描かれている。結末はやや物足りなさを感じたが自信を持ってお薦めできる作品である。

ひとつ難点を挙げれば、表紙のデザイン、なんとかならなかったのでしょうか?
これじゃ、効果音ですよ・・・せっかく良い作品なのにこれで引く人もいるのでは。
ドーン (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:ドーン (100周年書き下ろし)より
4062155109
No.10:
(5pt)

題名はさておき

火星有人探査なんてSFはパス、という方もいるのではないかと思いますが、メインは「分人主義」。人は一個のアイデンティティのみで生きるのではなく、家族や職場、友達それぞれとの社会/人間関係で、異なった人格を使い分ける、というような考え方が「分人主義」で、この考え方をある程度社会的に受け入れた未来のアメリカが舞台です。テクノロジーを背景にした新しい人間認識!というところではフィリップ・K・ディック的な面白さがあり、思考実験を小説に結実させているところは高橋和巳を想起しました(古いか)。

理屈っぽいし、ガイジンがわんさか出てくるので、洋モノ推理小説の「主な登場人物」一覧が欲しくなる感じで、読みにくい本です。「分人主義」にある程度共感できなければ読み進むのはつらいかもしれませんが、アメリカ大統領選の話を軸に挿話をつなげ、そこそこ面白い話になっています。読む価値ありです。今後も平野啓一郎の作品は読みたいな、と思わされました。
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No.9:
(5pt)

非凡な構築力と文才を見せつけられた一冊

「ドーン」とは有人の火星探査船のことで、舞台は2033年からその帰還後、大統領選挙のアメリカ。主人公は探査船のクルーの日本人男性。凡人には想像ができない、緻密な時代設定と技術革新。近未来物語を単に楽しむだけでなく、著者の非凡な構築力と文才により人間の生きる道しるべを提示している作品だ。
ドーン (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:ドーン (100周年書き下ろし)より
4062155109
No.8:
(5pt)

火星探検のロケット内での人間の葛藤がアメリカ大統領選挙などを生々しく絡めて描いた平野氏の最高傑作である

平野氏はデビュー作の「日食」以来注目していた。この「ドーン」は近未来、NASAが打ち上げたロケット内での人間模様を、現実のアメリカ大統領選や人種問題を絡めて描いた人間讃歌の作品である。平野氏の新境地を切り開く傑作と思う。
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4062155109
No.7:
(4pt)

絶賛一辺倒のようなので

ひねくれ者から一言。

 近未来SFの体裁をとっていますが、極めて単純なブッシュ(共和党)批判ですね。

 それ自体は全くの「正論」で、私としても同感ではありますが、カルト宗教の信者に対して正気に戻れと説得するようにも見え、無力感は禁じ得ません。

 右翼(的)ならざる日本人には受け入れられやすい内容で、エンターテインメントとしても一定の水準に達しており、感動的でもありますが、楽観的という誹りは免れないでしょう。
 むしろ、翻訳して米国人にこそ読んでもらいたいと思いますが、村上春樹さんのように受け入れられるとは考えられません。

 本書に限ったことではありませんが、散見される「ら抜き」等の文法的誤りは、校正者、編集者が正すべきです。
ドーン (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:ドーン (100周年書き下ろし)より
4062155109
No.6:
(5pt)

40代以上は「1Q84」 30代からは「ドーン」

「1Q84」が携帯電話やネットのない時代を描いていたのと対照的に、ありとあらゆる未来のメディアが登場して、それはもう博覧会のよう。ただ、それは希望に満ち溢れた輝かしい世界のものではなく、現代にもあるメディアの負の要素を背負っている。彼ならではの想像力と取材力が駆使されていて、共著に続く「近未来メディア論」のような論文がこの本を元に簡単にできあがりそうなほど。
そんな贅沢な内容を、論文ではなく、最高のエンターテーメント小説にしたてたのがこの本。平野氏はオピニオンリーダーというだけではなく、間違いなく文学者。
候補者の言動に直前まで結果が左右されるアメリカの大統領選、そして誰もが心浮き立つ火星への宇宙旅行。こんな壮大な舞台が用意されているから、いっきに読めてしまう。
「私たちの側に立つのかテロリストの側に立つか」というブッシュ元大統領のセリフにカチンときた人には爽快な内容になっている。
では絶望的に提起された、自分自身と向き合うと、分化していく果てのない自分、そして夫婦間や親子のような最小の、核となる人間関係には、ここで夜明けが用意されているから、の続編として読まなければ、救われない。
1984年から今を見据えても、状況は一層困難に、複雑になっているだけで、夜明けは見えてこない。30才代・・・携帯やネットのある社会に違和感のない世代、進化していくメディアにそれでも明るい側面を見出そうとする世代には、ぜひこちらを薦めたい。
ドーン (100周年書き下ろし)Amazon書評・レビュー:ドーン (100周年書き下ろし)より
4062155109

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