■スポンサードリンク
マチネの終わりに
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
マチネの終わりにの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.84pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全52件 41~52 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前半はかなり示唆的で面白かったけど、中盤で火曜サスペンスになって、終盤でいきなり解決編。 話の種に読むのならお勧めします。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2006年、クラシック・ギタリストの蒔野聡史は38歳。2つ年上の小峰洋子はフランスRFP通信の記者。これは二人の出逢いと別れにまつわる5年半の物語。 ------------------------- 40歳前後の男女の恋愛が中心ですが、背景にはバルカン半島や中東地域での紛争やそれによってもたらされるPTSD、サブプライムローン破綻による世界規模の恐慌、東日本大震災直後に自粛を強要した世間の狂騒、といった2010年前後の諸相が顔をのぞかせます。 しかし、いかんせん、そうした時代背景が短兵急で未消化なまま差し出されている印象がぬぐえません。 「カラシニコフの銃弾が飛び交う世界で、俺のバッハに、どれほどのありがたみがあるのか」(106頁) 「グローバル化されたこの世界の巨大なシステムは、人間の不確定性をできるだけ縮減して、予測的に織り込みながら、ただ遅滞なく機能し続けることだけを目的としている。紛争でさえ、当然起きることとして前提としながら。善行にせよ悪行にせよ、人間一人の影響力が、社会全体の中で、一体何になるって。」(370頁) こうした言葉には確かに頷くべきところはありますが、唐突かつ硬質すぎて、少なからず鼻白む思いがするのです。 硬質といえば言葉の選択が過剰に豪奢であると同時に流麗さに欠けていると私には感じられ、読み進めるうえで多少の忍耐と力みが求められるものでした。どことなくヨーロッパ文学の翻訳文のように読めます。 作者は序に「彼らの生には色々と謎も多く、最後までどうしても理解できなかった点もある。私から見てさえ、二人はいかにも遠い存在なので、読者は、直接的な共感をあまり性急に求めすぎると、肩透かしを喰らうかもしれない」(9頁)と予防線を張ってはいますが、まさに作者の懸念どおり、蒔野と洋子の間の恋愛に感情移入できなかったというのが偽らざる感想です。 唯一何かを得たという気持ちになれたのは次の言葉です。 「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。」(50-51頁) 今を生きるその方法と形態によって、あの日々の持つ意味合いが変わってしまう。そんな新しい視座を獲得できたような気がします。 それにしても、この蒔野と洋子の別れを生んだ<仕掛け>に私は既視感を覚えながら頁を繰っていました。そして物語も後段に差し掛かったころに気づいたのです。この<仕掛け>は、佐藤正午が2000年に発表した小説『』にとてもよく似ているのではないか、と。 蒔野と洋子の別れを引き起こしたのは蒔野のマネージャーの三谷(みたに)です。そして『ジャンプ』の主人公の名もまた三谷(みたに)でした。おそらくは偶然の一致にすぎないのでしょうが、それでもよく似た物語展開を目の当たりにして、二つの小説を比較せずにはいられません。私の中では17年前に読んだ『ジャンプ』の印象がいまだに強すぎて、どうしても先行作品のほうに軍配を挙げたくなるのです。 先行作品ついでに言うと、別れたあの人にもし長い歳月の後に再会したら…という思いを描いた小説ならば、私は宮本輝の『』をお勧めします。思い返すと、この『錦繍』の主人公夫婦も再会を通じて、過去の持つ意味が大きく変わっていくことを知るのです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文章はとても魅力的で一気に読みました。 ただしストーリーは、え?と首を傾げたくなる点も多々あり、こんな矛盾が成り立つということにある種驚きを覚えました。 お互いに国際的に活躍し、数カ国語を話す人物として描かれているにも関わらず、あまりにお互いに言葉によるコミュニケーションをとらず、察することに頼りすぎたことによるすれ違い、ヒロインがパリで暮らす戦地にも赴いて取材するような自立した女性なのに、当然のように結婚という形にこだわるという設定にも違和感があります。 ちょっと甘くて、ちょっと現実離れした、でもファンタジーじゃないラブストーリーを読みたい方にはいいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
内容はちょっと展開が遅くて、時々長く感じます。登場人物には行き違いのあった時にもっと蒔野側が動いて欲しかったし、きっとそうしたら違った運命があったんじゃないかなって。読み込んでいけばいくほど、狡賢さが勝っていた気がして、最後は納得が行かないけど、もしかしたら人生はそんなことの連続なのかもしれません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なぜこんなに好評価が多いのか不思議。 一言で言えば、退屈。 この作家の『決壊』のときにも感じたことだが、 パッションではなく「頭」で書いている感じが否めない。 生硬で観念的すぎる文章が多いのだ。 なので、登場人物二人の心情にも共感を感じにくい。 社会的事象 (例:イラク戦争、リーマンショック、東日本大震災) も むりやり接ぎ木したようで「あざとさ」しか感ない。 ただし、世界を股にかけた人物たちを描く手腕はたしかに凄い。 ワールドワイドな小説世界を描くことのできる力量は、日本の 若い作家のなかでは稀有である。 余談だが― なにより衝撃的だったのは、肉体関係が無いこと!! 現代の小説 (とりわけ現代の恋愛小説) のなかではたいへん珍しい? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昔のトレンディドラマを観ている気分でした。 楽しめる展開ではありますが、 男女両方の主人公が「ハイスペック」過ぎる。 現実逃避されたい方にお勧めの小説です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
平野さんの作品はまだ三作品しか読んでいませんが、これは展開が少し遠回しのような気がしています。「葬送」の様な複雑な心の機微と格調の高さにも欠けるので、ちょっと退屈でした。でも、平野さんの品格ある文体の中にも優しさを感じる事が出来て、良かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最初は音楽や詩など専門用語が多く、なかなか頭に入ってこない所もありましたが、その小難しい表現があるからこそ、恋愛だけでなく社会情勢までもを考えさせられる高尚な一冊として成り立ってるなと感じました。 今より歳を重ねて、主人公達と近い年齢になった時に読み返したら、また違う感情が生まれそうだなと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
初めて平野さんの小説を読みました。 未来によって過去は変わってゆくという哲学的で小粋な会話で魅かれ合う大人のテンサイギタリストの男と才色兼備のジャーナリストの女… 大人です、素敵です。。。 私は現実離れした少女漫画や韓国ドラマの設定が大好物なので、ちょっと盛り過ぎかなという人物描写にもはまれました。この辺りは感情移入できるか好みが分かれるところではないでしょうかね。 古き良きトレンディードラマを彷彿とさせる衣食住の描写、東京でのわずかなすれ違いからの別離(ちょっと強引ですが)など5億点連発です。同年代としてこんな男女いるの!?と盛り上がりました。 平野さんの文章の修辞がとても美しいと思いました。違う小説も読んでみたいです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分は冷めてるから、蒔野と洋子が初めて会って、惹かれ合うのはまだしも、そこからまあ、何度スカイプで語り合ったかも分からないけど、2回目に会っていきなり愛の告白もすっ飛ばして結婚?みたいな話になった時には、あー、ハイハイと、没入できずに少し離れたところから観察みたいに読みました。 そんな圧倒的な愛って、想像つかないんで。しかもお互い、純粋に人間性だけってわけじゃなくて肩書きとかバックボーンに惹かれた感じがまた。有名監督の娘だから〜天才と謳われたギタリストだから〜3割増しに惹かれたみたいな。 まあ、そこが闇雲に惹かれ合うワカモノと違いオトナの恋愛ってとこなんでしょうけど。 でも、そこはキャリアのある小説家。綺麗にまとまっているし、物語の構成の見本みたいに、読ませる仕掛けがそこかしこに。 ともすれば陳腐なトレンディドラマの恋愛物語で終わりそうなところ、哲学的な問いだとか、世界情勢やらのこれは平野氏の意見なのかな、知的な意見なんかも盛り込まれ、割と楽しく読めます。ちょっとリベラルで善人過ぎる洋子のキャラには微塵も同調できなかったけど、まあ、そうありたいとは思いますけどね。 彼の美しい文章はデビュー時変わらず健在だが、耽美過ぎるデビュー作に比べ、円熟して、上手く読者に歩み寄る術を獲得したのだなぁ。彼の知的レヴェルについていけない私のような一般読者を獲得することにも成功しているなぁ。と、ちょい意地悪な上から目線で言うとそんな感想。 感動はしませんでしたが、興味深くは読めました。心揺さぶられたとか、そんな大げさな!平野氏の仕掛けにハマっただけだと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前半は良かったが、途中で出てくる女があまりにも卑劣で、結果的に後味の悪い終わり方だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
秀逸な芸術家蒔野と、美しい華麗な経歴のジャーナリスト洋子が、恋に落ちたという設定に、若干引きつつ読み始めた。 展開は予測されるようなことだった。 読み終わりに大きな展開があるかと、読み終えたが、結局、甘い終わり方だった。 もっともっと、渋く、辛口な終わり方を期待してしまった。 が、新聞小説であったということを考えると、このあたりが落としどころなのだろうか? どうにも納得がいかないところがいくつかあって気になるので書いておく。 アメリカの金融の世界に生きるリチャードと洋子の会話は、むしろ、結婚前の交際中にあるべきではないかと思った。 祖父江先生が倒れた後、蒔野は懸命に介護しているが、その際、祖父江の前で自らのスランプについて漏らすことはなかったのか? 自らをスランプであると認めているのならば、どこかでそんな会話に発展しないのだろうか? 過去は変えられるのか? 解釈を変えるということなのか? マネージャーの三谷が、洋子に問う、マルタとマリアについての見解は、読みながら考えさせられた。 私は、マリアを擁護する気にはなれない。 マリアは、イエスがマリアに惹かれているという自信があっての行動と思ってしまう。 マルタもわざわざイエスに言う必要はない。 さっさと、マリアの隣で話に加わればよかったのだ。 三谷の一本のメールで交際が終わってしまった2人は、それぞれがすごいプライドの持ち主だったということであり、相手への愛からの決別とは思われないし、同情の余地などない。 正直いけ好かない主人公2人だった。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!