■スポンサードリンク


生ける屍の死



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

生ける屍の死の評価: 3.94/5点 レビュー 72件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.94pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全51件 21~40 2/3ページ
No.31:
(4pt)

ベダンティックの極致。

本格ミステリーの有名作家、山口雅也の長編デビュー作品。

死んだ人間が死体のまま蘇るという現象が全米各地で巻き起こっていた。そんななか、大葬儀社の類縁である主人公グリンは、関係者全員が集まるなかで毒殺されてしまう。ゾンビとして蘇り、事件解決に挑むグリン。はたして真相は……。

設定がとにかくぶっ飛んじゃってるのですが、それ以外はとてもまっとうにきっちり描いている小説だなぁと感じました。
やたら衒学的(ペダンティック=知ったかぶり)ですが、どれもが自然と散りばめられているのであまり気になりません。むしろ、ほどよいスパイスといった感じで、僕は面白いと感じました。

トリックが云々とかミステリーとしてどうかとかはまったく興味ないんでわかりませんが(個人的に本格ミステリーを自称する人、大嫌いなので)、一本の小説としてとてもよくできた作品です。

あと、これがデビュー作ということにひたすら驚きました。すごいです。

黒死館殺人事件好きな方はぜひ。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.30:
(5pt)

生ける屍の論理

久しぶりの再読。もう散々かかれてるんであまり言うこともありませんが少しだけ。

死んでも死人が甦る世界で続く人殺しの真相は?!
これはウラの紹介文にもあるので言ってもいいでしょうが、作中、実行困難と思われ
る状況下で主人公のグリンすら毒殺されてしまいます。まあもちろん甦るのですが、
そういうこともあり全体的にブラックジョークめいていて面白く読めます。

最後で明かされる真相、とくに主人公毒殺の顛末については当時本当に開いた口が
塞がらなかった。「その可能性についても少しは検討して読み進めていた(つもりだっ
た)のに!」と、ミステリを読んでいる側としては最高に楽しませてもらいました。

作家北村薫が推薦するにも、本作は(本格)ミステリという蜜を求める読者にとってけ
して見逃してはならない大輪の花とのことです。私にとっても、このような作品があ
るから今まで本格ミステリを読み続けてこられたとすら思えます。

おすすめ、です。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.29:
(5pt)

生ける屍の論理

久しぶりの再読。もう散々かかれてるんであまり言うこともありませんが少しだけ。死んでも死人が甦る世界で続く人殺しの真相は?!これはウラの紹介文にもあるので言ってもいいでしょうが、作中、実行困難と思われる状況下で主人公のグリンすら毒殺されてしまいます。まあもちろん甦るのですが、そういうこともあり全体的にブラックジョークめいていて面白く読めます。最後で明かされる真相、とくに主人公毒殺の顛末については当時本当に開いた口が塞がらなかった。「その可能性についても少しは検討して読み進めていた(つもりだった)のに!」と、ミステリを読んでいる側としては最高に楽しませてもらいました。作家北村薫が推薦するにも、本作は(本格)ミステリという蜜を求める読者にとってけして見逃してはならない大輪の花とのことです。私にとっても、このような作品があるから今まで本格ミステリを読み続けてこられたとすら思えます。おすすめ、です。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.28:
(4pt)

海外ミステリーファンの方、ぜひご一読を

(以下ネタバレが含まれております。ご注意下さい)

「死者がよみがえること」
を虚像の世界ではなく、現実の世界であるという前提のもとに書かれた小説である、
という点を、

・素直に受け入れることができて、そのうえでこのミステリーの世界に入り込むことができるか

・どうもその点ひっかかってしまい、なんともすっきりしないか

どちらの部類に入るかで、評価は分かれてしまうのでは、と思うのが本作品です。

解説者の方も、後者のような人の批判の「抑え込み」に入ったかのように、
この前提を擁護していたのが印象的でした。

実は、私はどちらかといえば後者でした。
なのになぜ、高評価なのかといいますと、解説者の説得に屈したからではありません。
日本人が書いたこの作品は、海外ミステリーファンの私が読んでも、驚くほどのできばえだったからです。
クイーン、ブラウン、クリスティ、ドイル、カー、クロフツ、
彼らのファンの方、是非ご一読下さい。
日本人にも、こんな世界観を表現できる作家さんがいるのです。

実際、作者も彼らの信奉者だったらしいのでうなずけます。
実はまだこの作者の他の作品は読んでいないのですが、とても楽しみです。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.27:
(4pt)

海外ミステリーファンの方、ぜひご一読を

(以下ネタバレが含まれております。ご注意下さい)「死者がよみがえること」を虚像の世界ではなく、現実の世界であるという前提のもとに書かれた小説である、という点を、・素直に受け入れることができて、そのうえでこのミステリーの世界に入り込むことができるか・どうもその点ひっかかってしまい、なんともすっきりしないかどちらの部類に入るかで、評価は分かれてしまうのでは、と思うのが本作品です。解説者の方も、後者のような人の批判の「抑え込み」に入ったかのように、この前提を擁護していたのが印象的でした。実は、私はどちらかといえば後者でした。なのになぜ、高評価なのかといいますと、解説者の説得に屈したからではありません。日本人が書いたこの作品は、海外ミステリーファンの私が読んでも、驚くほどのできばえだったからです。クイーン、ブラウン、クリスティ、ドイル、カー、クロフツ、彼らのファンの方、是非ご一読下さい。日本人にも、こんな世界観を表現できる作家さんがいるのです。実際、作者も彼らの信奉者だったらしいのでうなずけます。実はまだこの作者の他の作品は読んでいないのですが、とても楽しみです。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.26:
(4pt)

突飛な設定だが必然性のある真相

死者が蘇る,というありえない設定であるが
きちんと真相に反映されている.

こういう凝った設定は結局うまく使いこなせず
中途半端なオチになりがちなのだが
この作品ではそういう不消化感もなく
緻密にまとまっているなと感心した.
ミステリー本来の謎解きとは少し趣が違うが
こういう意外性もありだろう.

またアメリカの埋葬や葬儀の風習やエンバーミングという
耳慣れない技術をよく調べて取り入れられており
ミステリーの小道具としてだけでなく
作品全体にアメリカの田舎町の雰囲気がよく表現されている.

ただ,懲りすぎていて少々冗長な印象もなきにしもあらず.
その点を1つ減点.
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.25:
(4pt)

突飛な設定だが必然性のある真相

死者が蘇る,というありえない設定であるが
きちんと真相に反映されている.
こういう凝った設定は結局うまく使いこなせず
中途半端なオチになりがちなのだが
この作品ではそういう不消化感もなく
緻密にまとまっているなと感心した.
ミステリー本来の謎解きとは少し趣が違うが
こういう意外性もありだろう.
またアメリカの埋葬や葬儀の風習やエンバーミングという
耳慣れない技術をよく調べて取り入れられており
ミステリーの小道具としてだけでなく
作品全体にアメリカの田舎町の雰囲気がよく表現されている.
ただ,懲りすぎていて少々冗長な印象もなきにしもあらず.
その点を1つ減点.
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.24:
(5pt)

異世界ミステリの記念碑的作品

死者が甦るという異世界を舞台にしたミステリ。

主人公であるパンク小僧グリンからして、何者かに毒殺された後、
甦り、ゾンビになった状態で探偵役を務めていくことになります。

蘇生したグリンは、生前と変わらない精神は保持しているものの、
時間が経つにつれ、肉体は確実に腐敗していき、乾燥のため目が
混濁し始めます。

腐敗を遅らせ、周囲に自分が死者であることを悟られないようにするため、
グリンは自らに防腐剤を投与し、サングラスをつけなくてはならなくなります。

この“蘇生者”の描写は、甦りがルール化されている本作において、関係者が
生者と死者どちらであるかを見極める、指標の役割を果たしているといえます。

また、本作で展開される「死」にまつわる様々な哲学も、
たんなる装飾的ペダントリーにとどまらず、犯行動機を
読み解く際の重要な手がかりとなっています。

家族に囲まれた穏やかで親密な死を望む者やキリスト教的信条によって
肉体復活を信じる者、そして、資本主義の論理を振りかざし、死を商品化
しようとする者……、それぞれが自分の哲学に基づいた行動することで、
通常の世界ではあり得ない因果の模様が描かれていくことになるのです。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.23:
(5pt)

異世界ミステリの記念碑的作品

死者が甦るという異世界を舞台にしたミステリ。
主人公であるパンク小僧グリンからして、何者かに毒殺された後、
甦り、ゾンビになった状態で探偵役を務めていくことになります。
蘇生したグリンは、生前と変わらない精神は保持しているものの、
時間が経つにつれ、肉体は確実に腐敗していき、乾燥のため目が
混濁し始めます。
腐敗を遅らせ、周囲に自分が死者であることを悟られないようにするため、
グリンは自らに防腐剤を投与し、サングラスをつけなくてはならなくなります。
この“蘇生者”の描写は、甦りがルール化されている本作において、関係者が
生者と死者どちらであるかを見極める、指標の役割を果たしているといえます。
また、本作で展開される「死」にまつわる様々な哲学も、
たんなる装飾的ペダントリーにとどまらず、犯行動機を
読み解く際の重要な手がかりとなっています。
家族に囲まれた穏やかで親密な死を望む者やキリスト教的信条によって
肉体復活を信じる者、そして、資本主義の論理を振りかざし、死を商品化
しようとする者……、それぞれが自分の哲学に基づいた行動することで、
通常の世界ではあり得ない因果の模様が描かれていくことになるのです。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.22:
(5pt)

迷作ではない、名作!

非常に印象深い1冊でした。ルール破りだとか荒唐無稽だとかいう意見も多いと思うけど、作者はその異常な状況設定をとくに意識させないよう、さりげなく親切丁寧に読者を導いていくことで、いつのまにか小説のプロットを構築してしまっています。見事です。(じっさい、作品世界において死者の蘇りについては、事件に関わる一族・関係者以外、それほど大問題となっていない)シニカルで比喩表現たっぷりの語り口は、まるで海外作家のようで、思わず途中で日本人作家であることを忘れてしまいました。葬式儀礼にはじまり、建築学やら歴史やら哲学、解剖学などなど、作者の広範な知識にも脱帽です。やや冗長かな、中だるみするかな、と思っていたら、中盤にトレイシー警部という、とてもおちゃめなキャラクターがでてきます。ドタバタもあるし、ところどころに噴出するブラックユーモアが、この作品をただ暗いばかりでない救いのあるものにしています。作者のサービス精神が伝わってきます。あまりいうとネタバレですが、死者から被害者から○○○まで生き返ってしまうので、当然このミステリーは犯人探しよりも、「動機はなにか?」が最大の謎となります。その謎が解けたとき、あなたは人間が未来永劫解放されることのない、生と死の哀しみを味わうことでしょう。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.21:
(5pt)

迷作ではない、名作!

非常に印象深い1冊でした。ルール破りだとか荒唐無稽だとかいう意見も多いと思うけど、作者はその異常な状況設定をとくに意識させないよう、さりげなく親切丁寧に読者を導いていくことで、いつのまにか小説のプロットを構築してしまっています。見事です。(じっさい、作品世界において死者の蘇りについては、事件に関わる一族・関係者以外、それほど大問題となっていない)シニカルで比喩表現たっぷりの語り口は、まるで海外作家のようで、思わず途中で日本人作家であることを忘れてしまいました。葬式儀礼にはじまり、建築学やら歴史やら哲学、解剖学などなど、作者の広範な知識にも脱帽です。やや冗長かな、中だるみするかな、と思っていたら、中盤にトレイシー警部という、とてもおちゃめなキャラクターがでてきます。ドタバタもあるし、ところどころに噴出するブラックユーモアが、この作品をただ暗いばかりでない救いのあるものにしています。作者のサービス精神が伝わってきます。あまりいうとネタバレですが、死者から被害者から○○○まで生き返ってしまうので、当然このミステリーは犯人探しよりも、「動機はなにか?」が最大の謎となります。その謎が解けたとき、あなたは人間が未来永劫解放されることのない、生と死の哀しみを味わうことでしょう。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.20:
(4pt)

ミステリ史に残る異色の傑作

ミステリの歴史に残る傑作ではないかと個人的に思う一冊なので、あえて本棚の奥から紹介のために出てきました。山口雅也氏、最近ではちょっと新作の刊行ペースが落ちていますが、「キッドビストルズ」シリーズのようなパンクの衣装を着込んだ名探偵が活躍する異色シリーズを出していたり、なかなか興味深いミステリ作家さんです。
 さて、この「生ける屍の死」も、かなり異色のミステリです。
 というのも、この作品、死体が生き返ってしまうのです。それも複数。普通、ミステリものでは誰が誰をどんな理由で殺したか、どんな方法で殺害したかを解決していくものですが、それもこれも大前提として、死体が何も語らず推理で謎をといていくしかないというところにポイントがあります。しかし、この作品では死者は甦ってしまうのです。ということは、顔を見られた状態で殺されたら、あるいはそれとわかる方法で殺されたら、犯人はわかってしまうのです。死体が生き返る。それだけで通常のミステリの法則は通りません。
 もう一つ、殺してしまう理由の最大のものである、被害者の排除ということが死体が甦ってしまうとできません。殺して財産を独り占めにすることも、殺して自分が何かを独占することもできません。これはミステリとしてかなり足かせです。よくも物語にここまでのしばりを入れたものだなと感心するほどです。
 なのに、きちんとミステリとして(それも非常に優れたミステリとして)成立していること、そして登場人物がきっちりと描けていること等が自分がこの本を傑作として推す理由です。思いつきのアイデア勝負ではなく、ミステリとしての面白さを加え、なおかつボリューム的にも読み応えのあるこの一冊。ミステリ好きなら是非いつか読んでみて欲しいです。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.19:
(4pt)

ミステリ史に残る異色の傑作

 ミステリの歴史に残る傑作ではないかと個人的に思う一冊なので、あえて本棚の奥から紹介のために出てきました。山口雅也氏、最近ではちょっと新作の刊行ペースが落ちていますが、「キッドビストルズ」シリーズのようなパンクの衣装を着込んだ名探偵が活躍する異色シリーズを出していたり、なかなか興味深いミステリ作家さんです。
 さて、この「生ける屍の死」も、かなり異色のミステリです。
 というのも、この作品、死体が生き返ってしまうのです。それも複数。普通、ミステリものでは誰が誰をどんな理由で殺したか、どんな方法で殺害したかを解決していくものですが、それもこれも大前提として、死体が何も語らず推理で謎をといていくしかないというところにポイントがあります。しかし、この作品では死者は甦ってしまうのです。ということは、顔を見られた状態で殺されたら、あるいはそれとわかる方法で殺されたら、犯人はわかってしまうのです。死体が生き返る。それだけで通常のミステリの法則は通りません。
 もう一つ、殺してしまう理由の最大のものである、被害者の排除ということが死体が甦ってしまうとできません。殺して財産を独り占めにすることも、殺して自分が何かを独占することもできません。これはミステリとしてかなり足かせです。よくも物語にここまでのしばりを入れたものだなと感心するほどです。
 なのに、きちんとミステリとして(それも非常に優れたミステリとして)成立していること、そして登場人物がきっちりと描けていること等が自分がこの本を傑作として推す理由です。思いつきのアイデア勝負ではなく、ミステリとしての面白さを加え、なおかつボリューム的にも読み応えのあるこの一冊。ミステリ好きなら是非いつか読んでみて欲しいです。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.18:
(4pt)

普通の推理は通用しない

死んだ人が次々に生き返る中での推理。ちなみに主人公まで死人だったりするというハチャメチャな内容。とにかく殺しても生き返ってくるんだから、殺す意味があまりないわけで、なぜその状況の中で殺人が起きるのかが最大の焦点となってくる。設定がめちゃくちゃなわりに、後半はかなり本格推理で、その動機やトリックも素晴らしい。最後は人間の「死」と「生」について考えさせてくれたりした。但しかなり長編であり、登場人物もそのほとんどが外国人でしかも人間関係がややこしい。最初は根気のいる作品ではあると思う。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.17:
(4pt)

普通の推理は通用しない

死んだ人が次々に生き返る中での推理。ちなみに主人公まで死人だったりするというハチャメチャな内容。とにかく殺しても生き返ってくるんだから、殺す意味があまりないわけで、なぜその状況の中で殺人が起きるのかが最大の焦点となってくる。設定がめちゃくちゃなわりに、後半はかなり本格推理で、その動機やトリックも素晴らしい。最後は人間の「死」と「生」について考えさせてくれたりした。但しかなり長編であり、登場人物もそのほとんどが外国人でしかも人間関係がややこしい。最初は根気のいる作品ではあると思う。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.16:
(5pt)

本格推理に新たな地平を開いた作品

死んだ人がゾンビとして蘇るという不思議な現象が起きる中で殺人事件が起き、登場人物がその真相を探るという変な話です。そういうSF的な発想を持ち込んでしまうと何でもできてしまうので推理小説としてしっかりしたものにはならないように思えるのですが、本作はじつにきちんとした本格推理に仕上がっています。死者が蘇ることがあり得るという命題を設定し、その中で殺人事件が起きたらどうなるかということを正面から大真面目に描いています。とは言え、筆致はユーモア・ミステリ調で、作者は書くのが大変だったでしょうが読者の方は(長い作品であるにもかかわらず)実に軽快に読み進めることができます。

死んだ人が蘇るという設定だし、そもそも舞台が葬儀屋ということで、死にまつわる多彩な知識が披露されます。アメリカを舞台にした作品ということでアメリカの葬儀習慣という普段日本人には馴染みのない世界についての蘊蓄が満載。また、アメリカを舞台にした作品ということで、まるで海外ミステリを翻訳したかのような筆致で描かれるという凝りようです。そして、なぜアメリカを舞台にしているのかずっと不思議に思いながら読み進めていたら、真相が明かされると共にその疑問は見事に氷塊。なるほど日本が舞台では描きづらい事件ですね。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.15:
(5pt)

本格推理に新たな地平を開いた作品

死んだ人がゾンビとして蘇るという不思議な現象が起きる中で殺人事件が起き、登場人物がその真相を探るという変な話です。そういうSF的な発想を持ち込んでしまうと何でもできてしまうので推理小説としてしっかりしたものにはならないように思えるのですが、本作はじつにきちんとした本格推理に仕上がっています。死者が蘇ることがあり得るという命題を設定し、その中で殺人事件が起きたらどうなるかということを正面から大真面目に描いています。とは言え、筆致はユーモア・ミステリ調で、作者は書くのが大変だったでしょうが読者の方は(長い作品であるにもかかわらず)実に軽快に読み進めることができます。
死んだ人が蘇るという設定だし、そもそも舞台が葬儀屋ということで、死にまつわる多彩な知識が披露されます。アメリカを舞台にした作品ということでアメリカの葬儀習慣という普段日本人には馴染みのない世界についての蘊蓄が満載。また、アメリカを舞台にした作品ということで、まるで海外ミステリを翻訳したかのような筆致で描かれるという凝りようです。そして、なぜアメリカを舞台にしているのかずっと不思議に思いながら読み進めていたら、真相が明かされると共にその疑問は見事に氷塊。なるほど日本が舞台では描きづらい事件ですね。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.14:
(5pt)

山口さん、アメリカで葬儀屋をやっていけますね

日本ミステリ界に大きな影響を与えた作品。話をSF的設定にしても、書き方次第では本格ミステリとして通用する事を実証して見せた傑作だ。私の好きな西澤保彦氏も本作品に影響を受けたと語っている。

舞台はアメリカの片田舎。死者が蘇るという事態が発生する(ただし、時間がある程度過ぎると肉体が崩壊する)。その中で連続殺人事件が起きる。被害者が蘇ると分かっていて、何故犯人は殺人を繰り返すのか ? この不条理状態の中、パンク探偵グリンは事件に首を突っ込むのだが、なんとグリン自身が殺されてしまう。自分の肉体が朽ち果てる前に、何としても事件の真相を暴かねば。グリンの苦闘が始まる...。

死者の蘇りを扱いながら、全篇にユーモアが漂い、特にグリンが自分の"死"を知った時の慌てぶりには、声を出して笑ってしまった。そして、驚くのは作者が、アメリカにおける死者の納棺までの手順に非常に詳しいことだ。死化粧、防腐剤の使い方等アメリカで葬儀屋を開けるくらい。

解決は無論、合理的で動機も納得できるものである。本作における作者の独創と論理的解決が冒頭に述べたように、日本ミステリ界に衝撃を与えた。ミステリ・ファン必読の名作。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164
No.13:
(5pt)

山口さん、アメリカで葬儀屋をやっていけますね

日本ミステリ界に大きな影響を与えた作品。話をSF的設定にしても、書き方次第では本格ミステリとして通用する事を実証して見せた傑作だ。私の好きな西澤保彦氏も本作品に影響を受けたと語っている。
舞台はアメリカの片田舎。死者が蘇るという事態が発生する(ただし、時間がある程度過ぎると肉体が崩壊する)。その中で連続殺人事件が起きる。被害者が蘇ると分かっていて、何故犯人は殺人を繰り返すのか ? この不条理状態の中、パンク探偵グリンは事件に首を突っ込むのだが、なんとグリン自身が殺されてしまう。自分の肉体が朽ち果てる前に、何としても事件の真相を暴かねば。グリンの苦闘が始まる...。
死者の蘇りを扱いながら、全篇にユーモアが漂い、特にグリンが自分の"死"を知った時の慌てぶりには、声を出して笑ってしまった。そして、驚くのは作者が、アメリカにおける死者の納棺までの手順に非常に詳しいことだ。死化粧、防腐剤の使い方等アメリカで葬儀屋を開けるくらい。
解決は無論、合理的で動機も納得できるものである。本作における作者の独創と論理的解決が冒頭に述べたように、日本ミステリ界に衝撃を与えた。ミステリ・ファン必読の名作。
生ける屍の死 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 (創元推理文庫)より
4488416012
No.12:
(5pt)

やらかす

私はこういうことをやらかす人が大好きだ。もはや、本格ミステリーの次元を超越しているではないか。いい意味で規格外。凄すぎます。

 大体、「死んだ人間が蘇る」という設定の中で殺人事件がおきても、蘇るわけであるから不条理ではないか。でもね、それを作品世界で成立させちゃっているのが著者の凄いところ。

 もはや、謎解きとかはどうでもよろしい。読んでみることだ。
生ける屍の死 永久保存版Amazon書評・レビュー:生ける屍の死 永久保存版より
4334913164

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!