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ドーン
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ドーンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.04pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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登場人物(外国の名前)が多いのに加え、あまり馴染みのなかったアメリカ大統領選挙の話と、火星に行く話が混ざり合っていて、話の場面(今いつで、誰がどこにいるのか等)を追うのに少し苦労した。 宇宙人の話かと序盤感じたが、読み進めていくとまったく違い、『分人主義』を紹介する内容が散りばめられているようだった。『分人主義』をある程度把握した上で読み始めるのが良さそう。 | ||||
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平野啓一郎さんの小説です。 平野さんの「分人」論をベースにしているのですが、なんかそういう堅苦しい「分人」(ディビジュアル)とかを問題にするのって、どうかな、と思いました。正直、物語の面白さを半減させているんですよね、ディビジュアルの議論って。 なんか「分人」という考え方について、登場人物たちが解説したり、議論したりするんですが、それが邪魔なんですよ。 つか、平野さんの分人論って、ぶっちゃけ、つまらんのですよ。面白さがない。 近代文学がずっと問題にしていることを、いまさらドヤ顔で言っている感がする。 やはり、平野啓一郎には文学の勉強が必要なのでは? あまり他の有名な作家(近現代の有名な作品)を読んでないのかな、と思う。 というのも、近代から現代にかけての文学のテーマの一つって、「自分」つまり「自己」「自我」なわけよね。 この自我って一つじゃなくて、複数あるよね、というのが平野さんの分人論で、でも、そんなの当たり前田のクラッカーじゃない。 夏目漱石の「こころ」かて、先生という確固たる自我があるわけじゃなくて、Kの前での「先生」、お嬢さんの前での「先生」、学校での「先生」があるわけですよ。Kかて、先生の前での「K」、お嬢さんの前での「K]、学校での「K」がいるわけで、それぞれ確固たる個人ではなく、「分人」でしょってわけです。 ですから、先生の前での「K」しか知らない先生は、いきなりのKの自殺に戸惑うわけで。 要は、相手によって自然と人格が変化していく(分化する)わけで、コミュニケーションによって人格は変化するってわけです。 話がそれました。 物語は、火星への有人飛行をおこなった明日人が主人公で、有人飛行のさいにおかしくなった同僚とか、いろいろトラブルを思い出したりしつつ、 アメリカでは大統領選がおこなわれていて、そこでNASAの火星有人飛行の乗組員だったリリアンの父が娘を利用して票集めをしようとしたり、それ以前にリリアンは大手製薬会社にいたときがあり、 どうやら東アフリカでおこなわれている戦争の「生物兵器」に、その大手製薬会社の影がちらついている……。 大統領選では、ブッシュ的なザルなヤツに対して、オバマっぽいリベラルが苦戦を強いられているのだが、はたしてどちらが勝つか…。 明日人は、どうやら火星に行くさいに、リリアンを妊娠させたんじゃないか疑惑だとか、そういうのが絡み合いながら、話はすすんでいきます。 国境や領土を持たない「プラネット」という国家組織っぽいものがでてきたり、それなりに「近未来感」がでています。 また、明日人は、東京の震災で子どもを亡くしているのですが、その東京震災が、3・11(2011年)を思い起こさせるんですが、ただこの「ドーン」は、なんと2009年に刊行という、 「平野啓一郎は未来を見通しているのでは?」 とか、オカルトネタになりそうなことが書かれています。 まあ、小説が現実を呑み込むことはありうることで、その現実が数年後に起ち上がることは、しばしばあることです。 とりあえず、「分人」を語るよりも、小説の世界観がおもしろいので、そちらで勝負できたのに、なぜかやたら「分人」「ディビジュアル」がでてきて、うざいですよ。 でも、「分人」が認められた世界って、万引きしたら「いやいや、オレが万引きしたんじゃないから、オレの「分人」が万引きしたんであって、オレじゃないから」という言い訳ができてしまうんですが、法学部出身の平野先生としては、抽象的にではなく、法理的に、その点をまず明らかにしないとなぁ、と感じてしまいました。 | ||||
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面白いより考えさせられることが多かった。 慣れるまで、背景や言い回しが難しく何度も調べたり読み返したりして読むのに結構な時間がかかった。 舞台はとんでもなく大きいのに、一人一人の繊細な心の描写が印象的。 単なる小説ではなく、ARや顔認証システムなど、テクノロジーの近未来についてもリアルに描かれていて面白かった。 | ||||
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この作品は、SFはSFでも俗に言うサイエンスフィクションではなく、ソーシャルサイエンスフィクションとでも呼称すべきでしょう。 作者の社会科学的な知見を小説世界に展開するのに、近未来SF的な舞台設定がなぜ必要だったのかよくわかりません。 作者の作品は「日蝕」と「葬送」を読みましたが、本作には日蝕に見られた文学的陶酔も、葬送に描かれた芸術家の深い思索も垣間見えません。 作風の変化は、進化しようとする作者の苦闘の結果なのでしょうが、社会科学的知見の深化はともかく、文学的魅力は年とともに漸減しているように思われてなりません。 | ||||
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男女の問題・政治・近未来・・・・ 詰め込み過ぎじゃないかってくらいに複雑で中身の濃い作品でした。私には重すぎた。 明日人・今日子夫妻の問題など心を描く部分はスラスラと読めるけど、 大統領選の部分になると小難しくて、ページをめくる手が進まなくなりました。 要するに平野さんは 「分人主義」をうまく説明するような小説を書きたかったののでしょう。 でも、それにはこのスケールの大きさでは難しい。 SF要素なんかいりません。もっと日常的な作品の方がそれは伝わるはず。 これではあまりに非日常的すぎて、自分を「分人主義」という考え方にうまく置き換えられない。 分人主義に大いに共感している私としてはこれにはとても残念に感じました。 作品の内容とは関係ないけど、約650ページもの作品をなぜ講談社さんは前後編の2冊で発売しなかったのか。 分厚すぎて読みにくいよ!! | ||||
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火星宇宙飛行士の主人公、監視の行き過ぎた社会、闇で取引される 生物兵器、死者を再現するホログラム・・・ 様々な設定と、様々な登場人物が複雑に絡み合う。 このような小説を書きあげた著者は素直にすごい。 でも、自分には難しすぎてついていけませんでした。 もう少し軽くていいです。 | ||||
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いつも敷居が高い著者ではあるが、『決壊』を読んでみて、 ちょっと低くした感はありました。 だから、『ドーン』も読めないことはないだろうと敢えて挑戦しました。 物語は、2033年、人類初の有人火星探査船、アメリカ大統領選挙、 アフリカで作られたアメリカ製薬会社の生物兵器と いろいろ絡み合ってスリリングに展開します。 ただ、その魅力的な環境は著者の造語の「分人主義(dividualism)」。 個人は分人の集合という。。。概念の説明する状況を作ったに過ぎません。 それゆえ、後半はだらだらした展開になり、正直読むのを断念しそうになりました。 思わず純文学とは何ぞやと呟いていました。 | ||||
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2033年、人類初の有人火星探査船の乗組員の一人ノノが精神に異常をきたし、リリアンは火星到着後に堕胎するという事態が発生。 一方、アメリカでは次期大統領をめぐって激しい選挙戦が展開。そこへある生物兵器の存在が浮上して…。 物語は実際の2000年代初頭のアメリカの国際政策を下敷きにしていることが明白です。 そのぶん、近未来SFの体裁をあえて借りる必要があったのかと思えるほど、書かれていることの多くに目新しさは感じられません。 例えば、一人の人格が多角的であるとする分人思想(dividualism)というのは、社会学でいうところの「役割の束」という人間観からさほど遠くないと思います。分人思想と名を変えたところで、新味が増すとは思えませんでした。 米国が支出を減らすために民間に戦争を委託するという話も、ブッシュ政権下の問題点として散々報道されていたので、この小説の中でことさら詳述されても何を今さらという気がしました。SFで論じる上でのひねりがあるわけでもありません。 『』というノンフィクションの読み物のほうが、大変興味深くその問題点を知ることができると思います。 日本人乗組員・明日人の死んだ息子・太陽の代わりとして創造されたAR(一種のホログラム)もスピルバーグの映画『AI』に類似していて新鮮味がありません。 もちろんこうした新奇さを欠いた要素を用意したのも、現実味を帯びたSFとして提示するための仕掛けだからこそという見かたもあるでしょう。 確かに私も、300頁あたりまではそうした近未来の仕掛けのあり得そうな現実感に引っ張られて頁を繰ったのですが、それ以降、主人公たちが停滞して物語に大きな展開がなくなり、一方で著者の訴える思想めいたものが強くなっていくのを見るにつれ、私の中の関心が徐々にしぼんでいくのを感じました。 | ||||
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