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影の中の影
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影の中の影の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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読み始めたら一気に読みすすむ。息もつかせぬ展開。背景に国際的な政治が絡んでいるのでスリル満点。日本版007というコメントがあったけど、もうそれ以上だよ。 悲しい影がある傷ついたヒーローだけど、異郷の地にたたずんでこの『影ある』生き方を選んだ覚悟が伝わってくる。これだけ共感を呼ぶ主人公はいない。イチ押しです。 | ||||
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「カーガー」と呼ばれる元エリート警察官で格闘技も複数体得した中年男が、敵を次から次に倒していくアクションもの。つまり、日本版の007ですね。 ウイグル自治区の人権問題という、国際的な大きなテーマを扱うのも本家に似ています。 スピード感があって、面白かったです。 最初は凄かった中国の特殊部隊が、途中から素人相手にあっけなく殺られるようになってしまうというご都合主義的な部分は否めませんが、これも本家と同じといえば同じですね。 | ||||
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いやぁ、今回もむやみに中国・アメリカや民族問題を出してきて、問題を大掛かりにしておきながら、ちっさい、うっすい中身で推移する展開がとても面白いです。 闇のヒーローも、背景や誕生を描きすぎて、しつこさ満載で身近すぎるし、B級映画バリにわざわざやくざのやられ要員をたくさん用意したり。 さらに、それぞれ数名のやられ要員には、若干お涙頂戴のエピソードも入れてみたりと、、、。 さらにそんなうっすぅーいエピソードについついウルウルしてしまう自分が、、、。 終章も無駄にタラタラ説明して、文句なし。ベタベタ感が最高によかったです。 月村さんの「槐」のうすうす感といい、今回のB級映画感といい、とても読みやすく楽しめました。 | ||||
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私は本編のような冒険小説において、敵役の強さは、主人公の魅力の「形容詞」であると思っている。 主人公・景村瞬一【カーガー/琉球語で影を意味する】が疾風怒濤の活躍を見せる『影の中の影」での敵役/中国の暗殺部隊はそれこそ筆舌に尽くしがたいほど強く、怖い。 紙一重の差で襲い来る敵を、技を駆使して葬り去る度に、景村はヒーローとしてのランクを上げ、最強の敵を倒した時それは最上級となる。 私は当初、格闘技術“システマ”を体得している云々から、川内康範を継ぐ、レインボーマンのような勧善懲悪ものを想像していたが、それとは違ったようだ。 また、脇役のキャラクター設定にも心憎いものがある。ジャーナリストの仁科曜子はヒロインとしての魅力充分だし、本来なら憎まれキャラのヤクザたちの心の内面を描くことにより、彼らも同じ人間であることを教えてくれる。その中でも特に樋口が印象に残った。彼もまたかなり強いが・・・。 読者の熱くなった気持ちをクールダウンさせる「終章 そして影は朝靄に還る」で、登場人物たちのその後が描かれるが、真の敵役である曾埜田の不気味な強大さ、また曜子と景村との邂逅などから続編が期待されるが如何なものなのだろう。 | ||||
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社会派ジャーナリストの仁科曜子は新たな取材対象としてウイグル問題に取り組んでいた。最近ではウイグル人コミュニティーの有力者やボランティア活動家が次々と変死しており、難解なテーマに野心が疼いていた矢先、キーマンとされる人物へのインタビューが出来ることになった。しかし、待ち合わせ場所で3人の凶漢たちに襲われキーマンが殺されてしまい、死に際に「カーガーに助けを求めろ」と謎の言葉を言い残す。 作者お得意のアクションものです。スーパーヒーロー像を作り上げて明確な対立軸を設け、圧倒的な力に立ち向かっていく人々にもドラマを添えるパターンです。ウイグル自治区等の国際問題をメインにして、政治決着や強国との外交上の駆け引きも織り交ぜ、今回もエンターテインメント魂が充分な仕上がりです。想定内ながら人の繋がりも見事に決まり、人の成長や逞しさも描かれる一方、これ程の戦闘シーンを一気に読ませる筆力も流石です。 | ||||
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どんどん引き込まれてしまった。当作家の本をよく読ませてもらってます。 | ||||
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「土漠の花」以来月村先生の作品を端から読んでいる途中です。 読みやすくて途中で止められない本です。面白かった。 この作品がいいなと感じた方には「土漠の花」、「ガンルージュ」という月村先生の作品もきっと相性が良いのではないかな、なんて思います。 こういう本に出会えると本当に日々救われます。 | ||||
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月村さん、嫌いじゃないですよ。こういったおはなし。 カッコ良くて影のあるダークなヒーローが国家同士の理不尽な暴力に苦しめられた弱きものたちを助けてワルをやっつける。 中国から杜撰な民族弾圧の実験から生き残り亡命するウイグル人たち、取材をきっかけに巻き込まれる女性ジャーナリスト。彼等を闇に葬る為に送られてきた暗殺部隊。そして唯一の希望は彼等を守る依頼を承諾したカーガー(沖縄の方言で言う影法師のこと)の通り名を持つ伝説のプロフェッショナル。そして妙な縁から命懸けで彼等を助け暗殺部隊と死闘を繰り広げるヤクザたち。 キャラクターも立っているしストーリー運びもきっちり盛り上がって行く。たぶんきっとよく練られた良質の冒険小説なんだよね。テストなら82点で文句なく優秀、良くできましたってランクだと思う。 でもそれだけじゃ違うんです。ハリウッド映画やヤングジャンプでは味わえないなんかサムシングを読者は欲している。 冒険小説でも私小説でも恋愛小説でもジャンルは構わない。パロデイやおふざけ小説でもいい。 文が空から降ってきてる感じ、なんだか文字が一文字一文字が鼻の奥に突き通って来るような感じ、作者がこの本を通してオレのためだけにこのハナシを今頁のすぐ向こう側で書いている感覚。 そんな本に巡り会うことが錯覚かも知れないけど確かに何回もある。 だから月村さん。頑張って文をもっともっとかきむしって欲しい。こんなもんじゃない。凄いものを貴方は書けるはず。変に迎合したり出版社に売れ行きを心配しなくていい。僕は偏屈な一読者としてずっと待っています | ||||
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物語の展開が早く飽きさせない。 日本で繰り広げられる中国の陰謀を阻止するカーガーとヤクザたち。 あっさりヤクザを葬ったり一人のヤクザに二人やられたり、中国人工作員が強いのか弱いのかよくわからん。 ヤクザ頑張りすぎ。 官僚売国奴杉。 意外と簡単にピンチ脱出できたり。 よく考えると疑問を覚えるところもあるが細かいことは気にするな的なストーリー。 だからテンポが速いんだろね。 ちょっと薄っぺらい感はある。 気軽に楽しもう。 続編はあるのだろうか? | ||||
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最近、右系化している作家が多く、この作品の書評を見て、中国を悪者にした右傾化した作品か?とあまり期待しないで読んだ。 しかし、確かに中国は一番悪く書かれているが、アメリカも日本もろくでもないものに書かれていて安心した。国家間の利権の前には個人の生命の尊重なんてすっ飛んでしまうのですね。 この作品で一番気に入った点は、とにかく主人公が強い事。よくアクション映画やバイオレンス小説では、観る側、読む側をはらはらさせる為なんだろうが、やたらと窮地に追い込む。すると、わたしなどはヒーローは弱く、情けなくみえて、なんだかなと思ってしまう。 やっぱり、人の命を救うには、このくらい強くないと説得力ないだろう。 いつか、カーガーと槐の競演でもしていただければと思います。 | ||||
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中国はある目的のために、日本に潜伏中のウイグル人亡命団の抹殺を目論む。それを阻止するために女性ジャーナリストと裏社会のやくざが中国からの刺客と激突する。日本の警察は頼りにならず、殺害されたウイグル人が残した謎の言葉「カーガー」を手がかりに立ち向かっていく。 序盤から物語が大きく動き、最後まで目が離せず一気に読んだ。中国政府による人体実験の話や、CIA、KGBといったアメリカ政府の機関との関わり、警察と犯罪組織の癒着、日本、アメリカ、中国間の国際情勢の話など本当によく考えられていたと思う。 読み応え満載の中、特にウイグル人亡命団を守るために繰り広げられた中国の刺客との戦いが迫力満点だった。いつ襲われるかという緊迫感の中、菊原組の進藤、谷田部、樋口、和久井、須永たちの命を賭けた男の生き様には胸が熱くなったし、ロシア武術のシステマについてやそれを駆使して武術を極めた男の戦い方も楽しめた。 これだけの大事件をどう収束するのかと思ったが、無理なく納得できる形で描かれており、読後感も非常によかった。 | ||||
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冒険小説界の最注目作家、月村氏の新作。 女性ジャーナリストと裏社会の男たち。そして謎の「カーが―」がウイグル族の人たちを守るために、己の命をかけて戦う。 話題作となった「土漠の花」は自衛隊の男たちであったが、今度は真逆のアンダーグラウンドの男たちが描かれている。それだけに、一人一人の抱える闇と、それぞれの闘う理由などがより奥行きと凄みがあった。 月村氏の作品は実は非常にシンプルだ。言ってしまえばハリウッドの映画のよう。だがしかし、これだけ極上のエンタメに特化した作品を書ける人は実は非常に少ないように思う。 まさに本に没頭させられる素晴らしい作品であった。 | ||||
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ワタクシの今一押しの作家、月村了衛氏の最新作。 やはり期待を裏切りませんでした。 私は一気読みするパワーもないし、またじっくり楽しみたい方なので、読み終わるのに何日かかかりましたが、一気読みできる人は、数時間で読んでしまうのでは?それくらい面白かったです。 この作家らしい戦闘へのこだわりが感じられて、正に男が読む小説といった風情です。 もちろん、女性が読んでも面白いと思いますが。 月村さん、できれば、この主人公でシリーズ化してもらえませんかね? 機龍警察シリーズも、続編を待ってます!!! | ||||
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男たちそれぞれの死にざまが泣けた・・・ その間際、自分の命を盾に守った相手に 本当に守りたかった、けれど守れなかった人を いつの間にか重ねている男たちの無念が 本当に大切な相手とは、真の幸せとは 一番近くにあたりまえのようにあるものだと 完璧な構成で何度も巧みに気づかせてくれる。 樋口の病気が切ない。 しかし一方で、その病気によって自制不能になる瞬間が異様に輝いて見える。 不謹慎は百を承知で書けば、ゾクゾクする。 関係ないが、その病気は、ちょっと前に世間を震撼させた、 あの事件を思い起こさせたのは私だけだろうか。 曜子のキャラが隣にいそうな女性像であるところや 実際に出てくるに国際情勢も事実なので すごく自然に曜子目線でドキュメントを追っているように読めた。 今は、この本が世に出たことにより、著者が、 かの国の暗殺リストに載らないことを祈るばかりだ。 | ||||
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面白くて一気に読んだ。 中国の生物兵器の秘密を握るウイグル人たち、彼らはアメリカへの亡命を希望しているが、それが受け入れられるのも、明朝の5時。 それを阻止しようと、ウイグル人たちを襲う中国の暗殺部隊。中国の行為の黙認するどころか、彼らに協力する日本の警察。 それに対するは、闇の世界で恐れられている存在「カーガー」、影村瞬一。ロシア武術システマの達人にして、居合の名手でもある。彼と共に、ウイグル人たちを守るのは広域暴力団の組員たち。彼らは以前から取材を通して昵懇の間柄であえる女性ジャーナリストがこの件に巻き込まれたために、ジャーナリストを守るために、組長から覇権されてきた者たちだ。 影村たちは高層マンションに立てもこもり、中国の刺客たちと数時間の攻防が繰り広げられる。暗闇の中、ビルの中での闘いは、まさに「ダイ・ハード」を思い浮かべた。 アメリカ大使館、CIA、KGB、途中には米軍までが絡み、様々な素材を組み入れながらも、話は見事に収束していく。 「ゴルゴ13」的な面白さもありながら、ちょっと人情味や暖かさもある。 こういう男っぽい小説を待ち望んでいた。 | ||||
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月村氏の著作は1冊残らず買い、読破してきたなかでの感想。 傑作。迷わず買うべきである。 前作「土漠の花」があれだけの賞賛を得る中、正直組織階級編成に満足を得られず、モヤモヤ感で悩んでいたところの、この一冊。 とにかく、読んでほしい。 何かを書こうとすれば、少しでも漏らしてしまいそうになり、あらゆる事が全てネタバレにつながりそうであり、緻密に練られた構成を味わってもらいたい。 ただ一言でいうならば、「再生の記」とでもいうべきか。 久しぶりに一気読みしました。 文句無しの読後感。強烈におすすめの一冊です。 | ||||
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『機龍警察』シリーズで日本SF大賞・吉川英治文学新人賞、『コルトM1851残月』で大藪春彦賞、 そして本書刊行から丁度一年前『土漠の花』が日本推理作家協会賞を受賞。 僅か5年足らずで新進気鋭にして最大の注目作家として頭角を現した、現代冒険小説の立役者・月村了衛。 昨年10月から小説新潮にて連載されていた作品『カーガー』を改題、大幅な加筆増補を施した単行本が本書である。 暴力団から官僚組織…現代の裏社会を暴かんとする矜持を持つ社会派ジャーナリスト・仁科曜子。 30を越えた齢に迎えた新テーマ、それは中国共産党の横暴に虐げられる東トルキスタン・ウイグルだった。 そして、亡命ウイグル人が語ったその恐るべき暗部に対面した彼女は、 中国人民解放軍が放った刺客のみならず日本政府と警察にすらその身を追われる事となる。 だが、そこに過去を焼き尽くされた一人の男が表れた。 やがて彼女は多者多様の様々な思惑の中、凄絶な死闘に身を投じる事となっていく… いやはや、口を開く度に肝心な部分を漏らしてしまいそうで危うい。 今まで何度同じ台詞を言ったか、或いはこれからも豪語し続けるかわからないが…断言できる。 これはシリーズ作品以外での長篇小説として傑作ではないだろうか。 狭量な井の中に矮小化するでもなく、極端な大風呂敷を広げる訳でもない。 個人の生き様と国家組織の鬩ぎ合いが佳境に向かうにつれ、見事に集束する。 まるで、ジョン・ル・カレの『スマイリー三部作』の様に。 本作品からは、昨年11月に刊行された著者の処女作にして代表作の『機龍警察』シリーズの 長編第一作目である「機龍警察〈完全版〉」の寄稿された論稿でミステリ評論家の霜月蒼氏(『土漠の花』と同時に 第68回日本推理作家協会賞〈評論・その他の部門〉を受賞)が語ったところの「『冒険小説』とは、 闘争を通じて〈個〉の尊厳を取り返さんとする物語」という本質を秀逸なまでに感じさせられた (メタファー〈暗喩〉として主人公の景村には「影」に「彡(さんづくり)」が存在しない) ここで重要なのは、ただ単に壮絶な戦いが繰り広げられるだけではなく、 個々の登場人物が抱える過去を吐露する場面に不条理と皮肉に糊塗された 暗澹たる悲哀からのペシミズム・センチメンタリズムが垣間見える。 この静寂と暗闇からの激動と騒乱という光明のコントラストの一貫性こそ、月村了衛が成し得る絶妙な創作力だ。 差し出がましい事を申せば、『黒警』の様に、『景村瞬一シリーズ』として継続しても何一つ違和感は無い。 以前、著者が帯紙に推薦文を贈っていたマーク・グリーニーの『暗殺者・グレイマン』サーガの如き臨場感を『土漠の花』以来、 ここでも存分に堪能させて頂いた。 昨今、冒険小説の隆盛と飛躍は東西冷戦が終結した90年代に入った後に失速したと考えられていた。 しかし、世界情勢の多極化とテクノロジーの進化が齎す変貌が新たな流れを現出させた。 その本質を見極め、掴み取る技量を持つ著者こそ「冒険小説の復権」を成し遂げんとする先駆けなのだ。 尚、杞憂や蛇足である事を願えば、昨年に『土漠の花』で「集団的自衛権」に絡めた 一定の政治性を読み取ろうとする傾向が僅かながら存在したが、 それを本作で描かれた日中関係や少数民族について当てはめ、「愛国・右派エンタメ」と形容するのは ナンセンスであると申し上げたい。前言した様に、本作は〈個〉の尊厳を取り返さんとする物語なのだから。 追記:本書を読了すれば早川書房から刊行されるミステリマガジン1月号より連載開始の 長編第5作『機龍警察 狼眼殺手』をもっと楽しめる…筈である。 | ||||
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ウイグルから日本に逃げてきたグループを、中国から遣わされた暗殺者集団が追う。 本書の中で暗躍するのは実在の巨大国家である。それに、仁科曜子など、自然な振る舞いが物語の中で一貫していて、現実にいそうな感じがする。物語の舞台が、実際にありそうな感じのするものになった。 「人間とは裏切る生き物であり、且つまた矛盾する生き物なのだろう。」(144頁)。物語の描く人間像が、また一層、厚く、奥深い。 後半の死闘においても、人物達が死の危機に瀕して考えたり悟ったりする思考は、人生経験に裏打ちされていて意味深く、重厚だ。イッキ読みするのも勿論良いだろうけれども、少し言葉に注意して読むと、容易に眼にとまる。 心に傷を負い憎悪を抱き、社会システムの中のややズレた位置に立ち、憎悪を原動力に社会の暗部を破壊しようとする者はヒーローである。 僕のような読み手は社会の平凡な成員であったとしても、なんらかの負の体験は持っているものである。 ヒーローは 自分達の非公式な抑圧された感情を代弁することができ、自分だけの困難さに向き合う力を想い出させてくれることもある。 ヒーローを突き動かす憎悪はそもそも熾烈である。本書のヒーローにおいて、挫折と憎悪は一段高い視点から捉え直され、調和が再獲得された(214頁)。より高い目的のもとに、困難に向き合う。 ヒーローに 「再生」が備わったのだ。 これにてヒーローの姿が定まった。 連作化を期待したい。 | ||||
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