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ムーンナイト・ダイバー



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【この小説が収録されている参考書籍】
ムーンナイト・ダイバー

ムーンナイト・ダイバーの評価: 4.31/5点 レビュー 26件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.31pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全26件 21~26 2/2ページ
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No.6:
(5pt)

ムーンナイト・ダイバー - 天童荒太 読書感想

書評とかを滅多に書かないように思える友人がFacebookに推薦文を書いていて、それがなんだかただならぬことのような気がして読んでみた。
「ムーンナイト・ダイバー」
「光のエリア」と仮称される建屋周辺の「あの日」がそのまま残された汚染域の海底から見知らぬ人たちの思い出をサルベージするダイビングインストラクターの男性。
具体的な名称は一切書かれていない。
描かれていたのは
巨大な喪失感
だと思う。
「荒れた海は怒った神様のようで恐ろしいけれど、嫌いと思ったことはない、好き嫌いではなく、存在しているものだから」
小説内に登場する或る女性の海についての感慨。
敢えて書いてしまうと、
私達の儚い世界は、好き嫌いではなく存在してしまっている「巨大さ」の側にいつでも引き摺り込まれ消滅してしまう。
これまで私は、震災後の福島について描かれた創作の多くが、
臆してなかなか読めなかったし、観ていられなかった。
現実が突きつけられるからというより、
むしろ
現実が煙に巻かれて
わけがわからなくなってしまう。
悲しみが描かれるとき、それがドラマであるが故に何らかの結末が用意される。
何らかの「感動」が結末として用意される。
安直な寄り添いのような感動。
かたや「原発」に反対する側からは明らかなデマも聞こえてくる。
いたずらに恐怖を煽り面白がる悪意。
ますますわけがわからなくなる。
インターネットという大海原のような回路に組み込まれてしまった私たちの議論は、すべてが相対化されてしまい、すべてが水掛け論になってしまう。
そうした混乱困惑は、
当事者である被災地の人たちにとってはなおのことではないだろうか?。こうして被災地とそれ以外の地域は分断されてしまった。
この小説「ムーンナイト・ダイバー」はそのようなおぞましい言説の濁流の水面に小舟を浮かべ、
確実に錨を打ち込んでいると思う。
暫し停止して深く沈降していると思う。
その様子はかつて「祈り」と呼ばれた人間の行為にとてもよく似ている。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
この小説の終盤を読んでいて、アッバス・キアロスタミ監督が日本で撮り上げたLike Someone in Loveという短編映画を思い出した。
往年のポップスから取られたらしいタイトルは「まるで恋人みたいに」と訳されているが、
そのちょっと滑稽な悲喜劇を観ていると「恋のようなもの」と古典落語風に訳してみたくなる。
小説・ムーンナイト・ダイバーの中にも終盤「恋のようなもの」が現れる。
けれどもそこに滑稽さは皆無で、巨大な喪失の渦中においての人びとの悲愴なまでの呻きが立ち上がり、
「恋のようなもの」が、
かつて人間が「信仰」と呼んでいたものに似て見えてくるのは著者の見事な力量であり、
そのことによってこの物語は小説として成立しているのではないだろうか?。
ムーンナイト・ダイバーAmazon書評・レビュー:ムーンナイト・ダイバーより
4163903925
No.5:
(5pt)

人としての生き方を改めて考えました。

注文から届くまでがとても迅速で有難かったです。 本の内容は、東日本震災後の被災者の方々の思いをあらためて考えました。 誰かの為に命をかけてやりぬく人に崇高ささえ感じました。
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4163903925
No.4:
(3pt)

時は止まったまま……

普段は、あまり視聴しない時間帯に何気なく入れたテレビのスイッチ。
 2016.2.27(土)のTBSの報道特集【陸前高田・復興の記録】に釘付けになってしまった。
 東日本大震災の津波で妻を亡くした男性が、心の傷も癒えぬまま、亡くなった弟夫婦に代わり、甥の兄弟2人を引き取って育て上げる。
 止まっていた時間が動き出すまでの5年間を追うものだった。
 
 3.11からもうすぐ5年。
 被災当時は、復興に水を差す気がして、「家族を、友人を、大切な人を探してほしい」と言い出せなかったという人々。
 この本では、命を落とすことになる危険を冒してまで、「遺品を探すため、暗澹たる海にもぐる人」と「探してほしい人」。それぞれの思いが描かれています。
 天童荒太氏の作品は、たぶん2作目。
 「永遠の仔」は徹夜するほど夢中になって読んだので、期待していたのですが。
 冒頭から沈み、最後まで浮上することはありませんでした。
 
 
 
ムーンナイト・ダイバーAmazon書評・レビュー:ムーンナイト・ダイバーより
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No.3:
(3pt)

月夜の海で、魂を鎮める。

サバイバーズ・ギルトを抱える主人公や、震災遺族の心情を丹念に追っていくことが物語の主軸となっている。

言語化しづらい複雑な感情を安直に言葉にせず、感情そのものを丹念に追おうとする真摯な姿勢は筆者ならでは。

一方で登場人物たちが優等生的で物分かりが良く、話が綺麗にまとまり過ぎている印象を受けた。
(家族に恵まれ非常に異性にモテる主人公・良い再婚相手候補がいながら前夫への未練に縛られる女性・どこまでも誠実な姿勢を崩さない役人・父が身代わりになって生存した叔父に何のわだかまりもない姪・厳しい条件にも関わらず高額な報酬を支払う被害者遺族グループ etc)

いわば、(あくまで震災被害者としては)恵まれた人々によるレクイエムであって、
救いの見えない状況下にある人々を描いてきた筆者にしては、浅い踏み込みだと感じた。
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4163903925
No.2:
(5pt)

星6つ!

三度命拾いしている私は、たまに自信過剰になりますが、 本作によって、遺族としての苦しみの部分が感謝に変わりました。 蛇足ですが、共有に必要なのは体験ではなく、 思いやる心ではないでしょうか?
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4163903925
No.1:
(5pt)

筆者の優しさが詰まった小説

天童さんの3年ぶりの小説です。

私は天童さんの小説を好む理由の一つとして、
人が持つ言葉で表せない弱い心の部分、

それを安い売り物にせずに
真摯に書いてくれるところです。

言葉で表すことが出来ないから
それを行為で代償し物語にする。

包帯クラブでは、
心の傷を受けた場所を包帯で巻き、

悼む人では、
突然の死を迎えた人々に
ただただ祈りつづける。

ムーンナイト・ダイバーでは、
天災という憎むべき相手がいないものに
対しての
憤り、やるせなさ、無力感を
潜るという行為によって

必死に何かを変えようとします。

また、遺品を待つ遺族も、
行方不明者の遺品が出てくれば、
死の事実を受け入れなければ
ならない面もあり、ジレンマを抱いています。

物語が進むにつれ主人公は。

心は、暗い海に潜り、
死に近づいていくが、

それに反比例するかのように
体は、生を強く求めます。

それに対して、疚しさを感じながらも、
様々な人と関わり、潜り続けていきます。

やがて、自分が潜る理由がわかり、
前向きに生きようとします。

最後は暗闇に妙光が指したような、
穏やかなハッピーエンドだと感じました。

そんな内容の小説ですが、
正直、私自身主人公に共感できる部分は
少ないなぁと感じました。

私は生に対しての罪の意識は
偽善としか思えないわけです。

その様な生死に関わる体験をしていないから。

体験をしていないのに、罪の意識を抱くのは
生を差し出していただいてる動植物に
対しての冒涜でもありますし、只の自己陶酔だと思います。

結局、腹が減ったらメシ食うし、新陳代謝は止まらないし、
肉体は生を求める。

現実に体験した視点を持たない者が、
そういうことを言ったり、考えて悶々するのは
単にその狭間で葛藤することでナルシシズムに陥って、
気持ちよくなっているだけと思います。
(言い過ぎたかなぁ・・)

だから私はあまり共感できませんでした。

でも、苦しみを抱えた主人公が
死と隣合わせで潜り続け、様々な人との関わりにより、
立ち直っていく姿には勇気を貰いましたし、感動もしました。

また、こういう天災の悲劇を描く作品には
その悲惨さをセンセーショナルに伝えるため、
水死体などをリアルに描こうとするものもありますが、
この小説にはそういう描写が無く、

死者に対して、配慮を大事にした
作者にとても好感が持てました。

難しいテーマの小説でしたが、
読んで良かったと思う本でした。
ムーンナイト・ダイバーAmazon書評・レビュー:ムーンナイト・ダイバーより
4163903925

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