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ドーン
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ドーンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.04pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 1~20 1/3ページ
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とても面白く読ませてもらいました。 個人の問題、人類とが抱えている問題、その両方に物語でアプローチしている作家さんは珍しいと思います。構造が斬新で、とても挑戦的な作家さんの姿勢に、芸術家としての心意気を感じました。文章表現もところどころ、唸らせる素晴らしい表現があって、この作家さんを芥川賞に選んだ審査員の方々は見る目があったと思います。まだ全ての作品は読んでいませんが、他の作品もすべて読むつもり。一番期待している作家さんです。 | ||||
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本書『ドーン』(『ドーン(DAWN)』とは本書の主人公らが乗った火星探査宇宙船の名前であり、「夜明け」を意味する)は、平野啓一郎が、人間の基本単位として「分人」という概念を、自身の小説の中で初めて登場させた作品ですが、本書における近未来世界では、この分人の概念がある程度浸透しているとの前提にたっているがため、多少戸惑いを感じるかもしれません。 分人主義の意味は、もちろん本書だけでもしっかり説明はされているのですが、個人的には、本書読了後、「分人主義」の概念をより分かりやすく説明するために執筆された新書『私とは何か「個人」から「分人」へ(講談社現代新書)』を読むことで、より理解を深めることができましたし、本書に対する関心も高まりました。 私は本書を先に読んだのですが、これから読む人は、ひょっとしたら新書を先に読んでおくと本書に対するスムースな理解に役立ち、物語に没頭できるかもしれません。 本書は、この「分人主義」の概念を理解するための分かりやすい極端な環境として有人火星探査船が舞台の一つに選ばれたのではないかと感じます。 6人のクルーたちが、火星までの往復に2年半もの間、ろくにプライバシーもないような閉鎖された宇宙船という狭い空間においてともに生活を送る。そのストレスたるや、とてつもなく過酷なものと想像しますが、そのような閉鎖空間での長期にわたる生活が過酷だと感じられるのは、クルーたちにおける多様な分人化が阻害されているからではないか、というのが作者の考えです。 身の回りに、多様な考えの人がいればいるほど、それに対応する自分も多様となる。その対人関係ごとに多様となる一つ一つの人格はいずれも本来の自分であり、それらを分人(ディブ)と呼ぶと、個人とは分人の集合体ということができる。これが「分人主義」の考え方だ。 「6人の人間がずっと一緒にいると、たった一種類のディブしか生きられない。人間はディブをそれなりにたくさんかかえて、いろんな自分を生きることでバランスがとれているのだと思う。外に向かって発散されないディブが内に増殖していくことは、精神衛生上すごく悪い」(文庫本174ページ) 本書はこういった「分人主義」の概念を根底に物語が展開されるのですが、近未来を舞台としていることから監視社会の進んだSF小説的ガジェットが登場したり、アメリカ大統領選をめぐる政治的取引が取り上げられたりと、(人物名等も含め)多くの情報が取り込まれている感もあり、割とスラスラと読めた『決壊』『マチネのおわりに』『ある男』『本心』などと比較すると、多少の引っかかりがあり、何度か数ページ戻って読み返しながら読み進める、といった作業が必要でした。 そのため、本書が伝えたいことを理解したうえで、改めてもう一度読み返すと、物語に集中して、初読よりぐっと面白く読めるかもしれません。 | ||||
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登場人物(外国の名前)が多いのに加え、あまり馴染みのなかったアメリカ大統領選挙の話と、火星に行く話が混ざり合っていて、話の場面(今いつで、誰がどこにいるのか等)を追うのに少し苦労した。 宇宙人の話かと序盤感じたが、読み進めていくとまったく違い、『分人主義』を紹介する内容が散りばめられているようだった。『分人主義』をある程度把握した上で読み始めるのが良さそう。 | ||||
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汗臭い体に、香水をぶちまけたような文章 変わらないなぁ、この人が書くものは | ||||
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平野啓一郎さんの小説です。 平野さんの「分人」論をベースにしているのですが、なんかそういう堅苦しい「分人」(ディビジュアル)とかを問題にするのって、どうかな、と思いました。正直、物語の面白さを半減させているんですよね、ディビジュアルの議論って。 なんか「分人」という考え方について、登場人物たちが解説したり、議論したりするんですが、それが邪魔なんですよ。 つか、平野さんの分人論って、ぶっちゃけ、つまらんのですよ。面白さがない。 近代文学がずっと問題にしていることを、いまさらドヤ顔で言っている感がする。 やはり、平野啓一郎には文学の勉強が必要なのでは? あまり他の有名な作家(近現代の有名な作品)を読んでないのかな、と思う。 というのも、近代から現代にかけての文学のテーマの一つって、「自分」つまり「自己」「自我」なわけよね。 この自我って一つじゃなくて、複数あるよね、というのが平野さんの分人論で、でも、そんなの当たり前田のクラッカーじゃない。 夏目漱石の「こころ」かて、先生という確固たる自我があるわけじゃなくて、Kの前での「先生」、お嬢さんの前での「先生」、学校での「先生」があるわけですよ。Kかて、先生の前での「K」、お嬢さんの前での「K]、学校での「K」がいるわけで、それぞれ確固たる個人ではなく、「分人」でしょってわけです。 ですから、先生の前での「K」しか知らない先生は、いきなりのKの自殺に戸惑うわけで。 要は、相手によって自然と人格が変化していく(分化する)わけで、コミュニケーションによって人格は変化するってわけです。 話がそれました。 物語は、火星への有人飛行をおこなった明日人が主人公で、有人飛行のさいにおかしくなった同僚とか、いろいろトラブルを思い出したりしつつ、 アメリカでは大統領選がおこなわれていて、そこでNASAの火星有人飛行の乗組員だったリリアンの父が娘を利用して票集めをしようとしたり、それ以前にリリアンは大手製薬会社にいたときがあり、 どうやら東アフリカでおこなわれている戦争の「生物兵器」に、その大手製薬会社の影がちらついている……。 大統領選では、ブッシュ的なザルなヤツに対して、オバマっぽいリベラルが苦戦を強いられているのだが、はたしてどちらが勝つか…。 明日人は、どうやら火星に行くさいに、リリアンを妊娠させたんじゃないか疑惑だとか、そういうのが絡み合いながら、話はすすんでいきます。 国境や領土を持たない「プラネット」という国家組織っぽいものがでてきたり、それなりに「近未来感」がでています。 また、明日人は、東京の震災で子どもを亡くしているのですが、その東京震災が、3・11(2011年)を思い起こさせるんですが、ただこの「ドーン」は、なんと2009年に刊行という、 「平野啓一郎は未来を見通しているのでは?」 とか、オカルトネタになりそうなことが書かれています。 まあ、小説が現実を呑み込むことはありうることで、その現実が数年後に起ち上がることは、しばしばあることです。 とりあえず、「分人」を語るよりも、小説の世界観がおもしろいので、そちらで勝負できたのに、なぜかやたら「分人」「ディビジュアル」がでてきて、うざいですよ。 でも、「分人」が認められた世界って、万引きしたら「いやいや、オレが万引きしたんじゃないから、オレの「分人」が万引きしたんであって、オレじゃないから」という言い訳ができてしまうんですが、法学部出身の平野先生としては、抽象的にではなく、法理的に、その点をまず明らかにしないとなぁ、と感じてしまいました。 | ||||
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分人という概念で人間の善とも悪とも言い切れない複雑性が認識しやすくなった。自分自身の中に存在する分人一つ一つにとって適切場を自分自身で意識的に設けていこうと感じたし、自分が愛せないような分人が発生してしまう関係性からは距離を置こうと感じた。しかし、明日人と今日子のように終わらせたくない関係においては互いに見せてこなかった別の分人を公開し合うことによって、その関係性において発生してしまっていた息苦しい分人を緩和させることができるのだろう。端的に言えば本音をぶつけ合うということになるかもしれないが、それよりもより正確な表現だと思う。また人間は世の中の役に立つから生きていていいのではなく、生きているから世の中の役に立ちたいと考えるのだという文言も心に残った。現実の清濁を正確に把握し認めた上で前向きに生きられるような考え方を示唆してくれる小説を書くから心に染みる。面白かったというだけでなく一定の答えと疑問を残してくれるから実用的だと感じられる。 | ||||
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人類初の火星探査と大統領戦。ネットで揺れ動く世界中の思惑。しかも時代は2033年という絶妙な近未来。 壮大な物語でありながら人々の感情はきめ細かく、いつどこに浮遊してもおかしくない網目のような構成が最後までブレず、クロージングに至るまでの筆力は圧倒的。 今まで読んだことがないものを読んだというような、ズシリとした読後感を覚えました。 ただ、その世界に生きていないと分からない感覚で書かれている部分が度々あり、折々読むのが大変。もちろん逆にその感覚を推察するのもまた面白く、深く考えさせる部分もたくさんありました。特に⦅ディヴィジュアル⦆という言葉、興味を覚えます。 密度のある本でした。読めば読むほど深みが増すのではないかと思われます。 | ||||
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純文学系の作家によるSF小説と言えば(個人的には)安部公房の『人間そっくり』が思い出されるが、「夢みているのは、文学のなかでの、SF精神の復権」と言いながらもその実、自身の世界観を補強するパーツとして使っているのではないかという疑念が拭えない『人間そっくり』に較べると(ちなみに『人間そっくり』自体は傑作だと思ってますが)、『ドーン』は完璧なるSF小説でありながら、完璧なラブ・ストーリーでもあり、また同時に完璧な純文学作品でもあるという、平野啓一郎の離れ業的な筆力に(またしても)圧倒されるような思いがした。 注目すべきなのは、『ある男』で骨格の中心を成す「なりすまし」という事象がすでにこの作品で取り上げられていることで、過去と地続きの(現在の)自分である限り、未来の可能性も限定されたものにならざるを得ないという絶望感、あるいは、もっと単純に誰もが持つ変身願望が、近未来の高度情報氾濫+監視社会の中で(「可塑整形」という仮想の技術に裏付けされながら)小説内リアリティをもって描かれている。 小説の中に出てくる、「散影 divisuals」「可塑整形」「添加現実 Augmented Reality」「代替銃」「ロボノート」「メルクビーンプ星人」といったトピック/アイテムは、『マチネの終わりに』や『ある男』で時事・社会問題が扱われていたのと等価値・等量を持って、作品の随所に配置されるが、そんなSF的小道具に彩られた近未来の世界は夢物語ではなく、(むしろハードな)それらを透過することによって、婉曲的に現代社会が抱える問題を照射し、ひとつひとつ考察されてゆく。 単行本(ソフトカバー)で500ページ弱という、分量だけで言っても手強い小説には違いないが、胸を打つ最終章まで読み終えてみると、よくこれだけ(たくさん)の題材が練り込まれた重層的な物語を(たった)これだけの分量に収めたものだと感心するのは『マチネの終わりに』と同様だった。 テーマの多層性、物語の多層性(有人火星探査機内でのドラマ、地球帰還後にクルーが巻き込まれるアメリカ大統領選を巡るドラマ、小説共作サイト<ウィキノベル>という物語内物語(小説全体がウィキノベルであるという見方もできる))、人物の多層性(分人主義 dividualism)が、単に積み重ねられるだけでなく、3Dレイヤーの如く、縦横に交差さらには奥行きの方向も加わり、最終的には大聖堂のような(あるいは表紙のモノリス?のような)巨大な建造物が立ち現れてくる。その中で祈られるのは、やはり「愛」。失われた子どもへの愛、冷えきった夫婦の愛、閉じられた宇宙空間での「不適切な」愛、すべての愛は失われていくように思われる。しかし、小説が不時着してしまいそうなその直前に、物語を書くという、あまりに(あまりにも!)小説的な行為を通して、主人公(佐野明日人)は光明を見出していく。<未来は常に過去を変えていく>、『マチネの終わりに』で花開くテーマがすでにここに顕われていることに感動を禁じ得ない。 <ただ後ろを振り返れば良かっただけのことのために、自分には一億キロもの往復の道のりと、十年もの時間が必要だったのだと、彼は思った> それはまるで無重力空間における綱渡りのような曲芸。愛し直すこと、愛し続けること。小説が描くその高みに目が眩みそうだ。 | ||||
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面白いより考えさせられることが多かった。 慣れるまで、背景や言い回しが難しく何度も調べたり読み返したりして読むのに結構な時間がかかった。 舞台はとんでもなく大きいのに、一人一人の繊細な心の描写が印象的。 単なる小説ではなく、ARや顔認証システムなど、テクノロジーの近未来についてもリアルに描かれていて面白かった。 | ||||
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何の情報もないまま読むと、一体誰が主人公でなにを描いた作品なのかがすぐに判明しない。 そのためあてどのない迷路をさまよっている感覚になってしまう(それがかえって面白く感じる人もいるかもしれないが) 描き方は三人称で、主人公が固定されていない。 同じ章の中でも何度もメインキャラが入れ替わり、それぞれの心象が描かれる。 だから各キャラの立場や特徴を憶えておかないと、例えばどちらも女性で共に敬語を話すインタビューのシーンなどでは誰が喋ってるのか分かりづらい。 なにしろ誰が話し始めたかの描写をやたら省略したがるからだ。そのせいもあって場面が変わった直後はとにかく混乱しやすい。 立食パーティーでの会話にしても、最初は明日人も混じってるのかと思ってしまった。 ただし、ストーリーは未来の選挙を巡るSFミステリーみたいで面白い。 情報を小出しにするため先が気になるし、あとになってから前に書かれた文章の隙間を埋めていくから退屈しにくい。 内容のない日常生活を描いたり不倫などの狭い世界を描いた自己満足的な小説とは正反対で、しかも単に博識や凝り固まった難しい文章をひけらかすだけの芥川賞受賞作家とも違っている。 ストーリーによって読者を楽しませようとしているのが感じられる作品だと思う。 (もちろん山場が章ごとに登場して誰にでも分かりやすく描かれた面白いマンガとは別だが) | ||||
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アメリカ大統領選挙って何よりも面白いし、世界への影響力で言ったら、もしかしたら日本への影響力で言っても、一番の選挙かもしれない。それを舞台に選んだところにこの小説の凄みがあると思います。 作者が唱える分人主義にはちょっと気持ちが悪いところもあるし、演説がたくさん出てきて読むのが疲れる人もいるかもしれないけど、民主党と共和党に代表される主義主張を戦わせること・分人主義を説くことがこの小説の目的であるとするならば、多少理屈っぽくなるのも仕方ないことでしょう。 主人公は日本人の宇宙飛行士で人類で初めて火星に到達したメンバーのひとりです。その宇宙船の名前が「ドーン」で、火星までの道中、様々な出来事が起こり、その展開がおもしろいです。ネタバレになるから書かないけど。 「愛よ、もちろん。自由、平等、同胞愛よ。政治家は、自由か平等かって、その話ばっかりしてるから、二つが対立するように見えるのよ。自由を優先させて、〈小さな政府〉にしよう、いや、平等のほうが大事だから〈大きな政府〉にしよう。ーーバカよ。どっちも大事に決まってるでしょう、そんなの。それは矛盾することはあるわよ。それを取りもつのが愛でしょう?政治のいろはよ。愛を忘れてるの。だから、ケンカになるのよ。」 「アストー、宇宙飛行士にとって一番大切なことは、生き残ることだ。いいな?」 でもトランプみたいな候補が出て来るなんて想像もできなかったし、簡単に言うのもあれだけど、事実は小説より奇なり、って結構当たってる気がしなくもない。 | ||||
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面白かった。が、読み終えてみると妙な後味が残る。なぜだろうかと考えてみると、当初の期待を裏切る内容だったからではないかと思い至る。 宇宙飛行士を主人公に、アメリカ大統領選挙の攻防を扱った近未来小説。その情報から予想される壮大さやワクワク感は、この小説にはない。宇宙や大統領選のような壮大なテーマを扱っているはずなのに、あくまで小説の主眼は、登場人物の極めて人間的で日常にもあるような葛藤と苦悶に置かれている。 分人の概念は、個人的には非常によく理解できるし、重要な概念だと思う。改めて、自分の経験に当てはめて、この概念について思い巡らそうと思った。 | ||||
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AKB48とかに多重人格の人とか、人格障害の人とか出てくると面白いか。 きわめて天然に他人を蹴落としていくとか。 「ファンがこうあってほしいと思う人格」 「自分がこうありたいと思う人格」 「身近な人がこうあってほしいと思う人格」 「一年前の自分の人格」 カオスです。 で、本書は、そういうことと絡みつつ、 アフリカ辺りでアメリカが開発していた医療用ワクチンや細菌兵器などが工場外に漏れ出し、テロリストの手に渡ったり国際陰謀に発展したり、ハリウッドのシナリオになりそうな大作です。 アメリカの日本人男性宇宙飛行士が、もう一人の女性宇宙飛行士(副大統領候補の娘)と不適切な関係に陥り、宇宙船内で堕胎手術をするという不祥事が起きます。 それがセックスフレンドなのか彼氏なのか、もう1人の宇宙飛行士の元彼氏との、どちらの子供か分からない。それが報道されてアメリカ全土で広くネット上で盛り上がります。ウィキでネット妄想小説を書かれたりとか。例えば若田幸一さんとかが別の女性クルーと不倫したりしたら、どういう騒ぎになるのか想像がつきませんが。 宇宙飛行士はエリートでスキャンダルには縁が無いように見えるけど、そういうことが起こり得るのか。 固有の人格というのは、監視カメラに一刻一刻きざまれる行動パタンにすぎない。人物特定されないために整形している人を、グーグルアースみたいに街角映像をたくさん保存している検索エンジンで特定できるという特殊技術が笑えます。 彼は分人というアイデアにこだわらなくてもいいと思うのですが、彼は分人といえるものを持っていないように見えるし、だから分人については分析が薄く、 本当の分人は、10こも20こも平常運転で分岐させられるのだろうし。 でも、ブログやツイターで売れる為自分を作っているうちに、自己洗脳に陥ってる人もいそうです、21世紀は内面からのファシズムというのがありそう。 ロッキオンか何かのインタビュアーが、宇多田ヒカルに、どういう気持ちで歌詞を作っていますかとか聞いて、気持ちって何だよ、売れるものを書いてるだけだよとキレられたそうですが。 | ||||
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――火星への有人探査で、最も困難なのは技術ではない。 500日間の密閉空間で起こる、人間関係である―― そんな現実の課題を背景に書かれた、火星往復ミッションに挑む宇宙飛行士たちの物語です。 この小説を通して筆者が提案しているのは、「分人」という概念です。 「分人」とは、「個人」に対する概念で、 「人間は、自分の中に一貫した個性なんてものはなく、一緒にいる相手次第で人格が変わる」 そんな考え方です。 つまり、個性とは、どんな人と一緒にいるのかの構成比でしかないのです。 そのため、「この人と一緒にいる時の自分が好き」と思える人と一緒にいる時間を長くすると、 好きな自分に変われることになります。 これは、自分の人生を豊かにするための視点でもあり、 スマホやSNSで、いろんな人と同時にコミュニケーションをする現代人の気持ちを読み解く視点でもあります。 人間を洞察するためのフレームをもらえました。 P.S.『空白を満たしなさい』、『私とは何か 「個人」から「分人」へ』との併読がお薦めです。 人間を観る視点の一つとして、「分人」という概念の理解が進むと思います。 | ||||
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スムースでとてもよい取引でした。機会があれば、またおねがいします。 | ||||
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この作品は、SFはSFでも俗に言うサイエンスフィクションではなく、ソーシャルサイエンスフィクションとでも呼称すべきでしょう。 作者の社会科学的な知見を小説世界に展開するのに、近未来SF的な舞台設定がなぜ必要だったのかよくわかりません。 作者の作品は「日蝕」と「葬送」を読みましたが、本作には日蝕に見られた文学的陶酔も、葬送に描かれた芸術家の深い思索も垣間見えません。 作風の変化は、進化しようとする作者の苦闘の結果なのでしょうが、社会科学的知見の深化はともかく、文学的魅力は年とともに漸減しているように思われてなりません。 | ||||
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男女の問題・政治・近未来・・・・ 詰め込み過ぎじゃないかってくらいに複雑で中身の濃い作品でした。私には重すぎた。 明日人・今日子夫妻の問題など心を描く部分はスラスラと読めるけど、 大統領選の部分になると小難しくて、ページをめくる手が進まなくなりました。 要するに平野さんは 「分人主義」をうまく説明するような小説を書きたかったののでしょう。 でも、それにはこのスケールの大きさでは難しい。 SF要素なんかいりません。もっと日常的な作品の方がそれは伝わるはず。 これではあまりに非日常的すぎて、自分を「分人主義」という考え方にうまく置き換えられない。 分人主義に大いに共感している私としてはこれにはとても残念に感じました。 作品の内容とは関係ないけど、約650ページもの作品をなぜ講談社さんは前後編の2冊で発売しなかったのか。 分厚すぎて読みにくいよ!! | ||||
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火星宇宙飛行士の主人公、監視の行き過ぎた社会、闇で取引される 生物兵器、死者を再現するホログラム・・・ 様々な設定と、様々な登場人物が複雑に絡み合う。 このような小説を書きあげた著者は素直にすごい。 でも、自分には難しすぎてついていけませんでした。 もう少し軽くていいです。 | ||||
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鋭い知識と知性に裏付けられた圧倒的な想像力を、決してもてあまし、必要以上に顕示的にならずに、 真摯に語っている所に作者の凄みを改めて感じます。「一歩引いて」作品を作っているとでも言うのか。 日蝕・一月物語から本書へと飛んだのですが、全く毛色の違うジャンルを大胆に、飄々と渡り歩く作者のイカれ具合が心地よかったです。 | ||||
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純文学→不安定な俺(私)が自嘲して終わり→似たり寄ったりの陰鬱な話、という偏見があったので、平野氏の作品には近づいたこともなかったのですが、何となく「宇宙良さげ」という気分で買いました。 文庫の裏や帯の「火星」「分人(ディヴィジュアル)」「AR(添加現実)」とやらの単語に、「ニューロマンサー」のような、ある革新的な技術でぶっ飛んだ世界を期待したのですが、現在の鏡として不安を催させる技術、概念、社会情勢妙にありそうな近未来が描かれており、核となる人間ドラマも家族や仕事などわかりやすく現代と地続きにある舞台が置かれています。なのに、心情分析はそこそこに、ワサビアイスやNASAなど日常にあり得ないものが混じって、展開していくので、湿っぽくなく妙に浮いた感じがしました。 個人的にはカプセルコーポレーションなど格闘の脇でものすごい未来設定が調和している、ドラゴンボールの舞台に感覚が近いです。 切ったはったのエンタメではないけど、透明感を保ったままぐいぐい引き込まれる小説でした。 | ||||
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